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菊花賞

・ダンスインザダーク産駒を狙う。
・ロングスパート巧者を狙う。
・また、強力な逃げ馬がいるときのヒモは追込み馬。

■ 傾向

菊花賞の過去のレースを振り返ると皐月賞との2冠パターンが多く、皐月賞好走組は上位に来る可能性高い。

菊花賞なら基本的にスタミナ血脈のフォローが欲しい。(特に母父のほう)
父ならサンデー系スタミナ種牡馬かサッカーボーイが特にいい。
サンデーを筆頭にヘイロー系と母系がスタミナ血統が必須条件。
ヘイロー系リアルシャダイ×ニジンスキー系マルゼンスキーのライスシャワーはまさに「菊花賞・勝利の方程式」と呼ぶにふさわしい。

従来のステイヤー血脈よりもむしろ、新種のステイヤー血脈、母父ニジンスキー&母父ブラッシンググルーム(レッドゴッドの仔)がいい。
スタミナは当然ながら、+スピード+瞬発力を兼ね備えた血脈。

スタミナ血統 代表産駒
ダンスインザダーク ザッツザプレンティ
デルタブルース
スペシャルウィーク
マンハッタンカフェ (これから種牡馬デビュー予定)
サッカーボーイ ヒシミラクル、ナリタトップロード
母父ニジンスキー系 ダンスインザダーク
スペシャルウィーク
ライスシャワー
ロイヤルタッチ
アドマイヤジャパン
母父レッドゴッド系 マヤノトップガン
テイエムオペラオー
サクラローレル(ただし父父)
母父ミルリーフ系 ヒシミラクル
セイウンスカイ
ローゼンクロイツ
母父リボー系 ミツワスカイハイ
欧米ステイヤー牝系 エアシャカール
マンハッタンカフェ
デルタブルース
ディープインパクト
明治から続く小岩井牝系 ヒシミラクル
マチカネフクキタル

■ 回顧(2006年)

外から一陣の風!
ソングオブウインドがレコードタイムでGI初制覇

 第2レースと第8レースでレコードタイムが計時された22日(日)の京都競馬場・芝コース。
高速馬場は菊花賞(GI)でも展開に影響を与え、レコード決着を演出しました。

 スタートダッシュを効かせ、5馬身、6馬身と後続を引き離して逃げたのは、日本ダービー2着馬で単勝3番人気のアドマイヤメイン。
いわゆる“止まらない馬場”と見てか、鞍上・武豊騎手は思い切った策に出ます。
1000m通過58秒7は速過ぎるペースにも思えましたが、向こう正面でいったん息を入れ、最終コーナーに向かいました。
 大きく離された先行集団から、1番人気の二冠馬メイショウサムソンも動き出します。
「2年連続の三冠馬誕生なるか」という期待に正攻法の走りで応えるべく、石橋守騎手は追撃体勢へと移りました。

 これを見て、メイショウサムソンを徹底マークしていた2番人気ドリームパスポートも瞬発力を全開。
馬は皐月賞2着、日本ダービー3着からの巻き返しを狙って、また鞍上の横山典弘騎手は菊花賞3年連続2着の雪辱を晴らそうとして、鋭く脚を伸ばします。

 それぞれの思惑が交差する、人気馬たちのラストスパート。
しかし、ドリームパスポートはまたも2着に敗れ、懸命に粘ったアドマイヤメインも3着まで、メイショウサムソンは4着で三冠達成ならず。
単勝オッズ44.2倍の8番人気のソングオブウインドが大外から突風のようにこの3頭へと襲い掛かり、レースを制したのでした。

 ここまで9戦して4着以下なしという安定感を誇っていたソングオブウインド。
前走の神戸新聞杯でもドリームパスポートやメイショウサムソンと僅差の3着だったのですから、低すぎる評価といえたでしょう。
鞍上・武幸四郎騎手が「とにかく折り合うことだけを心がけた。
リラックスして走ってくれて、何もかも上手くいった」と振り返ったように、ハイペースの中、
後方に控えて温存した体力が、直線で一気に爆発。
ソングオブウインドはGI初挑戦初制覇を、3分2秒7のコースレコードとともに成し遂げたのです。

