■ 解説
産駒の勝った重賞をみるにつけ、ステイヤー血統で、しかも仕上がりが早い。
オリエンタルロックの札幌2歳S、ココナッツパンチの目黒記念2着などが好例。
このへんは菊花賞・天皇賞春を勝ったマンハッタンカフェのイメージそのまんまでいいだろう。
懸念されたズブさはなく、重さもない。前半に脚を溜めれば鋭い瞬発力も使う。
それでも、札幌芝1800で早くも4勝をあげているあたりに、やはり時計のかかる長距離がベストかと思わせる片鱗はある。
パンパンの良馬場よりも時計のかかるほうがいい。
強いマイラーが出そうな雰囲気はなく、SS系ではステイゴールドに近い。
展開や馬場の影響を受けやすいためムラ駆けで、紐穴向きだ。
ダートの勝ち星は多くないが、芝よりは人気どおりに走る。
★ マンハッタンカフェに関するエピソード
【特別企画】マンハッタンカフェ編検証1
オークス、ダービーとマンハッタンカフェ産駒が出てきたのでおさらいしておこう。
基本的に、揉まれずに力で押すと強いのがマンハッタンカフェ産駒ということだった。だから、距離延長や重は合う。そこでレッドアゲートのオークスだ。400mの距離延長で稍重。悪くない条件になる。
ただ、以前書いたようにマンハッタンカフェ産駒は反動が出やすい。前走も得意の200mの距離延長で1着に激走した直後だ。反動が出る可能性はそれなりに高い。また、これも以前書いたように、自分より強い相手との対戦を嫌がり、一本調子に力を伝達しないとダメなのがマンハッタンカフェ産駒だ。
前半は我慢の競馬になりやすいオークスで果たして我慢できるのか?という疑問も残る。結局、当日は早めに雨が上がり、例年通りの前半我慢を強いられる差し競馬になったので、力で押す競馬が通用せず、人気を裏切ることとなった(ただ、この馬の場合は体の小さい牝馬。どんな血統でも小さいことと牝馬という2点は、ある程度C要素を与える。したがって他のマンハッタンカフェ産駒と若干違う動きをすることがあるので注意したい)。
ダービーのメイショウクオリアの場合は、前走で得意の力の要る稍重馬場を、しかも距離短縮なのに前走より遅い流れという、“力の要る揉まれにくい”条件で、その力の伝達が上手くいって1着。だいたい、得意条件で気分が乗って走ったときのパフォーマンスを上回ることはない血統なので、相手強化に加え接戦後と、前走よりも鮮度がなく、またペースも厳しくなったダービーの凡走はやむを得ない。
そもそも、だいたいどんな血統であれ、格上げ初戦は鮮度が高いので頑張る可能性がある。ヒカリシャトルも1600万で圧勝した後のメトロポリタンSでは2着に踏ん張った。600mの距離延長で、かつ雨の中の先行粘り込みという、パワーの伝達のしやすいレースだったことも大きい。その後の同じオープンで、格上げ戦でもないのに相手強化になる目黒記念(しかも良馬場)の凡走はやむを得ない。
ただこの週、マンハッタンスカイがとんでもないことをやらかした。
【特別企画】マンハッタンカフェ編検証2
金鯱賞でマンハッタンスカイがとんでもないことをやらかした。
前走の新潟大賞典は格上げで気分良い状態で、スローの高速馬場という特殊環境で揉まれずに先行して2着。先程までの例からも、今回の金鯱賞は反動の懸念もあるし、揉まれる可能性があるので危ないと考えるのが普通だ。しかし、11番人気で2着と激走。
小雨が降って稍重で高速馬場という、マンハッタンカフェ産駒などのパワー系が得意とする特殊馬場となり、そして小回りなのに遅い流れの先行競馬、大外8枠で揉まれなかったというのが好走の因となった。
前走以上に揉まれない単調な競馬になったわけで、そういう流れになることを多頭数の中京で読み切るのは難しく、このようなパターンは諦めても良い。教訓があるとしたら、パワーで押し切るタイプの高速道悪などの特殊馬場への適性の高さ、そして大外の人気薄なら揉まれない可能性に賭ける手もあるということぐらいだ。
もちろん、5、6番人気ぐらいまでの穴人気ならマークがきつくなるし、期待値も低いので、そういった可能性に賭ける必要性はそれこそまったくない。
似た血統タイプとしてはグラスワンダー産駒も重賞に出てきた。いつもここで登場するシルクネクサスの目黒記念である。武豊騎乗で穴人気になったが、今回は要らないパターンだ。
ここ2走の好走から「長く良い脚を使う」というイメージが出てきて、東京の直線ならという考え方もあったのだろうが、やはりそれはない。大阪ハンブルクCは前半35秒9−後半37秒2という、かなり特殊な長距離戦で、しかも中京2000mの激戦で揉まれた後の距離延長で、気分良く走れ、さらには相手弱化と、グラスワンダー産駒の得意条件が揃っていた。
