トップ > 男の馬券戦略 > 重賞戦略 > 弥生賞(G2)

弥生賞(G2)

【中山牝馬S・男の解の公式】 中山巧者を狙え!
モデル馬

■ 経緯

昭和39年に創設された3歳馬による重賞競走。
創設時は1600mで争われていたが、昭和46年に1800mとなり、
さらに昭和59年に現行の2000mへと距離が延長され、昭和62年にはGIIIからGIIに格上げされた。

皐月賞と同コース・同距離で施行されるトライアルレースで、1〜3着までの馬には皐月賞の優先出走権が与えられる。
なお、競走名の『弥生』は、陰暦3月の異称。

■ タイム・ラップ

日付 馬場
状態
勝負
結果
着順 馬名 走破
タイム
着差 2角 3角 4角 上り3F PCI PCI3 RPCI 馬体重 ラップ
2012年 1
2
3
2011年 1 サダムパテック 2010 -0.1 4 6 4 34.2 61.3 60.67 57.6 508 12.8-11.3-12.2-12.8-12.6-12.4-12.2-11.8-11.2-11.7
2 プレイ 2011 0.1 3 3 3 34.6 58.5 60.67 57.6 494
3 デボネア 2011 0.1 6 8 7 34.1 62.2 60.67 57.6 534
2010年 1 ヴィクトワールピサ 2061 -0.1 5 7 9 36.1 58.0 57 53.3 510 12.8-11.6-12.7-13.5-13.0-13.0-12.7-12.5-12.1-12.2
2 エイシンアポロン 2062 0.1 2 4 4 36.5 55.5 57 53.3 500
3 ダイワファルコン 2065 0.4 8 11 12 36.3 57.5 57 53.3 502
2009年 1 ロジユニヴァース 2035 -0.4 1 1 1 35.8 54.9 54.4 54.9 500 12.4-11.3-12.2-13.0-13.1-13.0-12.7-12.2-11.5-12.1
2 ミッキーペトラ 2039 0.4 2 2 2 36.1 53.7 54.4 54.9 490
3 モエレエキスパート 2040 0.5 3 4 6 36.0 54.6 54.4 54.9 472
2008年 1 マイネルチャールズ 2018 -0.1 2 2 2 35.1 56.4 58.03 55.7 452 12.2-11.5-12.4-12.8-12.9-12.5-12.3-11.7-11.3-12.2
2 ブラックシェル 2019 0.1 7 7 7 34.6 60.2 58.03 55.7 532
3 タケミカヅチ 2020 0.2 4 3 3 35.0 57.5 58.03 55.7 504
2007年 1 アドマイヤオーラ 2005 0 6 6 5 34.8 55.9 56.8 53.1 446 12.3-10.6-11.6-12.8-12.5-12.6-12.9-11.8-11.7-11.7
2 ココナッツパンチ 2005 0 10 11 10 34.4 58.7 56.8 53.1 470
3 ドリームジャーニー 2008 0.3 9 9 9 34.9 55.8 56.8 53.1 416
2006年 × 1 アドマイヤムーン 2015 -0.1 9 8 8 34.7 58.6 56.5 52.3 472 12.4-11.3-12.5-12.6-12.4-12.0-12.7-12.3-11.7-11.6
2 グロリアスウィーク 2016 0.1 7 6 4 35.1 56.0 56.5 52.3 452
3 ディープエアー 2021 0.6 8 8 8 35.4 54.9 56.5 52.3 472
2005年 1 ディープインパクト 2022 0 7 7 3 34.1 64.5 61.43 58.6 446 13.0-11.9-12.5-12.3-12.5-12.6-12.5-11.6-11.4-11.9
2 アドマイヤジャパン 2022 0 3 3 3 34.6 60.8 61.43 58.6 480
3 マイネルレコルト 2024 0.2 2 2 2 34.9 59.0 61.43 58.6 450

