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キングカメハメハ

■ 特徴

■ 解説

 キングマンボからは1600からの一流馬も、2400からの一流馬もいるが、
 母系はブレイクニーや、ミルリーフなど、重厚な血統が多く、ミスプロ系特有の素軽さはない。

 母父サンデーなら切れるだろうし、牝馬はマイラー中心だとしても、牡馬はジリな2500タイプや、ダート1800タイプも出るだろう。

 「雨のキングマンボ」だから道悪は得意なはず。

 ハイペースの東京優駿を押し切った本馬を、管理した松田国英は
 「ハロン11秒台のラップをいくつも続けられ、そのどこかに10秒台のラップを織り交ぜることができる馬です。」と語っている。
 また、主戦騎手の安藤も「あのダービーはベストの騎乗とはいえないはずでしょう。
 普通に強いのであれば、後ろから来たハーツクライに飲み込まれていたところですからね。
 どう乗っても、誰が乗っても勝てるほどの馬だったんですよ。」という評価を与えている。

 2009年、アパパネが阪神ジュベナイルフィリーズを制しGI(JpnI)初勝利を挙げると、翌週の朝日杯フューチュリティステークスもローズキングダムが制し、
 史上初めて産駒が同一年で両2歳GIを制覇するという快挙を成し遂げる。
 またローズキングダム、アパパネがそれぞれ最優秀2歳牡馬、最優秀2歳牝馬に選出され、
 優駿賞当時にライジン、テスコガビーが選出されたテスコボーイ以来35年ぶりとなる、同一年度に牡牝のJRA賞最優秀2歳馬を出した種牡馬となった。
 この2頭の活躍もあり、2歳馬獲得賞金が4億円を突破、種牡馬デビューから2年連続で2歳リーディングに輝いた。いずれもサンデーサイレンス以来の快記録。


キングカメハメハ産駒の2000m

 キングカメハメハの産駒は、昨年の朝日杯FS、阪神JFと両方の2歳GIを勝利した。そして先週も、京成杯もキングカメハメハ産駒のアドマイヤテンクウが勝ち馬とはハナ差の2着と、勢いは続いている。

 京成杯は2000m重賞だったが、実はキングカメハメハの産駒は、1800mと2000mでは競走成績に大きな差が出ている。

 昨年の6月21日から先週までの期間に、芝1800mでは28勝を上げ、勝率は15%、複勝率は36%の成績を収めている。対して芝2000mでは、11勝で勝率は7%。複勝率も20%に下がる。

 1〜3番人気限定の成績を調べても、芝1800mは勝率26%、連対率41%、複勝率58%に対して、2000mでは21%、26%、38%に成績が落ちる。

 もちろん、2000mでも11勝しているのだから、産駒が必ず2000mで負けるわけではないし、先週の京成杯も、2000mだからとアドマイヤテンクウを消せば、連複馬券はハズれてしまう。

 だが、2000mでは人気のキングカメハメハ産駒は信用しない、あるいは馬券対象からハズれることで、妙味が発生する馬券を狙っていくスタンスの方が、トータルでは得をすることが多くなるのではないか。


キングカメハメハのバイアス

 オークスはアパパネとサンテミリオンが1着同着。ゼンノロブロイ産駒は1、3、4着と上位を独占した。


 前日予想では上位3頭は高速馬場の適性が高いとして評価を下げたが、重い馬場で見事に上位を独占されてしまった。

 アパパネの父キングカメハメハとゼンノロブロイは、ミスタープロスペクターの血を持つ共通項がある。

 ミスプロの血といえば、ダート、下級条件に強いことが特徴であったが(今でも強いが)、最近はGIレースでも存在感を示している。

 皐月賞馬のヴィクトワールピサ、天皇賞・春3着のメイショウドンタクはいずれも父がサンデー系で母父はミスプロ系のマキャベリアン。

 NHKマイルC・2、3着のダイワバーバリアン、リルダヴァル、そしてオークスの3着のアグネスワルツもすべて父がサンデー系で母父はミスプロ系という組み合わせだ。

 芝の上級条件、GIレースも、以前よりも米国的な流れ、軽さを求められる時代になっているためにミスプロ系が有利なバイアスになりやすいのかもしれない(個人的にはトレンドに乗れずに重賞レースをハズし続けている)。