馬名 性齢 騎手 斤量 タイム 着差 通過順 上3F 単勝 体重 増減 厩舎 賞金
8 18 ソングオブウインド 牡3 武幸四郎 57 3.02.7 16-16-16-08 33.5 8 44.2 480 +4 (栗)浅見秀一 11200
7 13 ドリームパスポート 牡3 横山典弘 57 3.02.7 クビ 06-06-06-07 34.0 2 4.9 466 +4 (栗)松田博資 4500
3 5 アドマイヤメイン  牡3 武豊   57 3.03.0 13/4 01-01-01-01 35.9 3 6.2 498 +8 (栗)橋田満  2800
6 12 メイショウサムソン 牡3 石橋守  57 3.03.4 21/2 04-04-04-02 34.9 1 2.0 518 +6 (栗)瀬戸口勉 1700
7 15 アクシオン     牡3 田中勝春 57 3.03.5 1/2 12-14-13-13 34.4 10 60.5 520 -10 (美)二ノ宮敬 1120

菊花賞はソングオブウインドが勝った。
展開の綾もあったが、やはり神戸新聞杯組はレベルが高かった。

ソングオブウインド

+4kg。前走中京戦は重く見えたが、今日はそこ迄では無かった。相変わらず毛ヅヤ目立ち、何よりステップの軽さが素晴らしい。むしろゲート良かった位だが、出脚が有る方では無いので、無理せず最後方グループ。アドマイヤメインが良いペースで引っ張ってくれただけに、1周目の坂の下りを別にすれば、折り合い欠く馬も少なかったのだが、この馬も同様。2周目の下りで外へ出して徐々に進出。直線は大外。例に依って手前が替わるのが多少遅かったのだが、それでもドリームパスポートを競り落とした。何度か述べている様に、歩様の柔らかさが素晴らしく、身体の使い方が上手いタイプの馬。それが長距離適性を呼んでいるが、今日に関しては漁夫の利も。

エルコンドルパサー 社台の政治学

 ディープインパクトの帰国に伴い、JRAの馬場造園課は、東京、京都の芝を短く刈り込み、高速馬場に変えた。
スプリンターズステークス仕様で(外国馬が有利になるように)馬場を重くした中山競馬場とは正反対である。
つまり、ディープ有利の馬場にチェンジしたわけだ。
 そんなわけで、瞬発力&速い脚に欠けるメイショウサムソンは3冠を取れなかったが、ある意味、馬場に泣かされた部分が大きい。
となると、「ディープインパクト三冠の価値を落とさないためにも、メイショウサムソンごときに三冠を取らせてなるか、
というJRAの意思があったのではないか」といった邪推めいた想像をしたくなってくる。
まあ、真っ当な敗因を語るとすれば、アドマイヤメインが予想以上の大逃げを打ったことで、
人気を背負った以上早めに動かざるを得ず、早仕掛けになった展開上の不利があったことになる。
それ以前に、三冠を制するほど抜けた力がなかった、ということなのだろうが。
 勝ったのはトライアル3着のソングオブウインドだった。実は、出馬表を見た瞬間、ひとつ気にかかることがあった。
それは、今年の3歳馬が最後の世代になるエルコンドルパサーの産駒が4頭もでていたことである。
基本的にステイヤーとはいえないエルコンの仔が、3000メートルのレースに4頭も出てくるなど、異常といえば異常だ。
ソングオブウインドは、そんなエルコンドルパサー産駒の一頭である。
 エルコン同様、サンデーサイレンスの産駒も現3歳が最終世代だ。
しかしSSの場合、後継馬はうじゃうじゃしており、この菊花賞に勝ったところで大勢に影響はない。
しかし、エルコンにはたいした産駒がおらず、凱旋門賞で2着し、サンクルー大賞典に勝った名馬の血が途絶えてしまう可能性が大きかった。
その意味では、社台グループとしてはエルコン産駒の大物が必要だったわけで、
ソングオブウインドの菊花賞制覇の意味は極めて大きいといわざるを得ない。
 さらにいうなら、今年のセレクトセールで最高値を記録したのはキンカメ×トゥザヴィクトリーだが、
キンカメはエルコンドルと同じキングマンボ産駒。
つまり、世界的に見て大成功というにはいまひとつのキングマンボに対し「日本にはぴったり」というイメージを植えつけるためにも、
今回の菊制覇の意味は大きいといえる。

ドリームパスポート

3000mを思うと気配を出し過ぎだが、デキは文句無し。道中はずっとメイショウサムソンをマーク。1周目の下りで行きたがったが、そこからは折り合い付いた。ただ、2周目の下りで一歩先に動いたメイショウサムソンには併せず、前走中京戦同様、直線は思い切って外へ。目論見は当たっていたが、更に外にはソングオブウインドが待っていた。今日は最高の競馬。ツキが無かった以外に無い。