■ 臨戦過程

日付 馬場
状態
着順 馬名 人気 間隔 前走
開催
前走レース名
芝・ダ

距離
前走
馬場
状態
前走
人気
前走
着順

2角

3角

4角
前走
上り3F

騎手
前走
走破
タイム
前走
着差
タイム
前走日付
2011年 1 サダムパテック 1 11 5中6 フューチG1 1600 1 4 11 7 7 34.9 C.スミヨ 1341 0.2 101219
2 プレイ 7 3 2京5 つばき賞500* 1800 2 2 2 1 35.3 和田竜二 1483 0.2 110212
3 デボネア 5 7 1中6 京成杯G3 2000 8 2 9 7 8 36 吉田豊 2009 0 110116
2010年 1 ヴィクトワールピサ 1 10 5阪7 ラジオNIG3 2000 1 1 10 8 8 34.2 武豊 2013 0 91226
2 エイシンアポロン 2 11 5中6 フューチG1 1600 2 2 5 6 5 35.2 池添謙一 1342 0.2 91220
3 ダイワファルコン 7 3 1東6 500万下* 1600 3 2 5 5 34.5 後藤浩輝 1347 0 100214
2009年 1 ロジユニヴァース 1 10 5阪7 ラジオNIG3 2000 2 1 2 2 2 37.1 横山典弘 2017 -0.7 81227
2 ミッキーペトラ 5 26 3小7 未勝利* 1800 1 1 2 2 2 35.6 武豊 1493 -0.2 80906
3 モエレエキスパート 7 8 1京4 シンザンG3 1600 3 10 5 4 36.6 松岡正海 1370 1.7 90111
2008年 1 マイネルチャールズ 2 7 1中6 京成杯G3 2000 1 1 9 8 9 35.9 松岡正海 2029 0 80120
2 ブラックシェル 1 3 2京6 きさらぎG3 1800 1 7 14 14 34.5 武豊 1491 0.3 80217
3 タケミカヅチ 7 4 1東4 共同通信G3 1800 5 2 11 9 9 35.2 柴田善臣 1477 0.1 80211
2007年 1 アドマイヤオーラ 1 8 1京3 シンザンG3 1600 3 1 5 5 33.3 岩田康誠 1351 -0.2 70108
2 ココナッツパンチ 6 3 1東6 新馬 1600 1 1 7 5 33.4 吉田豊 1356 -0.3 70211
3 ドリームジャーニー 2 12 5中4 フューチG1 1600 2 1 15 14 12 34 蛯名正義 1344 -0.1 61210
2006年 1 アドマイヤムーン 1 4 1東4 共同通信G3 1800 2 1 6 7 7 33.9 武豊 1484 -0.1 60205
2 グロリアスウィーク 6 3 2京6 きさらぎG3 1800 6 4 3 3 35.1 M.モンテ 1477 0.3 60212
3 ディープエアー 5 3 2京6 きさらぎG3 1800 5 6 8 8 34.8 池添謙一 1478 0.4 60212
2005年 1 ディープインパクト 1 6 1京7 若駒S 2000 1 1 7 6 6 33.6 武豊 2008 -0.9 50122
2 アドマイヤジャパン 3 7 1中6 京成杯G3 2000 1 1 7 6 6 36.9 横山典弘 2074 -0.2 50116
3 マイネルレコルト 2 12 5中4 フューチG1 1600 2 1 8 5 2 35.3 後藤浩輝 1334 -0.3 41212

■ 波乱度

日付 馬場
状態
着順 馬名 人気 単勝 複勝 枠連 馬連 馬単 3連複 3連単
2011年 1 サダムパテック 1 270 140 1660 2220 3130 3780 18840
2 プレイ 7 300 1660 2220 3130 3780 18840
3 デボネア 5 220 3780 18840
2010年 1 ヴィクトワールピサ 1 170 110 410 400 600 2010 5050
2 エイシンアポロン 2 150 410 400 600 2010 5050
3 ダイワファルコン 7 340 2010 5050
2009年 1 ロジユニヴァース 1 130 110 1720 1930 2180 8620 26930
2 ミッキーペトラ 5 540 1720 1930 2180 8620 26930
3 モエレエキスパート 7 610 8620 26930
2008年 1 マイネルチャールズ 2 470 170 890 970 2150 5070 23340
2 ブラックシェル 1 160 890 970 2150 5070 23340
3 タケミカヅチ 7 350 5070 23340
2007年 1 アドマイヤオーラ 1 170 110 300 1170 1510 1720 6650
2 ココナッツパンチ 6 300 300 1170 1510 1720 6650
3 ドリームジャーニー 2 150 1720 6650
2006年 1 アドマイヤムーン 1 160 120 3160 3620 4740 17160 66970
2 グロリアスウィーク 6 660 3160 3620 4740 17160 66970
3 ディープエアー 5 550 17160 66970
2005年 1 ディープインパクト 1 120 100 350 350 380 280 810
2 アドマイヤジャパン 3 120 350 350 380 280 810
3 マイネルレコルト 2 110 280 810

