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シンザン記念(G3)

【シンザン記念・男の解の公式】
地力勝負!仕上がり早の素質開花を狙え!

■ 経緯

シンザン(昭和36年生・牡・鹿毛・父ヒンドスタン・母ハヤノボリ・2〜4歳時19戦15勝)の栄誉を称え、
昭和42年に創設された3歳馬限定の重賞競走で、芝1600mの別定戦で争われる。
シンザンは、昭和39年にセントライト以来23年ぶり、日本競馬史上2頭目の三冠制覇という偉業を達成し、翌年秋の天皇賞と有馬記念も制して“五冠馬”の称号を得た。
引退後も種牡馬として活躍し、平成8年にこの世を去った。なお、同馬は昭和59年に顕彰馬に選出されている。

年度 1着馬
2着馬
3着馬
タイム ラップ 3連複 3連単 勝負
結果
2012年 ジェンティルドンナ 2 マイネルアトラクト 9 プレミアムブルー 11 1.34.3 12.2 11.1 11.7 12.2 11.6 11.9 11.7 11.9 53960 281970
2011年 レッドデイヴィス 7 オルフェーヴル 3 マルセリーナ 6 1.34.0 12.2 11.2 11.7 12.1 11.6 11.2 12.0 12.0 35480 279230
2010年 ガルボ 4 シャイン 9 セレスロンディー 10 1.34.3 12.5 11.1 11.5 12.2 12.1 12.1 11.4 11.4 40480 230140
2009年 アントニオバローズ 2 ダブルウェッジ 12 トップカミング 10 1.35.3 12.5 11.0 11.6 12.1 12.2 12.6 11.5 11.8 59650 279100
2008年 ドリームシグナル 1 ドリームガードナー 5 マヤノベンケイ 4 1.35.4 12.1 10.7 11.3 12.1 12.2 11.9 12.3 12.8 2530 10740
2007年 アドマイヤオーラ 3 ダイワスカーレット 1 ローレルゲレイロ 2 1.35.1 12.6 11.2 11.8 12.3 12.3 11.7 12.0 11.2 210 1590
2006年 ゴウゴウキリシマ 8 グロリアスウィーク 6 ロジック 2 1.34.4 12.5 11.2 11.9 12.1 12.0 11.5 11.3 11.9 16480 204980 ×

■ 傾向

堅い決着が多い。
ただし逃げ残り注意!
朝日杯FS組のレベルを評価基準に考えればわかりやすい。


4〜9番人気に注目
1番人気は勝率60%、3着内率80%となかなかの好成績だが、4番人気から9番人気の馬たちもたびたび上位に顔を出していることがこのレースの大きな特徴なのだ。
しかし、10番人気以下の馬となると、話は別。46頭が出走して3着以内に入ったのは2001年の勝ち馬ダービーレグノ(14番人気)だけと、苦戦を強いられている。


G1出走経験が重要
もっとも成績がよいのは前走がGTだった馬たちだ。強者と戦った経験は、このレースでは貴重な武器となるのかもしれない。
なお、初勝利を挙げた直後にこのレースで連対した馬は過去10年で4頭いるが、その4頭はすべてこのレースのあとに重賞勝ちを果たしているというデータもある。


前走マイル戦を走った馬が好成績
2歳GTがマイル戦ということも大きいが、前走でマイル戦を経験していた馬が好成績を残している。同じコーナー2つのレースである1400m戦が前走だった馬の成績も良好だ。
ちなみに前走で1700m以上を走ってシンザン記念で3着以内に入った9頭のうち7頭は、1600m以下の距離で勝ち星があった。


朝日杯FSから5頭の勝ち馬が出ている
勝率は14.7%と高く、連対率の20.6%と複勝率の32.4%もそれだけで一応の数字といえるものだ。
千両賞も出走数自体が少ないながら連対馬が2頭出ている。
ただしいずれも1着馬で、今年はその1着馬の登録がない。

■ 2012年回顧

今年の3歳牝馬路線、2歳牝馬チャンピオンに輝いたジョワドヴィーヴル
(父ディープインパクト。ブエナビスタの4分の3妹)が一歩リードしているのは衆目一致。
ところが、年が明けてのこの3歳初重賞で、いきなり光輝く牝馬が出現した。

牡馬相手の1600m「シンザン記念」を快勝したのは、ここが3戦目になる牝馬ジェンティルドンナ
(父ディープインパクト。現4歳ドナウブルーの全妹)だった。
父が同じなら、生産も同じノーザンファーム。
同じサンデーレーシンングの所有馬である。
こうなると、さすがに本番の「桜花賞」を前に対決するわけにもいかないから、
どちらが、どのステップを選んで桜花賞に向かうのか、
関係者のあいだではレース直後から、早くも(嬉しい)心配事発生となった。

