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ダンスインザダーク

■ 特徴


■ 解説

 馬名の由来は母名ダンシングキイと、黒鹿毛の馬体からの連想である。
 自身の勝ち鞍は新馬、弥生賞、プリンシパルS、京都新聞杯、菊花賞。京都はきさらぎ賞も2着しており、とくに良績が目立つコース。

 産駒はダートでの実績には乏しいが、芝の中〜長距離を得意とし、特に3000m以上の距離では良績を残している。
 得意コースは特に京都外回り。ローカルの中距離も得意。特に中京芝2000、福島芝2000、新潟芝1800など。
 ただし牝馬に限ってはマイル実績馬が目立つ。
 牡馬と牝馬で適距離が違うのは一般的に、牝馬は牡馬と比べて体が柔らかい為、瞬発力に長け仕上がりも早いが、
 牡馬に比べ長距離を走る体力と耐久力に欠けるという性別的特徴によるものという説がある。
 これがステイヤー型の種牡馬だと如実に現れるということ。

 また、重馬場や深い芝を得意とするパワータイプの産駒も多い。
 そのため、近年の芝の高速化やレース体系の短距離化のためか、他の有力種牡馬に比べると、
 出走頭数や出走回数の割に勝利数や獲得賞金額が伸び悩んでおり、勝ち上がり率も低い傾向がある。
 逆に、出走回数や出走頭数が多いということは順調にレースに使える産駒が揃っている証拠とも言え、これは大きなセールスポイントである。

 脚質は差し・追込みか先行粘り込みが多い。
 差し・追込み馬は早めに動いて粘り通す渋太さがないので、直線までじっとしている消極的な騎手がいい。
 先行粘り込みの馬は500キロ前後で筋肉質で見かけはいいのだが、まったく渋太さ・根性がなく全く走らない典型的なクズ馬でダートでよく見かける。
 ザッツザプレンティは例外的な馬と言えそうだ。
 どちらの脚質も全体的に底力不足で勝ちきれないところがある。

 ダンスインザダーク産駒は、ダメな馬は下級条件にいる先行ジリ脚タイプだが、
 脚を溜め込むようになれると、ツルマルボーイ、ファストタテヤマ、ダイタクバートラムのように好成績を残せるようになる。
 ナイトフライヤーも脚を溜めることが得意な福永が乗って一変。摂津特別でも中段でじっとしていて、最後に一気に差しきった。
 その次走伏見特別でも同じようなレース運びで2連勝。
 昇級初戦を柴原で7着したあと、再び福永で望んだ武庫川Sでは、やはり直線まで脚を溜め、3着に飛び込んでいる。

 昇級で厳しいレースになっても即通用する馬が多い。
 母父にミスプロが入ってる馬はダートもこなせる。


■ 「中山と中京のダンスインザダーク」

 ダンスがもっとも得意にするのは京都外回りコース。では中山と中京ではどうか。

 ●中山ダート、ダンスインザダークの1番人気はまるで信用できず
 ●中山で人気薄のダンスが激走するのは芝1600m


 特に新馬で1番人気になって消えているのがわかります。
 ダンス産駒は後輪駆動の芝向き血統で、中山のような小回りの上に砂が深めのダートに不向きなのは分かると思うが、
 それでもまだまだ下級条件を見ていると、妙なところで人気を背負ってよくコケている。
 中山ダート、なかでも新馬、この条件のダンスインザダークの人気馬には手を出さないこと。

 続いて「激走なら中山芝1600」は、意外に思われるかも知れません。
 ダンスは菊花賞の活躍に代表されるように、中長距離馬が中心で、そもそも中山が苦手コース。
 中山芝1600ベストのダンスインザダーク産駒なんてめったにいない。それでも、穴をあけるのは中山芝1600mが多い。
 「得意なコース」と「よく穴をあけるコース」はまるで別物。