■ 馬キャラ

日付 馬場
状態
着順 馬名S 人気 騎手 所属 調教師 種牡馬 母父馬
2011年 1 サダムパテック 1 岩田康誠 (栗) 西園正都 フジキセキ エリシオ
2 プレイ 7 松岡正海 (美) 斎藤誠 ロックオブジブラルタル サンデーサイレンス
3 デボネア 5 佐藤哲三 (栗) 中竹和也 アグネスタキオン Singspiel
2010年 1 ヴィクトワールピサ 1 武豊 (栗) 角居勝彦 ネオユニヴァース Machiavellian
2 エイシンアポロン 2 池添謙一 (栗) 岡田稲男 Giant's Causeway Sadler's Wells
3 ダイワファルコン 7 北村宏司 (美) 上原博之 ジャングルポケット サンデーサイレンス
2009年 1 ロジユニヴァース 1 横山典弘 (美) 萩原清 ネオユニヴァース Cape Cross
2 ミッキーペトラ 5 田中勝春 (栗) 森秀行 シンボリクリスエス ヘクタープロテクター
3 モエレエキスパート 7 松岡正海 (美) 奥平雅士 マジックマイルズ エリシオ
2008年 1 マイネルチャールズ 2 松岡正海 (美) 稲葉隆一 ブライアンズタイム Zabeel
2 ブラックシェル 1 武豊 (栗) 松田国英 クロフネ ウイニングチケット
3 タケミカヅチ 7 木幡初広 (美) 大江原哲 ゴールドアリュール マルゼンスキー
2007年 1 アドマイヤオーラ 1 武豊 (栗) 松田博資 アグネスタキオン Caerleon
2 ココナッツパンチ 6 吉田豊 (美) 大久保洋 マンハッタンカフェ Groom Dancer
3 ドリームジャーニー 2 蛯名正義 (栗) 池江泰寿 ステイゴールド メジロマックイーン
2006年 1 アドマイヤムーン 1 武豊 (栗) 松田博資 エンドスウィープ サンデーサイレンス
2 グロリアスウィーク 6 柴田善臣 (栗) 音無秀孝 スペシャルウィーク フレンチグローリー
3 ディープエアー 5 内田博幸 (栗) 池添兼雄 タイキシャトル El Gran Senor
2005年 1 ディープインパクト 1 武豊 (栗) 池江泰郎 サンデーサイレンス Alzao
2 アドマイヤジャパン 3 横山典弘 (栗) 松田博資 サンデーサイレンス Caerleon
3 マイネルレコルト 2 後藤浩輝 (美) 堀井雅広 チーフベアハート タイテエム
≫ページ先頭へ

■ 2012年回顧

前日の阪神・チューリップ賞で、春の牝馬クラシック最有力候補とみられていたジョワドヴィーヴル(父ディープインパクト)が完敗の3着に沈んだ。
これをマークするように進んだジェンティルドンナ(父ディープインパクト)も4着止まり。

一度負けたり、連から外れたからといって急に評価が下がるものではない。
引き続き有力候補として本番・桜花賞を迎えることになるが、それはライバルとの力関係のこと。
もうこの時点で、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、アパパネなど近年の3歳牝馬の春にはありえなかった「凡走」の記録が成績欄に残ることになった。
歴史の中では、早くもA級牝馬の資格は失ったに等しく、ごく平凡な候補にならざるを得ない。
そんなはずはない。あんなはずではなかった。そういうことを許さないからクラシックなのである。今年の牝馬路線は一転、波乱の危険大となった。

そして、注目の弥生賞。牡馬の場合は候補が並ぶケースが多いから、負けたからといって牝馬ほど評価急変にはならない年が多いが、
賞金900万以下で4着以下に沈んだフェノーメノ、エキストラエンド、メイショウカドマツ、ジョングルール、サイレントサタデーなどは、もう皐月賞にこだわってはならない。
ここでローテーションを詰めて皐月賞の出走権を取りに出て成功したところで、本番好走の可能性は著しく低いうえ、そのあとがなくなってしまう。

エキストラエンド(父ディープインパクト)はローテーションからして、ここでひと息入れたい。
フェノーメノ(父ステイゴールド)は、位置取りが悪すぎたこともあるが、現時点ではゴチャつく中山は合っていない。東京に目標を切り替えたい。