しかし今回は、前走が先程も出てきて、また前回も話した、新潟のスロー+高速上がりの超特殊レースだった新潟大賞典だ。これを揉まれずに先行して走ったために頑張れただけで、距離延長になっても前走より揉まれずに走れる可能性は低く、しかも相手強化だ。挙げ句に東京の長い直線だから、飽きてしまって投げ出して惨敗という可能性は極めて高くなる。
逆に1000万(中京芝1800m)で穴を開けたウィルビーキングは、休み明けで、11頭立ての9番枠。リフレッシュして気分が良いし、少頭数外枠なら揉まれる可能性も少ない。そこで非根幹距離を揉まれずに先行して惰性で流れ込む、という得意パターンに持ち込んで、人気薄で激走した。
マンハッタンカフェ編 検証3
今週は興味深い検証レースがいくつかあったので、見ていこう。
まず、播磨特別(3月8日阪神芝1400m)。このレースは行く馬が揃って、ペースは速そうだった。厳しい流れが予想され、馬場は重い状態。しかし、重い馬場の厳しい流れでも前が残りやすいという特殊馬場だった。
特殊馬場なら我々はダンスインザダーク産駒のボーダレスワールドだろう(笑)。同じ1400mでも、前走京都の単調な流れで4着。精神をコントロールできずに掛かっていた。今回は京都外回りから阪神内回りで厳しい流れ。先行馬だが、こういう流れの方が、走り以外の方向に気分が向かずに、走りに集中できる。しかも変則馬場だから、馬場にも注意が向くので、走り以外に気分が浮つく可能性は低い。
逆に1番人気のルミナスハーバーは量系アグネスタキオン産駒。ハイペースの1400m内回りでは揉まれてやる気を失う可能性がある。前走は今回より短い1200mで3着と好走していたが、休み明けだった。量系は休み明けの方が揉まれる競馬では気分良く走れる。気分良く走って激走した後の厳しい流れでは嫌がりやすい。1400mのオープン勝ちをしたことがあり、アグネスタキオン産駒にしては短距離に適性のある産駒だが、少なくとも今回は危ない。
ということで、ボーダレスワールドの方を携帯サイトの前日予想で自信の本命にし、圧勝に終わった(ちなみに2着もダンスインザダーク産駒だった)。
ところで、今の馬場は重くて、ばらける。これは中山、阪神ともに同じ状態だ。
ならば、以前ここで解説した体力型のマンハッタンカフェ産駒には走りやすい馬場構造だろう。揉まれる心配が少なく、しかも最大の取り柄の体力の持続力を活かせるからである。
したがって、この週(3月7、8日)に芝に出てきたマンハッタンカフェ産駒は、6頭中5頭が3着以内と大活躍した。しかも、その内容も3番人気1着、12番人気1着、5番人気3着、1番人気1着、5番人気3着と、馬券的にもかなり美味しいものだった。このようにその種牡馬にとって得意なバイアスが発生すると次から次へと激走するので、馬券戦略に役立たせると同時に、現在がどのようなバイアスになってるかの判断材料としても有効に活用する必要がある。
では、実際にその内容を次週、見ておこう。
マンハッタンカフェ編 検証4
先週の続きだが、先々週の土曜阪神で12番人気で1着に激走したのが、フミノイマージン。前走がダート1400mで、今回は芝1800m。400mの距離延長によって、揉まれずに気分良く好位に取り付き、体力をスムーズに伝達させて押し切るというパターンだった。揉まれず、ばらける競馬を力で単調に押すマンハッタンカフェ産駒に、今のパワー型の前残り馬場が有利に働いた点も見逃せない。
実は私はこのレースでは3着馬を本命にして、2着馬を相手の1頭に選んでいた。馬連27倍が3点目で当てられるところを、マンハッタンカフェ産駒の激走パターンに嵌められて阻止され、ワイドになってしまったのだ。
しかし、それで悔しがっているだけでは勝てない。
体力の要る、単調な前で押すマンハッタンカフェ馬場ということがわかった以上、即リベンジだ。同じ日の武庫川Sには16頭立てで2頭だけマンハッタンカフェ産駒が出ていて、ちょうどその2頭を本命、対抗に予想していた。先程のレースで馬場が合うと分かった以上、間違いなく勝負だ。結局1着、3着で、2着にも3番手に挙げていた馬が入り、3連複を予想の1点目で当てることができた。馬場が合っていたために、かなり勝負することのできるレースとなったのである。
このように、馬券では、常に種牡馬と馬場のフィット感への注意は怠らないようにしたい。