 アパパネの父でもあるキングカメハメハの産駒は、もちろん能力は高いのだがこういった馬場、レースのトレンドにも乗れていることも、躍進している理由のひとつではないか。

 ところで、今年の芝重賞でキングカメハメハの産駒が馬券になったレースはオークスも含めて全部で10レース。このうち8レースは、父か母父がミスプロ系の馬が上位3頭のうち2頭以上を占めている。

 父か母父がミスプロ系の出走比率は全出走馬の25%程度だから、キングカメハメハが馬券になる際には、出走比率以上にミスプロ系の血の影響が強い馬が有利なバイアス(偏り)が発生している。

 ただし、この傾向は、ダービーではあまり役に立たないかもしれない。

 1、2人気が予想されるヴィクトワールピサは母父がミスプロ系のマキャベリアン。

 キングカメハメハ産駒から馬券を買うならば、血統を考慮しなくとも、ヴィクトワールピサが相手の中心になるのだろうから。


キングカメハメハ編 Part1

 キングマンボ産駒は体力と量を併せ持っていて、キングカメハメハはその中でも、突出して莫大な体力と量を継承した産駒だった。

 当然、その子供も、体力と量で押すのが基本となる。体力と量ではより体力に比重があり、闘争心や集中力という要素はそれほどでもない。とにかくスケールの大きさで押し切るか、それで押し切れないか、という単純明快な体力勝負を基本とする。

 フィフスペトルは差して朝日杯FSを2着し、ゴールデンチケットは先行して毎日杯を2着したように、前半か後半に体力を爆発させる乗り方がマッチする。

 器用さはないので中途半端な乗り方で揉まれると嫌がる。そういう体力キャラのために、弱い相手に強く、自分より強い相手には食い下がらないというのを基本とする。外枠や広いコースなど、気分良く力を出し切ると充分なパフォーマンスを発揮できる。

 このような体力タイプの常として、芝よりダートの方が走りそのものは渋太い。いかにブレーキを掛けないかが重要なので、ブレーキの必要がないダートの方が相対的にしぶとく見えるわけだ。

 こういう性格の場合、小回りより広いコースの方が向くのだが、スムーズに外マクりが効く相手、枠順なら、小回りも逆に競馬がしやすくなる。小回りのときは、余計に頭数、枠順、流れなどから、出入りの激しい流れになって揉まれる可能性のない条件で買いたい。逆に言えば、前走揉まれて駄目だった馬でも、揉まれずスムーズに走れる条件が揃えば、量があるが故に簡単に巻き返せるため、そういうときには穴になりやすい。

 量のある体力タイプの基本として仕上がりは早く、休み明けや新馬戦も揉まれにくそうな条件なら、人気薄でも注意したい。


キングカメハメハ編 Part2

 以前、キングカメハメハ産駒について書いた。量と体力で押すタイプということだった。そして揉まれ弱いので極端な戦法が良く、広いコースの方が向き、小回りなら外捲りが決まる条件がよいということだった。

 今週、ちょうど良いサンプルレースがあったので見てみたい。紫苑Sだ。

レース結果

 このレースには3頭のキングカメハメハ産駒が出ていた。2番人気ハウオリ、5番人気エオリアンハープ、10番人気ヴィーヴァブーケである。

 まず2番人気のハウオリ。前走は東京の12頭立ての11番枠。しかもスロー。揉まれない条件で好位差しを決めた。今回は16頭立ての10番枠。しかも中山の混戦。馬群に入ったら嫌がってアウトだ。実際、先行して集団に入ったので、6着と人気を裏切った。