クラシック直前の重要なトライアル・弥生賞には、ちょっと不思議な本番・皐月賞との関係があって、
過去、今年のコスモオオゾラ(父ロージズインメイ)、3着したアーデント(父ディープインパクト)のように、5番人気以下の伏兵として権利を獲得して本番に出走した馬は、めったに本番で好走することはない。
能力を見逃されていたという馬はめったにいないとも言える。

ただし、2008年の3着馬タケミカヅチ(本番6番人気で2着)、2002年の3着馬タイガーカフェ(8番人気の本番2着)、1997年の3着馬サニーブライアン(本番は11番人気で1着)。
大波乱の皐月賞となった場合に限り、再び主役級になることはある。

権利を取りたい先行タイプが多かったためだろうか、レースバランスは「63秒1−60秒8」=2分03秒9。
あまり意味のない超スロー。
これに、明らかに内枠の馬有利の芝コンディションも重なり、外枠で好走したのはエキストラエンドだけ。
直線、突っ込んできたのも、そのエキストラエンドと、モタモタしているうちに行き場がなくなり仕方なく大外に回ったフェノーメノだけ。内の先行馬同士の上位独占だった。

コスモオオゾラは、気配絶好。
柴田大知騎手(34)の位置取りもスパートのタイミングも抜群だった。
本番でも今回と同じような少し時計のかかる芝なら侮りがたい印象を残した。
ただ、まったく同じように乗った共同通信杯がゴールドシップから0秒6差。
完全に切れ負けだったから、今回の快勝は評価アップの内容ではないと思える。

2着トリップ(父クロフネ)は、勝ったコスモオオゾラよりもっと隙のない位置取りで、「勝って下さい」と言わんばかりの流れ。
これでコスモオオゾラに1馬身以上も突き離されては、残念だが強調できない。
5歳トゥザグローリー(父キングカメハメハ)とはいとこの関係(母同士が全姉妹)。
似たタイプはまちがいなく、こちらは1800〜2000mもOKだが、あまりに切れない印象が残りすぎた。
アーデント(父ディープインパクト)はコスモオオゾラの直後。
コースロスもなく最高に乗っての3着は、やっぱりこちらも物足りなかった。

アダムスピーク(父ディープインパクト)は、最終追い切りで併せた前日のジェンティルドンナと共にそろって凡走。
体つきは決して悪くないと見えたが、やけに見栄えがする一方、体が硬く映った。
ディープインパクトの産駒でしなやかな動きに映らないのだから、あまり誉められたデキではなかったのだろう。
最高の位置にいて勝負どころで反応できなかったレース内容は相手が相手だけにきわめて良くない。

このスローでなぜかみんなが引っ張り合い。
能力全開に至らなかった馬が多いのは認めたいが、それにしても肝心のレースレベルが高くなかった。
光る一面をみせた馬がいないこの組は、皐月賞では良くて連穴の伏兵止まりだろう。

■ 2007年回顧

弥生賞のラップとレースをジックリ見ていて、もしかして今年の弥生賞は全体にややレベルが低かったかもしれない、と思ってしまった。

その理由が、中山2000mの、2コーナーから向う正面のラップにあります。
これが、今年の弥生賞のラップ。↓↓

12.3-10.6-11.6-12.8-12.5-12.6-12.9-11.8-11.7-11.7 2007弥生賞 良

問題となるのが、緑色の文字で示した部分です。

今年の弥生賞は、全体の走破時計が2:00.5、前半の1000が59秒8で後半が60秒7なので、それ自体は別に怪しいところなど全くないんですが、問題は、緑の部分、つまり2コーナーから向う正面のラップ。ここが、あまりに緩すぎるんですよね。この4ハロンが、なんと50秒8
栗東の坂路調教でさえ、これぐらいで走る馬は時々います。ここで、全馬しっかり脚を溜められた流れなんですが、それにしてはラスト35秒2はやや物足りないかな、という気がするんですよね。本番皐月賞が、道中こんなゆるゆるラップになることはほぼ考えられないですから、もしかすると今年の弥生賞は本番に直結しないパターンかもしれないですよ??


