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日経新春杯(G2)

日経新春杯・男の解の公式
荒れ芝のパワーレースはハンデがモノ言う! モデル馬:アドマイヤフジ・ダークメッセージ

■ 経緯

昭和29年に創設された『日本経済新春杯』を昭和54年に改称したもので、
創設以来、芝2400mで争われてきたが、昭和62年に距離が2200mに短縮された。
しかし、平成6年に再び創設当初の2400mとなり(ただし、この年は阪神競馬場の2500mで施行)、
同時に負担重量も別定からハンデキャップに変更となった。

年度 1着馬
2着馬
3着馬
タイム ラップ 3連複 3連単 メモ 勝負
結果
2012年 トゥザグローリー 1 ダノンバラード 3 マカニビスティー 8 2.23.7 12.3 11.0 11.3 12.2 12.3 12.5 12.4 12.8 11.8 11.5 11.7 11.9 3460 9250 ×
2011年 ルーラーシップ 2 ヒルノダムール 3 ローズキングダム 1 2.24.6 12.6 10.8 10.8 12.7 13.2 12.6 12.6 12.9 11.9 11.1 11.6 11.8 450 3250
2010年 メイショウベルーガ 2 トップカミング 1 レッドアゲート 12 2.24.4 12.7 10.3 11.0 12.4 12.5 12.4 12.3 12.9 12.1 11.9 12.1 11.8 23560 89590
2009年 テイエムプリキュア 11 ナムラマース 3 タガノエルシコ 4 2.26.6 12.7 11.3 11.7 12.7 12.7 12.6 12.6 12.1 11.6 11.9 11.9 12.8 22460 213570
2008年 アドマイヤモナーク 3 ダークメッセージ 2 テイエムプリキュア 12 2.27.4 12.5 11.4 11.3 12.7 12.8 12.6 12.5 12.3 11.9 12.2 12.2 13.0 84010 460970
2007年 トウカイワイルド 5 トウカイエリート 4 ダークメッセージ 9 2.27.4 12.5 11.2 11.0 13.0 12.8 13.0 13.8 12.8 11.7 11.7 11.6 12.3 13650 75720 スローの瞬発力勝負
2006年 アドマイヤフジ 2 スウィフトカレント 6 インティライミ 1 2.26.3 12.6 10.9 11.3 12.7 12.4 12.5 12.7 12.7 12.2 11.7 12.0 12.6 3340 22120 稍重
2005年 サクラセンチュリー 2 マーブルチーフ 7 ストラタジェム 3 2.29.0 13.0 12.2 12.2 13.8 12.9 12.9 13.2 12.9 11.8 11.5 10.8 11.8 7050 51550
2004年 シルクフェイマス 1 マーブルチーフ 8 ダービーレグノ 3 2.24.5 12.8 11.2 11.4 12.3 12.1 12.3 12.7 12.5 12.1 11.6 11.8 11.7 6860 7370
2003年 バンブーユベントス 4 コイントス 1 マイネルプレーリー 6 2.25.8 12.6 11.6 11.7 13.0 12.8 12.4 12.4 12.2 11.9 12.0 11.0 12.2 3770 6140 小雨

■ 傾向

57キロ以上背負って勝った馬は1頭しかいない!
斤量は54〜56キロが中心。
ハンデは56キロまでが目安で、これを超えるハンデは酷量。
過去10年でもっとも重いハンデで勝った馬は2012年のトゥザグローリーで58.5キロ。(1番人気)
それ以外の馬は全て人気を裏切っている。着順が人気より下。

2002年 ラスカルスズカ 57キロ 1番人気 6着
2003年 エアエミネム 58キロ 3番人気 6着
2004年 タガノマイバッハ 58キロ 2番人気 14着
2005年 マイソールサウンド 58キロ 5番人気 7着
ナリタセンチュリー 58キロ 1番人気 9着
2007年 アドマイヤフジ 57.5キロ 1番人気 6着
2008年 アドマイヤジュピタ 57キロ 1番人気 4着
2009年 アドマイヤモナーク 58キロ 2番人気 5着
2010年 サンライズマックス 57.5キロ 3番人気 4着
インティライミ 57.5キロ 6番人気 11着
2012年 トゥザグローリー 58.5キロ 1番人気 1着

