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中山記念(G2)

【中山記念・男の解の公式】
一貫ペース、前残り注意! AJCC、中山金杯からのステップは鬼門!
モデル馬=ローエングリン・バランスオブゲーム

■ 経緯

当競走の前身は、30年に創設された『内国産馬競走4000米』と、33年に創設された『中山5歳馬特別競走』。
36年に日本競馬会が設立された際、両レースを廃止し、各々の趣旨を受け継ぎ、中山競馬場・芝3200mのハンデキャップ競走として当競走が創設された。
創設当初は春・秋の年2回行われていたが、52年から秋の開催のみとなる。

その後、度重なる距離・開催時期の変更を経て、57年から1800mに変更、
また72年から2月下旬-3月上旬に移設されたうえ、負担重量を別定に変更され、現在に至っている(88年は東京競馬場・芝1800mで開催)。
これにより、当競走は春のビッグレースを目標とする実績馬と、力をつけてきた上がり馬が激突する伝統のレースとして定着している。

さらに近年では、当競走をステップに、3月末のドバイ国際競走、4月末のクイーン・エリザベスII世C(香港・芝2000m)に臨む馬も見られるようになった。
出走資格は、84年から混合競走に指定され、外国産馬に門戸が開放された。
その後、05年に国際競走となり、外国馬は4頭まで出走可能となったが、07年の日本のパートI国昇格に伴い、外国馬の出走枠が8頭に拡大された。

■ 波乱度

年度 馬場 1着 2着 3着 単勝 3連単 勝負
結果
人気 人気 人気
2012年 フェデラリスト 3 シルポート 7 リアルインパクト 4 6.4 930.9 ×
2011年 ヴィクトワールピサ 1 キャプテントゥーレ 4 リーチザクラウン 3 1.4 42.1
2010年 晴・不良 トーセンクラウン 13 テイエムアンコール 12 ショウワモダン 5 36.4 5349.4
2009年 雨・稍重 カンパニー 1 ドリームジャーニー 4 アドマイヤフジ 2 3.6 132.0
2008年 カンパニー 2 エイシンドーバー 7 エアシェイディ 1 5.2 261.5
2007年 ローエングリン 6 エアシェイディ 3 ダンスインザモア 5 17.0 551.1 ×
2006年 雨・重 バランスオブゲーム 6 ダイワメジャー 1 エアメサイア 4 15.4 348.4
2005年 バランスオブゲーム 4 カンパニー 2 アルビレオ 7 7.6 744.1
2004年 サクラプレジデント 1 サイドワインダー 3 ローエングリン 2 2.1 8.8(3複)
2003年 ローエングリン 1 バランスオブゲーム 4 ダイワジアン 9 1.8 66.9(3複)
2002年 トウカイポイント  8 トラストファイヤー 7 ラスカルスズカ 3 17.4 84.4(馬連)

■ ラップ

年度 馬場 1着 2着 3着 タイム ラップ
通過順 上3F 通過順 上3F 通過順 上3F
2012年 フェデラリスト 05-05-05-06 34.4 シルポート 01-01-01-01 37.1 リアルインパクト 03-03-03-03 35.3 1.47.3 12.8 11.8 11.4 11.4 11.3 11.6 11.8 12.0 13.2
2011年 ヴィクトワールピサ 10-09-08-06 33.9 キャプテントゥーレ 01-01-01-01 34.9 リーチザクラウン 09-09-10-10 34.0 1.46.0 12.8 11.5 12.0 12.2 11.6 11.4 11.7 11.1 11.7
2010年 晴・不良 トーセンクラウン 12-12-09-06 37.3 テイエムアンコール 11-11-09-14 38.1 ショウワモダン 12-13-09-04 38.1 1.51.7 12.6 11.7 12.3 12.2 12.1 12.6 12.6 12.8 12.8
2009年 雨・稍重 カンパニー 02-02-02-02 34.9 ドリームジャーニー 09-07-08-07 34.2 アドマイヤフジ 03-03-03-02 34.9 1.49.2 13.1 12.1 12.5 12.1 12.1 12.2 12.0 11.3 11.8
2008年 カンパニー 03-02-02-02 34.9 エイシンドーバー 07-07-06-03 34.2 エアシェイディ 10-10-12-08 34.1 1.47.3 12.6 11.5 12.0 11.8 11.8 12.3 12.2 11.5 11.6
2007年 ローエングリン 01-01-01-01 36.0 エアシェイディ 16-14-12-12 34.9 ダンスインザモア 14-16-16-16 34.5 1.47.2 12.9 11.7 12.0 11.6 11.3 11.7 11.7 11.4 12.9
2006年 雨・重 バランスオブゲーム 01-01-01-01 35.6 ダイワメジャー 02-02-02-02 36.3 エアメサイア 02-02-03-03 36.3 1.48.9 13.3 11.8 12.0 12.0 11.8 12.4 12.0 11.6 12.0
2005年 バランスオブゲーム 02-02-03-03 34.8 カンパニー 10-10-11-12 33.8 アルビレオ 03-04-04-04 34.8 1.46.5 12.6 12.2 11.9 11.3 11.2 11.8 11.9 11.7 11.9
2004年 サクラプレジデント 08-07-07-06 34.5 サイドワインダー 12-12-12-14 34.2 ローエングリン 01-01-01-01 35.7 R1.44.9 12.4 11.5 11.4 11.2 11.1 12.0 11.9 11.5 11.9
2003年 ローエングリン 01-01-01-01 36.3 バランスオブゲーム 03-04-04-04 36.0 ダイワジアン 03-03-03-02 36.6 1.47.6 12.8 11.7 11.9 11.6 11.5 11.8 11.8 11.9 12.6
2002年 トウカイポイント  10-09-09-05 34.3 トラストファイヤー 13-13-13-10 33.9 ラスカルスズカ 07-09-11-11 34.2 R1.45.4 12.7 11.6 11.4 11.3 11.3 12.1 11.7 11.4 11.9