ちなみに、過去10年の皐月賞のラップが、これです。↓↓

12.3-11.3-12.0-12.1-12.3-12.0-12.2-11.8-11.7-12.2 2006良
12.1-11.0-11.9-12.2-12.4-12.6-12.5-11.8-11.4-11.3 2005良
12.1-10.9-12.3-12.2-12.2-12.5-12.0-11.6-11.3-11.5 2004良
12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8 2003良
12.0-10.9-12.1-12.2-12.0-11.8-11.7-11.7-12.2-11.9 2002良
12.5-11.5-11.8-12.3-11.8-12.2-12.4-12.4-11.5-11.9 2001良
12.4-11.0-12.0-12.5-12.3-12.7-12.6-12.3-12.0-12.0 2000稍重
12.5-10.4-12.5-12.3-12.4-12.2-12.4-12.1-12.1-11.8 1999良
12.5-11.2-11.8-12.5-12.4-12.0-12.2-12.6-11.9-12.2 1998良
12.3-11.7-12.0-12.8-12.3-12.0-12.4-12.3-11.6-12.6 1997良

このラップの紫の文字で示したのが、皐月賞の向う正面のラップですが、10年間の平均が49秒2。今年の弥生賞の50秒8と比べると、1秒6も違うんですよね。これはかなり大きな差です。

皐月賞というレースは、全体にやや速めの緩みないラップになりがちで、その流れを克服して最後になおかつ伸びる、という底力のある馬が勝つレース。
少なくとも、ラップを比べると、今年の弥生賞は皐月賞へ向けてのベストなリハーサルではなかった、という気がします。

ちなみに、ここの4ハロンが50秒8という記録は、過去15年の弥生賞のなかで、馬場を問わず、もっとも遅いラップでした。(その前は面倒なので調べてないデス。レインボーアンバーが勝ったドロドロの不良馬場とかがあるので、たぶんその年が一番遅いだろうとは思うんですが。)


インパーフェクト、サムライタイガースの先行で、スタートして、12.3 - 10.6 - 11.6 - 12.8 - 12.5で1000m通過59.8秒。

ココナッツパンチは、スタートして直線で一時前を行くアドマイヤオーラに乗りかかる素振りを見せるも、やや下げて11番手の内でじっと我慢して、1000m通過時点でも前にドリームジャーニー、メイショウレガーロを見る形でジワッと追走。直後にタスカータソルテ‥。

7F過ぎから、ノワールシチー、サムライタイガースがインパーフェクトと交わして流れが動き出す。
アドマイヤオーラも前を射程圏に入れながら加速を始める。後続も隊列変わらず追走。

直線を向いて、サムライタイガースが先頭に出たが、直後にアドマイヤオーラ武豊騎手、
その外から、ココナッツパンチが内のドリームジャーニーを抑えてアドマイヤオーラに襲い掛かる。ドリームジャーニーの内からは、メイショウレガーロ‥。

先頭のアドマイヤオーラにココナッツパンチが迫るがアドマイヤオーラも流石に簡単には交わされず、二の脚を使ってゴール。
しかし、一戦馬ながら、初コース、初距離、相手強化‥等の条件を楽にクリアしたあたりに素質とセンスを感じる。

レース後にパトロールビデオで見てみると、武豊のアドマイヤオーラの相当な斜行があからさまに映し出されていた。
アドマイヤオーラが左に斜行したため、ドリームジャーニーは前を詰められて、ココナッツパンチも鞭を入れていたのをやめて手綱を握り直す程に寄せられている。

しかし、4コーナー手前の位置取りから、外を回して伸びてきたココナッツパンチは、
スムーズな位置取りでロスなく抜け出たアドマイヤオーラと全く遜色無い競馬をしたと思っている。

アドマイヤオーラ自身、苦しくてヨレタのか、武豊騎手自体焦ってしまったのか判らないが、今日のレースで豊を焦らせるほどの存在であった事は確かだろう。


 ステップレースとするとかなり厳しい中身の2000mだった。勝ち時計の2分00秒5は、最近10年では04年コスモバルクの勝った年と並んで最速。それも例年以上の高速の芝というわけではなかったから、上位に食い込み皐月賞への出走権を確定させた3頭は、クラシック第一弾に向けてそれぞれかなり強気な展望ができる。