日経新春杯と言えば、かつてテンポイントが小雪のちらつく中、66.5キロの酷量を背負って骨折し、
4コーナーでレースを中止して、さらには命まで奪われることになってしまったレース。
このときのテンポイントの66.5キロというハンデは、他馬よりもなんと10キロ以上も重たかった。
それでも楽勝するだろうと思われていたが、それほど、力の差が際立っていたのだろうとも推測される。
逆に言うと、テンポイントが「10キロ以上ハンデ差があっても楽勝」と思われていたほど、他馬が弱いメンバー構成。
現在ではもちろん、他の全馬と10キロ以上もハンデが違うようなことはありえないし、
66.5キロというハンデそのものが、まったく信じられない数字。
ここを使うときの体調が大きくものをいうレースになりがち。

ヒントはモデルホース・アドマイヤフジにある。
2006年は55キロで勝ってるが、2007年は57.5キロで6着に敗れている。
通常ハンデは重い馬に有利だが、ここは軽い馬に有利なのだ。
同時期のハンデ戦でも京都金杯とは異なる日経新春杯。
寧ろ、アルゼンチン共和国杯と似てる。
アドマイヤフジは500キロを超える大型だが、それでもハンデが効くということだろ。
ここでのハンデ戦はアルゼンチン共和国杯以上の大きなハンデ差となるに違いない。

もっと掘り下げていくと…こんどは軽い馬を中心に考察してみる。
400キロ台小型、または牝馬の恵ハンデ馬(55キロ以下)の活躍が目立つ。
解の公式・モデル馬は2007年の3着馬、ダークメッセージだ。
こいつは明らかに斤量差の恩恵での入着だ。

2002年 1着トップコマンダー 4番人気 468キロ(斤55キロ)
2003年 1着バンブーユベントス 4番人気 462キロ(斤54キロ)
2004年 1着シルクフェイマス 1番人気 480キロ(斤55キロ)
2着マーブルチーフ 8番人気 488キロ(斤54キロ)
2005年 2着マーブルチーフ 7番人気 496キロ(斤54キロ)
3着ストラタジェム 3番人気 448キロ(斤53キロ)
2006年 2着スウィフトカレント 6番人気 484キロ(斤54キロ)
2007年 1着トウカイワイルド 5番人気 498キロ(斤54キロ)
3着ダークメッセージ 9番人気 474キロ(斤50キロ)
2008年 2着ダークメッセージ 2番人気 482キロ(斤55キロ)
3着テイエムプリキュア 12番人気 牝馬502キロ(斤50キロ)
2009年 1着テイエムプリキュア 11番人気 牝馬502キロ(斤49キロ)
3着タガノエルシコ 4番人気 432キロ(斤52キロ)
2010年 1着メイショウベルーガ 2番人気 496キロ(斤54キロ)
2着トップカミング 1番人気 472キロ(斤55キロ)
3着レッドアゲート 12番人気 牝馬442キロ(斤52キロ)

こんだけ恩恵を受けた馬がいれば十分だろ。

テイエムプリキュア(G1馬)、メイショウベルーガ(G2馬)、レッドアゲート(G15着馬)。
非力な牝馬ならでは。


4、5歳馬が好成績

競走馬の世界は、年が明けると全馬がひとつ年をとる。
そのせいか、この季節は世代交代が話題となることが多い。
日経新春杯では特にその様相が強く、年齢別の成績をみてみると、
4歳と5歳が圧倒的によい成績を誇っていることが一目瞭然なのである。
5歳、4歳の順で好走。逆に6歳以上は不振。


休み明けの馬は割引き、前走は愛知杯組、万葉S組が多い

絞りずらい冬場なので当然休み明けの馬は大幅に割引が必要。【1-0-1-11】
逆に考えると、万葉Sからの連闘組は注意。

2012年 3着マカニイスティー


大敗からの巻き返しにも注目

前走の着順別にこのレースの成績をまとめてみると、気になることがふたつ浮かび上がった。
まず、前走2着馬の3着内率がとてもよいこと。実に5割を超えるハイアベレージだ。
もうひとつは、前走で6着以下に敗れた馬たちの健闘ぶり。
巻き返しに成功した馬たちの多くには、前走大敗していたにもかかわらず、このレースでの斤量が前走とあまり差がないという特徴があった。
前走6着以下からこのレースで3着以内に巻き返した10頭のうち5頭は、斤量が前走と同じか、増えていた。
前走より2キロ以上軽くなっていたのは、わずかに2頭だけである。


イン突きの得意な騎手に注意

安勝、岩田、酒井、地方出身、外国人など注意!
京都の外回りなので、4角インの切れ目を狙ってくる騎手の成績が良い。


前走条件戦を勝った馬に注目!