■ 臨戦過程

年度 1着 2着 3着
前走 前走 前走
2012年 フェデラリスト 中山金杯 芝2000m 1着 シルポート 京都金杯 芝1600m 16着 リアルインパクト 阪神C 芝1400m 10着
2011年 ヴィクトワールピサ 有馬記念 芝2500m 1着 キャプテントゥーレ 天皇賞秋 芝2000m 13着 リーチザクラウン 京都金杯 芝1600m 4着
2010年 トーセンクラウン 白富士S 芝2000m 8着 テイエムアンコール 小倉大賞典(中京) 芝1800m 7着 ショウワモダン 根岸S ダ1400m 16着
2009年 カンパニー マイルCS 芝1600m 4着 ドリームジャーニー AJCC 芝2200m 8着 アドマイヤフジ 中山金杯 芝2000m 1着
2008年 カンパニー 東京新聞杯 芝1600m 4着 エイシンドーバー 京都金杯 芝1600m 7着 エアシェイディ AJCC 芝2200m 1着
2007年 ローエングリン 鳴尾記念 芝1800m 4着 エアシェイディ 東京新聞杯 芝1600m 2着 ダンスインザモア ニューイヤーS 芝1600m 1着
2006年 バランスオブゲーム 根岸S ダ1400m 11着 ダイワメジャー マイルCS 芝1600m 2着 エアメサイア エリザベス女王杯 芝2000m 5着
2005年 バランスオブゲーム マイルCS 芝1600m 8着 カンパニー 京阪杯 芝1800m 2着 アルビレオ 東京新聞杯 芝1600m 5着
2004年 サクラプレジデント JC 芝2400m 14着 サイドワインダー 東京新聞杯 芝1600m 4着 ローエングリン 天皇賞秋 芝2000m 13着
2003年 ローエングリン 東京新聞杯 芝1600m 2着 バランスオブゲーム 菊花賞 芝3000m 5着 ダイワジアン 東京新聞杯 芝1600m 7着
2002年 トウカイポイント  白富士S 芝2000m 4着 トラストファイヤー 東京新聞杯 芝1600m 5着 ラスカルスズカ 日経新春杯 芝2400m 6着