 中山芝1600の激走は新馬戦に多いが、エアヴァルジャンの一発は1000万クラスの特別だった。
 中山は得意じゃないけど、条件戦レベルの伏兵の変わり身を警戒すべきはマイル。

 ●中京芝は、人気のダンスインザダーク産駒が珍しく信頼できるコース
 ●中京ダートに、人気薄のダンスインザダーク産駒の台頭なし

 ダンス産駒の1番人気は基本的にアテにならないが(自分から動くと末脚が甘くなる。瞬時にギアチェンジが出来ない、などの理由のため)、
 唯一、中京芝コースだけは高い連対率を残している。重賞では金鯱賞のツルマルボーイが該当。
 一見、危なっかしい差し脚質の馬が人気になっていても、ほとんど取りこぼさない。
 曲者コースの中京ならではの現象。

 一方、中京ダートにおける人気薄の馬は、ダンス産駒の一発を狙っても、徒労に終わると考えたほうが良い。
 中京は以上の2つ。中山も上記の2つ。このポイントを覚えておくだけでも、中京と中山のダンス産駒を扱いやすくなる。


ダンスインザダーク産駒の1200m Part1

 これから夏のスプリントシリーズになる。そこで、『競馬王』の編集部から、種牡馬別の「1200mの走り方」を教えてくれないか?という依頼を受けた。種牡馬によって、「各距離の走り方」というのは、明らかにその質が違ってくるので、それを分析するのも面白いと考え、話を受けることにした。

 そこでここでは、「ダンスインザダーク産駒の1200m」について、詳しく見てみようと思う。

 というのも、ダンスインザダーク産駒というのは、この連載の冒頭で触れたように、「気持ちが乗ると走る」という性格を強く持っている。したがって、距離別の走り方にも個性が出てきやすいのだ。それはまた、競馬の本質を私たちに教えてくれる良い契機にもなっている。

 ダンスインザダーク産駒は気分が乗ると走るということは、どんな距離であろうが、気分さえ乗れば走れるわけだ。つまり、空間的、あるいは時間的に、その産駒が走るべき瞬間なのか、それが主な問題になってくるわけである。

 ただ1200mの場合、ダンスインザダーク産駒の気分を乗せるのは比較的難しい。余計なことを考える暇を与えないという意味では合うわけだが、本質的な心身構造が1200mだとやはり「忙しい」のだ。

 あまり抽象的な話になるとピンと来ないかもしれないので、データから考えてみよう。

 回収率的には1000万までが比較的高く、準OP以上は冴えない。これは本質的にそれほど合わない距離ということを意味している。

 下級条件では、一本調子で力で押すという、彼の1つの武器である走りが可能になるので比較的相性が良い。また新馬を除くと、複勝回収率が高く、単勝回収率は低い。新馬は鮮度も高く、また一本調子に気分良く走って力で押し切れるが、上のクラスだと力で押そうとすると何かに差され、また差し馬の場合は逆に忙しい流れに揉まれて、最後伸びきれなかったり、あるいは直線で微妙な不利を受けやすく、取りこぼしやすい為である。

続く


ダンスインザダーク産駒の1200m Part2

 ダンスインザダークの1200mは競馬場別に見ても特徴がわかる。

 単勝回収率では福島18円、新潟29円、中京41円、小倉43円と、小回りはことごとく低い。稼ぎどころは京都70円、阪神113円という、関西の2コースだ。このふたつのコースは緩く流れるという、1200mとしては極めて異質な距離になっている。したがって、1200mGIはこのふたつの競馬場では行なわれていないというわけだ。異質性に対する相性が良く、また「忙しさ」からの解放という利点もあるので、この2競馬場とは好相性なのである。

 小回りでは、札幌90円、函館71円と、北海道シリーズだけは得意としている。これは重い馬場が合うのと、ダンスインザダーク産駒が草刈り場としている「早い時期の新馬戦」が行なわれるので、ここで数字を稼げるからに他ならない。新馬戦でも時期が早ければ早いほど、その単調さは際だつ。基本的にパワーで押すステイヤー血統は仕上がりが早いこともあり、自然と相性がよくなるわけだ。