ハンデ戦ということもあってか、前走が1600万条件戦だった馬が好成績。
3着以内に入った9頭のうち7頭が前走で勝っていることからも、条件戦を勝った勢いというのは重視するべきなのだろう。
また、前走がGIで、このレースで3着以内に入った馬は7頭いるが、そのうち6頭にGIで3着以内に入った実績があった。

■ ステップ

有馬記念(G1) 日経新春杯(G2) 天皇賞・春(G1)
鳴尾記念(G3)
愛知杯(G3)
寿S
万葉S

■ 2012年回顧

馬名 母父
1 3 3 トゥザグローリー キングカメハメハ サンデーサイレンス
2 8 11 ダノンバラード ディープインパクト Unbridled
3 7 9 マカニビスティー ゼンノロブロイ ブライアンズタイム
4 6 7 ビートブラック
5 1 1 スマートロビン
6 5 5 トップカミング
7 6 8 ブルースターキング
8 2 2 スマートギア
9 8 12 リベルタス
10 5 6 ナムラクレセント
11 7 10 マゼラン
12 4 4 メイショウクオリア

■ 2011年回顧

その層は厚く、かつ全体レベルの高さを誇る4歳馬が「6頭」も出走した。
冬場のハンデ戦(GII)とあって、さすがにヴィクトワ―ルピサ、エイシンフラッシュなどは顔を見せなかったが、今年の古馬中〜長距離を展望する上で大きなポイントとなるレースとなった。
連続したビッグレースのフィナーレ有馬記念が終わったばかり。
厳寒期に近づくいま、ここを目標にビシッと仕上げるというレースでもないから、必ずしも完調とはいえない馬もいたが、
4歳馬にとっては3歳の昨年とはひと味ちがう「成長」と「スケールアップ」を示したい一戦。
どちらかといえば、結果より中身そのものが問われる今年最初のレースだったろう。

レース全体のバランスは「1分12秒7-1分11秒9」=2分24秒6。
決してスローではなく、ペースがもたらした「紛れ」はほとんどないから、
有力候補とされた1〜3番人気の4歳馬3頭が、上位3着までを占める結果となった。

正攻法でレースを進めたルーラーシップ(母エアグルーヴ)のまさに完勝。
売り出し中の若手のU.リスポリ騎手も挑戦者の立場なら、ルーラーシップも勝ったのはまだGIII鳴尾記念だけ。
最初から注目馬の中ではもっとも前に位置し、もっとも積極策で早めにスパートしたのもこの馬。
秋シーズンよりまた一段と見栄えのする体つきになっている点が素晴らしい。早めに動きながら最後の1Fは「11秒8」。
春の「プリンシパルS」圧勝の際と同様、自分からスパートをかけるレースが理想なのだろう。
母エアグルーヴが天皇賞(秋)を制したときが、こういうケレンなしの好位抜け出しだった。
4歳を迎えて「どの馬が一番良くなったか。強くなりそうか」。
最大の見どころがそこにあったこのレース、上昇度でルーラーシップが抜けていた印象が濃い。
ひょっとすると、春の目標とするドバイでも、U.リスポリ騎手=ルーラーシップのコンビが成立するかもしれない。

ヒルノダム―ル(個人的にはこの馬に大きく変わって欲しかったが…)は、
当日の気配からあまり誉められたデキではなかったにせよ、2馬身も差をつけられては完敗。
もちろんまだ上昇の余地も、可能性にもあふれてはいるが、
残念ながら、懸念の「万年大関、万年3役止まり」の心配が現実になりつつあることを、正直、認めないわけにはいかない。
道中、同じような位置にいたローズキングダムより一歩早くスパート態勢に入ったことにより、ぎりぎり2着にとどまったが、
あまり成長の跡はなかった。
全体に迫力に欠けた点が物足りない。