■ 血統

年度 馬場 1着 2着 3着
性齢 母父 性齢 母父 性齢 母父
2012年 フェデラリスト 牡5 Empire Maker サンデーサイレンス シルポート 牡7 ホワイトマズル サンデーサイレンス リアルインパクト 牡4 ディープインパクト Meadowlake
2011年 ヴィクトワールピサ 牡4 ネオユニヴァース マキャベリアン キャプテントゥーレ 牡6 アグネスタキオン トニービン リーチザクラウン 牡5 スペシャルウィーク シアトルスルー
2010年 晴・不良 トーセンクラウン 牡6 オペラハウス ダンシングブレーヴ テイエムアンコール 牡6 オペラハウス ブライアンズタイム ショウワモダン 牡6 エアジハード トニービン
2009年 雨・稍重 カンパニー 牡6 ミラクルアドマイヤ ノーザンテースト ドリームジャーニー 牡5 ステイゴールド メジロマックイーン アドマイヤフジ 牡7 アドマイヤベガ Be My Guest
2008年 カンパニー 牡5 ミラクルアドマイヤ ノーザンテースト エイシンドーバー 牡6 ヴィクトリーギャロップ クリスエス エアシェイディ 牡7 サンデーサイレンス ノーザンテースト
2007年 ローエングリン 牡8 シングスピール Garde Royale エアシェイディ 牡6 サンデーサイレンス ノーザンテースト ダンスインザモア 牡5 ダンスインザダーク リヴリア
2006年 雨・重 バランスオブゲーム 牡6 フサイチコンコルド アレミロード ダイワメジャー 牡5 サンデーサイレンス ノーザンテースト エアメサイア 牝4 サンデーサイレンス ノーザンテースト
2005年 バランスオブゲーム 牡6 フサイチコンコルド アレミロード カンパニー 牡4 ミラクルアドマイヤ ノーザンテースト アルビレオ 牡5 サンデーサイレンス ヌレイエフ
2004年 サクラプレジデント 牡4 サンデーサイレンス マルゼンスキー サイドワインダー 牡6 トニービン アフリート ローエングリン 牡5 シングスピール Garde Royale
2003年 ローエングリン 牡4 シングスピール Garde Royale バランスオブゲーム 牡5 フサイチコンコルド アレミロード ダイワジアン 牡7 ノーザンテースト デイクタス
2002年 トウカイポイント  セ6 トウカイテイオー リアルシヤダイ トラストファイヤー 牡4 サンデーサイレンス カーリアン ラスカルスズカ 牡6 コマンダーインチーフ ミスワキ

■ 2011年回顧

スペシャリストの距離とも形容さる「中山1800m」だが、
今回は4歳ヴィクトワールピサ(父ネオユニヴァース)が圧倒的な総合力の違いを見せつけた。
他をねじ伏せるように抜け出し、ドバイのAWトラック(タペタ)で予測されるスピードレースへの対応をテーマにした前哨戦を、
期待以上の迫力あふれる内容でクリアした。文句なしに強い。

父ネオユニヴァースは、同じM.デムーロ騎手とのコンビだった3歳3冠レースで燃焼し尽くしてしまった印象があるのと、
ここまでの代表産駒アンライバルド、ロジユニヴァース、ミクロコスモス…などが、
似たような過程を踏んでいるため、完成されるのが早いイメージがある。
しかし、完成度の早さ(母方のヨーロッパ血脈からくると思えるが)と、早熟性とは別観点のことであり、
4歳春を迎えたヴィクトワールピサは、現在、上昇一途の成長カーブを描いているように思える。
ネオユニヴァースの牝系ファミリーの代表馬には、ドバイワールドカップを制した種牡馬ストリートクライ(ゼニヤッタの父)がいる。
その母の父マキアヴェリアンは、たまたまヴィクトワールピサの母父だったりする。

今回、有馬記念と同じ馬体重512sだったが、それは角居厩舎らしい隙のない仕上がりというだけのこと。
研ぎ澄まされた印象はなく、少しイライラしていた返し馬の動きなど硬い印象もあったくらいだから、完調手前だったろう。
今年前半は、ドバイ遠征、さらには香港遠征を展望する4春の始動レース。
余裕残しは当たり前のこと。それでスケール、ランキングの違いをみせて圧勝したから頼もしい。

ヴィクトワールピサは、
上のアサクサデンエン(99、父シングスピール)も、スウィフトカレント(01、父サンデーサイレンス)も非常にタフだった。
かつ成長力もあった。
このあとさらにパワーアップも望める同馬は、現4歳世代の中で、さらに高い地点を極める代表馬に育ってほしい。

どの馬が主導権を握ってペースを作るのか難しかったが、すんなりキャプテントゥーレのマイペースが成立した。
キャプテントゥーレの先導になっては、最初からスローに近い流れは見えている。
前半は「12秒台」のラップが連続し、1000m通過は「60秒1」。
そこで後半「11秒4−11秒7−11秒1−11秒7」の高速ラップが刻まれることになったが、
なにせこの頭数だから差しタイプもヴィクトワールピサのように自分から動けばいいだけのこと。
展開の有利不利は小さな要素だった。

粘ったキャプテントゥーレは、さすが皐月賞馬、この形になればそうそう簡単には止まらないところを見せた。
このメンバーに入るとこじんまり…の印象はぬぐえないものの、
改めて右回りの、コーナー4回の1800〜2000mベストを示す結果となった。
いかにも伝統の中山記念に合う渋いタイプだったといえる。

