■ 異系の特徴
異系がどの系統を指すかは、微妙な所もあるんですけど、ここではターントゥ、レイズアネイティヴ、ノーザン、ナスルーラ系以外と規定します。
それに該当する系統で、今日本で走っている主な所と言えば、
■ 異系の効果について
異系がどの系統を指すかは、微妙な所もあるんですけど、ここではターントゥ、レイズアネイティヴ、ノーザン、ナスルーラ系以外と規定します。
それに該当する系統で、今日本で走っている主な所と言えば、
〔1〕 しぶとく、ハードな状況に強い
ハイペースや、かなり力の要る馬場、そして強行軍のローテーションや夏の暑さなど、シンドイ状況で力を出す・・・と言うよりも他が音を上げてしまう分浮上してくるのです。
ヒシミラクルがハイペースにやたら強いことは象徴的ですね。
ステイゴールドはサンデー産駒ですが、あの小さな体格はまぎれもなくサッカーボーイを出したディクタスによるものです。
彼も、スローの多い国内戦の展開では勝ちきれなかったのに、速めのラップで平均的に流れた海外遠征では強く、
しかもラストランでは奇跡の末脚を見せました。420キロから30キロ台なのに重い斤量も平気。
ナリタトップロードだって、阪神大賞典での驚異のタイム、勝ち方は3000m級のレースとしては極限のものでした。
万馬券の立役者となったトウカイテイオー産駒。トウカイブレーンは500万クラスに未勝利の身で2着。
ナチュラルナインは道営からの実質「格上挑戦」のような状況で勝ちました。
リボー系のタップダンスシチーは、有馬記念でファインモーションを競りつぶし、しかも自身もゴール寸前まで粘りました。宝塚記念では、唯一の前残りです。
ウォーニング産駒カルストンライトオは真夏の酷使に耐え、1000mで前代未聞の9秒8というラップを叩きだしました。
そして父ダンシングキャップ、母父シルバーシャークのオグリキャップの強靭さは日本競馬史上屈指のもの。
もちろん、異系の馬が全てタフだと言うつもりはないし、血統以外の後天的な要素で培われる部分も認めますが、
上級まで行く異系馬はかなりタフだと考えておいた方がよいと思います。そして主流の血脈に楔を打ち込んでいるという点で、
異系のオープン馬の能力も相当のものと評価すべきです。
〔2〕 ローカル芝に強い
これは、種牡馬としてのポテンシャルは、「異系」になってしまうほど見劣りするという、異系の「負の側面」の裏返し。
主流血統からの出走数が減るローカル芝は、この系統の稼ぎ場でもあります。
異系は個体数が少ない分、状況が揃ったらあれこれ考えずに狙っていくのも1つの手です。
〔3〕馬に活力を与える
吉沢譲治さんの「競馬の血統学」はぜひ一読して頂きたい名著ですが、ここで説かれているように、
異系血脈と言うのは主流の寄せ集めになり易い配合にスパイスとして機能します。
体質の丈夫さ、距離への融通性。
近年、社台がサンデー×母父異系の配合を意図的に増やしていたように見受けられるのもその効果を考えてのことでしょう。
また、一応といった主流に属するとは言え、ナリタトップロードやメイショウドトウの母父アファームド、シンボリクリスエスの母父ゴールドメリディアンなどは
主流の中の異系とも言える存在だと思います。こうした血も、完全な異系ほどではないにせよ、母父に入ってスパイス効果を出しているわけです。
こういった見解は全て「後付け」ではありますが、「後付け」を馬鹿にしては何事も絶対失敗します。「後付け」と笑う奴には「検証」という言葉を突きつけましょう。
血統はいくつかの成功例=モデルケースを念頭におくことが正解への近道となります。そのためには結果の当て嵌め・分析は不可欠です。
また、異系を持ち上げすぎという印象を持たれるかもしれませんが、上記のような長所を強く認識しておけば、
どういう時に狙えばよいか、切ればよいか、その輪郭がはっきりしてくるのです。
今回は個体数が少ない分イメージを持ちやすい異系を例に、そのことを言っておきたかったというわけです。
■ 大系統ハンプトン系
大系統ハンプトン系の血統の馬は人気しにくいが特定条件のレースで穴を空ける。元々少ないので憶えておくと良い。
・ハイペリオン系 …ホスピタリティー・タイテエム
・ファイントップ系 …サッカーボーイ・ゴーゴーゼット・ディクタス・ムービースター
・ハンプトン他系 …アイネスフウジン・ハイセイコー
大系統ヘロド系も同様。
・マイバブー系 …シンボリルドルフ・トウカイテイオー・メジロマックイーン
・ヘロド他系 …アルカング・インディアンリッジ・ダイタクヘリオス・ドクターデヴィアス・ノーリュート・ビゼンニシキ
■ 古馬の闘争本能による激走について
古馬の牡の脳には血統に関する自身の情報がインプットされている、と言われる。
脳幹からのテストロゲン(闘争本能ホルモン)の分泌が旺盛になると野生の習性により闘争本能が欠落する。
テストロゲンの分泌が旺盛となる時期は、繁殖シーズン(春秋)中。ただし3歳馬はまだ未熟なため分泌が始まらない。
よって、春秋GI時期の父系占有率の高い牡の古馬は種族保存の本能が必要ないため闘争本能が虚弱になる。
少頭数父系の種牡馬が輩出した産駒は多頭数ターントゥ系、ノーザンザンサー系の産駒に対して、異常なまでの闘争本能を燃やす。
古馬のターントゥ系サンデーサイレンス産駒が勝ちきれないレースが多いのは、以上の理由によるもの。
SSの直孫バブルガムフェロー、ダンスインザダーク、フジキセキも同様の傾向が見られる。よくて入着まで。
従って狙いは、ターントゥ系・ノーザンダンサー系が多く出走している古馬春秋の少頭数父系種牡馬輩出産駒
つまり、父系種牡馬が
@ ハンプトン系 サッカーボーイ産駒
A マンノウォー系 ウォーニング産駒
B ブレイヴェストローマン系 カリスタグローリー産駒
など。
実績例としては、
○ ハンプトン系サッカーボーイ産駒ヒシミラクル(天皇賞春・宝塚記念)
○ プレザントタップ産駒タップダンスシチー(有馬記念2着)