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優駿牝馬(オークス)(G1)

【オークス・男の解の公式】 スローのアガリ勝負!
モデル馬 シーザリオ

■ 経緯

オークス(優駿牝馬)は東京競馬場で実施されるGI競走で、1938(昭和13)年にイギリスのクラシック競走であるオークスを模範に「阪神優駿牝馬」として創設された。
その名の通り当時は阪神競馬場で行われており、日本の牝馬は欧州の牝馬と比較して成長度に半年ほどの遅れがあるという考えから、秋に施行されていた。

第二次世界大戦終了後の1946(昭和21)年に開催場所を東京競馬場に移すと同時にレース名が現行の「優駿牝馬」となり、1953(昭和28)年には施行時期が春に移された。

95年から指定競走になり、トライアル競走で優先出走権を獲得した地方馬にも門戸が開放され、
03年からは外国産馬2頭、06年からは外国産馬5頭まで出走が可能になった。07年、ローブデコルテが初の外国産馬によるクラシック制覇を成し遂げている。

中央競馬のGIの中でも特に格が高いとされる八大競走のひとつであり、春に行われる桜花賞、秋の秋華賞と共に、牝馬三冠を形成している。

過去の勝ち馬では、43年のクリフジ・54年のヤマイチ、83年のダイナカール・96年のエアグルーヴと2組の親子制覇が成し遂げられている。
また、75年テスコガビー、86年メジロラモーヌ、93年ベガ、03年スティルインラブ、09年ブエナビスタ、10年アパパネなど12頭が桜花賞と合わせて春二冠を達成している。
なお、昨年はアパパネとサンテミリオンが壮絶な叩き合いを演じ、JRA・GI史上初の1着同着を記録した。

■ 傾向

日付 馬場
状態
RPCI 3連単 着順 馬名 種牡馬 母父馬 調教師
着差
タイム
補正 走破
タイム

通過順1-4 上り
3F
前走レース名 前走
着順
前走
場所
前走
距離
110522 53.7 548190 エリンコート デュランダル Bluebird (栗)笹田和秀 7 -0.0 110 2257 2  09-09-07-06 34.5 忘れな草 阪神 芝2000
ピュアブリーゼ Monsun Peintre Celebre (美)古賀慎明 8 0.0 110 2257 8  01-01-01-01 35.3 フローラG2 東京 芝2000
ホエールキャプチャ クロフネ サンデーサイレンス (美)田中清隆 2 0.0 110 2257 6  12-13-14-12 34.0 桜花賞G1 阪神 芝1600
100523 56.4 20460 アパパネ キングカメハメハ Salt Lake (美)国枝栄 1 -0.0 114 2299 8  09-13-13-11 35.2 桜花賞G1 阪神 芝1600
サンテミリオン ゼンノロブロイ Last Tycoon (美)古賀慎明 5 -0.0 114 2299 8  07-10-10-08 35.3 フローラG2 東京 芝2000
アグネスワルツ ゼンノロブロイ ヘクタープロテクター (栗)宮本博 8 0.3 111 2302 1  02-02-02-02 36.1 フローラG2 東京 芝2000
090524 57.6 2430 ブエナビスタ スペシャルウィーク Caerleon (栗)松田博資 1 -0.0 113 2261 4  15-16-15-14 33.6 桜花賞G1 阪神 芝1600
レッドディザイア マンハッタンカフェ Caerleon (栗)松永幹夫 2 0.0 113 2261 2  09-10-09-06 34.2 桜花賞G1 阪神 芝1600
ジェルミナル アグネスタキオン Double Bed *(栗)藤原英昭 4 0.5 108 2266 7  05-07-10-10 34.4 桜花賞G1 阪神 芝1600
080525 56.0 440360 トールポピー ジャングルポケット サンデーサイレンス (栗)角居勝彦 4 -0.0 107 2288 7  09-07-08-07 35.3 桜花賞G1 阪神 芝1600
エフティマイア フジキセキ ニホンピロウイナー (美)鹿戸雄一 13 0.0 107 2288 3  07-07-06-05 35.4 桜花賞G1 阪神 芝1600
レジネッタ フレンチデピュティ サンデーサイレンス (栗)浅見秀一 5 0.2 105 2290 5  11-11-10-10 35.2 桜花賞G1 阪神 芝1600
070520 49.9 57000 $ローブデコルテ Cozzene Seeking the Gold (栗)松元茂樹 5 -0.0 110 2253 1  07-08-09-09 34.7 桜花賞G1 阪神 芝1600
ベッラレイア ナリタトップロード Baldski (栗)平田修 1 0.0 110 2253 4  06-06-06-05 35.0 フローラG2 東京 芝2000
ラブカーナ オース Caerleon (栗)中村均 8 0.1 109 2254 6  14-13-11-12 34.6 スイート 東京 芝1800
060521 48.8 164300 カワカミプリンセス キングヘイロー Seattle Slew (栗)西浦勝一 3 -0.1 110 2262 5  08-07-05-05 35.5 スイート 東京 芝1800
フサイチパンドラ サンデーサイレンス Nureyev (栗)白井寿昭 5 0.1 109 2263 1  05-07-08-07 35.4 桜花賞G1 14 阪神 芝1600
アサヒライジング ロイヤルタッチ ミナガワマンナ (美)古賀慎明 7 0.2 108 2264 5  02-02-02-02 36.3 桜花賞G1 阪神 芝1600
050522 64.7 3330 シーザリオ スペシャルウィーク Sadler's Wells *(栗)角居勝彦 1 -0.0 112 2288 2  15-16-13-12 33.3 桜花賞G1 阪神 芝1600
エアメサイア サンデーサイレンス ノーザンテースト (栗)伊藤雄二 2 0.0 112 2288 3  09-08-07-06 33.8 桜花賞G1 阪神 芝1600
ディアデラノビア サンデーサイレンス Potrillazo *(栗)角居勝彦 3 0.1 111 2289 5  12-12-11-09 33.7 フローラG2 東京 芝2000
040523 58.1   ダイワエルシエーロ サンデーサイレンス ドクターデヴィアス (栗)松田国英 6 -0.1 111 2272 7  02-02-01-01 35.0 桜花賞G1 阪神 芝1600
スイープトウショウ エンドスウィープ ダンシングブレーヴ (栗)鶴留明雄 4 0.1 110 2273 1  09-12-11-10 34.2 桜花賞G1 阪神 芝1600
ヤマニンアラバスタ ゴールデンフェザント タマモクロス (美)星野忍 7 0.6 105 2278 3  17-15-14-14 34.5 桜花賞G1 阪神 芝1600
030525 62.6   スティルインラブ サンデーサイレンス Roberto (栗)松元省一 2 -0.2 113 2275 2  09-09-09-09 33.5 桜花賞G1 阪神 芝1600
チューニー サンデーサイレンス Kris (美)鈴木伸尋 13 0.2 111 2277 8  06-06-05-05 34.1 桜花賞G1 12 阪神 芝1600
シンコールビー サクラローレル Storm Cat (栗)湯窪幸雄 9 0.4 109 2279 7  13-15-17-13 33.5 フローラG2 東京 芝2000
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■ 2010年回顧