 5番人気のエオリアンハープも前走が新潟の速い上がりのレースで1着。前走同様、中団で競馬をして揉まれればアウトなので危ない。しかし、16頭立ての外枠で、思い切って最後方からの競馬を選択した。そして追い込み競馬に嵌って3着に好走。冒頭に書いたように、揉まれない極端な競馬が合うというのは、まさにこのことで、ジョッキーが馬をよく理解して乗り、ちょうど展開も嵌った為の3着だった。もし、普通に好位から競馬をしていたら、凡走していただろう。

 最後の1頭、ヴィーヴァブーケは前走でエオリアンハープと同じレースに出てタイム差なしの2着。しかし、今回は13着。3着のエオリアンハープとは大きく差をつけられて終わった。それはヴィーヴァブーケが今回は内枠で、しかも中途半端に好位から競馬をした為に揉まれて嫌がったからだ。もし枠と、当日に選択した脚質が逆だったら、2頭の結果も逆になっていただろう。

 何れにせよ、ヴィーヴァブーケは思い切った追い込み戦術で走っただけで、前走より揉まれる確率の高いキングカメハメハ3頭が危なかったことに変わりない。そこで携帯の前日予想では、そのキングカメハメハ産駒3頭の評価を落とすことで、6点目ではあったが、一応馬連の193倍をかすめ取ることが出来たのだった。

 ところで、ハウオリ、エオリアンハープ、ヴィーヴァブーケの3頭は前走500万からの出走と鮮度が極めて高い。この3頭はM的ステップとしては極めて優位なので、これが勝たないと分かることは非常に馬券では有効になる。

 実際、私が本命にしたのも同じ前走500万組のラインドリームだった。こちらはスペシャルウィーク産駒で、相手強化で揉まれることはマイナスにはならないわけだ。


キングカメハメハ編 Part3

 先週に続いてキングカメハメハ産駒の検証をしてみたい。

 9月第一週にちょうど人気で重賞に2頭のキングカメハメハ産駒が出ていたので見てみよう。


 まず、小倉2歳Sで1番人気だったサリエル。前走で1分08秒2という好時計勝ちを収めたので、1番人気に支持された。同馬は未勝利からの勝ち上がりで、その勝ち上がり方が、4着→3着→1着と徐々に調子を上げ、勝ち上がっていく形。これは2歳戦では非常によい形の臨戦過程だ。

 同じく未勝利を2着→1着と徐々に調子を上げて勝ち上がったのが2番人気ジュエルオブナイル。時計も1分08秒4と速く、2頭の臨戦過程は非常に酷似したものだった。しかし、私はサリエルではなく、ジュエルオブナイルを予想で本命にすることに躊躇はなかった。全く同じ臨戦過程でも、1番人気のサリエルの方は4番手評価とした。

 何故か?

 それはサリエルがキングカメハメハ産駒だったからだ。格上げ戦で激戦になって揉まれたときに危さがある。もちろん揉まれない位置取りで走れる可能性も否定は出来ないが、1番人気でその確率に賭けるのはリスクの方が大きい。
 
 逆にジュエルオブナイルは新種牡馬のデュランダル産駒。別にデュランダル産駒がどうのということではなく、新種牡馬は生命力があるので、揉まれても鮮度が高ければ我慢出来る。結局、その差が、ジュエルオブナイル1着、サリエル4着となって表れたのである。
 
 もう1頭は新潟2歳Sで3番人気に支持されたコスモセンサー。マイル戦を圧勝しての臨戦過程だった。鮮度が高く、マイルを勝ってきたのも、まだ疲れの残らない2歳重賞では大きなプラスポイントだ。しかし、前走がスローを逃げて勝ったのが少し気になる。もし、今回の方がペースアップしたら揉まれて嫌がる可能性が否定できない。

 結果、前走より前半が1秒以上速くなり、逃げられずに13着に惨敗。同じようにマイルを圧勝した臨戦過程だったフローライゼは15番人気2着、ギュンターは6番人気4着と共に人気以上に頑張った。同じ臨戦過程でのこの差は、能力ではなく、種牡馬の精神構造によるものが大きいということである。


■ 代表産駒