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高松宮記念(G1)

【高松宮記念・男の解の公式】 東京実績がある馬を狙え!特に距離短縮組。
モデル馬

内目の馬場の荒れやすい時期で、普段来ない馬が来るという特殊なレース事情がある上に、短距離なので荒れ傾向にある。
ペースは5ハロン終始11秒台のワンペースでラスト1ハロンは雪崩れ込みになりやすい。勝つ馬はこのパターン。
ただし、時期的に外差し馬場になっていることが多く、外からの差しが2、3着に突っ込んでくるという特徴もある。
また、層の薄いスプリント戦線ということもあり、距離短縮組の好走が目出つ。
「差し馬」「前走からの距離短縮馬」「SS系」「中〜外枠」

改修になった中京競馬場、東京コースに近くなった。
ということで東京実績がある馬が狙い。

■ 経緯・傾向

1967年から『中京大賞典』の名称で行われていた競走が前身で、1971年に高松宮殿下から優勝杯を賜ったのを機に改称し、『第1回高松宮杯』として行われた。
以来、2000mの別定戦として争われてきたが、1996年の短距離競走体系の改善に伴い、
その根幹競走として1200mの定量戦に変更されるとともに、GIIからGIに格上げされ、中京競馬場初のGI競走が誕生した。
また、1998年に競走名が『高松宮杯』から『高松宮記念』に変更となり、2000年からは施行時期を5月から3月下旬に移して行われている。
春の古馬スプリント路線の頂点を決める競走であると同時に、春のGIシリーズの始まりを告げる一戦でもある。

日付 馬場
状態
ラップ RPCI 勝負
結果
着順 馬名 人気 着差 補正 タイム 枠番 通過順 上り3F 斤量 斤量
体重比
120325 × カレンチャン
サンカルロ
ロードカナロア
100328 12.0-10.4-11.1-11.4-11.4-12.3 39.0 キンシャサノキセキ 1 -0.0 114 1086 3      07-06 34.6 57 11.3%
ビービーガルダン 6 0.0 114 1086 8      03-04 34.8 57 11.3%
エーシンフォワード 3 0.0 114 1086 8      09-11 34.5 57 11.8%
090329 11.9-10.3-10.9-11.5-11.4-12.0 38.0 × ローレルゲレイロ 3 -0.1 116 1080 7      01-01 34.9 57 12.2%
スリープレスナイト 1 0.1 115 1081 2      03-05 34.8 55 11.2%
ソルジャーズソング 15 0.3 113 1083 1      09-08 34.8 57 11.1%
080330 12.0-10.4-11.0-11.0-10.9-11.8 45.1 × ファイングレイン 4 -0.0 114 1071 2      07-07 33.2 57 11.5%
キンシャサノキセキ 5 0.0 114 1071 5      04-04 33.4 57 11.6%
スズカフェニックス 1 0.2 112 1073 1      16-14 32.7 57 12.2%
070325 12.0-10.6-11.2-11.4-11.8-11.9 40.5 × スズカフェニックス 1 -0.4 117 1089 4      07-05 34.6 57 12.3%
ペールギュント 13 0.4 113 1093 8      11-11 34.8 57 10.9%
プリサイスマシーン 2 0.4 113 1093 6      05-05 35.1 57 11.8%
060326 11.9-10.5-11.3-11.3-11.3-11.7 43.7 オレハマッテルゼ 4 -0.0 115 1080 6      05-05 33.9 57 12.1%
ラインクラフト 2 0.0 115 1080 7      05-05 34.0 55 11.7%
シーイズトウショウ 3 0.3 112 1083 7      03-04 34.4 55 11.6%
050327 11.8-10.3-11.2-11.4-11.6-12.1 38.1 アドマイヤマックス 4 -0.4 116 1084 8      07-07 34.6 57 11.8%
キーンランドスワン 6 0.4 112 1088 7      09-09 34.7 57 11.8%
プレシャスカフェ 1 0.4 112 1088 6      07-07 34.9 57 11.6%
040328 11.8-10.3-10.8-11.2-11.6-12.2 36.6 × サニングデール 2 -0.0 114 1079 2      11-11 34.2 57 12.8%
デュランダル 1 0.0 114 1079 4      17-17 33.6 57 12.4%
キーンランドスワン 8 0.2 112 1081 8      11-11 34.3 57 11.8%
030330 11.9-10.3-10.7-11.2-11.9-12.1 35.7 ビリーヴ 3 -0.2 116 1081 1      03-02 34.9 55 11.7%
サニングデール 2 0.2 114 1083 8      07-07 34.5 57 12.8%
リキアイタイカン 10 0.4 112 1085 7      12-12 34.2 57 11.6%
020324 11.8-10.2-10.9-11.5-11.7-12.3 34.4 ショウナンカンプ 3 -0.6 119 1084 3      01-01 35.5 57 11.8%
アドマイヤコジーン 2 0.6 113 1090 5      02-02 36.0 57 12.3%
スティンガー 4 0.6 113 1090 8      18-17 34.6 55 11.6%