もう1つのレースは、重賞のオーシャンS。ここにアーバニティというマンハッタンカフェ産駒が出ていた。前走は距離短縮で準OP勝ち。その前走は距離短縮が魅力だったのだが、自分のペースで走って良いマンハッタンカフェ産駒だけに、1200mへの距離短縮だと揉まれて嫌がる可能性もあるので、相手の1頭で様子を見てみた。しかし鮮やかに勝利した。この時点で、1200mの競馬が合うことがわかった。また今の重い中山の馬場もピッタリなのもわかっている。
そして連闘で、今回のオーシャンS出走だ。マンハッタンカフェ産駒だけに格上げで強い相手にどうか?と思われる読者も多いと思うが、まだ1200mは生涯で2戦目と鮮度が高く、格上げ戦。これだけ鮮度が高いと、気分の良さだけを頼りに、相手に関係なく走れる可能性が高い。Mにおいて、そしてもちろん競馬において一番重要なのは、精神的な鮮度、「走る喜び」に他ならない。
そこで私は自信の本命に前日予想でして、単勝6.2倍をゲットしたのだった。
ただし、今後は、1200mに対する飽きと鮮度の薄れがあるので、道中で揉まれ込んでブレーキを掛ける場面があると、マンハッタンカフェ産駒らしい危うさも出てくるだろう。したがって、気分が乗ったときに走ったり、走らなかったりと、体力の伝達で走るタイプらしい戦績へと変わっていくはずだ。
マンハッタンカフェ編 検証5
以前、マンハッタンカフェ産駒について書いた。スムーズに力を伝達すると走るが、体力の伝達がスムーズでないと走らないというのが特徴という分析だった。したがって、混戦向きではなく、あまりブレーキを掛けないような競馬に向くことになる。
また、前走より気分良く体力を伝達できないと、次走は走らないという特徴もあった。
その基本形はマンハッタンスカイのような体力タイプになる。
前回連対した万葉Sは1000mの距離延長で7頭立てだった。揉まれずに2番手から競馬をしてそのまま2着に押し切った。そして今週の福島民放杯。これはレコード決着という摩擦のない高速馬場で、緩急無く、目一杯走って2着という形だった。
体力と量があるので、高齢になっても走れるが、トップに上がりきった頃より粘りは失せてくるので、よりスムーズに走れるときに好走するのがマンハッタンカフェ産駒になる。したがって、頂点に上がった後は、単純に相手弱化というのはプラスに働きやすく、鮮度を失うと骨っぽい相手は嫌がりやすい。
以前、話したときに例に出たメイショウレガーロも同じタイプだった。力で先行して押しきる形である。前回は休み明けの中山金杯で気持ち良く逃げて3着に激走したときの話を書いた。こういう場合の次走は前走より気分良く走れない確率が高く、危ないということだった。
その後、やはり昨暮れのグレイトフルSに出てきて、休み明けの少頭数を気持ち良く先行して勝利。その次走は昇級戦で先行できず、気分を害して11着に惨敗に終わる。同馬の場合は3歳時ですでに重賞連対と頂点を極めている。こういうタイプはマンハッタンスカイ同様、相手が弱くなって気分良く走れたときの方が好走しやすい。そういう意味では力比較が単純でわかりやすい種牡馬ということになる。
今週はレッドディザイアが桜花賞を2着したが、これは逆に追い込んで切れる脚を使うタイプになる。母父の関係で体力より量が豊富なわけだが、その意味することは同じで、前でスムーズに力を出し切るか、外をスムーズに回って追い込んで後半に加速するかという、前半型か、後半型かの違いだけだ。
いかにスムーズに、体力ないし量を伝達できるかが重要なのには変わりはないわけだ。だから大外18番枠の外差し馬場はプラスに働いたのだった。
ところが、ここのところ、ジョーカプチーノ、アーバニティという2頭の産駒が、芝1200m重賞を制した。ここで、1200mは出入りが激しくて、スムーズに走りたいマンハッタンカフェ産駒にはマイナスにはならないのか?という疑問が出てくる。
次回はその部分を掘り下げてみよう。
マンハッタンカフェ編 検証6
スムーズな力の伝達で押すのがマンハッタンカフェ産駒だという話を、以前の連載(『穴馬は走りたがっている(白夜書房)』を参照のこと)では書いた。そのマンハッタンカフェ産駒にとって、激戦でブレーキを掛けなければいけない1200mは、逃げ馬や外の追い込みならいざ知らず、特に好位差しの競馬では苦手なのでは?という疑問が湧いてくる。