シンザン記念は、クラシック候補の出走した時代もあれば、
あまり無理をさせたくない時期とあって大きな展望を描くグループに敬遠された時代もあった。
外国産馬にクラシック挑戦の道が閉ざされていたころは、NHKマイルCに向かいたいグループの路線に変化もした。
しかし、いま大攻勢を続ける関西の3歳馬にとっては敬遠などもってのほかの貴重な重賞となり、
キャリアの浅い牡馬のクラシック候補も、
距離が1600mとあって牝馬にとっても、またマイル路線を展望したいグループも出走してくる。

人気の中心となったのは、GI朝日杯FS好走の内容から牡馬トウケイヘイロー(父ゴールドヘイロー)。
好気配をキープし引き続き好調とみえたが、前半からギクシャクした行きっぷりで、朝日杯FSほどスムーズに流れに乗れなかった。
朝日杯が結果的に早く動き過ぎた(行きたがってしまった)印象も濃いので、
今回はセーブして前半を乗り切りたかったが、行きたがる素振りは変わらない。
折り合いに苦心することになってしまった。
マイル戦で行きたがってはこの後が非常に心配である。

そのトウケイヘイローの凡走もあれば、2着したのが伏兵マイネルアトラクト、3着はもっと人気薄のプレミアムブルー。
牝馬のジェンティルドンナにとっても組み易しの相手だったこともあるが、
レースの流れは牡馬シゲルアセロラの先導で前後半の800m「47秒2−47秒1」=1分34秒3。1000m通過は58秒8。
京都1600mらしく絶妙の前後半のバランスラップだった。
3歳のマイル戦とすると、どういうタイプにとっても一番能力を発揮しやすい流れである。
1分34秒3の時計だけでなく、折り合って牡馬の間を割って一気に抜けたレース運びも文句なし。
楽々と抜けた未勝利1600mの内容も素晴らしかったが、今回の内容には鋭さだけでなく、力強さも感じさせた。

牝馬がこのレースを勝ったのは1999年フサイチエアデ−ル(桜花賞2着。ライラプスなどの母)以来のことであり、
レースレベルの上がった最近10年で3着以内に好走した牝馬は、
2007年の2着馬ダイワスカーレット(桜花賞馬)と、昨2011年の3着馬マルセリーナ(桜花賞馬)だけである。
ジョワドヴィーヴルと甲乙つけがたい桜花賞候補誕生だろう。
翌9日の中山の牝馬限定戦1600m「フェアリーS」組には厳しいようだが、レベル差歴然と思える。

また一段と評価が高まったのは、2頭の父ディープインパクト。
2年目の産駒をデビューさせた昨年は、
その父サンデーサイレンスと同じように敢えて「早い時期からあわてて秋走させない」方法を取り入れていると思われるが、
秋遅くにデビューしたジョワドヴィーヴル、ジェンティルドンナはたちまち候補となり、
牡馬ではやっぱり遅くに登場したアダムスピークがラジオNIKKEI杯2歳Sを勝った。
これに東スポ杯のディープブリランテを加えると、牡馬.牝馬ともに目下のクラシック最有力候補は、そろってディープインパクトの産駒である。

7着に沈んだオリービン(父ダイワメジャー)は、連戦の疲れが出たのか今回は追い切り時からちょっと動きが硬かった。
ペースを作った外国産馬シゲルアセロラは、絶妙のマイペースと映ったが、これで5着は期待しただけにかなり物足りなかった。

勝ったジェンティルドンナはすっと好位につけて追走する競馬。
序盤でやや掛かり気味だったが、すぐに落ち着いて鞍上の指示にしたがった。
直線は狭いところに入り掛けたが、うまく進路が開いて突きぬけた。
やはりナタの切れ味。まだ懐の範囲で競馬出来ている感じ。G3のマイル戦では力が違う。
脚力的には距離延長もどんと来いだが、序盤で掛かった点は少し課題が出た。
次からは日本人騎手が濃厚なだけに、ペースが遅いのに下げて競馬するようだと取りこぼしも。川田様あたりが空いていれば。

マイネルアトラクトも先行して好位の内を追走する競馬。
やはりこちらも掛かりそうだったが、すぐに折り合いがついた。
直線入り口から早めにスパートし、バテない強みを活かして粘り込み。
切れる脚がない分、大跳びのワンペースでスピードを持続させられる。
今回は内の進路が開けた分スムーズに走れたが、動けるポジションを取りやすい分、外枠の方が競馬はしやすいと思う。