ベテランの老獪さが演出した、マンガのような「同着」決着

先週末のオークスは、アパパネとサンテミリオンがなんと「1着同着」という仰天の結果でした。
同時に戴冠した2頭は、共に「関東の騎手が乗る関東馬」で、関東優勢で推移した今年の3歳牝馬戦線を象徴するような決着と言えるでしょう。

2人並んだ勝利騎手インタビューも面白かったですね。
マンガ「みどりのマキバオー」のマキバオーvsカスケードのダービーでしか見たことがないクラシックでの1着同着、
このメモリアルなレースがラップ的にはどのようなものであったか、早速見てみましょう。

◆優駿牝馬=オークス(GI・東京12F)

2007年:35.2-36.7-37.6-35.8=2'25"3 (ローブデコルテ)
2008年:35.9-38.4-38.8-35.7=2'28"8 (トールポピー)
2009年:36.0-37.5-37.8-34.8=2'26"1 (ブエナビスタ)
2010年:35.4-38.3-40.3-35.9=2'29"9 稍 (アパパネ・サンテミリオン)

※「3F×4」で表記、( )内は勝ち馬。

今年は日中雨が降り続き、特に午後は極めて時計が掛かる馬場でした。
午後の芝のレースに関しては「8RカーネーションC(9F)は昨年より1.9秒遅い」「9R由比ヶ浜特別(7F)は昨年より1.5秒遅い」
「12R東京クラウンP(7F)は昨年のフリーウェイSより3.0秒遅い」と、どんどん時計水準が落ちて行くような状況で、
11Rのオークスは12Fで3秒以上は掛かっていたと考えて良さそう。即ち実質昨年並みの好時計だったことになります。
これに従い、馬場差を単純補正したラップは以下の通り。

2010年:34.5-37.4-39.4-35.0=2'26"3 (アパパネ・サンテミリオン)

ラップの起伏を見てみると、「第1ブロック」が極めて速く、「第2ブロック」でも殆ど緩まないという相当厳しい流れ。
しかし「第3ブロック」が緩んだことによって、上がり(第4ブロック)は実質例年以上に速いという特色あるレースでした。

「第2ブロック」が速いので単純に「中弛み」という訳でもなく、上がりが速いので単純に「前傾」という訳でもない、
解釈が難しいラップですが、この合わせ技で言えるのは「確実に差し〜追い込み有利」ということ。
それも瞬発力頼みの追い込みでは対応できず、「底力の裏付けがある馬が脚を溜めれば伸びる」というレースでしょう。

1・5着のアパパネ・オウケンサクラが桜花賞の1・2着で、1・3着のサンテミリオン・アグネスワルツがフローラSの1・2着と、
前哨戦の結果が直結した格好ですが、実は桜花賞もフローラSも「中盤〜上がりが速い持続力ラップ」だったので、こことは全く違う流れ。

前哨戦では全て先行した馬たちが、ここではアグネスを除いては差し〜追い込みに回ったのも興味深い現象です。
つまり展開的には「前哨戦も本番も恵まれ」と言えなくもないですが、
しかしそれぞれ持続力・底力を証明する優秀なラップ&時計で、むしろ「常に流れに沿って力を出せる、自在性と完成度」の成せる業だと考えるべきでしょう。

ところでこのレース、「不利な外枠を克服した2頭は、圧倒的に強い」という論調も目にしますが、
私の見立てではそこまで差はありません。
というのも「レース中も雨が降り続け、同日のうちに良が稍重に推移する馬場状態」の時は、
当然内から順に馬場が悪くなっていくので、一般的に「外差しに最も有利な状況」となるからです。

超人気薄の外枠の差し馬が揃って激走し、
大荒れとなった2007年NHKマイルC(1着ピンクカメオ)が、馬場的には同様のケースと言えるでしょう。

それだけに、この馬場状態を読み切った上で騎乗馬の自在性を信じ、
前哨戦とはうって変わって差しの競馬で戴冠に導いた蛯名騎手・横山典騎手の騎乗は見事で、まさに老獪の一言。
レース後にお互いを讃え合っていたのは、自分の騎乗の価値を知る2人が、
同様の結果を出したライバルを更に認め合うシーンでもあった筈です。本当に見事でした。

今後に関して言えば、上位2頭の総合力は勿論優秀ですが、
唯一内からの先行で掲示板に載った3着アグネスワルツのスピード+底力は侮れません。
また脚が溜めづらい中団で、馬場の悪い内を回りながら1秒も負けなかった6着アプリコットフィズ・7着ブルーミングアレーは、
今後距離短縮で必ず巻き返して来るでしょう。

■ 2007年回顧

■ レース回顧

2007〜 テン9F テン3F 中間6F アガリ3F
2007中弛み 36.5 35.2 37.2 35.8

ある程度厳しい流れになるだろうとは思ったんですが、各馬の位置取りが全く戦前の予想と違ってましたね。
みんな「先行してのイン差し」を意識して早め早めに動いた結果、1000m59秒1のハイペースに巻き込まれて、ラストは非常にタフな戦いになりました。
グリチャを見てると1000のラップがリアルタイムで画面に表示されるんですが、「59秒1」と出た瞬間、もうこれは外差しが決まる流れだな、と思って見ていました。

