トップ > 騎手・調教師 > 福永祐一

福永祐一

■ 馬を動かすよりも立ち回りで勝負するジョッキー→内枠が狙い

 馬群の中でじっとして脚を溜めるのが得意で、強引に馬を動かすのは苦手。
 無理に外から捲くるような競馬はまずしない。内枠でロスなく脚を溜めて抜け出しのタイミングを計れるレースが狙いといえる。


■ ポカが減った、内差しよりも内で溜めてちょっと外に持ち出す

 昔に比べるとかなり堅実に走らせることが出来るようになり、極端なコースロスなども削減された。
 穴を演出するほどの豪腕的な騎乗にはならないものの人気馬をちゃんと走らせる事ができるようになったのは大きな成長。
 阪神を内で溜めて上手く4角で持ち出すのが得意で、あまり内を突こうとはせずに逃げ・先行馬の外側に持ち出すパターンが多く、そういう箇所が伸びている馬場ならなお良い。
 逆に割引時は乗れてない日はトコトン乗れないのが特徴。持ち出す馬場が荒れていたりするとその日はダメダメになる。
 好不調が激しいタイプなので乗れている日は固め討ちもあり、その逆もあるので注意。
 昔に比べれば馬の能力程度には買えるので、連での軸でも十分にOK。
 内で包まれそうな時は必死に外に持ち出そうとするのでロスが出たり仕掛けが遅れたりするので、そういう展開の時は人気馬で3着とか着外になる事もあるので馬券的な工夫が必要。


■ 小原軍団の中ではワリを食っている

 乗り馬持ち回り主義の小原軍団の中でも、岩田、川田、二人が頭角を現してきたことにより、ワリを食い、福永株は下落気味。
 それまでは四位と福永の二人でいい馬をぐるぐる廻していただけでよかったが、岩田、川田の参入により、いい馬を持って行かれるようになってしまった。
 しかも現在のエース格はいうまでもなく岩田だ。
 それと所属の北橋厩舎の解散、主戦騎手を勤めていた瀬戸口調教師の引退も、落ち目に拍車をかけている。


■ 北橋調教師と瀬戸口調教師

 現在は実力のある騎手はフリー(どこの厩舎にも所属しない騎手)の立場であることが多いが、
 祐一は2006年2月に北橋修二が定年引退を迎えるまで北橋厩舎の所属騎手であった。
 厩舎所属の場合は固定給が支払われ生活がある程度保障される一方、
 他厩舎から有力馬の騎乗依頼を受けても所属厩舎の出走馬に優先して騎乗しなければならない場合があり不利な面も多いとされる。
 また、厩舎のスタッフの一員として馬の世話や厩舎の作業など雑用もこなさなければならない。

 祐一がデビュー後所属し師事した北橋は祐一が幼い頃から世話になり親しんでいた間柄であり、
 厩舎所属後の公私をわきまえた関係など現在の祐一を語る上で欠かせない人物である。

 北橋とともに関係が深い調教師は、北橋と同郷の瀬戸口勉である。瀬戸口厩舎では祐一を主戦とし、祐一がデビューしたての頃からずっと起用し続けていた。
 GIもサニングデール・エイシンチャンプ・ラインクラフトで制覇している。

 祐一は騎手生活を振り返る時、常々2人への尊敬と感謝の念を口にしている。

 しかし2006年2月に北橋が、瀬戸口も2007年2月に調教師を引退。
 頼りにしていた“2人の師匠”が相次いで競馬サークルから去り同年の京王杯スプリングカップ(勝ち馬・エイシンドーバー)で同年初の重賞勝利を飾った際、
 「サポートをしてくれる厩舎が解散になった途端勝てなくなったんでね、もうどうしようかなと思っていたんですけど(笑)うまく勝ててよかったです。もうちょっとジョッキー続けられそうです」
 と語っている。


■ 取りこぼしが多い…秋華賞ラインクラフト

 取りこぼしが多い気配り系チキン。
 とくに05年秋華賞ラインクラフトは、圧倒的優位にいながら武からの記者会見でのプレッシャーにより、無難な騎乗をせざるを得なくなり負けた。


■ 2、3歳戦に強い 

 2・3歳戦が得意で、そのことは本人も自負している。
 実際、2・3歳の重賞(特に牝馬限定戦)でも上位の戦績を誇る。
 特に2002年は2歳馬のGI(阪神ジュベナイルフィリーズ:ピースオブワールド、朝日杯フューチュリティステークス:エイシンチャンプ)を両方とも制覇している。

 早くからいい馬集めに動いているので、デビュー戦から有力馬に乗れる。

 プリモディーネ、エイシンチャンプ、ピースオブワールド、メイショウボーラー、
 シーザリオ、ラインクラフト、フサイチリシャール、マルカシェンク、フサイチパンドラ、ローブデコルテ