馬場(直線距離、坂等)が一変してのレースとなりましたので、過去のレース傾向からのアプローチよりも、直近のレース傾向からアプローチした方が良いでしょう。

 ・基本的に外枠有利=勝ち馬は内枠にもいますが、2着馬は13番〜18番枠
 ・脚質は、逃げ不利(0−0−1−5/6)
 ・血統的にはサクラバクシンオー産駒2勝、その他、ダート適性のある種牡馬の産駒が好走
 ・距離短縮組が好走

■ 左回り未経験馬は消し

過去10年左回り未経験馬は馬券に入っていない。

■ 5、6歳が強い!

高松宮記念に出走した馬を年齢別に分類してみると、5歳馬と6歳馬の成績がとてもよいことがわかる。
4歳馬の成績がいまひとつなのは、GIというのは若さだけではなく、それなりの経験が必要であることを示しているのかもしれない。
また、7歳以上のベテラン勢も大苦戦。延べ27頭が挑戦して3着以内に入ったのは、2001年のブラックホーク(2着)だけだ。

■ サクラバクシンオー産駒で読む高松宮記念週の中京芝1200m

サクラバクシンオー産駒は、今年も芝1200mで最多の5勝。
複勝回数は25回と、全体の15%を占める。
(異常に2〜3着が多いのにも理由があるが、これを詳しく考察すると、それだけで終わってしまうので、別の機会に譲りたい)
サクラバクシンオー産駒の特徴は、軽快すぎるほどのスピードにある。
血統ビームではスピード突出型種牡馬で特徴が明快であり、馬場ビーム(馬場状態)を測るテストホースとしても貴重な存在だ。

今開催の中京芝1200mは1〜3日目と4日目以降で、馬場の特性が微妙に変化している。
まずは1200mのサクラバクシンオー産駒の成績を見ると、1〜3日目は14頭出走して、2勝、3連対、
複勝回数6回で複勝率は43%。単勝回収率は145%。
複勝回収率は134%だった。ファルコンSもサクラバクシンオー産駒が1〜3着を独占したのは記憶に新しいところだ。

そして4日〜6日目は、サクラバクシンオー産駒の成績が急落する。
10頭が出走して勝ち馬、連対馬はゼロ。
かろうじて3人気以内の2頭が3着に2頭入っただけだ。
1人気のサクラバクシンオー産駒も3頭出走したが、3着が1頭だけで、2頭は馬群に沈んだ。
小倉の芝1200mのコラムでも書いたが、このようなバクシンオーが跳べない、
沈む馬場になって浮上するのは、パワーホース、スタミナホースである。

