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産経大阪杯(G2)

【大阪杯・男の解の公式】 宝塚記念好走馬を買え!
モデル馬

■ 傾向

1957年に『大阪杯』として創設され、1964年に『サンケイ大阪杯』、1989年に現在の『産経大阪杯』に改称された。
創設時は1800mの距離で行われていたが、1965年に1850m、1966年に1900m、1972年に2000mに延長され、現在に至っている。
3月上旬開催から約1か月繰り下げられた1981年以降は、天皇賞(春)の前哨戦という性格が一層強くなってきている。
過去10年では、産経大阪杯をステップレースとして、テイエムオペラオー、ヒシミラクルが次走で天皇賞(春)を制している。

日付 勝負結果 1着馬 LAP めも
2012 2012/3/25(日) ショウナンマイティ
2011
2010
2009
2008
2007 2007/4/1(日) メイショウサムソン 12.8-11.5-13.1-12.6-12.2-12.2-11.9-11.7-11.4-12.0=2.01.4
2006 カンパニー 12.8-11.6-12.5-12.6-12.5-12.4-12.3-12.2-12.3-13.3=2.04.5 雨・重
2005 サンライズペガサス 12.7-10.4-12.0-12.0-12.1-12.4-12.2-12.0-11.5-11.7=1.59.0
2004 ネオユニヴァース 12.7-11.3-11.9-12.0-12.2-12.1-11.8-11.9-11.3-12.4=1.59.6 稍重

格と経験の差が生きるレース
過去10年の出走馬を前走の条件別に分類してみると、やはり格の高い重賞から臨んだ馬が好成績を挙げている。1600万条件のレースから連対したのは、4連勝で挑んだロードプラチナムだけ。やはり層の厚いGIIレースでは実績が重要であるということだろう。なお、前走がオープン特別で産経大阪杯を勝利した2頭は、ともに大阪城ステークスを勝って臨んだ馬だった。
好成績を残している、前走が重賞だった馬たちの前走時の着順をグレード別に検証してみよう。前走がGIIIレースの組では、そこで2着以内に入った馬が好成績。逆にGI、GIIを使ってきた組では、そこで3着以下に敗れた馬が好成績を挙げているのだ。ちなみに、前走重賞1着→産経大阪杯1着と、重賞連勝を果たしたのは、過去10年ではタガノマイバッハただ1頭しかいない。

馬体重増減にも注目
馬体重は仕上がり具合のバロメーター。一般的には、大きな増減は好ましくないものと見られがちだが、このレースに関してはまったく別で、馬体重の増減の大きい馬が活躍しているのだ。マイナス10キロ以上の組では、前走が障害レースだったポレールを除く3頭のうち2頭が連対。10キロ以上増えた組では、プラス26キロで2着に入ったエアシャカールを筆頭に、9頭中6頭が3着以内に入る活躍ぶりをみせている。

サンデーとトニービンの血に注目
ここ10年の産経大阪杯で好成績を挙げているのは、サンデーサイレンスの血をもつ産駒とトニービンの血を持つ産駒。この2系統の種牡馬の成績がとびぬけてよく、他の系統は2着3着にはそこそこ食い込んでいるものの、勝利したのはメジロライアン産駒のトーホウドリームだけ。出走馬の父の系統に注目してみるのも面白そうだ。

■ 休み明けの人気馬が強い大阪杯

大阪杯は過去10年、1番人気の成績が[8-1-0-1]というレースである。

距離は全く違うが、阪神大賞典も1番人気の強いレースであることは、多くの人の知るところである。
中距離以上の古馬別定GIIというのは、力量の比較がしやすいぶん、人気通りに決まるという構図なのである。
秋のレースだと夏に大きな成長を遂げる馬がいるが、春のレースは冬期間の延長線上にあるわけで、そのあたりが関係しているという可能性もある。

さきほどの1番人気成績で、唯一馬券の対象から外れたのが01年のテイエムオペラオーであることは皆さんの記憶にも新しいところだろう。

唯一の例外になってしまったのが前年度全勝馬だったことからも分かるように、それまでの実績がここでの安定性に繋がるというわけではない。
反対に、GI実績の無い上位人気馬だからといって、嫌う必要もない。

人気馬以外も含めての傾向で気づくのは、レース間隔の開いた馬の成績が良いことと、4歳馬か高齢馬の両極端が活躍していることである。

休み明けの成績が良くなるのは、当然のことながら有馬記念やJCから休養を挟んで大阪杯に出てくる馬の影響である(ついでに書くと、半年以上の休み明けはさすがによくない)。
つまり、近い時期のオープン特別やGIIIで必死に頑張る馬よりも、一流馬らしいローテをとった馬のほうが相対的にアテになるということだ。