実際のところ、芝の距離別では、1400m、1600m、2000mで連対率2割台、1800mでも18.7%だが、1200mでは16%台と低い。ブレの少ない複勝回収率で見ても、1200mは1400m、1600m、1800m、2000mのどれと比べても低い。基本的には激戦になりやすい1200mはそれほど向かないのである。
ただ単勝回収率だけはやけに高く、192円となっている。まぁ単勝回収率はブレの大きい数字なので、それほど出走機会の多くない1200mではややオーバーな数字ではあるだろう。とは言え、163回の出走機会があったので、ある程度はこの数字にも意味がある。
それは、距離短縮や延長ショックでの食いつきの良さから来ている。ショックによって一時的に馬が活性化して、激走することがあるからだ。
例えばジョーカプチーノの1200m勝ち萌黄賞の前走は1400mだったし、アーバニティの韓国馬事会杯1200m勝ちの前走も1400mだった。
アーバニティの場合は掛かりやすいので、距離短縮で逆に気分良く追走できたという形になる(ただ、短縮、延長は気分を害するか、ハマるか、2つに1つなので、単勝回収率が高いように、連複より単勝勝負の方が面白いというわけだ)。
マンハッタンカフェ編 検証7
そして迎えたのがアーバニティのオーシャンS。重賞である。まだこの段階では、マンハッタンカフェ産駒の1200m重賞勝ちは一度もなかったし、昇級戦で相手も強くなっていた。果たしてマンハッタンカフェ産駒は1200m重賞をこなせるのか?ということを疑問視する向きがあったのも事実だ。しかし、私は自信の本命とした。
それには2つの理由があった。「馬場」と「鮮度」である。
まず、馬場が稍重で、特殊な重い馬場だった点。特殊馬場の場合は一本調子に走る種牡馬には有利に働きやすい。特に、距離が1200mではやや短く、体力のあるマンハッタンカフェ産駒にとっては、渋化というのはプラスに作用する。
もう1つは、Mの基本キーワード=鮮度だ。
まだこれが1200m2戦目。距離鮮度が抜群に高い。
そして、今回が初重賞。重賞鮮度もある。そこで私は携帯予想でも本命に予想し、単勝6.2倍を買えるだけ買って勝利したのである。
ところで、マンハッタンカフェ産駒の重賞鮮度ということでは、非常に面白いデータがある。
マンハッタンカフェ編 検証8
初重賞で3着以内に入れなかったマンハッタンスカイは初めて重賞に連対した後の重賞でも2着に連対。しかも重賞3着以内の回数も4回とマンハッタンカフェ産駒の中で最多を数えている。
これは重賞鮮度要求率の低い産駒は、それなりに反動が出にくく、長期に重賞で走れる確率が上がる、つまり少しタイプが変わるということを意味する。未勝利勝ちに11戦を要したように、鮮度要求率がそれほど高くはないということである。
しかし、そのマンハッタンスカイにしても、初重賞連対の新潟大賞典は、前走準OPからの格上げ戦で、古馬混合重賞2戦目で、2000m以下重賞には初出走だった。それなりに鮮度が存在したことには変わりない。また、そのマンハッタンスカイも次第に、弱い相手の好走が目立つようになった。強い相手に走るとしたら、揉まれずにスムーズに走れたときだろう。使われていくと次第にスムーズでないと嫌気が差しやすくなってくるという、「生涯鮮度」の問題も、ここには横たわっている。
つまり、歳を取れば取るほど、より単調なマンハッタンカフェ産駒らしい、好走ポイントを顕在化させていくのである。
このような種牡馬の生涯リズムのことを、Mではグローバルリズム(GR)と呼んでいる。
マンハッタンカフェ編 検証9
以前、マンハッタンカフェの重賞は鮮度が大切だと書いた。
この重賞鮮度をもう一度、チャージするというか、リフレッシュさせる方法がマンハッタンカフェ産駒にはあるので、それを見ていこうと思う。
その方法とは、距離を延長させる(特に初距離)、ないし前走より緩い流れを走らせるというものだ。これにより、マンハッタンカフェの重賞鮮度を一時的に元に戻すことができる。
この5月以降に重賞で3着以内に走ったマンハッタンカフェ産駒は6頭いた。
まず1頭目は青葉賞のマッハヴェロシティ。重賞をそれまで4戦して8着、6着、4着、4着。マンハッタンカフェ産駒としては重賞鮮度が落ちているので買いにくいと判断できる。ところが青葉賞は2着に好走。このとき、マッハヴェロシティは200mの距離延長で、また初の2400m以上のレースだった。
2頭目は京都新聞杯のベストメンバー。この馬もそれまでの重賞では4着、5着。しかし、今回の京都新聞杯は200m距離延長で初の2200m以上のレースだった。「距離延長初距離」という、まったくマッハヴェロシティと同じ鮮度充填パターンである。