個人的には、先行策に出るのではないかと思えたリーチザクラウンは、スタートに失敗したこともあって控える作戦。
このペースだから、当然のように行きたがるシーンもあったが、ヴィクトワールピサの内につける形でなだめることに成功。
1800mで差す脚が使えるかは陣営にとっても半信半疑だったが、上がり3ハロンの数字は勝ち馬に続く「34秒0」。
あと一歩でキャプテントゥーレをかわせる勢いだった。この距離で今回のようなレースを展開できたのは大きい。
上のクラウンプリンセスも大きなカベに当ったように見せながら、古馬になって変身している。
まあ、今回の離された2着争いではあまり強気になれないが、このあとのさらなる充実に期待したい。
5歳世代で、あのダービーを切り抜けて無事に残っている馬は少ない。本当はタフなのかもしれない。

上がり馬マルカボルトもスタートが誤算。この相手に後手を踏んでは仕方がない。
レッドシューター、リルダヴァルは、スローで先導するキャプテントゥーレに翻弄され、手もなくひねられたのだから、着順、着差以上に物足りない内容だった。
レッドシューターは歯がゆいほど勝負根性に欠ける。
また人気のリルダヴァルは、前回の小倉大賞典も、今回の中山記念も底力不足を否定できない内容なのが気になる。

好馬体のアロマカフェは、休み明けというよりまだまだ鍛錬不足。
古馬になったのだから、時には併せ馬でビシビシ追えるくらいのたくましさを身につけたい。
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■ 2007年回顧

好ダッシュで「中山記念」制覇のローエングリン  ◇久々の勝利は「何事もあきらめちゃだめ」の教訓

ローエングリンの重賞成績には、大きな特徴がある。
右回りと左回りで、成績に格段の違いがあるのだ。

昨年までローエングリンはJRAの重賞に32回出ているのだが、
それらのうち右回りで[32310]という成績を残しているのに対し、左回りは[01211]とただの一度も勝ったことがないのである。
平成16年の毎日王冠で、前半4ハロン47秒5というスローペースに恵まれ、
逃げて2着に残ったのが、左回りの重賞における唯一の連対例なのである。
左回りでは、どうもゴール前の詰めが甘くなってしまうタイプなのだ。

それだけに、ローエングリンが今年最初のレースとして選んだ中山記念に出てきたとき、
舞台が右回りだけに要注意かもしれないと考えたファンは少なくなかったと思う。

斤量は58キロで、ローテーションは2カ月半の休み明け。
この二つも、別段、問題はなかった。
平成15年のマイラーズCをレコード勝ちしたときの斤量は58キロだったし、
平成17年のマイラーズCを勝ったときは3カ月近い休み明けだったからである。
にもかかわらず、今回の中山記念でローエングリンは6番人気にとどまり、単勝が1700円もついた。
その理由はひとえに、最近の成績の不振にある。

ローエングリンは平成13年にデビューし、その平成13年から15年までの3年間(2〜4歳時)に、20戦して[8336]という素晴らしい成績を残した。
ところが、その成績が徐々に衰退していくのである。
平成16年(5歳時)は8戦して[0224]と未勝利。平成17年(6歳時)は5戦して[1004]。
マイラーズCを勝ったが、着外の4戦はすべてふたケタ着順だった。
そして昨年、平成18年(7歳時)は、9戦して[0018]と連対ゼロに終わっていたのである。

ローエングリンは、父シングスピールがドバイワールドC、ジャパンCなどGI4勝、母カーリングが仏オークスなどGI2勝を挙げている。
「ローエングリンはどこの国の、どこのセリ市に出しても、最高値がつくだろう」といわれたほどの良血である。
そのさしものローエングリンも、年齢的な衰えは隠しようがないというのが、昨今の成績だった。

しかし、休み明けで出た2月25日の中山記念で、ローエングリンはものの見事に逃げ切りを決めてみせた。
まるでフライングかと思えるほど、ゲートが開くタイミングとスタートダッシュのタイミングが合って、いきなり大きなリード。
にもかかわらず最初の1ハロンは12秒9というスローで、大きなリードをとれたことが最大の勝因だった。

長期の不振にあえいでいたのに、うまくいくときはこんなものという、典型的なレース。
世の中、あきらめちゃいけないという教訓かもしれない。

(サンデー毎日 2007年3月18日号)

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