一方年齢別成績だが、春重賞で4歳馬の成績が最も良く出るというのは多いパターンではある。
ただ、ここ3年のマグナーテンおよびサンライズペガサスの影響なのだが、高齢馬を積極的に買える重賞というのは貴重なものである。

さて、今回の登録馬で半年未満の休み明けといえばアドマイヤジャパン、シルクネクサス、スズカマンボ。
4歳で人気ということも考えると、アドマイヤジャパンには高い評価を与えざるをえない。あと、シルクネクサスにも一応△くらいはつけておくことにしようと思う。

■ 回顧(2012年)

午前中の重馬場からは回復したが、発表の「稍重」より重に近く、いかにも全体に時計を要しそうなタフな芝コンディションだった。

積極的にレースを先導しそうな先行馬はなく、予測された通りのスローペース。
途中からハナに立って先導役を買って出たトーセンジョーダンの前半1000m通過はなんと「65秒2」。
見た目にもわかる超スロー。
ハロン13秒台のラップが3回も含まれていた。
これがみんな目標のGI競走であったり、良馬場とするなら歓迎できないが、発表以上に走りにくい馬場状態。
また、スローゆえみんなそう離れることはなかった。

したがって、勝負どころを迎えてからはほぼ一団。
レース後、「流れが味方せず」を敗因にあげる有力馬の現れる道理はない。
後半の1000mは「60秒2」。
こんなペースなのにレース上がりは47秒6-35秒3-12秒2。
ふつうこのスローペースなら、楽に上がり33秒台を記録する馬がいるはずだから、
今季の阪神は高速の軽いコンディションではない。
とくに内側は良くない。
1週後は、同じBコースで「桜花賞」。
これでまた中間にひと雨あったりすると、勢力図やランキングの大幅な見直しが求められるだろう。

超スローの中、勝ったのは4コーナーを回る地点で最後方にいた伏兵ショウナンマイティ(父マンハッタンカフェ)だった。
今回は武豊騎手から浜中俊騎手に戻っていたが、2人ともまったく同じような最後方からの直線勝負を選ぶのだから、
この馬、変に途中で動かず最後の爆発力に賭けたくなる「切れる」タイプの典型なのだろう。

馬群から離して一番外に回ったのが、大正解。
この思い切りの良さが印象的だった。
芝が傷んでいるようにも映る現在の阪神だが、さすがに馬場の中ほどより外の緑は濃い。
文字通りの直線一気。
それも届いただけでなく、人気に応えて快勝かと思えたフェデラリストをあっという間に1馬身4分の1も交わしていた。

3歳春の若駒Sや、弥生賞の当時から、猛然と追い込んであと一歩足りずのレースばかりが目立ったが、ようやくパンチ強化。
落ち着きもまして、GIIに手が届いた。
と同時に、この追い込み馬、ちょっと分かりかけてきたのは、
追走に手を焼くような追い込み競馬より、楽に追走できるレースの方が合っている。
また、全体に時計のかかるレースの方がいい。

凱旋門賞2連勝のアレッジド(その3代父リボーも凱旋門賞2連勝)の血を、(4×3)の形で意図的にクロスの配合は、
たしかに趣味はきついが大駆けの可能性を持つ馬や、大物が誕生する楽しみを感じさせる。
血統背景は、祖母アレッジドディヴォーションは、L.デットーリ騎手が乗り
1994年の英オークスと、愛ダービーを完勝したバランシーンの半姉にあたる。
現在は2月のドバイにこの牝馬を記念したGII「バランシーンS」がある。
英オークスで2着に下したのは、ディープインパクトの母として知られるウインドインハーヘアである。
全然、軽い一族ではない

今回のこの馬自身の上がり3ハロンは「34秒3」。
レース上がりが34秒台や、33秒台になったりしては、弥生賞や鳴尾記念のような善戦になってしまうかもしれない。
陣営のこのあとの目標レースは、6月末の「宝塚記念」と伝えられる。
今回とそっくりの馬場状態もありえる。
そういう条件つきなら、GIも夢ではない。

一旦は勝ったと思えた人気のフェデラリスト(父エンパイアメーカー)は、ゴール前の詰めを欠いた。
大外のショウナンマイティにあっさり交わされただけでなく、楽に差したはずのトーセンジョーダンにまた詰め寄られていた。
久しぶりの長距離遠征でちょっとカリカリしていたのと、こういう時計のかかる渋馬場はあまり得手ではないからだろう。
4連勝で止まったが、ここまで連戦していたわけではないから、ピーク過ぎの心配はほとんどない。
良馬場の2000m級で巻き返したい。