パワーホース、スタミナホースの定義は、簡単にいえば前走で今回より長い距離(1300m以上)を使っていた馬、
血統的には欧州指向、ダート指向の強い血統などが挙げられる。
今開催の中京・芝1200mで、前走1300m以上を使っていた馬は1〜3日目は、36頭出走して1頭しか2着になっていない。
ところが4〜6日目に前走1300m以上を使っていた馬は、41頭が出走して2勝、4連対、複勝数6回。複勝回収率は128%を記録した。

6日目のメインレース、トリトンSで14人気で2着に激走したコレデイイノダの前走はダート1700m出走馬。
5日目のメインレース鈴鹿特別で11人気で3着に激走したナイススマートワンの前走もダート1400m。
今回より長い距離、力の要るダートを走っていた、パワー、スタミナホースである。

月が沈めば、日は昇る。パワー、スタミナホースとバクシンオーは月と太陽の関係。

今週は最終日に高松宮記念が行われる。
もしかすると、最終日に備えて馬場を整備される(スピード指向に多少戻される)かもしれないが、
メインレースになれば馬場も消耗されること、
またレースレベルが上がるほどスタミナ、パワーホースが走っていることを考えると、
高松宮記念も芝1600m実績馬、近走でマイル前後を走っていたスタミナ指向の馬が走りやすい状況になると考えられる。

■ 高松宮記念と相性の良いSS、相性の悪いサクラバクシンオー

高松宮記念(以前は高松宮杯)がG1になったのは1996年のこと。
既に11回がG1として行われたが、それを前後半に分けると、決定的な違いがあることに気付く。
それは、外国産馬が強かったか、そうでないか、という違いだ。

01年までの6回における連対馬のべ12頭のうち、外国産馬は7頭。
97年と98年はマル外のワンツーフィニッシュになっている。
98〜99年あたりはそもそも出走馬に占める外国産馬の割合が高く、
98年は出走16頭中10頭(他に取り消し1頭)、99年は16頭中12頭がマル外だった。
一方、06年におけるマル外は、18頭中2頭のみ。
05年は3頭だった。マル外というものが質量ともに低下しており、
それが「なんとなくスプリント界のレベルが下がっているような気がする」という感覚に繋がっているようにも思える。

ちなみに、01年以降の連対馬は1頭を除きすべて4番人気以内なのだが、その唯一の例外もまた、マル外のキーンランドスワンだった。
こうして見ると、「機能するマル外」がいるかどうかはこのレースにおいて重要な意味を持つことが分かる。

さて、ではマル外の退潮と入れ替わりに勢力を増したのは何だったか?
普通なら内国産スプリンターの代表血統であるサクラバクシンオーあたりになるはずだが、
バクシンオーはなぜか3月の中京最終週芝1200m(高松宮記念だけでなく、全レースが対象)と相性が悪い。
実はショウナンカンプ(02年高松宮記念)が唯一の勝ち馬で、総合では(1.3.2.21)となっている。
マル外の勢いがなくなって得をしたのはサンデーサイレンスだった。
父として3勝2着2回、母の父として2着1回の計6連対を高松宮記念で果たしている。
今回も父、母の父両方の立場から有力馬を送り出しており、SSの血を無視した予想は立てづらいところだ。

○…サンデーサイレンス △…ヘイルトゥリーズン(サンデー父父) ×…以外
08年
1着ファイングレイン
父父サンデーサイレンス○
2着キンシャサノキセキ
父父サンデーサイレンス○
3着スズカフェニックス
父サンデーサイレンス○
07年
1着スズカフェニックス
父サンデーサイレンス○
2着ペールギュント
父サンデーサイレンス○
3着プリサイスマシーン
母父サンデーサイレンス○
06年
1着オレハマッテルゼ
父サンデーサイレンス○
2着ラインクラフト
母父サンデーサイレンス○
3着シーイズトウショウ
父サクラバクシンオー×
05年
1着アドマイヤマックス
父サンデーサイレンス○
2着キーンランドスワン(マル外)
父父ヘイルトゥリーズン△
3着プレシャスカフェ
母父サンデーサイレンス○
04年
1着サニングデール
父ウォーニング×
2着デュランダル
父サンデーサイレンス○
3着キーンランドスワン(マル外)
父父ヘイルトゥリーズン△