その断然人気のローズキングダム。58sのトップハンデ。
表面上はとくに調子に変動はなかったとはいえ、有馬記念を取り消し、予定を変更しての一戦。
40歳前後になって大きな落馬負傷を2回も経験し、とくにこういう寒さのきびしくなる時期は、
体の動きが悪くなっているように(少しつらそうに)映る武豊騎手。
いろんなマイナスが重なったことにより、必ずしも本意とは思えないイン衝き作戦に出たが、
3コーナー過ぎの位置取りからして「力量上位」を自認する本命馬のそれではなかった。
体つきは少しも悪くない。こじんまり映った3歳春と比較すれば別馬のようにのびのび見せている。
しかし、もともと古馬になって大きくスケールアップする血統背景ではないのではないか。
相手をねじ伏せて勝てるような迫力(底力)あふれるタイプなのだろうか?
だから、なぜか自然とこういうレースに出走してきた一面もあるのではないか、など、
負け方が良くなかった以上、さまざまな心配や不安がささやかれるのは仕方がない。
だいたい有馬記念の取り消しはローズキングダム自身の本能的な自己防衛策だった、などといわれたくらいでもある。
きついレース内容が続いたローテーションにより、ピーク過ぎは否定できなかった。

他の4歳陣はゲシュタルト以下、案外の凡走。
また、古馬陣ではナムラクレセントが善戦したにとどまったが、調整の難しい冬場とあって、残念ながらデキのいい馬が少なかった。

■ 2010年回顧

私が馬券予想は運であると感じるのは、順当そのものに思えた日経新春杯で信じられない事が起こっているからである。
京都で行われたこのレースは、確かに1,2着は順当そのものだったのだが、3着に12番人気(最低人気)のHレーッドアゲートが入っている事である。
この馬は1,2着馬に比較すれば遥かにレベルが低い事は確かで12番人気が妥当かどうかは兎も角としても、実力は平均以下であるのは間違いが無いと思う。
なぜこの馬が、3番人気のCサンライズマックス(4着)や7着のFベストメンバー(4番人気)に勝てたのだろうか。
レース映像をじっくり見るとその理由が何となく理解できるように思える。

日経新春杯のペースは2400メートルにしては明らかにハイペースだった。
逃げたDドリームフライトの1000mの通過が58.9秒であるから、仮にどんなに力のある馬だったとしても潰れる可能性は高い。
これほどのハイペースで逃げたのは、酒井騎手のレベルが低いためだったのか、コントロールの出来ない馬だったのかは不明だが、むちゃくちゃなペースになったおかげで追い込み馬にはかなり有利な展開となった。
1番人気のGトッピカミングや2番人気のKメイショーベルーガにしてみれば、Dドリームフライトの酒井騎手には感謝状をあげたいぐらで、同厩舎なら連携プレーと言われそうなレース展開だった。
好位置につけていた4番人気のFベストメンバーはこのペースに巻き込まれて足を失ってしまった。
この馬は休養明けだったのも影響したかも知れない。
1番人気の蛯名騎手のGトップカミングも最初は後方を走っていたのだが、先頭馬から放され過ぎたのであせったのか3,4コーナーでピッチを上げすぎて結局はゴールの直線途中で足をなくしてしまった。
1番人気を背負っている重圧からだったのか、あせり過ぎたのだろうと見受けられた。
結局はワンパターンの騎乗しか出来ない池添騎手のKメイショウベルーガがGトップカミングを直線で3馬身も引き離して勝つレースになったのである。

1,2番人気の馬の力が抜けていたので波乱にはならなかったのだが、展開次第ではAマンハッタンスカイやFベストメンバーにもチャンスはあっただろうと思う。
問題の3着になった12番人気のHレーッドアゲートであるが、レース映像を見ていると常に最内を走りながらハイペースに巻き込まれずに一定のリズムで走っているのが判る。
この馬の直ぐ後ろに3番人気の武豊騎手のCサンライズマックスが走っていたのだが、全く同様のリズムで走っていた。
力の不足していると思われる馬に騎乗している場合は、これが最良の騎乗なのである。
武豊騎手がこのような騎乗をするのは当然としても、まだ21歳の浜中騎手にこのような騎乗ができるとは思わなかった。
つまり、周りの雰囲気に一切惑わされる事がなくHレーッドアゲートにとって最良の乗り方をしているのである。
完璧な乗り方をしたお陰で、直線に入ってからの武豊騎手のCサンライズマックスでも差を詰める事ができなかった。