 同じ理由で、牡馬は若い方がよく走る。牡馬の場合、2〜3歳では単、復ともに回収率が70円を超えるが、4歳以降では単勝回収率は10円台と低迷してしまう。基本的に牡馬の方が単調さは強く、牝馬の方がC要素(集中力)が出てくる。したがって、牡馬は若くて勢いのあるときには1200mを一本調子で押し切るという競馬ができるのだが、歳をとると揉まれて我慢できなくなってしまうのだ。

 逆に牝馬の場合はむしろ古馬の方が若干数字が上がる。力で押し切る競馬への対応力の差がそこに現れているという構造だ。

 これは上級クラスを考えてもわかる。準OP以上では、これまで5頭の3着以内馬を出しているが、4歳以上ではわずか2頭しか3着以内に入っていない。その2頭とは、ジョリーダンスとマルカフェニックス。ジョリーダンスの場合は1800mからの大幅距離短縮で初の1200m。鮮度が高かった。マルカフェニックスは1000万を勝った直後の格上げ戦。まだ4歳でもあり、勢いと鮮度があったし、1番人気に支持されたように、そもそもここでは能力が違って得意の力勝負ができた。このように、上級条件では力そのものが上か、かなり変態的な馬場にならない限り、何かしら特別な鮮度の存在が重要になってくる。もちろん、牡馬の方がその傾向は強まる。

ダンスインザダーク産駒の1200m Part3

 この間、ダンスインザダーク産駒の1200mについて書いた。1200mは全体的に苦手で、上級クラスになればなるほどその傾向は強く、特に牡馬は若いか、鮮度があるか、変態的な馬場にならない限り、期待値が低いという話だった。

 ところがついに今週、牡馬が1200mの古馬重賞で初の連対を果たしてしまった。マルカフェニックスだ。

 しかし、これは全く驚くに値しない。いや、むしろ日常のダンスインザダークの風景といえるものであった。

 というのも、この日の小倉は内外が大きくばらける「変態的な馬場」で、しかもマルカフェニックスは準OPからの格上挑戦。「鮮度」と「馬場」という2つのプラス要素がピタリと嵌っていたからだ(この形がもちろん1200mだけのことではないのは、今までのダンスインザダーク産駒の解説を読まれた方なら分かるだろう)。そこで実際私も、単勝8.9倍という配当も考慮し、携帯の前日予想では本命に予想して、馬連1点目で当てることが出来た。

 ただ1つだけ誤算があり、馬単の1点目にはならなかった。それは午後に豪雨の予報だったのが、全く雨が降らなかった点である。レース中に雨が降ってさらに馬場に変態度が増せば、以前にも降雨におけるダンスインザダーク産駒の集中力の問題で書いたように、他に気が散らず、さらなるパフォーマンスを出せただろう(あるいはこの2着が、上級条件における、単勝回収率より複勝回収率の方が高いということの意味する、その結末なのかもしれないが)。

 ところで、その前の2戦、つまり3番人気のテレビユー福島賞(5着)、1番人気の北九州短距離S(8着)はもちろん単勝を買ってはいけいない。もちろん私も買わなかった。オープンからの降級戦でマンネリ化したレースで人気に支持され、しかも馬場も今回ほど特殊性はなかったわけだから、こういうダンスインザダーク産駒の人気馬の単勝を買うというのは、危険すぎる賭けになる。もちろん、1200mにおいては余計にリスクが高くなるというのは、説明するまでもないだろう。