アドマイヤメイン

2人曳き。+8kg。数字上は戻った形だが、腹回りはもう少しスッキリ見せても良い。ただ、毛ヅヤが良くて、皮膚を薄く見せ、デキ自体は良さそう。前走中京戦の轍を踏まぬ様、思い切っての大逃げ。1日にレコードが3回出る馬場で、乗り役も走破時計を逆算しての競馬。メイショウサムソンには影すら踏ませなかったし、一応は自分の型に持ち込んだが、外から2頭。距離以外に敗因が無い。

2006年10月22日 武豊日記
弟の好騎乗に降参です。
菊花賞のあの大逃げは、実は狙っていました。
普通の逃げでは万に一つも勝ち目がないと思いましたから、イチかバチか、人気薄の気楽さで勝負に出てみたわけです。
1周目のスタンド前を走っているとき、ターフビジョンにチラッと目をやると、「5ハロン通過58秒6」というテロップが確認できました。
ボクが見たかったのはそれではなくて後ろの隊列。
その数字が速いとか遅いとかより、後ろの流れが落ち着いていたので、内心シメシメと思っていました。
終わってみれば3着。
ボク自身うまく乗れたと思いますが、それ以上に今日は幸四郎が抜群にうまく乗っています。この菊花賞だけは、弟の好騎乗に降参です。

メイショウサムソン

2人曳き。+6kg。前走中京戦でも重たい様に見えただけに。ただ、毛ヅヤが良いので、状態面は確実に良い。例に依って出脚が速く、好位から。ただ、今日は1周目の坂の下りも含めて折り合いは付いた。アドマイヤメインが大逃げ打っているだけに、どうしても自力で捕まえに行かざるを得ないのだが、坂の下りで既に手応えが怪しかった。ここ3戦、何れも内枠で楽をして来た訳で、外枠の真っ向勝負ならこんなモノなのだが、それにしても負け過ぎ。この中間、折り合い面が頭に有ったか、先週一杯に追って、今週軽目にする牝馬の様な調整。3000mを走る造りでは無かったのも応えていそう。

アクシオン

2人曳き。もうちょっとトモの送りにスムーズさが欲しい。舌がハミを越していたのはご愛嬌として、デキは悪くないが。過去の競馬振りから前へ行くのかと思われたが、後方から。ただ、1角辺り迄は行きたがっていた。外へ回したソングオブウインドとは対照的に、4角インを突き、ジワジワ来てここ迄。勝ったソングオブウインドも後方から差しているだけに、今日は能力判定のしようが無いというのが正直なところ。次走改めて。

インテレット

パシュファイヤー。歩様もスムーズで、馬体的にも遜色無い。枠入駐立不良。半馬身程出負けして最後方から。道中はしっかり折り合えた。手応えが違うから仕方が無いのだが、ソングオブウインドが動いたのをワンテンポ待ってから外へ。毎回述べている様にトビの良さは光っているが、毎回結果がイマイチ。

マルカシェンク

2人曳き。叩いた分、前走東京戦より締まって見えるが、まだ頼りなさは有る。半馬身程出負け。引っ掛かったというより、スピードの違いで、一瞬好位へ顔を出したが、抑えて中段やや後方。折り合いは一応付いていた。スムーズに立ち回って、直線も前が開いていたが、追ってからがジリジリ。2回も骨折する様な馬に、3000mの時計勝負は厳しい。

トーホウアラン

骨折明けでブッツケ。張りが一息。主張したアドマイヤメインには譲ったが、枠を利して好位のイン。折り合い面怪しい馬だが、今日はしっかり折り合っていた。最後止まったのはデキの分だろう。叩いての変わり身待ち。

フサイチジャンク

2人曳き。毛ヅヤは目立つが、前走中山戦の際にも述べた様に、もう少し馬を大きく見せて欲しい。落ち着いていたのは良いのだが。1周目の下りで行きたがったが、それを上手く利して好位のイン。それ以外は折り合っていたし、最高の競馬が出来た筈だが、4角でアラアラ。距離も有るだろうが、展開が有っただけに負け過ぎ。毛ヅヤや元の造りが良過ぎて、下見で判断し辛い馬なのだが、意外にデキが無いのかも。

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