Hレーッドアゲートが3着になれたのは、この馬が転厩初戦でもあり調教も十分行われていたのだろう。
レースもハイペースになって有力馬も数頭が潰れてくれた。
ハンデ戦で斤量も52Kだったのもこの馬には幸いしただろう。
そして何よりも浜中騎手はこの馬に合わせて最高の騎乗を行った。
今回の3着は決してまぐれではなかっただろうが、これほど恵まれた状況になることは今後は2度とは無いかも知れない。
やはり、競馬予想は運の要素で決まると言わなければならないだろう。
Hレーッドアゲートがこれからも活躍できるかどうかは疑問に思っているのだが、浜中俊騎手はこれからも間違いなく活躍を続けるだろう。
騎手にとって大事なのは、どんな馬に騎乗していても決して勝負をあきらめない事である。
展開にも恵まれはしたが、見事な騎乗振りだった。
年齢はまだまだ若いが、彼が一流騎手へ仲間入りが出来る日は遠くないのではないだろうか。
そんな感じを抱かせる日経新春杯だった。

■ 2007年回顧

最内から末脚一閃、トウカイワイルドが鮮やかに差し切る

 ディープインパクトが引退し、新たな主役誕生が期待される古馬中長距離路線。この日経新春杯(GII)では、アドマイヤフジ、メイショウオウテ、オースミグラスワンといった5歳勢、ディープインパクトと同い年の馬たちが上位人気に支持されました。

 レースを制したのも5歳馬トウカイワイルドです。まだ準オープンの身、これが重賞初挑戦でしたが、レースぶりは鮮やか。サイレントディールの先導で縦長になった隊列の後方インコースでじっと脚をため、ペースが上がって馬群がグっと詰まった3コーナーでもその位置をキープします。そして直線、満を持してのスパート。6〜7頭が馬場一杯に広がって追い比べをする激しいゴール前となりましたが、内ラチ沿いを突いたトウカイワイルドは、いったんは抜け出したトウカイエリートをクビの差だけ差し切ってゴールへと飛び込みます。

 コース取りの利があったとはいえ、格上挑戦を見事にクリアして重賞初制覇を達成したトウカイワイルド。今季注目の上り馬だといえそうです。


レースは実質的にはスローペースの瞬発力勝負。
結論からいえば、スローの展開と内外のコース取りの差で決まったレース。

テン3Fの「34.7」はなんと昨年よりもコンマ1秒速く、これだけを見るとアドマイヤフジ向きじゃないの?ってなもんだが、
その後の5Fが2.4秒も遅いという全く異質な流れ。その結果上がり4Fが1.2秒速くなり、早めに抜け出したアドマイヤフジはあっさりキレ負け。

3角まではサイレントディール・ウインレガート・ワイアットアープが後続に大きな差をつけて先行集団を形成したが3角で追いつかれて、そのまま失速。
4角から後続集団の先頭を走っていたトウカイエリートが主導権を握り、そのまま押し切るかと思いきや中団内々をロスなく回って、
直線入口の内回りコースの切れ目を狙ってインを突いて伸びてきた安藤勝巳騎手のトウカイワイルドがクビ差で差し切り。
3着ダークメッセージも内から伸びていることからスローの瞬発力勝負で経済コースを回った馬が有利だった。

レースレベルはG2であるのに1600万条件馬が優勝してしまったことからレースレベルは低い。
日経新春杯組は次走でレースレベル上位組と対戦する場合は軽視して良い。

日経新春杯も一線級はどうしても使いにくいレースのひとつで、「これまでがんばってきたご褒美」みたいな位置づけのレースになってしまっている。
いつも人気になるアドマイヤフジは、休み明けどうも本調子になってこない印象。次走も人気になるのなら、ちょっと疑ってかかりたい。
2着のトウカイエリートは惜しい競馬で、これは十分にオープンでメドが立った。次走重賞路線で勝ってみたいのはこれかな?