3着トーセンジョーダン、4着ローズキングダム、6着アーネストリー。
この3頭のGI勝ち馬は、今回はそろって有馬記念以来。
ちょっと完調とはいえない状態だったろう。
それでもトーセンジョーダンは以前のズブさが完全に解消し、まあ今回はペースがペースだったとはいえ、
自身で主導権を握るレースができたのは、
2010年のやっぱりスローだった有馬記念につづいて2度目のことである。
自在性を増している。
体つきも良かった。
一度使っての変わり身は大きいと思える。

ローズキングダムはこんなスローなら先行もできる自在型で、
上がりのレース大歓迎のはずだが、渋馬場のためか前半の行き足もう一歩だった。
プラスαの底力が求められるレースでは過信禁物でも、昨年後半の体重減のスランプは脱しつつある。
評価は下がる一方のGI・2勝馬だが、もともと丈夫でタフな一族。
まだ見捨てられない。

アーネストリーは、これから宝塚記念に向けて体調アップのローテーションであることは明らか。
今回は復調の途上。
好調時には時計はともかく調教でもっと鋭く動く。
ナカヤマナイトはこんな馬場は平気かと思えたが、前半少しかかったうえ、内ラチ沿いを通ったためか追っての鋭さ一歩だった。
この馬も宝塚記念向きと思える。

■ 回顧(2010年)

今年は中盤が速かった王道GII、その意義は「スペシャリストの選別」

 先週末はGII・大阪杯が行われましたが、昨年の覇者であり、春秋グランプリ制覇のドリームジャーニーが圧倒的人気でまさかの敗退。伏兵テイエムアンコールが重賞初制覇を飾りました。

 「過去3年の勝ち馬は、全てその年のGIを勝っている」という王道出世レースだけに、テイエムアンコールの前途は洋々と言えそうですが…ラップ的にはどのようなレースだったのでしょうか。早速見てみましょう。

◆大阪杯(GII・阪神10F)

2010年:36.0-48.1-35.4=1'59"5(テイエムアンコール)
2009年:36.0-48.9-34.8=1'59"7(ドリームジャーニー)
2008年:35.5-48.4-34.8=1'58"7(ダイワスカーレット)
2007年:37.4-48.9-35.1=2'01"4(メイショウサムソン)
2006年:36.9-49.8-37.8=2'04"5重(カンパニー)
2005年:35.1-48.7-35.2=1'59"0(サンライズペガサス)
※「テン3F-中盤4F-上がり3F」で表記、( )内は勝ち馬
過去の大阪杯レース結果一覧


 ご覧の通り、近年では最も「中盤」が速いのが特徴的なラップとなっています。テンは標準的で、上がりはやや掛かっており、このラップから判断すると差しが嵌ってもいい流れと言っていいでしょう。そう考えると、展開が向きながら3着のドリームジャーニーはかなり物足りませんが、内回りで中盤緩まない流れになったことで「中距離で脚を使い切る集中力」が測られたのが、「長距離もこなす対応の幅がある持続力」の優位を消し、結果的に斤量差で逆転にまで至ったと判断します。付け加えれば「例年ほど外差しではない馬場状態で、外を回すコースロスが響いた」という要素もあるでしょう。

 実際に上記以前の01〜04年は全て「中盤48.1以内」で、勝ち馬はその後GIを制することはなかったことを勘案しても、近年の「距離やコースの融通性も測る持続力勝負」とは異なり、今回は「中距離(特に内回り)のスペシャリストを選別するレース」だったと見ていいのではないでしょうか。

 つまりドリームジャーニーは、今年再度春秋グランプリを狙うに当たっては、さほど心配はないのではないでしょうか。今回差し損ねたことと、年齢を経て長い距離に対応できるようになってきている経緯を考えると、中距離・11Fの宝塚記念は僅かに不安が残りますが、小さい馬なので斤量59キロもかなり堪えた筈。この後は順当に巻き返し、貫禄を見せくれることと思います。