やはりサンデーの天下。
×はバクシンオーかウォーニングがきやすいが勝つまでは厳しい(02年バクシンオー産駒ショウナンカンプまで遡る)

なお、中京はバクシンオーが強いが、ピークは夏場で、開幕後半春の馬力の必要な中京スプリントはサンデーサイレンスの適性に合うらしい。

■ 高松宮記念は「差せる」レース

過去6回(時期移行後)の高松宮記念において、逃げて成功したのはショウナンカンプ(02年)ただ1頭。
先行タイプも[1-1-2-18]と、意外に粘れていない。

その代わりに活躍をしているのが差しに回った馬。
[4-4-3-44]で着外も多いが、連対率14.5%は先行馬より高い。

「高松宮記念はけっこう差せるレース」と認識しておくことは大切だが、ではさらにどのような条件で馬を絞っていけばいいだろうか?

まず、過去6回の高松宮記念では9番人気以下の連対馬が出ていない。
穴馬を生みやすい逃げ・先行タイプにそれほどの破壊力がないという前提で話が進んでいるわけだし、
ここは素直に、比較的人気のあるグループを取っておくべきだろう。

出走馬の上位半分ということで9番人気以内を条件にすると、差し馬の着度数は[4-4-2-20]。
回収率も単105%・複94%とだいぶいい線までくる。

もうひとつ重要なのは、本来先行タイプの馬が控えたというのではなく、もともと差し馬であったという点だ。

前走で4角3番手以内におり、かつ高松宮記念で差しに回って連対した馬というのは過去6年で3頭いる。その3頭とは……。

 ディヴァインライト=3歳時は差しどころか追込馬
 サニングデール=前走阪急杯は久々の先行
 キーンランドスワン=サニングデールと同様

つまり、前走がたまたま積極的な競馬になっていただけで、本職は差し馬だったということだ。

人気が上半分に入り、かつ差し馬ということになれば、候補はおのずと絞れるはず。
人気が上半分というと配当的な魅力が無いように見えるが、人気割れする今回ならそれなりにつくはずだ。

■ 2012年回顧

生まれ変わった新中京競馬場で行われたスプリント重賞。
発表は「良馬場」に回復していたが、
秋の中山のスプリンターズSや、これまでの高松宮記念とは大きく異なる
走破時計1分10秒3(前半34秒5-後半35秒8-最後12秒5)の決着だった。
1分07秒前後さえ珍しくない軽快なスピード決着とは、その中身が大きく違っていた。

ずっとこの開催と同じような芝コンディションで行われるとは限らず、
また、良馬場とはいえ再三雨にたたられた今季の新しい中京だから、
これまでとは一変のレースの中身になったともいえるが、
中山や東京、新潟に代表される高速の芝があれば、ちょっとタフな洋芝の北海道シリーズもある。
そして、めったに上がり3ハロン33秒台のフィニッシュなどありそうもなく思えた新中京の芝コースは、
海外のビッグレース遠征展望の適応性の確認など、
多様なコンディションのコースが求められる現在の日本の競馬場として、意味のある新コース誕生だろう。

カレンチャン(父クロフネ)の勝利は、そういう観点でも象徴的な勝ち星だった。
昨2011年の最優秀スプリンターというだけでなく、
これまでさまざまな日本のエース級が挑戦してもまるでレースにならなかった香港スプリントで差のない5着。
互角のレースをした馬である。

