■ 特徴
■ 解説
初年度からの好成績、ナリタブライアン、マヤノトップガン、サニーブライアンら
他のブライアンズタイム産駒の種牡馬から重賞馬は何頭か出ているものの目立った後継が生まれていないこと、
及び日本最大手の社台グループの社台スタリオンステーションに繋養される恵まれた環境などの理由から、
ブライアンズタイムの有力後継種牡馬として期待されている。
血統的にもノーザンダンサーやミスタープロスペクターを含まず、サンデーサイレンスを父に持つ牝馬とも交配が可能である。
加えてタニノギムレット自身が、ナスルーラやマームードといった名種牡馬と同じくムムタズマハルを牝系に持つ名牝系出身であることから、
ポストサンデーサイレンスの有力候補としても名前が挙げられている。
弾力性のある筋肉質の馬体が受け継がれている。
ベストは2000m以上の中距離戦も、上級馬はスピード競馬への適応をも示す。
広いコース、小頭数、平均した速い流れで持ち味を出す。ダートも巧い。
もっとも特徴が現れているのが競馬場別の成績。
勝利数・連対率ともに新潟芝がトップで、以下、東京・京都が続く。
広々とした直線、急坂のないコースでは存分に切れ味を発揮する。
逆に不振なのが中山の芝コース。
阪神は悪くないから、あの中山独特の、「小回り」、「スピードに乗りながら二の足を使う」競馬が向かないのだろう。
どこかで脚を貯めないとラストの瞬発力はつかえない。
そのため末脚武器の差し馬は展開の影響を受けやすい。
【アブソリュートとウォッカのファミリーライン比較】
アブソリュート | ウォッカ | |
母 | プライムステージ (父サンデーサイレンス) |
タニノシスター (父ルション) |
祖母 | ダイナアクトレス (父ノーザンテースト) |
エナジートウショウ (父トウショウボーイ) |
祖母の父は甲乙つけがたい感じ。
しかしそれ以上に、アブソリュートのボトムラインには、 ウォッカにはない母父サンデーサイレンスという大きなスケールがある。
現状の実績では格の差はあるが、アブソリュートはウォッカ以上の潜在スピード能力が秘められているかもしれない。
なお、スマイルジャックはアブソリュートとは母父サンデーサイレンスまでは同じだが、ボトムラインとしては上記2頭に見劣りする。
■ タニノギムレットは上級条件の流れに適性が高い
安田記念は、マル父(もはや死語になりつつあるが)のショウワモダンが1着。レース前はマル外、カク外(香港馬)が馬場も有利で、実力も上と予想しただけに完全な見立て違いだった。
また、3着のスマイルジャックもショウワモダン同様、昭和の頃から日本で繁殖をやっていた母系を持つのだが、それはさておき、父のタニノギムレットに注目したい。
タニノギムレット産駒は3週前に同じコースで行われたヴィクトリアマイルでも11人気のニシノブルームーンが3着に走った。
その後も、ゴールドアグリ(7人気3着)、スピリタス(惜敗に終止符の1着)と東京芝1600mではタニノギムレット産駒が立て続けに好走している。
今の東京芝1600mにタニノギムレット産駒が走るのは、馬場が向いていることもあるが、レースの流れも合う事と、1000万以上の上級条件のレースが多数組まれていることも大きいのではないか。
タニノギムレット産駒はクラスが上がるにつれて成績が上がる傾向の種牡馬だ。
08年からのクラス別成績を調べても、未勝利戦の勝率が7%、500万は8%、1000万は9%。複勝率も順に、20%、24%、27%とクラスが上がるにつれて成績は向上している。
したがって、今までよりも相手が強くなったり、道中のペースが今までよりも早くなった方がパフォーマンスを向上させる産駒も多い。
今の東京芝コースは高速馬場の影響も強く、特にマイル以下のレースは道中のペースが速くなる。
スピリタスが勝った湘南Sも1000mの通過タイムも、前走出走した1400mより早いタイムだったように、タニノギムレット産駒には理想的な流れだった。
湘南S レース結果
だからといって、今週もタニノギムレット産駒を買えば当たるほど競馬は簡単ではないような気もするが(たまたま当たるときもあるが)、今の東京芝の短距離以外にも、相手強化の激流になるほど力を発揮する血統を狙うことが有効なパターンのレースはいくらでも発生する。
たとえば、今週末のCBC賞も激流が得意な血統を狙ってみたいレースだ。
今年のCBC賞は京都の芝1200mで施行されるが、レースが荒れる時はスタミナ血統の差し馬が台頭する。
昨年末に同一コースで行われた京阪杯は3連単66万馬券となったが、7人気で勝ったプレミアムボックス、16人気で3着のヘイローフジはともに2桁位置取りの追い込み馬。
09年京阪杯 レース結果
父はアドマイヤベガ、キングヘイローと欧州の血を持ち、クラスが上がるほど期待値が向上する種牡馬の産駒だった。
こう書いた途端に、単調な先行決着になるのもよくあることだが、CBC賞も激流でこそ力を発揮する血統馬を買って楽しんでみたい。
■ 代表産駒