それにしても、府中の2400の外枠は不利ですね〜・・・。
特にフルゲートの8枠に入ると、逃げるか追い込むかの極端な戦法を取れる馬じゃない限り、そうとうな距離ロスとなります。
フルゲートだと7枠もけっこう厳しいものがありますね。


オークスでは、とうとう牝馬も非サンデー系になってしまいましたね〜・・・。
牝馬はサンデーの孫や母系にサンデーのいる馬がG1へ大量に駒を進めてきますから、
サンデー系同士で決まるのが確率的には大いにありそうなことなんですが、底力勝負となったオークスは、掲示板の5頭中なんと4頭が非サンデー系。

毎回思うのですが、ずいぶんとかたよった結果になるものですよね。

今回の出走馬を、サンデー系と非サンデー系に分けると、
◇サンデー系・・・10頭
◇非サンデー系・・・8頭
と、サンデー系が優勢だったんですが。


 まずベッラレイアの位置取りにはびっくりさせられました。
 スタートはあまりよくないこの馬がスムーズにゲートを出て、最初のコーナー
 では6番手につけました。
 この瞬間、この馬の上位入線はほぼ間違いないと感じましたので、穴馬券
 の興味はほぼなくなりました。

 一方ローブデコルテは、ロス無く内をとおり、ベッラレイアの直後でマーク
 するような形となり、福永騎手にとっては、非常に楽になったことでしょう。

 そして前半1000Mが59.1秒と速い流れとなり、そのまま最後の直線での
 勝負へと進んだわけですが、最終コーナーを回りながらベッラレイアは徐々
 に外に出し始め、ラッキーなことに前にいた武豊騎手と後藤騎手との間が
 綺麗に開き、そこをスムーズに追い出すことができました。
 ほぼ完璧な騎乗であり、どの馬よりもスムーズな競馬ができました。

 ローブデコルテですが、ベッラレイアをマークしながら、大外に出そうと試み
 ました。
 ただ、その瞬間、蛯名騎手に内に弾かれてしまい外に出せず、さあどうする
 かと見ていましたら、体勢を立て直し再度外に出し、そこから3着に入線した
 ラブカーナとともに凄い脚で差してくることとなりました。

 最後はまさしく2頭の叩きあいとなったわけですが、仕掛けのタイミングの差
 でしょうか、結局ローブデコルテが差しきりました。

 勝ちタイムは2分25秒3で、今年の東京はかなり時計が速いというのを考慮
 しても、かなり優秀なものです。
 勝ったローブデコルテは、桜花賞で離された4着だったことを考えますと、ダ
 ービーに参戦するウオッカの強さが再認識されたレースともいえます。

 騎乗ぶりとしては、明らかに秋山騎手の方が上手かったですよね。
 ただ、負けたのは、やはり仕掛けがほんの気持ち早かったということでしょう。
 最後の直線、あまりに綺麗に抜け出すことができ、勝ちが見えて焦ってしまっ
 たのでしょうか。
 秋山騎手的には悔やんでも悔やみきれないことでしょう。

 一方の福永騎手ですが、最後の直線で一旦は内に弾かれましたが、そこで
 怯むことなく再度馬場の良い外に出して、最後の切れる脚に賭けたことが勝
 利につながりましたね。馬を力を信じ、最後まで強気で乗ったことがよかった
 のでしょう。

 非常にいいレースだったと思います。

 そのほかの馬を簡単に振り返りますと、まず2番人気のザレマは、結局何も
 自分のレースをしませんでした。
 大外枠も影響して思ったより前に行けず、その後少し押し上げるか思ったら、
 武豊騎手はじっとして何もせずで、それでは、直後につけているベッラレイア
 やローブデコルテなどの切れる脚を持っている馬にあっさり抜かされますよね。
 見ていて、かなり辛い騎乗ぶりでした。
 カタマチボタンも同じく、今日の展開は向きませんでした。


御乱心‥と銘打った予想だったが、◎は見事に最下位に‥。

馬体重発表で−10kgに不安を感じ、パドックを見て如何にも細く映る馬体に落胆したが、一応印の通りに狙ってみた‥。金額は予定より控え目にしたが‥。

12.6 - 11.0 - 11.6 - 11.8 - 12.1 - 12.8 - 12.7 - 12.5 - 12.4 - 11.8 - 11.4 - 12.6

レースは、ローブデコルテがいいスタートで、100m程併走後にスマートストームが主導権を握る。
2馬身後方に枠順成りに一列に並んで大外からザレマが2番手を伺う感じで直線を進む。武豊ザレマも無理に押さずにコーナーに掛かった所で
ハロースピードが2番手、カタマチボタンが3番手、内にマイネルーチェ、.外にザレマ、その1馬身後方に今日はスムーズにスタートを切ったベッラレイアが6番手で続く‥。
直後にトウカイオスカー、内ピッタリにローブデコルテ、直後にミンティエアー、2馬身後方にピンクカメオ、ラストベガ、アドマイヤスペース‥
2馬身後方にミルクトーレル、ラブカーナ、ザリーン‥その後にレインダンス、ウィンナワルツ、アマノチェリーランは最後方からの競馬。

テンの3Fが35.2秒‥、4F47.0秒‥2番手に6馬身程差をつけて逃げている‥。
この時点で去年のヤマニンファビュルとまでは逝かないが‥彷彿とさせる光景に‥
何故に其処まで逝かなくちゃいけないの‥と悲しい気持ちになる‥。