3頭目はNHKマイルCのジョーカプチーノ。これは距離変更が無かったが、中山から東京替わり。レースも縦長の2番手と揉まれなかった。前走より単調な流れに乗ったわけだ。
4頭目はオークスのレッドディザイア。800m距離延長で、初距離の2400m。基本的な鮮度充填パターンになる。
5頭目はダービーのアントニオバローズ。前走より400m距離延長で、初の2400m以上。これもまったく同じパターンだ。
6頭目はエプソムCのヒカルオオゾラ。やはり前走より200m延長。ただ初の1800m以上というわけではなかったぶんか、1番人気で2着と人気を下回った成績に終わった。
以上を見てもわかるように、東京や京都外回りなど広くて単調なコースに、距離延長や前走より単調な流れで出てくるとエネルギー再充填の可能性が出てくることがわかる。
逆にラジオNIKKEI賞のイコピコは危ない。前走が同距離の1800m。しかも少頭数のスローから、多頭数の速い流れが予想されるメンバー構成。今回が初重賞であるが、それまでプリンシパルSなどラジオNIKKEI賞とほぼ同格のオープンレースに出ているので、そういう意味での重賞鮮度も望みにくい。実際、3番人気で4着に敗れた。
以上、マンハッタンカフェの重賞鮮度再充填パターンは距離延長、初距離、前走より単調な流れ。この3つに特に注目しておくとよいということだ。もちろん初重賞の場合はそれ自体に鮮度があるので、必ずしも前走より単調な流れである必要がないことは、以前書いたとおりである。
マンハッタンカフェ編 検証10
今回はシンボリクリスエスの続きを書くつもりだったが、2頭のマンハッタンカフェ産駒が函館記念に出てきて面白い結果だったので検証してみようと思う。
以前、マンハッタンカフェ産駒の話をしたときに出たマンハッタンスカイとメイショウレガーロだ。
まず3番人気のマンハッタンスカイ。前走は前哨戦巴賞で1着。それで人気に支持された。これが危ない。
巴賞は5番人気と低評価だった。ここ3戦が8着続きだったからだ。しかし、私は予想で対抗に評価して馬連1点目で当てることができた。評価の理由は、メンバーが軽く、流れも緩そうだったからだ。したがって、以前書いたマンハッタンカフェ産駒の「スムーズな体力の伝達」が可能な形になっていた。結局、スローを先行して1着と好走する。
しかし、今回はその反動があるし、頭数も増えて先行馬も多い。前走より楽に体力の伝達ができないと危ないのがマンハッタンカフェ産駒の特徴だった。結局3番人気6着に敗れる。
逆に先着したのは前走ではマンハッタンスカイより人気になりながら5着に敗れたメイショウレガーロの方だった。
1800mを2戦続けた後の距離延長で、延長ショックの食いつきの良さと、今回逃げることによって、前走より気分良く体力の伝達ができた。疲れがなかったのも良かった。
ところで、この函館記念を勝ったのはエルコンドルパサー産駒のサクラオリオンだった。エルコンドルパサー産駒についてはまだ書いてなかったので、ここで簡単に解説しておこう。
サクラオリオンの場合、今年に入って私が本命にしたのは2回。それが15番人気の中京記念と、4番人気の函館記念。つまり勝った2回だけだ。この2戦には共通したポイントがあったのだ。それは「前走より、レース質が重くなる」という点。
中京記念は、東京の軽い高速馬場で遅い流れだった白富士Sで6着に凡走した後の、中京で速い流れの重馬場で行なわれた。
前走よりレース質が重くなったので、15番人気でも本命にしたわけだ。今回の函館記念も、前走が1800mの巴賞でスロー。今回は2000mの多頭数で距離延長でも流れは速くなり、また雨模様で開催も進んで巴賞のときより馬場も重い。だから本命にしたのだ。
ソングオブウインドの菊花賞勝ちも、前走が2000mの神戸新聞杯という高速馬場で連を外して、その直後の1000mの距離延長だった。
距離延長や重馬場などで前走よりレース質が重くなったときにエルコンドルパサー産駒の体力が全面に出るので、穴で狙えるショックポイントとなるのである。2100mで行なわれていたジャパンカップダートで、ヴァーミリアン、アロンダイトと2頭の勝ち馬を送り出したのも同じ理由による。
マンハッタンカフェ編 検証11
今週はマンハッタンカフェ産駒の復習をしておこう。
以前、マンハッタンカフェ産駒の重賞鮮度を再充填させる方法を書いた。
それは、前走より距離が延びるなどして緩い流れになること、そして特にそれが初距離ならより望ましいということだった。