ダンスインザダーク検証編 Part8

 今週は初心に戻ってダンスインザダーク産駒の検証をしてみよう。

 以前、忙しくて上級条件では危険性が高いと書いた芝1200m。

 10月以降、1000万条件以上でダンスインザダーク産駒が、2番人気以内の人気に支持されて出てきたのは3度あった。

 実はそれはすべてビンチェロによるものだった。休み明けの会津特別が1番人気3着、次走が2番人気3着、そしてその次走が2番人気6着。見事に人気を裏切り続けた。もちろん、どのレースも、違う馬の単勝で勝負するに限る(会津特別は休み明けで、特殊馬場になりやすい福島なので激走の怖さは多少あるが、1番人気では単勝期待値は低い)。

 上級条件の1200mでのダンスインザダーク産駒は、以前にも書いたように差し馬はスムーズさを欠き、前に行く馬はダッシュが付きにくい。

 特にターゲットになるのが、2番人気6着になったレースだ。私はもちろん評価を下げた。それまでの2戦、人気を裏切りながらも3着と頑張っていた。しかし、これがいけない。休み明けから同一の1200mで好走して頑張ってきた分、レースに飽きがある。

 しかもこの日の馬場はフラットで得意な特殊馬場ではない。加えて最内枠。ダンスインザダーク産駒の1200mの差し馬はスムーズさを欠きやすい。フラットな馬場の1200mの最内枠では馬群の中でリズムを欠く確率は自ずと高まる。

 結果は6着だった。それまで6戦連続で3着以内を外していなかった馬が、俗に「走り頃」と言われる叩き3戦目で、7戦ぶりに馬券圏外に沈んだ。これがダンスインザダーク産駒の、そしてM馬券の面白さだろう。


ダンスインザダーク検証編 Part9

 逆に京阪杯のマルカフェニックスの判断は難しい。以前、北九州記念は特殊馬場だったので前日予想で勝負し、次のセントウルSでは飽きているので評価を下げたと書いた。

 今回は、前走1600mを使っての1200m。刺激を与えられている。また人気も微妙だ。5番人気なら距離短縮ショックに賭けてみる手はある。

 結論としては、私は押さえの1頭程度の評価に止めたた。馬場がフラットだった点、気分転換で使ったはずの前走のマイル戦で、稍重特殊馬場で気分良く走って3着に好走してしまった点が嫌だったからだ。これだと今回は気分転換より、ストレスで飽きてしまう可能性の方が気になる。

 結果は5番人気5着。飽きていた分と、距離短縮のプラス。それを考えれば妥当な結果だったと思う。この微妙な判断の距離短縮ショック馬を高く評価しないで済んだお陰で、私も前日の携帯予想の1点目で3連複32倍を当てることができた。これがダンスインザダーク産駒の使い方になる。

 逆に1200mで大激走したのがウルトラボルケーノ。10月4日のレースで16番人気2着。11月8日には5番人気1着と大激走した。

 最初の16番人気2着のレースは、休み明けで、新馬以来ダート戦を使い続けて14戦ぶりの芝戦。しかも芝1200m戦は初の出走。ダンスインザダーク産駒の鮮度への食いつきの良さが炸裂した。次の1400mのレースはストレスで10着。そしてその次走、凡走後の距離短縮で1着という構図だった。

 この2戦の激走は、下級条件の500万だったこと、鮮度が高かったこと、好走2戦とも開催が経過した札幌、福島で特殊バイアスになりやすかったことが、好走の因と考えられる。このような条件が揃ったときの、人気薄のダンスインザダーク産駒ならば、確かに怖さはある。


ダンスインザダーク検証編 Part10

 前回のコロナドズクエスト産駒の続きをやろうと思っていたが、何ともダンスインザダーク産駒らしいレースが続いたので、今回は検証編にしようと思う。

 まず最初のダンスインザダーク産駒は、マーメイドS。3番人気ザレマ、5番人気ムードインディゴなど、10番人気以内に4頭のダンスインザダーク産駒がともに距離延長で出て来た。特にザレマ、ムードインディゴは同じ阪神2000mの忘れな草賞勝ち馬ということで、それなりの人気を集めていたわけだ。その忘れな草賞のときは、2頭とも今回と同じ距離延長での出走だった。ステップも条件もまったく今回と同一なのである。