ハンデ戦らしい大激戦。おかげで最後は2箇所ほど見間違えました(苦笑)。
一つはメイショウオウテの入線順位。
てっきり最後は3着に上がったと思いましたが、ハナ差で4着。最初見たスローVTRでは差したように見えただけに、軽いショック。

もう一つは3着の馬。
てっきり×ジャッキーテーストだと思っていたら、確定後にダークメッセージと判明。
新聞読み返してみたら、なんと同じサンデーレーシングの馬で5枠の黄色帽でビックリ。素で気づかなかったです。

で、勝ったのは△トウカイワイルドで、2着はトウカイエリート。前走のオリオンSに続き“トウカイ祭り”となりました。
前走は内に進路を取ったトウカイエリートが押し切り、外からトウカイワイルドが差すという展開。
着差を考えれば乗り方一つで十分逆転の可能性はあったのですが、それを現実にしてしまう安藤勝己というジョッキーは凄いですね。
今回の騎乗も非常に唸らされるものでした。

トウカイワイルドはスタート直後、あまり行かず後方から。
「決め手に欠く面がある馬がそんなに後ろから行ってどうするのだろう?」と思って見ていました。
ところが、向正面に入ってラチ沿いから徐々に位置を押し上げにかかり、トウカイエリートの直後をピッタリマーク。
そして凄かったのが勝負どころ。3〜4コーナーのところで馬群全体がギュっと押し上げにかかるところで、
一緒になってついていかずに内でジッと我慢。
すると直線入り口でインを鋭く強襲。完全にトウカイエリートの勝ちパターンだったところを内からクビ差差し切りました。

初重賞制覇がかかっていた赤木騎手(馬もですが)にとっては気の毒この上ない話。
安藤騎手の絶妙な手綱捌きに見ているこちらもただただ感心するばかりでした。

期待したメイショウオウテですが、道中微妙に折り合いを欠いたのが響いたのかもしれません。
最初のホームストレッチはキッチリ折り合っていたのですが、向正面に入って少し持っていかれそうになってしまいました。
岩田騎手は馬の間に入れてなだめようとしていましたけどね。
4コーナーを回り、直線に入ったところでは突き抜けそうな雰囲気だったのですが、いま一歩届かず。
伸びていることは伸びているのですが、内々に進路を取ったトウカイの2頭との差は埋まりませんでした。
以前に比べて気性面はマシになりましたが、パドックではまだうるさい面があります。この点が完全に解消されればもっとよくなるのですけどね。

1番人気のアドマイヤフジは6着。
なんとなく嫌な予感はしていました。昨年、鮮やかに勝ちすぎただけに。

■ 2006年回顧

ゼンノロブロイ、タップダンスシチーなどが引退し、ちょっと層が薄くなりかけた古馬の中〜長距離路線。
4歳勢の飛躍が期待された。
4歳アドマイヤフジが勝って、インティライミが小差の3着。とりあえずというか、まず期待通りだった。

アドマイヤフジは、昨年の3冠を5、4、6着の、あとちょっとの詰めの甘い馬。
スケールの大きさを持て余していたようなところがあったが、良績の乏しかった京都で、目下2連勝となった。
スパッと切れるタイプではないが、これは母アドマイヤラピスの一族の特徴で、ステイヤー色が濃いため。
また、広い意味でのファミリーは、リンカーン、ボーンキング、フサイチコンコルドなどが代表するサンプリンセスの一族と同じで、
ちょっと詰めが甘いのはファミリー全体の特徴だろう。
逆に、まず大崩れはない。ここまでは小結、関脇クラスだったが、大関級に近づいたかもしれない。

インティライミは7ヶ月半ぶり。
ツメの不安は相当の重症だったというが、見事に立ち直ってみせた。
結果は3着とはいえ、1度は抜け出して2分26秒4。
ダービー2着馬らしい底力を示した。この馬、今回は道中からリキんで走っているところはありながら、折り合いを欠いたりしないから立派。
アドマイヤフジとともに天皇賞(春)を目指せる立場に立った。

スウィフトカレントは、後方で折り合いを欠くシーンを見せながら、1度は4歳2頭をまとめて差し切るかの脚いろ。
昨年の夏から決して大崩れしない準オープン級だったが、もうオープン馬だろう。
今回は2400mで好走したが、ベストは2000m級と思える。スタミナ型ではない。

人気の1頭エルノヴァは、ずっとハミを取っていない道中で気合を入れ通しだった。
ステイヤーズSで激走した後の一戦。
体調不安はないように映ったが、7歳の牝馬。最近では珍しい凡走に終わったのは、そろそろ引退の時期も思わせた。

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