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■ 必勝法の検証

デイトレーダーが値動きをずっとみていると発覚する異常な乱高下。
みずほ株の誤発注事件はデイトレーダーの大儲けという結果になった。

これと同じようなことが競馬でも可能かどうかを検証する。

■ 競馬必勝プログラム


 凱旋門賞のシーザスターズ、強かったですね。英国2冠(2000ギニー&ダービー)馬の凱旋門賞制覇は史上初の快挙。
 “ザ・グレイテスト”、“モンスター”など、表現はざまざまですが、欧米の競馬関係者やマスコミもこぞって同馬に対して最大級の賛辞を贈っています。

 同馬は、11月7日のブリーダーズCクラシックに出走する可能性も残されてはいますが、今年限りで引退してしまうとのこと。
 できれば来年も現役を続行して、次の3歳世代と戦ってほしいところ(そうすれば、今度はシーザスターズのほうが重い斤量を背負うことになり、
 それでも勝てばさらにその強さが際立つはずなので)ですが、それには何かとリスクが伴いますから、引退はやむを得ないでしょう。

 まぁそれにしても、世界にはスゴイやつがいるもんです。
 これだけのパフォーマンス(今年は英2000ギニー、英ダービー、エクリプスS、英インターナショナルS、愛チャンピオンS、凱旋門賞とすべてG1に出走し6戦全勝)を披露しても、
 まだシーバード(1965年の英ダービー、凱旋門賞優勝馬)やリボー(生涯16戦16勝、1955、56年の凱旋門賞を連覇)、
 ブリガディアジェラード(生涯18戦17勝、1972年のキングジョージ優勝馬)、ミルリーフ(1971年の英ダービー、キングジョージ、凱旋門賞優勝馬)には
 及ばない(英タイムフォーム誌のレーティングによる)っていうんですから、上には上がいるんですね。

 さて、9日の朝日新聞に「配当160億円所得隠し、競馬予想プログラム独自に開発、社長出国し徴収困難」という見出しの記事が載りました。
 それによると、「英国人が社長を務める東京都内のデータ分析会社が、競馬で得た配当金を申告せず、東京国税局から約160億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった」そうで、
 「同社は、天候や出走馬の血統、騎手など各データを入力、解析する競馬必勝プログラムを使い、高確率で配当金を得ていた(中略)。
 億単位の資金を使い、ほとんどの組み合わせの馬券を買うという、一般の競馬ファンにはまねできないやり方だった」とのことです。

 さらに、「同社が目をつけたのは、『3連単』(中略)。プログラムで、レースで3着までに入らない可能性が高い『はずれ馬』を除外したうえ、
 残りの馬であらゆる組み合わせの馬券を購入。倍率が高い馬券には少額、倍率が低い馬券には高額をかけ、
 配当金が投資額を上回るよう計算されていた」とも書かれていました。

 一方、産経新聞(インターネット版)には、「競馬の配当金は所得税法上、課税対象で、配当金から馬券代と特別控除(50万円)を引いた額が一時所得となり、
 所得が発生すれば課税される。ただ、今回のケースについて、東京国税局は(同社が)競馬予想プログラムの開発と競馬予想を会社の事業として」行っており、
 「配当金を通常の収入とみなして法人税法を適用した」とあります。

 ということは、問題なのはあくまで所得隠しによる脱税という行為であって、競馬必勝プログラムを開発して馬券を購入し、
 高額の配当を得たとしても、適正に所得申告して納税していれば全く問題はなかったわけです。

 それじゃぁ、実際にそういう必勝法は成り立つのか? われわれにとってはそのほうが“問題”です。
 この会社(英国人社長)は3連単に目をつけたそうですが、取りあえず単勝で考えてみましょう。

│ 人気 │オッズ│購入額│払戻金│
│ 1番人気│ 2.0 │ 3100 │ 6200│
│ 2番人気│ 4.8 │ 1300 │ 6240│
│ 3番人気│ 6.9 │ 900 │ 6210│
│ 4番人気│ 15.4 │ 400 │ 6160│
│ 5番人気│ 21.1 │ 300 │ 6330│
│購入総額│   │ 6000 │   │

 上の表は、5頭立てのレースで1〜5番人気馬のオッズがこういうふうになっていたら、全馬の単勝馬券を買っても、それぞれの購入額をうまく配分すればゼッタイ儲かる、という一例です。

 私は数学の専門家ではないので、実際にこういうオッズが現れる可能性があるのかどうか、わかりません。
 でも、もしそれがあるならば、ゼッタイに儲かる馬券の買い方もある、っていうことになります。
 だとすれば、あとは、オッズから馬券購入額を決めるプログラムを開発すればいいだけ。資金さえあれば、馬券で損をすることなく、安定した収入を得られるわけです。

 いや、実際には、上のような都合のいいオッズが現れることは理論的にないのかもしれません。
 もしあれば、もう誰かが気がついているでしょう。それをもとに儲けられる競馬必勝プログラムくらい、専門家だったら簡単に開発できると思います。

 そうなると、株や石油など、世界中の投資家が血眼になってやっている取引をするくらいなら、
 競馬(を含めたパリミュチェル方式の賭け事)のほうが安全確実、ということになっちゃいます。それは、「ありえへん」話ですよ。

 今回の件の主人公も、「『はずれ馬』を除外したうえで馬券を購入していた」そうです。
 実際には、いくつかの組み合わせは当たってもある程度の損になることを覚悟した上で、すべての組み合わせを買っていたかもしれません。
 そうすれば、投資額がゼロになってしまうことはなくなります。
 配当金の一部をプールして“準備金”とし、損が出た次のレースでその損を補える資金配分ができるようにしておいた、なんていうことも考えられるでしょう。
 ということは、損を即座に取り戻せる財力さえあれば、競馬は必ず儲かるんじゃないですか?
 1つの賭け式ですべての組み合わせの馬券を買えば、必ずどれかは当たるわけですから。

 ただし、そういうことを続けていくのが楽しいかどうか。これは人それぞれでしょうね。
 「必ず儲かるんだったら、それでいいじゃないか」って? 確かにそうだなぁ、って思うところももありますけど…。

 オッと、一番大事なことを忘れてました。この件の主人公は「億単位」の資金で馬券を買っていたんですよね? 
 その人物はすでに出国してしまったそうですから、JRAは超大物顧客を失っちゃった、ってことになりませんか? 
 先にも書いたとおり、所得隠しは違法行為ですが、馬券を買って的中したら払戻金を得る、という部分には、何の問題もないはず(その資金の出どころ次第では問題ありとなるかもしれませんが)。 JRAにとっては、この人物がいなくなったことのほうが大問題だったりして…。

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