 ただ単に時計が速かったというだけでなく、レース全体の流れは前後半の1000mずつが(59.8-60.7秒)。弥生賞史上の中でもきわめてきつい流れ。中盤の3コーナー手前で少しラップが落ちただけで、最後の3Fは再びペースアップして「11.8-11.7-11.7秒」。レース全体のペースや、いわゆる展開に恵まれた馬が台頭できるバランスではなく、総合力と底力が求められた。ほとんど本番の皐月賞で展開されるのと同じような中身の濃い2000mだったろう。

 勝ったアドマイヤオーラは、前半から先行馬の直後の6〜7番手。武豊騎手がこの弥生賞で時おり見せる「可能性を探し求めるような」実験的なレース運びではなく、珍しく正攻法の位置取りだった。最初から正攻法で、作戦を用いることなく初の2000mを2分00秒5で快勝した自信は大きい。

 仕上がりやレースへの対応力が鋭敏すぎ、また、途上の状態でも勝ってしまうことが多いから、反動や活力のロスが大きく、ときにその産駒は早熟ではないのか…とか、底力や総合力に疑問符のつくことも珍しくなかった種牡馬アグネスタキオンの産駒は、土曜日のダイワスカーレットとともに、本当は決してそんなことはないことを示したともいえる。

 本馬場に入ったアドマイヤオーラは、落ち着き払っていた。初めての中山コースをしばらくのあいだ見渡して、確かめて納得してから、キャンターに移っている。ゴール寸前、ココナッツパンチに並ばれそうになって、重心を低くするようにもう一回伸びた。迫力で圧倒というタイプではないから凄みはないが、少なくとも軽いマイラーではない。

 2着のココナッツパンチのストライドは、しなるように力強く、かつ鋭い。新馬戦とはまったく異なる厳しいペースで、いきなり相手格段に強化の初の2000m。それも外を回ってクビ差2着。やがては世代のトップの一頭にも立とうかという素晴らしい才能を示した。きついレースを強いられての3戦目が皐月賞となるローテーションは厳しいが、反動さえなければ皐月賞はもちろん、ダービーでは最有力馬の評価だろう。

 ドリームジャーニーは直線に向いたところで、そのココナッツパンチに寄られたというより、押し込められるように進路が狭くなってしまった。朝日杯とは違って中団でレースを進める自在性をみせたが、今回も416kgの馬体重にとどまった小型馬の弱み(それが逆に鋭さを生むのだが)、両脇にライバルのいるような形は苦しかった。朝日杯と同じようにバラけないとみたら外を回る必要があるかもしれない。


12.3-10.6-11.6-12.8-12.5-12.6-12.9-11.8-11.7-11.7=2'00"5
1着(4)アドマイヤオーラ6-6-6-5(34.8)
2着(8)ココナッツパンチ10-10-11-10(34.4)0.0
3着(7)ドリームジャーニー9-9-9-9(34.9)0.3
4着(2)メイショウレガーロ10-10-9-10(35.0)0.4
5着(5)サムライタイガース2-2-2-2(36.2)1.0

テン3F34.5-中盤4F50.8-上がり3F35.2」はテンが相当速く、中盤は結構緩み、上がりは例年並み。具体的には、テン3Fは過去10年で最も速く、中盤4Fは過去10年で最も遅く、結果として走破時計は過去最速タイ。・・・位置取りを勘案した評価・格付けが最も難しいパターンだな。ざっくり言うと、
「テンが速い」→「逃げ・先行不利、差し・追い込み有利」
「中盤が緩む」→「好位・中団不利、逃げ先行・追い込み有利」
といった感じ。両者の合わせ技で追い込みが極端に有利になったのは間違いなさそうだが、中山のコース形態と開幕2週目を勘案すればその有利度合は少し減るかも。
上位馬で一番後ろから行ったココナッツパンチが一番恵まれたが、3・4着馬との着差を考えればキャリア2戦目でこれは立派。あとは「本番の流れをどう読むか」と「中盤速くなって減じる上がりの切れをどう見立てるか」の合算を人気(オッズ)と突き合せる作業になりそう。
3・4着のドリームジャーニー・メイショルレガーロも、前者には「休み明けで調整もイマイチ」、後者には「出負けしてチグハグな競馬」というハッキリした敗因はそれぞれあるので巻き返しは望めそう。とはいえ、前者は「流れは完璧に得意な範疇だった」にしてはあまりに完敗だし、後者は「結果的に後ろから行ったのは恵まれる要素でもあったのに、緩んだ中盤で動けずに4角でも置かれ気味」というG1を勝ち負けしようというにはお粗末な挙動だっただけに、そう強くも推せないのが苦しいところ。
・・・とここまで考えると、このレースではやはりアドマイヤオーラを抜けて高く評価せざるを得ないなあ・・・悔しいがw。
バランスよく底力が測られた京成杯、お行儀の良い折り合いと上がりを競った共同通信杯・きさらぎ賞、テンのスピードと一瞬の切れを試された弥生賞。現状は混沌としているが、スプリングSの流れ次第では、上位評価を一気にスプリングS組で固める可能性もある。皐月賞戦線はまだまだ面白くなりそうだ。