その中で話に出てきたのがイコピコ。ラジオNIKKEI賞では、前走が1800mのオープンのスロー。今回は同距離の多頭数でしかもペースアップが予想される。その為に、「危険な人気馬」ということだった。
ラジオNIKKEI賞 レース結果
で、その次走が神戸新聞杯。距離が前走より延びる距離延長。そして初距離。マンハッタンカフェ産駒の重賞鮮度再充填パターンに当てはまる。結果、当日レースがスローに流れたために、より延長が有利に働いて、7番人気で1着に激走したのだった。
神戸新聞杯 レース結果
私も再充填パターンだったので相手の1頭には評価したが、2400m適性が読めなかったので、ここから勝負とはいかなかった。
ところが、この連載をまとめて、またデータを加えて9月に出した拙著、「大穴血統辞典(白夜書房)」の担当編集者のK氏は、「連載を読んでこの馬から買いました」と私に報告してきた。
「この考え方で良かったんですか?」という質問をされたが、全くその通りだ。この連載をストレートに読んで、余計なことを考えずに予想し、そのままイコピコを本命に狙ったわけである。みなさんも、このように大いにこの連載を実践に利用して、馬券を買って欲しい。
ちなみに、「大穴血統辞典」では距離変更別のデータが載っているのだが、マンハッタンカフェ産駒の場合、2000m以上の距離では、全体より延長の単勝回収率の方が上回っている。長距離では延長の穴の一発が怖い種牡馬ということになるだろう。
マンハッタンカフェ編 検証12
今週はマンハッタンカフェ産駒を再び見ていこうと思う。
というのも、ここのところ産駒に厚みが出て、今年はガルボがシンザン記念を制し、また日経新春杯では最低人気のレッドアゲートが3着に突っ込むなど、産駒がよく走っている。そこで徹底的にもう一度、マンハッタンカフェ産駒を検証していこうというわけだ。
以前、解説したときには、体力が豊富で、スムーズに体力を伝達させると力を発揮できるという話を書いた。そのぶん、集中力要素は少ない。量に関しては母父の影響を受けやすいと考えて良いだろう。
また重賞鮮度が落ちた産駒は重賞では妙味が薄いが、延長でエネルギーが再充填された馬は怖いという話を書いた。
それがまさに日経新春杯のレッドアゲートで、5戦連続8着以下の後、400mの延長になった日経新春杯で単勝万馬券の最低評価を覆して3着に激走したのである。さすがに、この激走には驚いた。まざまざと、マンハッタンカフェ産駒の延長重賞でのエネルギー再充填パターンの怖さを見せつけられたレースだった。
もちろん、12頭立ての9番枠という外枠、中8週開いたレース間隔と、非C系がスムーズに気持ちよく走れる設定はちゃんと揃っていたのである。
ガルボの場合は同距離だが、まだ重賞2戦目で鮮度があったこと、またテンが34.2秒のハイペースから35.1秒と1秒近くペースダウンして延長に近い効果を得られたこともポイントになる。朝日杯組では外を回ったキョウエイアシュラの方が当日人気になっていたが、私はガルボの方を評価した。それはマンハッタンカフェ産駒の「前走からのスムーズな体力伝達」を基本に考えれば、自ずと出てくる結論になる。
マンハッタンカフェ編 検証13
朝日杯FSで5番人気3着したダイワバーバリアンやJCで6番人気3着したレッドディザイアも延長だった。京王杯2歳Sで8番人気3着したツルマルジュピターは短縮だが、マンハッタンカフェ産駒の大好きな重賞初戦と鮮度があった。
つまり、11月以降、重賞で3着内に入線した6頭中、初重賞の1頭だけが短縮だったのである。
特に重賞を何戦も消化して人気薄で好走したレッドアゲート、レッドディザイアがともに延長だったのは象徴的と言えるだろう。
もちろん、マンハッタンカフェ産駒が短縮を走らないわけではない。むしろ得意とする産駒が多い。ただ重賞というトップクラスのグローバルリズムにおいては、別にそれが延長である必要はないのだが、「前走より如何に気分良く体力を伝達できるのか?」が、最重要テーマになってくるということを、この結果は端的に示唆している。
マンハッタンカフェ編 検証14
それではマンハッタンカフェ産駒の距離別の走りを詳しく見ていこう。
以前、芝1200mについては書いたので、芝1400mから見てみる。
芝1400mは平均的な成績を残している。単調さを好む非C系なのでそういう意味では得意なのだが、1400m特有の「軽さ」に対応出来ないパターンも多く、結果として平均に落ち着いている。