■ 牝馬の福永

 牝馬で大きいレースを勝つことが多いため嶋田功、河内洋、松永幹夫らに続いて「牝馬の福永」と競馬マスコミに書かれることが増えてきた。


■ オークス男

 優駿牝馬(オークス)では2004年から4年連続連対(3勝2着1回)という驚異的な成績を残していた。
 2007年の同競走を外国産馬のローブデコルテで勝利した時のTV中継での勝利インタビューで、「オークス3勝目、相性いいですね」の問いに対して「新オークス男です」と語った。


■ ミスターフェニックス

 小倉で行われる2歳オープン戦・フェニックス賞に強く、2001年から2007年までで6勝2着1回という成績を残し2003年から2007年まで5連勝を記録していた。
 これは武豊の若駒ステークス5連勝、河内の万葉ステークス5連勝に並ぶ同一特別競走の最多連勝タイ記録である。
 このため、武豊をはじめとする仲の良い同僚ジョッキーから「ミスターフェニックス」と呼ばれている(『武豊TV!』より)。
 本人曰く「フェニックス男」である(ABCラジオ・オン・ザ・ターフ!より)


■ 痛恨の選択ミス〜ネオユニヴァース

 2003年は祐一にとって念願の牡馬クラシック制覇を成し遂げるチャンスだった。
 同じ瀬戸口勉厩舎所属できさらぎ賞を含め3勝をあげていたネオユニヴァースと、
 2歳王者となっていたエイシンチャンプをお手馬としてかかえ最終的にはGI馬であったことからエイシンチャンプを選んだが
 結果としてミルコ・デムーロに託されたネオユニヴァースが二冠を達成、祐一は最大のチャンスを逃すことになった。
 後に本人は「ネオユニヴァースの方が強いと思っていたが、先に依頼のあったエイシンチャンプを選んだ」と語った。


■ ラフプレイはない

 もともと、「気配り系」なので、競ってでも逃げるとか、内から馬群を割るとかはまずしない。


■ 折合い上手

 06年エリザベス女王杯のカワカミプリンセスの降着による勝利も、折り合いの難しいフサイチパンドラでのもの。
 福永に乗り変わってから安定した成績を収めるようになった。この点では、戦略力も進化しつつあるようではある。


■ マイル以下が狙い

 マイル巧者、1200mも得意。(サニングデール)
 ラインクラフトの秋華賞を取りこぼしたあたりからも、中長距離はイマイチ。
 (ラインクラフトの距離適性云々言われたが、勝つチャンスは十分あった)


■ 特別戦に弱く、平場に強い

 08年福永騎手

平場 勝率12% 連対率22% 複勝率32%
特別 勝率6% 連対率14% 複勝率26%

なんと、特別戦になると、勝率が50%オフになる!これではとても頭からは買えない。


■ 人気薄で逃げたときは誰も鈴をつけにこない

 舐められているのか、存在感が希薄なのかわからないが、逃げたときは誰も潰しにこないでそのまま逃げ切ってしまうことがたびたびある。

 08年 京都記念 シルクフェイマス 11番人気3着
 08年 マーメイドS ピースオブラブ 10番人気2着
 08年 セントウルS シンボリグラン 11番人気2着

■ 五十嵐冬樹への暴言

 2007年の天皇賞・秋ではカンパニーに騎乗したが最後の直線でコスモバルクが左右によれたことにより不利を受けたとされ、
 同馬の騎手である五十嵐冬樹に対し「コスモバルクは毎回、毎回やっている。五十嵐さんはG1に乗る騎手じゃない。(ローカルの)福島にでも行っていればいい。勘弁してくれ」
 と発言したと報道され一部で物議を醸したが、本人はこの発言を否定している。


■ 人脈

 競馬学校入学時より「天才」と称された父・洋一の2世騎手ということで話題を集めていた。
 なお同年にデビューした騎手はJRA初の女性騎手となった牧原由貴子(当時)ら3人の女性騎手や双子の騎手として話題となる柴田大知・未崎、
 そして後にテイエムオペラオーとのコンビで一世を風靡する和田竜二などがおり競馬学校花の12期生と言われ話題を集め、引退した常石勝義を含めて現在でも仲が良いことで有名。

 エージェントは、競馬ブック・小原ライン

 勝負は所属の北橋厩舎、瀬戸口勉厩舎、中竹厩舎。
 
 所属の北橋修二調教師と瀬戸口勉調教師は、同じ九州出身ということもあり、無二の親友。
 その関係が勝ち鞍の数にも表れている。

 しかし北橋、瀬戸口厩舎はとうとう解散してしまった。
 
 中竹和也調教師は福永祐一騎手を可愛がっており騎乗依頼も多い。

 厩舎 松田国英 中竹和也 白井寿昭

 子供の頃から福永家は武家と隣同士であり、武豊や武幸四郎とはご近所さんの間柄だった。
 武豊は福永が生まれた日のことを覚えているという。


■ G1実績