1000m通過 59.1秒‥絶望的な流れ‥。

その後も淡々と流れ、3〜4コーナー中間まで3馬身程のリードを取って直線を迎える。
去年のヤマニンファビュル程極端にバテなかったので直線まで12秒台で推移‥。

直線を向いて残り450mで力尽きて止まる‥。

2番手グループのハロー、カタマチ、ザレマも余力無く、内からピンクカメオとマイネルーチェがジリジリと抜け出しを図る。

中央からベッラレイアが伸びてくる。内にミルクトーレル、外にミンティエアー‥。
外からローブデコルテ、大外からラブカーナ‥。

先頭を走るベッラレイアに、一完歩ずつローブデコルテが迫り、最後の最後でハナ差交わしたところがゴールだった‥。

3着は、ラブカーナがミンティエアーを3/4馬身程交わしてゴール。

終わってみれば、血統面から距離不安の声が多かったローブデコルテに一貫して自信満々のコメントをしていた福永騎手の好騎乗が光った。

ベッラレイアも今日はゲートもスムーズで早目の位置取りから横綱相撲で挑んだが
惜しくも最後差されはしたものの力は発揮できたし1番人気を背負いながら秋山騎手も頑張ったと思う。

惜しかったのはラブカーナ‥。道中の位置取りがもう少し良ければ‥際どかったかもしれない。

ゴール寸前、まるで福永祐一騎手に「オークスの女神」が全面的にほほえみかけたかのような明暗の分かれ方だった。
抜け出したベッラレイアは1頭になってしまったのが、結果としてちょっと不運。
ローブデコルテは、寸前まで横のミンティエアーと外からきたラブカーナと併せ馬の形になり、外のラブカーナと競る形でもう一回闘志に火がついた。

かつて嶋田功騎手がオークスを3連勝(通算5勝)した当時も、まるで馬の能力や騎乗技術だけではないかのような不思議を思わせた記憶があるが(古いけど)、
福永祐一騎手のここ4年連続の連対(3勝)は、まさに現代のオークス男なのだろう。

馬場状態がきわめて良く、また伏兵が引っ張ったこと。
さらには、そう速い脚がないため早めに動くことが予想された武豊騎手のザレマが先行抜け出しを計ったため、2分25秒3のオークスレコードが記録された。
結果、脚を余して負けたなどさすがに1頭も存在せず、その敗因にレースの流れうんぬんを挙げた陣営はいなかった。

走破時計と今年の3歳牝馬のレベルがどこまで結びつくかは、次週に同じ2400mの日本ダービーもあるので判断は持ち越されるが、
おそらくほとんどの馬が、現時点で、長距離区分の2400mで発揮できる能力はほぼ出し切っただろう。
この観点で非常に中身の濃いオークスだった。

桜花賞の上位馬と、フローラSの上位組、さらにはスイートピーSの上位馬、忘れな草賞の上位馬もみんなほとんど差がなかった。
ここに注目するなら、今年の3歳牝馬は考えられていたよりずっと駒が揃っているといえる。
直前で回避せざるを得なかったダイワスカーレット、さらにはウオッカの2頭は、
もしこのオークスに出走していたなら、距離適性は別にして、もっとずっとすごい内容を見せてくれたのではないか?
そう想像するのも、このあとまた対戦はずっと続くだけにきわめて楽しいことだ。

ローブデコルテはどちらかといえばマイラー型にみえ、体形もスピード型のそれだが、父コジーンに連なる父系の距離適性の広がりは知られるところで、
また母の父こそスピード色が濃くても、ローブデコルテの母は3冠牝馬スティルインラブの母ブラダマンテの半妹になる。
いとこ同士。ゴール寸前もうひと伸びしたあたりが一族の底力なのだろう。

ベッラレイアは好スタートを切って、もうごく自然に武豊騎手のザレマをぴたっとマークできる位置。
折り合いもピタリ。坂を上がってゴール寸前まで確勝の形で、完全に勝ったと思えたが、馬体が離れてしまったあたりほんのちょっとだけ運がなかった。
ビッグレースでこういう人気馬に乗るケースは少ない秋山騎手だが、賞賛に値する立派な2着惜敗だろう。
秋がある。さらにはもっと先もある。飛躍のきっかけにしたい。

ミンティエアーのパドックの気配は素晴らしかった。レースでもほかの有力馬をマークできる絶好の位置。
坂を上がった地点では2着はこの馬かと見えたが、あと1Fで力が尽きた。キャリアの差もあるだろうが、2400mは少し長かった気がする。

この距離2400mがちょっと長かったのは、最後は失速したザレマも同じで、バランスは良くみえても大型馬ゆえのスタミナのロスもある。
半兄というより四分の三兄弟になる上のマルカシェンクと同様、ベストは2000m以下なのだろう。
突っ込んできたラブカーナは惜しかった。上がり3Fの数字だけ比べるならこの馬がナンバーワンの34.6秒。
ただし、のちになるとこれは記録としては数字のもたらすトリックになり、脚を余したわけではまったくない。
ゴール寸前、さすがに止まっている。ピンクカメオの5着は距離、ローテーションを考えるとさすがだった。

上位馬が揃って素晴らしい内容を示したことにより、ウオッカのダービー挑戦はさらに一段と興味深いものとなった。
本質はスピード型ではないのか、今年はスローの1600mしか経験していない弱みがでるのではないか、
などの不安も大きいが、好勝負してまったく不思議ない根拠がオークスによって示されたといえる。


「逃げ宣言」の飛び出していたスマートストームが内から飛ばして行き、2番手は(なぜかこの日絶好のスタートを切ったw)ハロースピード。
カタマチボタン、マイネルーチェと続き外枠から先行していったザレマがコーナーワークで5番手の位置。
そしてその後ろ、この日は早め6番手にベッラレイアが待機。
それを見るようにローブデコルテとミンティエアー、トウカイオスカー。
内にピンクカメオ、中ラストベガ、外アドマイヤスペースと3頭並んで中団を形成し、その後ろにミルクトーレル、ラブカーナ、ザリーンの3頭。
後方にレインダンス。最後方からウィンナワルツとアマノチェリーランといった大勢。