んで。
アドマイヤオーラの評価についてここまで考えてきたが、正直、私自身現状2つの考えの間で揺れている。
(A)本番で中盤が例年通りかそれ以上に流れればパフォーマンスが数段落ちる可能性はあるが、弥生賞での評価がこれほど抜けていれば、厳しい流れでも少なくともこのメンバーとは互角以上の結果が保障されているのではないか
(B)「テンのスピードと上がりの一瞬の切れを試された」というキャプションはマイラーとしての資質を試されたと言ってよく、一流マイラーであるのは間違いないが、中距離で底力勝負になれば(皐月賞のデフォルトは中盤4Fが弥生賞より2秒近く速くなる)、発揮できる性能は雲泥の差となるのではないか


弥生賞(中山10F/G2)
07:12.3-10.6-11.6-12.8-12.5-12.6-12.9-11.8-11.7-11.7 =2'00"5
34.5-50.8-35.2/アドマイヤオーラ(中)→ココナッツパンチ(追)
06:12.4-11.3-12.5-12.6-12.4-12.0-12.7-12.3-11.7-11.6 =2'01"5
36.2-49.7-35.6/アドマイヤムーン(追)→グロリアスウィーク(中)
05:13.0-11.9-12.5-12.3-12.5-12.6-12.5-11.6-11.4-11.9 =2'02"2
37.4-49.9-34.9/ディープインパクト(追捲)→アドマイヤジャパン(先)
04:12.6-11.8-12.1-12.2-12.2-12.3-12.5-11.6-11.3-11.9 =2'00"5
36.5-49.2-34.8/コスモバルク(先)→メイショウボーラー(逃)

流石はG2。トライアルといえば「折り合って切れ味勝負の着狙い」って気もするが、このレースは例年中盤4Fが50秒を切る、それなりに緊張感ある流れがデフォルト。それで言うと、今年は全体の時計は例年になく速いのに中盤は緩く、特にテンが速い「中弛み」。
位置取りとしては明らかに追い込み向きで、テンで無理せず中盤溜めて上がりの偏差を爆発させた2着ココナッツパンチは完璧に展開が嵌った。勿論2戦目でこの競馬が出来たのは実力ゆえだが、中盤速く流れても同様の切れを示せるかどうかには疑問が残る。決して展開上有利ではなかった横綱相撲であっさり抜け出したアドマイヤオーラは、どう転んでも高い評価を与えざるを得ない。勿論、「中盤緩んで上がりが速い」ラップだけしか経験せずに本番を迎えるだけに、同じ舞台でもその逆(中盤速く上がり掛かる)になった場合にその性能がそのまま発揮できるかどうかは別の話だが。


 弥生賞はアドマイヤオーラが快勝した。だが、今ひとつスッキリしない点がある。それは、直線で斜行してドリームジャーニーをジャマしたことだ。アドマイヤとともにココナッツパンチも審議の対象になったが、ココナッツはアドマイヤにぶつけられてヨレたので、本当にヤバかったのはまさにアドマイヤのほうだったのである。
 ただ、審議の最中も、アドマイヤが失格なることは絶対にないと確信していた。もし、失格・降着にでもなれば、「ラジオNIKKEIのフサイチホウオーはどうなのか」と、アドマイヤをはじめ関係者やファンが大騒ぎするのは間違いないからだ。また、ドリームジャーニーの池江寿調教師は、武豊と同級生の大仲である。そもそも、審議の対象馬はともに社台系で、池江師が大お得意先の勝利にチャチャを入れるはずがないのだ。
 このように、社台系の馬は審議にも強いのである。エリザベス女王杯で降着処分を受けたカワカミプリンセスが、日高の零細牧場のオーナーブリーダー・ホースであることを考えれば、政治力の恐ろしさを実感せざるを得ない。  

≫ページ先頭へ