3着プレミアムブルーは押して2番手をとり、追走させる競馬。
前走までの内容から、揉まれると力を出せなくなる印象で、勝負どころまでまったく近くに馬がいない状況で走れた面がかなり大きかったと思う。
脚を溜めずともしぶといタイプで、4着馬をきっちり競り落とした。
マイルで揉まれずに先行するのは結構難しいと思うので、あえて今回内容は過信禁物とする。
小頭数や距離延長、外枠を当てれば嵌る一発屋というところに一旦落ち着ける。

上位3頭とも内目の枠で先行馬だったことで、展開利云々で片づけられそうだが、
この3頭は共に脚を溜めて爆発させる馬ではないので、むしろ外枠の方が良いタイプ。
内枠にトウケイヘイローなんかが入っていれば着順は変わっていたかもしれないが、
3頭のパフォーマンス自体は外枠でもほぼ落ちていなかったと思う。そういう馬たち。

そのトウケイヘイロー。
好位の外目で脚を溜める競馬をしたが、直線は叩き合いに敗れ末脚の持続力のなさを露呈した。
外枠だとハイペースで折り合えないと厳しい条件だった。
内枠で溜めればもっと切れていたはず。スピード上位は示した。
内枠ならマイルでも爆発すると思うけど、基本はもっと短いところの馬だと思う。

■ 2007年回顧

シンザン記念(京都8F/35.6-24.6-34.9)
12.6-11.2-11.8-12.3-12.3-11.7-12.0-11.2=1'35"1
1着アドマイヤオーラ(5)、2着ダイワスカーレット(3)、3着ローレルゲレイロ(6)
10着マイネルフォーグ(8)


4〜5目は「12.3-12.3」というユルさで、グレイトジャーニーが逃げ切った04年と同じ並び。
これは前を固めた騎手の性質と、切れ味勝負にしたい中京2歳S組の思惑とが一致した結果で予想の範囲内だが・・・
このペースで「大逃げ」とか実況されるんだから、後ろはどんだけスローなんだよw。
本番は、幾らなんでもテンか中盤のどちらかはこれより速くなるので、ここでのパフォーマンスはあまり参考にならない。
一貫したペースに対応する底力が持ち味の3着馬が最低限のキレを示したのはまあ好感。


3歳世代の初重賞。
12月にGIの朝日杯FS、GI阪神JF、ラジオNIKKEI杯2歳Sが行われてから間もない日程のGIIIの1600mであることと、
また、過去の勝ち馬が春のクラシックであまり好成績を残していないことから、必ずしも世代のレベルや勢力図を判断するのに重要な重賞ではない年も多いが、今年はかなり注目を集める一戦だった。

というのも、朝日杯で小差の2着に好走したローレルゲレイロ以下、朝日杯組が計4頭も折り返しで出走してきたこと。
さらには、12月の中京2歳Sをメイショウサムソンの持つ好時計1分47秒5とほとんど差のない記録で快走した牝馬ダイワスカーレットと、
同じくアグネスタキオン産駒の牡馬アドマイヤオーラが出走してきたからだった。

その注目の人気上位の3頭が、ごく順当に、期待通りに3着までを占めたことにより、多少なりとも今年の3歳世代の勢力図の一部分が見えたかもしれない。
勝ったのは中京2歳Sの2着馬アドマイヤオーラ。2着が同じ2歳Sの勝ち馬ダイワスカーレット。
朝日杯FSの2着馬ローレルゲレイロは状態も良く、とくに不利があったとは思えない内容で、牝馬のダイワスカーレットから2.1/2馬身差の3着にとどまった。
さらに差のある4着、5着がやっぱり朝日杯組のエーシンビーエルとジャングルテクノ。

わずか一戦だけでポイントになるレースのレベルうんぬんや、勢力図におぼろげながらでもメドをつけようというのは乱暴で、
たちまち再修正が必要になる危険はあるが、
12月、レースの終わった瞬間、勝ったドリームジャーニーを別にすると朝日杯組のレベルはあまり高くないかもしれないと感じた印象は、(おそらく)当たっているのだろう。

また逆に、印象どおり、さらには目安になる時計通り、中京2歳Sのレベルは昨年も非常に高かったと考えていい。
2000m…1800m…と使ってきて、折り合いの課題OK。そこで1600mのシンザン記念にという、松田国師の設定した独創的なローテーションのダイワスカーレットは、
スタート直後はアドマイヤオーラのうしろにいたが、向こう正面で少しかかり気味になってしまった。
そのためまた今度もアドマイヤオーラにマークされるかたちになり、レース全体はスローだったから最後の1F11秒2という爆発力の勝負で差されてしまったが、バテたわけではない。
兄のメジャーと同様、切れるというタイプではないのだろう。同じ安藤勝騎手だから、メジャーと似た戦法になりそうだ。