良馬場では単勝回収率52円、複勝回収率77円と低いが、稍重では単勝回収率166円、複勝回収率121円と高い数字になる。軽さへの対応という意味で、少し摩擦のある馬場がベターということだ。2、3歳の成績が良く、4歳以降がいまいちなのも、本質的な部分でフィットしていないことを意味する。実際、500万までの成績が良く、本質を問われ出す1000万以上ではいまいち振るわない。OPで3着以内に入った4回のうち3回が稍重馬場だったし、やはり4回のうち3回が2歳馬だった。
本質が出やすい人気薄での好走を調べてみると、5番人気以降で3着以内に入った延べ14頭は全て2、3歳馬。しかもそのうち、11頭が牝馬。人気薄での牝馬へのセックスバイアスと若い馬への偏りを考えれば、やはり本質的なフィット感のなさを感じる(人気馬は力で押せる牡馬の方が安定感が高いが)。ちなみに、穴を出すパターンはショック療法でのハイペースや、馬場渋化になる。
マンハッタンカフェ編 検証15
芝1600mのマンハッタンカフェ産駒も、1400m同様に平均的な数字になる。ただクラス別に見てみると1400mのような下級条件への偏りはない。また2、3歳馬だけでなく、4歳馬の活躍も目立つ。
そういう意味では本質的な意味でのフィット感は1600mの方が高いと言えるだろう。
軽さから解放されるので、馬場状態にもそれほど影響されていない。
ただオープンでの成績を見ると、好走は2、3歳馬に偏っている。というか、4歳以降はほとんど出走がない。まだデータが少ないので、今後増えてくる可能性も高いが、気になる傾向だ。どちらかというと、若くて鮮度のあるときの方が、この距離は向いているのかも知れない。
人気薄で激走した馬を調べると、新馬で激走した以外では、揉まれずに激走したパターンが目立つ。非C系の短い距離だけに前走より揉まれない形が穴では怖い。
7番人気で勝った(08年3歳500万下)コウヨウマリーンは前走1400mを後方からの競馬で、延長の今回は2番手から先行するという、所謂「先行馬の延長」の位置取りショック付きパターンだった。
グッデーコパが10番人気3着した09年フェアリーSは短縮ではあったが、前走が最後方からの競馬で、今回が逃げるという、極端な位置取りショックだった。
12番人気で1着した(09年4歳上500万下)エイダイセルリアは休み明けで気分良く逃げるMの基本パターンだったが、休み明けとは言え、前走は小回りのダート1700mで揉まれて惨敗した後のレース。
揉まれない形の位置取りショックは特に怖い。別に位置取りショックでなくても良いから、小回りから広いコースや、外枠、延長など、揉まれない形が穴では怖い距離と言えるだろう。
マンハッタンカフェ編 検証16
マンハッタンカフェ産駒の芝1800mはあまり回収率は高くない。1800m特有の忙しさに対応出来ないケースがあるからだろう。実際、小回りS系の福島1800mはかなり低い回収率になっている。馬場で見ても稍重以上の方が成績が良く、良はそれほどでもないので、1800mの場合はばらけて揉まれない道悪の方が走りやすい。
オープン以上では特に若くて鮮度の高い馬の好走が目立つ。鮮度の落ちた馬では、イコピコが鳴尾記念を1番人気4着や、カシオペアSでヒカルオオゾラが1番人気5着と人気では怪しさもある。
鮮度の落ちた馬では、マンハッタンスカイの巴賞5番人気1着という激走があるが、このときは前走がGIIの2000mのハイペース。今回が1800mのOPで遅い流れを前に行く位置取りショックだった。短縮でかつ流れが遅くなるというレアなケースであった。また北海道の重い芝質も、1800mの場合はプラスに働きやすい。
人気薄では12番人気で1着したフミノイマージン、シャトヤンシーが奇しくもダート1400mからのショックだった。揉まれて辛い思いをした馬が気持ち良く走って激走というパターンだ。また先程のマンハッタンスカイのように、短縮や小回り替わりなのに、前走より緩く流れて楽に前に行けて穴を開けるパターンにも注意したい。
1番人気でのポカも比較的多く、特に前走より厳しく流れる場合には、ストレスで嫌気が差しやすい距離だ。先程のマンハッタンスカイも、巴賞を5歳で5番人気1着したときは、前走の金鯱賞が速い流れを揉まれて惨敗後だったわけだが、全く同じ金鯱賞→巴賞というステップで4歳時には1番人気に支持されて6着に敗れている。このときは金鯱賞の方が巴賞よりペースが緩くて、緩い流れの金鯱賞を2着に気分良く好走した後だった。