直線に入りスマートストームがあっさり沈み各馬横一線になると、ここでまず抜け出してきたのが1番人気ベッラレイア。
馬場の真ん中を通り堂々と先頭に立つとこれに内からピンクカメオとマイネルーチェ、外からミンティエアー、ローブデコルテ、ラブカーナの5頭が追いすがる。
ベッラレイアがそのまま押し切ろうかと言うところに1頭迫ってきたのが外のローブデコルテ。
ミンティエアー、ラブカーナのあいだを抜け出しベッラレイアと馬体が並んだところがゴール。
写真判定の結果ハナ差ローブデコルテがベッラレイアを交わしており第68代オークス馬に輝いた。
1番人気ベッラレイアは惜しい2着、武豊騎乗の2番人気ザレマは10着に敗れた。

おそらくベッラレイアの鞍上・秋山真一郎の脳裏には前走・フローラSでの厳しい競馬が浮かんでいたのだろう。
加えてダイワスカーレット回避にアマノチェリーラン陣営の「控える」宣言。
ハロースピードあたりが積極的に前につけたこともあり、「ペースが遅くなる」と読んでいた騎手や陣営も多かったはずだ。
前走のように控えて抜け出せなくなることを避けるため、ペースが落ち着くと読んだため、
そして何よりこの日はベッラレイア自身のスタートが非常に良かったため秋山が取った策は早め先行策。
しかし蓋を開けてみればアマノチェリーランに変わって「逃げ宣言」を出したスマートストームの作り出した流れは1000m通過59.1秒のハイペース。

昨年はヤマニンファビュルが大逃げをし1000m通過58,1秒の超ハイペースになっていたが、
今年の1000m通過は過去14年と比べてもカワカミプリンセスの勝った昨年、
ダンスパートナーの勝った95年に次ぐ3番目の速さ。

スマートストームの3〜4馬身後ろに馬群があったため、実際2番手以降の1000m通過タイムはもっと遅いのだろうが、
それでもハロンタイム12.6-11.0-11.6-11.8-12.1-12.8-12.7-12.5-12.4-11.8-11.4-12.6を見てもわかるとおり道中13秒台が入ることは1度もなく
(昨年や95年のときにも13秒台はあった)終始息の入りにくい淀みのない流れとなった。

最後の1ハロンも11.4秒から12.6秒へと一気に下がっており、先行馬にとって非常に厳しい流れだったことがわかる。
こう言ってはなんだがベッラレイアにとっては前走のようなレースを試みたほうが自慢の差し脚がより生きたとも言え、
結果的にこのペースで早めに1頭で抜け出したのが最後のハナ差に繋がったとも考えられる。
まさに大地の女神は罠に嵌ったのである。
しかし罠に嵌りながらも最後はあわや勝利と言うハナ差2着。一番強い競馬をしたのは文句なくこの馬だろう。

勝ったローブデコルテは終始ベッラレイアをマークする位置取り。
直線ではスムーズに抜け出していくベッラレイアに対し、ラスト400mでミンティエアーとトウカイオスカーに進路を塞がれる不利を受けている。
これで外に持ち出すロスとなるのだが、結果的にここで仕掛けをワンテンポ遅らせたことで最後までしっかりと伸び、
逆に最後止まったベッラレイアを捕らえることが出来た。あの状況でも慌てず冷静に対応したあたりはさすが「新オークス男」と言うところか。

これでオークス4年連続連対。この舞台だと妙に力を発揮するな、この男は。こっちが桜花賞の回顧で厳しく書いた点を見事に克服されてしまったわけだ・・・。
しかしまさかオークスをCozzene×Seeking the Goldに持っていかれるとは思わなかった。
イクスキューズとともにウオッカ、ダイワスカーレットを上回る上がり1位を記録していた桜花賞のレース後福永は「オークスが楽しみ」と早くも手応えを掴んでいたわけで
「Cozzeneでそんなことはないだろう」と思ったら実際にそんなことはあった(殴)
たしかにこの馬1800mのデビュー戦で勝ってコスモス賞でもナムラマースの2着してるんですけどね。
それ以上に勝利ジョッキーインタビューでの「たしかにこの馬は本質的にはもっと短いほうがいいですが、
この時期の馬はまだ完成されていませんし、騎手の乗り方1つでどうにでもなる」(※1)という発言が気に止まりました。
私自身、展望の段階では「多少の距離不安のある馬でもなんとかなる」と書いていますし、血統にばかり気を取られすぎということですね。
柔軟に考えられなかった私の負けです。

(※1)この発言、祐一はいつも言ってますね。
3〜4年位前に雑誌の企画DVDでキングヘイローのダービー騎乗を振り返ったときも
「結果的にこの馬は1200mで初GTを勝つが、この時期の馬はまだ完成されていないから乗り方1つで距離はごまかせる。
だからこの敗戦は完全に自分のミス」という類の発言をしていました。
今回はそれがいい方向に出ましたね。

長くなってきたので以下簡単に。
3着ラブカーナは流れが速くなって上がりの掛かる展開になったのが良かった。
血統的にもスローの上がり勝負になっていたらここまでやれなかったのではないか。
調教師も「やった!」と思ったように、直線半ばの脚はなかなか凄かったですね。
見せ場タップリだったと思います。しかし菊沢ですか。菊沢と秋山の2人が同時にGTで3着以内に入るとかなかなかないぞ(苦笑)

4着ミンティエアーは最後の最後で脚色が同じになってしまった。
この結果だけで「アグネスタキオン産駒はみんなこの距離ダメ」というのは早計だろう。
良く走っているが、フローラSの内容からもベッラレイアの前に出るのは難しかった
(なおベッラレイアの評価に関しては予想記事のコメント欄に書いたとおり。
またも馬体が減っていたのは嫌だったが、パドックではそこまで細く見せていなかったので評価は下げなかった)

そしてさりげなくピンクカメオが5着。
昨年のロジックといいNHKマイルC馬はオークス・ダービーでは5着が指定席なのか、
と思いたくなるがこのローテーション、この距離延長を考えればよく走っているといえる。

10着ザレマは明らかに豊人気でほとんど魅力を感じていなかったのだが、
レインダンス7着、ミルクトーレル8着、カタマチボタン13着とダンスインザダーク軍団は揃って掲示板にも載れず。
「ダンス牝馬なんてこんなもの」と言われてしまえばそれまでなのだが、
今年はサンデーもいなくなって繁殖牝馬も回ってきたことだしいい加減なんとかしないと、とは思ったのだが・・・。