アドマイヤオーラは1600mに戻って抜群に切れたあたり、母ビワハイジ(阪神3歳牝馬S勝ち馬)の特徴をより大きく受け継いだマイラー型なのかもしれない。
次は1800m、2000mと思われるので、クラシック展望の視点ではとくに次走に注目したい。
ローレルゲレイロは最後の1F11秒2のところで離されたから、評価がちょっと厳しい点数になるのはやむをえない。
距離が延びるのもあまり歓迎ではないだろう。

特筆すべきはアグネスタキオン産駒の仕上がりの早さ。(アドマイヤオーラ,ダイワスカーレット)
2歳のこの時期の完成度の高さはこの産駒ならでは。
クラッシックの参考にはあまりなりそうにないが、冬場のこの時期はアグネスタキオン産駒の早熟を狙い撃ちできるかもしれない。

アドマイヤオーラが、上がり33秒3というディープインパクト級の切れ味で初重賞を飾った。
直線は1番人気ダイワスカーレットとの一騎打ちとなったが、1馬身差の完勝で前走中京2歳Sの雪辱を見事に果たした。
これで3戦2勝。今年の皐月賞、日本ダービーの主役に踊り出た。

1000の通過が60秒2は、いくら明け3歳のレースと言っても、やや緩いペース。
能力差がハッキリとしたレースで、レース全体のレベルはそう高くないが、上位2頭は抜群、というレースだった。


アドマイヤオーラ

2人曳き。
また馬体減だが、元々が太かった分も有ろう。
出脚有りそうで、向正面ではダイワスカーレットより前に居た位だが、折り合いに専念して中段。
行きたがるダイワスカーレットとは対照的だった。
今日は大逃げのエイシンイッキですら1000m通過60秒を超えるスロー。
こうなると道中の折り合いの差は大きい。ここに来て馬も良くなっている。

ダイワスカーレット

2人曳き。
下見では落ち着いている。兄ダイワメジャーと違って、歩様が柔らかいのが良い。
勿論馬も上位。出脚は甘そうだが、道中ずっと掛かり気味。最後はその分だけ。今日は強い内容。
ダイワメジャーの競馬なら結果は違うのだろうが、この時期からそれをしていては距離が保たなくなる。
もどかしい部分は有るが、性能そのものは高い。

ローレルゲレイロ

2人曳き。
相変わらず下見の集中力が素晴らしい。トモの張りも目立ち、一戦毎確実に良化している。
道中は中段から。ずっとインに居たのは悪くなかったが、直線向いてインを突くか外へ出すかで迷ったのが痛い。
本田騎手は「結果的に仕掛けが遅れたが、今後へ向けて良い経験になった」と戦後述べたそうだが、仕掛けの問題では無く、単なる判断ミス。
勝てたとは言わないが、接戦には持ち込めた筈。

エーシンビーエル

2人曳き。
馬は良いが、歩様に力強さが無い。エイシンイッキが大逃げを打ったが、離れた2番手。
ただ、出脚そのものは甘そう。普通に回って来たが、最後は決め手の差。上とは能力差有る。

ジャングルテクノ

2人曳き。
多少テンションか高い。
デキは変わらず良いが、歩様が甘いのが現状の天井。
出脚はソコソコ有る馬で、好位から。ただ、直線向いてアッという間に置き去りにされてしまった。
前走中山戦の際に述べた様に、一瞬の脚が無い。


下馬評通りの上位3頭の決着。やはりこの3頭のポテンシャルはここでは抜けていました。
予想は1、2着馬の着順が逆になりましたが、中京2歳S組のレベルの高さを示す結果。
◎ダイワスカーレットと○アドマイヤオーラは前走半馬身差。先着したのはダイワでしたが、
ラスト3ハロンの上がりはアドマイヤが上回っており、数字上では京都のマイルに替わって十分逆転できるもの。
しかし、ダイワの方が余裕のある勝ちっぷりで、そのあたりの優劣をどうつけるかは案外難しいところでした。

結果的には決め手で上回るアドマイヤオーラが雪辱。
少頭数のスローで、直線入り口で両馬の着差わずか。こうなればアドマイヤにとって好都合。
ダイワスカーレットは、半兄のダイワメジャーと同じように一瞬の決め手で抜けるタイプではないので、このような敗戦は仕方がないところでしょう。
「負けて強し」とまでは言いいませんが、今後のレース・予想を考える上で十分に参考になるレースだったと思います。

3着の▲ローレルゲレイロはダイワよりも決め手勝負で見劣るタイプ。
朝日杯FS2着という実績はもちろん評価できるものの、デビュー戦以降、メンバー中上がりベスト3の時計は一度もマークしたことがありませんでした。
この手のタイプは京都のマイル戦では厳しい。したがって、ここでの敗戦はあまり気にしなくていいと思います。
そもそもまだ適距離・適条件が把握しにくい馬。
地味で人気になりにくいタイプでもあるので、狙える機会はまだまだあると思います。
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