前走との落差、ストレスの有無は、他の距離以上に重要な意味を持ってくる。
マンハッタンカフェ編 検証17
マンハッタンカフェ産駒の芝2000mでは単勝回収率が100円を超えるように、ぐっと馬券妙味が出てくる。
競馬場別でも、1800mで振るわなかった福島で好成績を挙げていたり、忙しさという不安はあまり感じられない。むしろ回収率的には中山、阪神、東京など、タフなコースの方が悪いぐらいだ。実際、馬場状態でも稍重までは高いが、重、不良は冴えない。この距離だとそれほど重さは要求されないと言えよう。
重賞ではメイショウレガーロが逃げて新潟記念を12番人気3着したり、セラフィックロンプが好位抜け出しで愛知杯を16番人気1着など、穴を開けている。ある程度鮮度のある馬で、前目で競馬をする馬が穴では面白い。 下級条件の穴でも、ある程度鮮度があって、極端な位置取りショックを交える馬に注意したい。
人気で危ないパターンとしては、非C系の長距離戦だけあって、前走激走して反動が出る形。特に前走よりペースアップなどして、思うように前に行けなかったり、スムーズな競馬が出来ないと危うさが出てくる。
マンハッタンカフェ編 検証18
芝2200m〜2600mでは、2400m以上で、安定した回収率になる。
クラスは未勝利から重賞まで満遍なく走っている。重賞での3着以内では、目黒記念のココナッツパンチ、京都新聞杯のメイショウクオリア、青葉賞のマッハヴェロシティ、京都新聞杯のベストメンバー、オークスのレッドディザイア、ダービーのアントニオバローズ、神戸新聞杯のイコピコ、JCのレッドディザイア、日経新春杯のレッドアゲートと、延べ9頭いるが、そのうち7頭が重賞での最長距離へ出走しての激走だった。残り2頭のうち、JCのレッドディザイアは初古馬戦(ココナッツパンチの目黒記念は3歳春での古馬重賞挑戦という異色さだった)、レッドアゲートは2400m以上の重賞は実に11戦ぶり。もともと重賞では鮮度を好む血統なのだが、長距離ではより重賞鮮度の高い馬が、特に穴では面白い。またイコピコの神戸新聞杯がレコード、アントニオバローズのダービーが不良馬場と、集中力で走るわけではないので、穴なら特殊馬場により面白さがある。重賞に限らず、この距離の穴なら、大幅延長や、休み明け1、2戦など、鮮度の高い馬に面白味がある。
逆にその裏返しとして人気で危ないタイプは、同じような長距離を使われてきて、好走して人気になっているタイプ。ストレスと飽きの心配が出てくる。
3000m以上は出走例が少ないので何とも言えない。ただ、3着以内に入った2頭はともに万葉Sで、2番人気2着だったマンハッタンスカイと3番人気3着のメイショウドンタク。万葉Sは京都の3000mで、JRAの3000m以上のレースでは一番レース質が軽い。種牡馬の性格上、鮮度の高い馬であれば穴で買うなら面白いが、特別得意という距離でもないだろう。
マンハッタンカフェ編 検証19
先週は早速、前回触れたマンハッタンカフェ産駒が3000m以上に出てきた。
阪神大賞典で2番人気に支持されたイコピコである。この連載を読んでいる読者なら怪しい人気馬と判断出来ただろう。
前回書いたように、それほど3000m以上は得意ではないところに、今回の3000mは菊花賞で走っている。つまりマンハッタンカフェ産駒得意の、「重賞初距離への延長」という激走パターンにも当て嵌まらない。どちらかというと3000m超では、軽いレース質を好むので、京都の方がベターでもあり、阪神の、しかも重めになっている現在の馬場で人気では期待値がいかにも低い。
したがって私は2番人気ではあったが、前日予想では7番手評価に落とし、実際に9着に惨敗したのである。
阪神大賞典 レース結果
逆に同じ先週、重賞で激走したのがゲシュタルトだ。前走が1600mの500万出走で、今回は1800m。
マンハッタンカフェ産駒得意の「初重賞で、延長」というパターン。結局、重賞における鮮度と延長適性の高さを見せ、単勝86倍の超人気薄で2着に激走する。これはさすがに私の予想をも超えた激走で、マンハッタンカフェ産駒の精神構造を改めて思い知らされる結末となった。また、9番人気で同じく「延長の初重賞」だったアロマカフェも6着に好走。逆に5番人気のサンディエゴシチーは、前2走とも同距離の1800m重賞に出走していて、10着に惨敗した。
スプリングS レース結果
まさに精神的なステップ論で好凡走が決まるという、マンハッタンカフェ産駒の重賞パターンを見せつけたレースになった。
■ 代表産駒