カタマチボタンは折り合いも付きいい感じで直線に向いたがそこから何も出来ず。
鞍上・藤田も「距離しか考えられない」とコメントしたわけだが、新オークス男曰く「距離はどうにでもなる」らしいですからね(殴)藤田にもどうにかしてほしかった・・・。
ただこのペースで先行してしまったのが良くなかったとも言えるかな。
あとはやはりマイル”しか”経験がなかったのも桜花賞では生きたが、オークスではネックになってしまったか。
桜花賞での買い材料がオークスでの不安材料に変わったか。

展開を考えればハロースピードはこの日こそ出遅れて最後方一気に賭けるべきだったかも(笑)


最後にもう一度ベッラレイアについて少し。
結果的に戴冠を逃す形になってしまった同馬だが、いつも通り乗れば勝てたかもしれないレースで、
いつもと違い前々からレースを進める正攻法で挑んだそのレースぶりは1番人気らしく堂々としていたと思う。

「ダイワスカーレットがいたら・・・」という話はしてはいけないのかもしれないが、
もしダイワがいて1番人気を譲っていたら、正攻法で攻めるダイワを前に見ながらレースを進めることが出来たであろうし、
ベッラレイアにとってももっとレースがしやすい状況になっていたと思う。
「ダイワスカーレットがいなくなったからベッラレイアにチャンスが訪れた」のではなく
「ダイワスカーレットがいたほうがベッラレイアにとってはチャンスだった」のかもしれない。
もちろんダイワスカーレットを捕らえられたかどうかはわからないし、それはオークスが一生に一度である以上、今後永遠にわかることのない謎である。

今回オークスの歴史に名を残すことが出来なかったベッラレイアだが、
最後の直線、懸命に鞭を振るう秋山は勝利への執念みたいなものを感じさせてくれた(普通そんな展開なら勝ってハッピーエンドになるわけだが、
それでハナ差勝てないのもダービーでわずかに敗れたナリタトップロードの仔であり、福永と秋山の差であり、何より競馬であるのだろう) 
ナリタトップロードと秋山にGTを勝たせてあげたかったが今回は本当に人馬ともにツキがなかったと言うほかない。
今後秋山やベッラレイアがGTを勝ったとき、きっと今回の執念や悔しさが生きているはずだ。

負けて強し。
最後の直線「さあ来い!」と言わんばかりに1頭抜け出し、追ってくる他馬の挑戦に真っ向勝負で受けて立ったベッラレイアには女王の気品が溢れていた。


 オークスにはダンスインザダーク産駒が4頭(ミルクトーレル、レインダンス、カタマチボタン、ザレマ)出走していた。もっとも期待されていたのはザレマだが、10着に惨敗。ダンス産駒で最先着したのは7着のレインダンスだった。
 父SSとあまりにていないダンスインザダークは距離延びていいタイプ。もちろん、スタミナは抜群だ。それだけに、2400メートルのオークス(特に、今回はスタミナ勝負になったので絶好の舞台だったのだが……)で結果が残せなかったのは痛い。
 ダンスの代表産駒は、ザッツザプレンティ、デルタブルースと、ともに菊花賞馬である。2頭とも本格化したのは3歳秋以降だった。このような晩成タイプは、近代競馬には不向きな部分がある。また、ダンス産駒の決定的弱点はスピードに欠ける点で、これもまた近代競馬向きではない。オークス出走馬のみならず、今年のダンス産駒3歳馬には、そんな欠点がモロに出た馬が多い。このあたりでそれを覆す馬が出てこないと、アグネスタキオンらに遅れを取ることになるだろう。

 ザレマといえば、アドマイヤオーラを降ろされて背水の陣で臨んだ武豊の騎乗馬でもあった。
 今回のオークスは「前が止まらない馬場」を意識してか、多くの馬が早めに動いた印象を受ける。それが結果的に前半1000メートル59秒1という、オークスにしては相当なハイペースを生み、2400メートル本来のスタミナが試される競馬になった。そんななか、武のザレマも早めの競馬をした。レース後、武は「この馬は2000メートルくらいのほうがいいかも」とコメントしていたが、適性よりもペース、展開に負けた印象が強い(もちろん、能力が関係しているのはいうまでもないが)。その意味では、別の競馬をしていれば違った結果が出たことも考えられる。
 オークスのみならず、最近の武の競馬には読み違いが目立つ(特に印象的なのは、ダノンムローのここ3戦)。また、皐月賞のアドマイヤオーラ、香港でのアドマイヤムーンもホメられた騎乗ではない。アドマイヤオーラからの降板、ザレマの惨敗と、武時代終焉の予兆なのだろうか……  

■ 次走狙い馬

2番 ローブデコルテ 1着
スタート抜群、これが一番パッと出たのではないだろうか。そのままポジションを気にせずに馬のフットワークを守って道中自然に中団。桜花賞のときもそうだったが実に折り合いのいい馬で、騎手の指示にもすぐに反応するし、利口なタイプだと思う。直線ではスムーズに外に持ち出したところ、外からミンティエアーにかぶされて一瞬進路をなくしたが、慌てずそのままさらに外へ進路変更して追い込んだ。ずいぶん長くいい脚を使う馬で、「2強がいなかったから勝てた」とは言わせない迫力の勝ち方。京都の外回りも合いそうなタイプで、秋が楽しみになった。直線入り口ではミンティエアーの内側にいたように思うが、(パトロール映像見ないと判断できないものの)包まれたらしく下げて外に持ち出す。ラスト前が止まったところを猛然と追い込んだ。フローラSのベッラレイアがやったような競馬。桜花賞の不完全燃焼4着から巻き返した。長距離の福永ここにあり。