 だが、私は3番人気のザレマは買い目から切り捨て、ムードインディゴも6番手評価と、ともに人気より評価を下げた。何故かというと、「時期」である。

 若くて希望に満ち、本質的にはステイヤー血統に合っている距離延長2000mを目一杯走って勝った、あの3歳春の瑞々しい季節は、彼女たちの頭からはもう消え去ってしまっている。

 特にザレマはもう何度もレースを走っている。走りすぎて、レースに飽きているダンスインザダーク産駒に、1600mのGI4着激走後に、距離延長の淡々とした流れを400m分、余計に我慢して走り続けろというのは無理な注文である(特に根幹距離延長は厳しい)。

 まだムードインディゴの方はレース経験が少なく、前走も惨敗なので、距離延長が刺激になって好走する可能性も残されてはいる。結果はムードインディゴ8着、ザレマ10着、ブーケフレグランス15着、レインダンス16着と全馬人気を下回っての惨敗に終わった(その中でムードインディゴは追い込み不利の中で、追い込み馬の中では3番目に入線と、4頭中で最先着だったのは、前述の理由による)。

 この辺のダンスインザダーク産駒が怪しいので、4番人気だったニシノブルームーンを携帯の前日予想では本命にし、この馬の単複で、複勝ぶんを稼がせて貰った。ザレマのように、かなりの確率で消える人気馬がいるレースは配当が付くので、それを利用した複勝勝負がよく似合うわけだ。

 逆に土曜にはダンスインザダーク産駒の距離短縮、フライングメリッサを本命にした。それまで25戦もしてレースに飽きているが、今回は25戦目にして初めての芝1600m以下の距離への出走。気分転換して、走る方に気が向かうのが手に取るようにわかる。結果も、タイム差なしの2着と好走した。

 もちろん、ダンスインザダーク産駒が距離延長が合わないわけではない。しかし、レース数をこなして、飽きてしまったダンスインザダーク産駒を淡々とした流れの距離延長で走らせるには、秘密の技がどうしても必要なのだ。それについては以前にも書いたが、また距離延長激走の該当レースがあったら、ここで報告しようと思う(位置取りショックや、特殊馬場、捲り馬場、格上げなどの鮮度変更、非根幹特殊距離など)。


ダンスインザダーク検証編 Part10

 前回のコロナドズクエスト産駒の続きをやろうと思っていたが、何ともダンスインザダーク産駒らしいレースが続いたので、今回は検証編にしようと思う。

 まず最初のダンスインザダーク産駒は、マーメイドS。3番人気ザレマ、5番人気ムードインディゴなど、10番人気以内に4頭のダンスインザダーク産駒がともに距離延長で出て来た。特にザレマ、ムードインディゴは同じ阪神2000mの忘れな草賞勝ち馬ということで、それなりの人気を集めていたわけだ。その忘れな草賞のときは、2頭とも今回と同じ距離延長での出走だった。ステップも条件もまったく今回と同一なのである。

 だが、私は3番人気のザレマは買い目から切り捨て、ムードインディゴも6番手評価と、ともに人気より評価を下げた。何故かというと、「時期」である。

 若くて希望に満ち、本質的にはステイヤー血統に合っている距離延長2000mを目一杯走って勝った、あの3歳春の瑞々しい季節は、彼女たちの頭からはもう消え去ってしまっている。

 特にザレマはもう何度もレースを走っている。走りすぎて、レースに飽きているダンスインザダーク産駒に、1600mのGI4着激走後に、距離延長の淡々とした流れを400m分、余計に我慢して走り続けろというのは無理な注文である(特に根幹距離延長は厳しい)。

 まだムードインディゴの方はレース経験が少なく、前走も惨敗なので、距離延長が刺激になって好走する可能性も残されてはいる。結果はムードインディゴ8着、ザレマ10着、ブーケフレグランス15着、レインダンス16着と全馬人気を下回っての惨敗に終わった(その中でムードインディゴは追い込み不利の中で、追い込み馬の中では3番目に入線と、4頭中で最先着だったのは、前述の理由による)。