 一方勝ったテイエムアンコールは、中盤厳しい流れを先行して勝ち切ったのは賞賛に値しますが、過去の例で言えば「35.6-48.1-35.4」を番手から押し切った03年タガノマイバッハと同じパターン。そのタガノマイバッハは、次走天皇賞・春で8着に終わり、その後はなかなか順調に使えない不運もあったものの11戦して連対すらなかったのはちょっと嫌なデータでしょう。「内回り10Fのスペシャリスト」だとすれば、10F・GIは東京の天皇賞・秋しかない競走体系を嘆くしかないですが…この距離での底力は証明された訳ですから、香港やシンガポールなど、最適な選択肢を求めていろいろな挑戦をしてもらいたいところです。

 他でやはり注目すべきは、早め先頭の正攻法から0.1秒差4着のフィールドベアーです。1年に亘る低迷期を経て「中距離のスペシャリスト選別戦」で好走した意義は大きく、08年はハナ差で逃したサマー2000シリーズのチャンピオンの有力候補に名乗りを上げたと言っていいでしょう。

■ 回顧(2007年)

メイショウサムソンって、3歳の春の頃とすっかり馬体の形が変わってしまいましたが、もしかして現在の姿が完成形なんですかね?もしそうだとすると、ずいぶん見栄えのしない馬になったもので・・・。
今回も背中がずいぶん垂れて見えましたし、腹のラインも力なく見えたんですが、レースではまあ、「これぐらいの相手なら地力がまったく違う」というところでしょうか。

前半の1000が62秒2ですから、全馬ずいぶんゆっくりと走ったものです。この、前半の超スローの貯金があって、ラストから2ハロン目に最速ラップを記録するという、いかにも逃げ馬有利な展開になったんですが、後半5ハロン12.2 - 11.9 - 11.7 - 11.4 - 12.0という中で、11.7 - 11.4 のところで外から馬なりでスッと一頭だけ上がってきましたから、まさに貫録勝ち。

速めのペースのほうが持ち味生きるタイプが多かったとは言え、でも他もけっこうだらしなかったかもしれませんね〜。
特筆は3着に入ったメイショウオウテでしょうか。
なにもアサカディフィートよりも後ろにいることはないかなーとも思えましたが、コーナー4回の2000では崩れないですね、この馬。これでデビュー以来右回り・コーナー4回の2000では【3・0・2・1】となりました。着外に負けたのはデビュー3戦目の札幌競馬場だけですから、この馬が今後京都・阪神の2000に出てきたら、とりあえず押さえておきましょう。

コスモバルクはまたやる気のなさそうなレースぶりでしたねー?
1000が62秒2なら、自力で行って弥生賞や皐月賞のようなレース展開に持ち込んだほうがよほどいいような気もするんですが、さすがにピークは過ぎてしまったかも?これで、セントライト記念を勝って以来、国内では17戦連続の敗退となってしまいました。とりわけ、古馬になってから関西圏では全く馬券になりそうもないレースばかりを繰り返していますから、札幌と中山以外では、人気になっても疑ってかかったほうがいいかもしれません。


 3歳の秋以降ちょっとスランプに陥っていたメイショウサムソンが、4歳の初戦を力強く白星で飾って、再びこの春の展望が広がった。

 今回は転厩して初めての一戦、初の放牧をはさんでの再出発。調教過程など手探りの一面もあったが、3冠がかかっていた3歳秋の重圧から解き放たれ、オーバーホールできた目に見えないプラスが大きかったのだろう。1000m通過62.2秒という超スローにも近い展開。3コーナー手前では流れに乗れずに控えすぎとも思える位置取りだったが、後半もそれほど速いラップが刻まれることもなく、59.2―35.1―12.0秒の決着。切れ味の勝負にもつれ込んで欲しくなかったメイショウサムソンにとって理想の、全体に少し時計のかかるフィニッシュも味方した。

 ほぼ同じような位置で折り合っていたように見えたコスモバルクがまったく動きに冴えがなく、直線は逃げ込みを計るシャドウゲイトに的を絞ることができたのも、並んで競ってこそのサムソンに理想的だった。マイペースのシャドウゲイトは、欲をいえば短い内回りの直線だから4コーナーで突き放すようなスパートをかけたかった。しかし、別定の57kgで正攻法の作戦を取り、メイショウサムソン相手の2着だから現時点での能力はほぼ出し切ってはいる。

 問題はコスモバルクのちょっと物足りない凡走で、ずいぶんおとなしくなってしまった。ズブくなったというより、一時のあふれるスピード能力にかげりがある。59kgとはいえ右回りの2000mでこの内容はつらい。いまはもう少し距離があった方がいいかもしれない。また、ローエングリンではないけれど、折り合いうんぬんに固執しているうちにただのオープン馬になってしまう危険も現実になりつつある。

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