7番 ベッラレイア 2着
パドックではカリカリして見えて馬の形も多少状態落ちに見えたが、走らせてみると柔軟性のあるフットワークで、バランスも実に良かった。馬群の中で折り合って競馬ができたのも大きな収穫だったし、レースぶりに自在性があることも分かって今後につながる敗戦だったと思う。早め先頭が作戦だったのか、あるいは流れの中でそうなったのかは分からないが、これはこれで正解だったのではないだろうか。勝負の騎乗で、悪くなかった。秋にはこの馬が絶対に得意なはずの京都が待っているし、ダイワスカーレットやウオッカとも対等にやれるのではないか、と思えた。この流れで早め先頭に立って2分25秒3のタイム差なし、ほんの微差の2着だから、ものすごく体力のある馬。実に内容のあるレースで、強い競馬だった。文字どおりの正攻法で横綱競馬に徹したものの、最後の最後で力尽きた。負けて強しの内容。秋華賞に一番近い存在。

8番 ピンクカメオ 5着
パドックで見るとモコモコした身体つきの馬だが、この馬はこれでOK。ストライドが柔軟で伸びやかに走れるし、推進力のあるフォーム。NHKマイルCから中1週でこの競馬ができるのだから、やはり能力が高い。2400はこの馬には長い印象だが、2000ぐらいまでなら十分に対応できそう。今後のレースの選択肢が広がる内容だった。

12番 ラブカーナ 3着
思い切って下げて後方馬群。直線も迷うことなく大外に持ち出して、じっくり伸びてきた。かなり長いことトップスピードで走っていられる馬だが、最後は惜しくも脚いろが一緒になってしまった。能力は高く、切れ味の発揮できる舞台では買い。夏に自己条件を使うのなら確勝だろう。勝ち馬の後ろを追走、直線向いたところから長く脚を使ったが、わずかに届かなかった。走っても走っても人気にならない地味コンビ。ローズSでもう一丁、といきたいところだが、日本一遠征好きの陣営。次は紫苑Sだろう。

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■ 2006年回顧

カワカミプリンセス
2人曳き。以前より馬体が充実して映るのは良い傾向。ただ、前走を思うと気負い気味なのが距離延長でどうか。ゲートは五分か多少悪いといったところ。無理せず中段から。下見の印象から折り合い気になっていたが、今日は流れてくれたし、一応は宥めた範囲。4角外から正攻法の競馬で、本田騎手、直線逆手前で外へモタれるのを必死で御しながらフサイチパンドラの猛追を凌ぎ切った。ただ、オークスなんてそんなモノといえばそうだが、直線フラつく辺りにまだ甘い面が。勿論、ペースが違うのだが、昨年の上位3頭は、そんな素振りは一切見せずに駆けていて、この辺りに昨年とのレベル差が窺える。秋へ向けて新興勢力が付け入る隙は多少なりとも有りそう。

フサイチパンドラ
+12kg。毛ヅヤはまだ冴えないが、歩様が良くなったし、馬体に張りが戻った。好発。内から一瞬出脚で睨みを利かせて、中段に控える形。気性面多少怪しいので、ペースが速くなってバラけてくれたのは良かったが、スムーズに追い上げたカワカミプリンセスと一旦引いて外へ出したこの馬との差が最後迄詰まらなかった。前走の阪神戦はデキが無い上に無理にマクりに行って何も出来なかったが、デキが戻って折り合えればこれ位の力は有る。あとはインを突ける様になれば。

アサヒライジング
-6kg。勿論、不安は不安なのだが、テンション高いのは元々。ただ、トモの張りは相変わらず目立ち、充実一途。出脚は良い馬だが、ヤマニンファビュルが主張して2番手。2番手の競馬は実績無いのだが、出脚が無い馬が行った分ヤマニンファビュルがオーバーペースとなり、この馬は自分のペースで行けた。今日は、4角手前で先頭に立たされ、結果的に目標にされた分捕まってしまったが、ヤマニンファビュルさえ控えていれば7割方勝てていた競馬。惜しい。

アドマイヤキッス
2人曳き。変わらず柔らかい歩様だが、馬体の張りがイマイチ。もうちょっと良い位置で競馬したいところだが、出してしまうと折り合いに不安が有るだけに、枠なりに中段やや後方。最後は、インに入れるシーンが一回も無かった分も有るのだが、前の馬も同じだけ伸びていて、位置取りのハンデを克服出来る程の性能差が無かったという事。力負けでは無いにせよ、一番人気の馬では無かった。

ニシノフジムスメ
2人曳き。スケールでどうかだが、毛ヅヤが良く、中身は有りそう。半馬身程出負けして、中段やや後方。何時もより位置取りが悪かった分、行きたがっていた。4角外へ出す為に一旦下げたフサイチパンドラに内から併せた時は良い態勢だったが、最後は逆手前になって内にモタれてしまった。まあ、行きたがった分も有るのだが、位置取りは悪くなかっただけに、上とは差が有るだろう。前で闘って誤魔化す競馬が理想。

キストゥヘヴン
+4kg。2人曳き。シープスキンノーズバンド。小さいなりに、毛ヅヤが良くて、充実した造り。厩舎技量の高さ故だろう。道中は最後方に近い位置だったが、道中はこのペースの割に行きたがっていた。直線も一瞬反応しただけで終わってしまっただけに、距離が全てだろう。馬格の無い馬は気で走る傾向が有るだけに、距離が延びると気持ちが裏目に出てしまう。


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偶然にも5年前と同じ場で観戦

普段なら喧騒としたスタンドよりも静寂な最終コーナーで観戦するのですが
フサイチパンドラのゲート入りやアドマイヤキッスが桜花賞で見せた
フライング気味のスタートをチェックするために芝2400mのスタート付近で観戦しました。

オークスのスタート地点は私にとって思い出深い場所です。
5年前のオークスで1番人気テイエムオーシャンが
直線先頭2番手で先頭に抜け出そうとした瞬間に外からローズバドに先手を奪われました。

テイエムオーシャンは進路を塞がれた格好になり一時的に後退しましたが
3着に盛り返したことからタイミング良く抜け出せていればテイエムオーシャンが優勝する可能性がありました。