 この辺のダンスインザダーク産駒が怪しいので、4番人気だったニシノブルームーンを携帯の前日予想では本命にし、この馬の単複で、複勝ぶんを稼がせて貰った。ザレマのように、かなりの確率で消える人気馬がいるレースは配当が付くので、それを利用した複勝勝負がよく似合うわけだ。

 逆に土曜にはダンスインザダーク産駒の距離短縮、フライングメリッサを本命にした。それまで25戦もしてレースに飽きているが、今回は25戦目にして初めての芝1600m以下の距離への出走。気分転換して、走る方に気が向かうのが手に取るようにわかる。結果も、タイム差なしの2着と好走した。

 もちろん、ダンスインザダーク産駒が距離延長が合わないわけではない。しかし、レース数をこなして、飽きてしまったダンスインザダーク産駒を淡々とした流れの距離延長で走らせるには、秘密の技がどうしても必要なのだ。それについては以前にも書いたが、また距離延長激走の該当レースがあったら、ここで報告しようと思う(位置取りショックや、特殊馬場、捲り馬場、格上げなどの鮮度変更、非根幹特殊距離など)。


ダンスインザダーク検証編 Part11

 血統のポイントが詰まったようなレースがあったので見てみよう。11月22日に行われた修学院Sだ。

修学院S レース結果

 まずは断然人気で出走のアグネスタキオン産駒アドマイヤメジャー。これは危ない。アグネスタキオン産駒は辞典の蓄積疲労耐久指数43とあるように、決して疲れに強くない。それが重賞を2戦して、前走はGIだ。疲れの影響がある。

 ただ、相手弱化が得意なのがアグネスタキオン産駒。疲労だけでは切れない。疲労の弱さに加え、揉まれ弱さがあるのもまた、アグネスタキオン産駒の基本なのだ。

 さらに母父キングマンボも体力型の非C系で揉まれ弱い。この配合が内回りの多頭数に大幅短縮で出てくる。揉まれたら不安だ。

 次に3番人気のマッハヴェロシティ。こちらも揉まれたくないマンハッタンカフェ産駒。延長はよいが、前走広い東京1800mから、内回りの2000mで2番枠という内枠は気になる。

 2頭の人気馬が怪しいこの混戦を断ったのが、ミッキーパンプキンだった。そう、連載でおなじみの我らがダンスインザダーク産駒である。もちろん飽きやすく、新しもの好きだ。今回は400m延長で初距離。飽きないでレースに挑める、いわゆる「菊花賞パターン」である。

 内回りという、「激戦での延長」に替わるという形も、相手強化の激戦延長になる菊花賞パターンと同じだ。もちろん、初距離で適性自体は分からないので負けるときは凡走だろう。だから、こういうときは当日の配当によって勝負する。

 単勝は11.5倍だから、適性がない可能性を怖がる必要は全くなく、また、先程見たように人気馬が危ないのだから、余計に単勝を買うべきレースでもある。しかも当日は小雨。

 以前も書いたようにレース中に雨が降っていると、ダンスインザダーク産駒は雨に気が向いて走ることに飽きる確率が下がる。特に延長なのでレース中に飽きる可能性がそれなりにあるため、この雨は実に有り難い。

 そのお陰もあり、ミッキーパンプキンは夢中になって走って、1着となったのだった。


ダンスインザダーク編 Part12

 先週の続きを書こうと予定していたが、いろいろなところで書いてきた、今までの血統小技の総集編のようなレースがあったので、今回は応用編として、それを振り返ってみよう。

 京王杯SCである。このレースで私が本命にしたのが、5番人気のマルカフェニックス。以前、ダンスインザダーク産駒の距離別好走パターンのときに例に出した馬なので、覚えている人も多いだろう。

2010年京王杯SC レース結果


 ダンスインザダーク産駒は本質的に1200mは向かないが、鮮度のあるときだけ走るという話として例に書いたのだった。そう、北九州記念である。

 このとき私は本命にしたのだった。その理由は、前走が条件戦を8着惨敗で鮮度があってストレスがない点、そして当日が稍重の高速馬場という、超特殊な環境だった点。鮮度があって、特殊な環境下では1200mも走るという解説にピッタリ当て嵌まるのが、まさに北九州記念だったのだ。

2008年北九州記念 レース結果


 もちろん、このレースで連対した後は、鮮度のない状態で1200mを6回走ったが、全て馬券圏外に凡走したのだった。

 そして迎えたのが今回。前走は例によって1200mを8着に凡走後。ストレスがない上に、今回は苦手な1200mからの延長になる。また、今の東京芝は異様に馬場が速い。特殊馬場を好むダンスインザダーク産駒にとっては、ムズムズしてくる環境だろう。オープン特別惨敗後のGIIだが、いつも書くように、ダンスインザダーク産駒にとって、相手の強弱など関係ない。今の気分がどうか、それだけである。

 その気分をさらに盛り上げる仕掛けが、このレースには用意されていた。前走の1200mでテンが32.9秒という超ハイペースを後方で競馬をしていたのだ。超ハイペースを走ったことで、馬が覚醒する。加えて、今回は広い東京への延長。前走よりペースダウンは明確で、騎手が何もしないで捕まっているだけで、馬は勝手に気分良く好位に行ける。つまり「延長で前に行く位置取りショック」という、順ショックだ。

 ただ1つだけ不安があった。


ダンスインザダーク編 Part13

 それは鞍上が行きたい馬を強引に抑えてしまうことだ。そうすると位置取りショックが完成しない。その可能性を示唆するのは、3走前の阪神Cだった。

 4走前に1400mを差して3着に好走した後に、同じ1400mを先行して15着に惨敗したのだ。これをして、「前に行くとよくない」と騎手が判断してしまうのが怖い。3走前の惨敗は、位置取りでなく、前走で1200m惨敗後の延長ショックを気分良く3着に好走したストレスによるものだ。

 それをパドックに行って、周回している福永に、「3走前はストレス。位置取りショック、位置取りショックだ」と呟こうかとも思ったが、彼は以前阪神Cで好位から競馬をして、この馬を勝たせている。そこまでおかしな発想はしないだろうと、彼を信頼することにした。

 問題は相手だ。

 相手の1頭に選んだのが、10番人気サンクスノート。これは連載以前の単行本で書いたと思うのだが、サクラバクシンオー産駒は、東京1400mが好きなのだ。しかもここ2走、凡走でストレスが無く、前走は内回りでテンが33.8秒のハイラップ。今回のメンバーなら、これよりペースが落ちるはずだから、前に行く位置取りショックが掛けられる。

 アーバニティの可能性も考えた。ここで再三書いてきた、「マンハッタンカフェ産駒の重賞延長」の必殺パターンだ。ただ、マンハッタンカフェ産駒は、短距離では特に重賞鮮度が重要になる。そこで、単まではないのでは?と考えた。

 結果、レースは34.6-33.9という上がり勝負の流れ。期待した通りに福永は抑えずに馬の気侭に好位に行ってくれたので連対。サンクスノートも前に行く位置取りを掛けたので1着になった。

 計算と微妙に違ったのは、上がりが速すぎる前残りで、マルカフェニックスが32.9秒の上がりを使っても勝ち切れなかったことだった。本当なら、延長でマルカフェニックスにはさらに前で競馬をして欲しかったが、本質的な差し馬をそれ以上前に出すというのは、容易に決断出来ることではなく、仕方ない。

 何れにせよ、血統の小技を駆使したお陰で、馬連183倍を4点目だが当てることが出来たのだった。


■ 代表産駒

■ BMS産駒