06052215.jpg 普段よりも落ち着いていたフサイチパンドラ

イレ込んでレースでは掛かってペースを乱すと考えていたフサイチパンドラは
スタート前の輪乗りでは小走りになったりしていましたが普段よりも落ち着いていたと思います。

写真では発汗していますが東京競馬場は蒸し暑く、
各馬ともフサイチパンドラと同じように発汗していたので問題ないと思いました。

馬体重が増えたことと返し馬・輪乗り・レースと長手綱でコントロールして
フサイチパンドラを気分良く走らせた福永騎手の手綱捌きが2着に好走した要因と思います。

06052223.jpg パドック〜返し馬とイレ込みがキツかったヤマトマリオン

◎ヤマトマリオンの気性の荒さは予想に織り込んでいたのですが思っていたよりもイレ込みがキツかったです。

落ち着かれるために本馬場には他馬よりも早く入場したのですがダートコース上で立ち止まり、
芝コースへの誘導を促すと口を割って抵抗したりと長い間暴れていました。

パドックでは発汗した様子はなかったたのですが
ゲート前では発汗が目立っていたのでレース前に体力を消耗してしまい
力を十分に発揮できる状態ではなかったと思います。

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06052201.jpg 抜群のスタートは気性の裏返し? アドマイヤキッス

桜花賞で見せたフライングと思わせるロケットスタートをオークスでも見せてくれました。

写真を見て分かるように、まだ他馬がゲートから顔を出している状態なのに
武豊騎手の体がゲートの外に出ています(笑)。

桜花賞ではゲートに突進した瞬間にゲートが開いたと武豊騎手がコメントしています。
私はこのコメントに妙な引っ掛かりがあったのでスタート地点でアドマイヤキッスを観察していました。

ゲート入りがスムーズではなく嫌がるそぶりを見せていので
ゲートが嫌でスタートが抜群に速いのではないかと思います。

生で観察したのはオークスだけで若い牝馬ですから何とも言えませんが、
ゲート滞在時間が長い奇数番の内枠なら出遅れる可能性があると思います。

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06052203.jpg ヤマニンファビュルの大逃げで全体のペースが落ち着く

予想ではアサヒライジングが逃げてヤマニンファビュルや
フサイチパンドラが掛かり気味に競りかけてペースが速くなると考えてのですが、
ヤマニンファビュルが逃げて、アサヒライジングが控えたことでペースが落ち着きました。

フサイチパンドラも掛からず好位から中団に控えたのもペースが落ち着いた要因です。
ヤマニンファビュルが大逃げを打ったことで、
アサヒライジングは2番手もマイペースの単騎逃げの形になり追走が楽になりました。

06052204.jpg ペースが落ち着き、3コーナーから先団に取り付くために脚を使わされ差し・追込み馬には不利な展開

大逃げのヤマニンファビュル1頭を除いて流れの落ち着いたペースで走っていたのですが
3コーナーからヤマニンファビュルを捉えるためにアサヒライジングとヤマトマリオンがペースを上げたことで、
ここで先団に取り付くために脚を使わされた差し・追込み馬は直線伸びを欠いてしまいました。

優勝馬カワカミプリンセンスは先頭から5番手、フサイチパンドラはカワカミプリンセスをマークするように直後を追走しています。
3着アサヒライジングは2番手を追走していることから5番手以降を追走した馬にとっては不利なペースであったと考えます。

06052205.jpg 最終コーナーからアサヒライジングがロングスパート

アサヒライジングは最終コーナー手前で大逃げを打つ
ヤマニンファビュルを捉えるとロングスパートを仕掛けてスタミナ勝負に持ち込みました。

ここから3着に粘り込むのですからミナガワマンナ×ボンモー×タマナーの
母系からスタミナを確実に受け継いでいると思いました。

スタミナだけでなく芝1400m〜芝1600mでも好タイムで走っているのでスピードとスタミナを兼ね備えた逃げ馬であり、
今後のG1レースのペースの鍵を握る存在になると思います。

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差し・追込み馬は3コーナーから最終コーナーで先団に取り付くために脚を使ってしまいました。

先団が最終コーナを回り切り直線に向かっているのに、また態勢を立て直している途中ですから、

この時点で逃げるアサヒライジング、それを追う
カワカミプリンセス・フサイチパンドラを交わすことは難しいと思いました。

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06052221.jpg 5年前のリベンジで早目の抜け出しを狙うカワカミプリンセス

テイエムオーシャンに騎乗してローズバドに痛恨の抜け出しを喰らった場所で
本田騎手はカワカミプリンセスを早目の抜け出しを狙っていました。

外から真一文字に伸びてくるフサイチパンドラより左右にヨレながら抜けてくるカワカミプリンセス。

手応えの良さはフサイチパンドラの方が明らかに上でした。
芝丈が長く、内が踏み固めたれている分、外側が伸びなかったのがフサイチパンドラの敗因の一つとして言われていますが、

私はデビューからカワカミプリンセスに騎乗している本田騎手と、
フサイチパンドラに初騎乗する福永騎手との馬と一緒に過ごした時間の差の違いだと思いました。

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06052212.jpg 牝馬クラシック路線は混戦模様も個性的な馬が揃い秋が楽しみ

例年スイートピーS組はレベルが低くオークスには直結しないと言われていました。
今年のスイートピーSはスローペースで勝ち時計が遅いことからスイートピーS組からオークス馬は誕生しないと考えいました。
オークスでスイートピーS組のカワカミプリンセスが優勝したことは正直驚きました。

帰宅してからスイートピーSのレースVTRをチェックするとオークスで優勝する可能性がある片鱗がありました。
スイートピーSは前半1000m通過時計が60秒7のスローペースで
馬場の良い内側を狙って走ることが出来る逃げ・先行馬有利の展開でした。

カワカミプリンセスは中団から最終コーナを大外をマクリ気味に進出してゴール手前で逃げるヤマニンファビュルを捉えました。
芝丈が長く時計の掛かる外側を力強く追い込んできたことを考えると
勝ち時計は遅くても強い勝ち方であり馬券の中心と考えるべきであったと思います。

今年の桜花賞とオークスは直結しませんでしたが、
カワカミプリンセス・フサイチパンドラ・アサヒサンライズと新星が誕生したことで
牝馬クラシック路線は混戦模様ですが個性的な馬が揃い秋華賞・エリザベス女王杯が楽しみになりました。

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