その香港スプリント挑戦からひと息いれて立て直し、オーシャンSをひとたたきして完調で臨んだのがこの1戦。
陣営の仕上げは完ぺきだった。
最近は必ずしも先行しないことが多いが、
「12秒2-10秒6-11秒7」=34秒5の前半は、
この日、直前の9Rに組まれていた1000万特別とまったく同一の前半3ハロン。
GIとすれば楽々のペースだったから、ロードカナロアも好スタートだったが、カレンチャンも苦もなく2〜3番手追走。
スキなしのポジションにおさまることができた。
この日、最終週の重賞レースでは良くあるケースだが、前週とは一変して内ラチ沿いが走りやすかった。
それでこのペース。
馬場を読んだ10番枠のカレンチャンもたちまちインに進路をとった。
池添謙一騎手の好リード、好プレーである。

先週の今週で、いきなり池添騎手を讃えるのは変に思われるかもしれないが、
好プレー、好判断を賞賛するのは当たり前のこと。
逆に、どうみても判断ミスと思え、とても誉められた騎乗ではない場合は、鞍上の不手際を指摘するのもまた当然のことである。
このあたり、こと日本の調教師や騎手と、報道するマスコミ陣と、
さらにはオーナーやファンのあいだには妙な歴史があり、陰でミスを嘆きながら、表立ってはなにも言わず、
また一方、騎手や調教師も、めったに自分のいたらなさや、判断ミスを認めることはなかった。
すべて馬や馬場やペースに敗因を探せばこと済んだ。

「わたしの騎乗があまりに愚かだった」とか、
評価を失わないためのいささかオーバーすぎる海外の著名騎手のレース後の釈明は、
それは日本のファンや関係者にはふさわしくないが、
近年は海外からの遠征騎手が一般的になったことも影響するだろう。
ペースや、馬場や、馬の幼さや気性だけをすべての敗因にするのではなく、
「あそこで動いて出ればもっといい結果が出たのは間違いない」
「ペースを読み違えてしまった。申し訳ない」など、騎手のコメントも明らかに変化している。
そうしないと、必然の乗り代わりが待っていたりもする。

プロだから、絶賛を浴びるレースもあれれば、
ときにブーイングや物足りなさを指摘されるのは当たり前のことである。
サッカーも、ゴルフも、野球も、バスケットボールも、各種の公営競技も、
アマチュアスポーツでなければ、それがごく当然の競技者側とファンの関係である。

陰での悪口はたわごとにすぎず、卑劣である。
たとえば、少し以前の信じがたい位置取りの「エリザベス女王杯」とか、
前がふつうのペースで行っているのに前半ちょっと離れすぎてしまい、
禁断の(必ず失速する)3コーナー手前からのロングスパートせざるを得なくなった「日経賞」とか、
先週のオルフェーヴルとか、
目に余ったケースは、自分の名前を出した上で、批評なり、
あれはミスではなかったかと指摘するのは、相手がプロであるから、当たり前のことである。

まあ、お金のかかっている競馬の場合、絶大な尊敬の対象が、
次の日は一転、わざわいの張本人になったりするから、騎手は非常に切ないところがある。
他のプロスポーツより、はるかに危険を伴う特別な職業でもある。
しかし、世界のどこにも、騎乗に批評を加えるのがタブーなどという未開の国はない。
賞賛の記事だけで固めた報道の紙面や、放送は、送り手のバレバレの虚言である。
幸い、わたしの周りには、批評と非難の本質的な違いを理解する人びとがいっぱいいる。(また、すこし脱線した)

サンカルロ(父シンボリクリスエス)は、やっぱり新中京はぴったりだった。
いつにもまして猛然と追い込んできた。
いざGIとなるとあと一歩が足りないのは能力というより、もう持ち味(キャラクター)なのだろう。
大きなクビ差だった。
今回の場合は、ペースがもたらした不利も大きい。
「34秒5-35秒8」=1分10秒3は、「34秒5-36秒4」=1分10秒9だった9R1000万特別とほとんど差がない。
そういう流れがちょっと不運だった。

人気の中心ロードカナロア(父キングカメハメハ)は、
初のGIでこの着差だから、あと一歩力及ばずといえばそういう結果だろうが、
あんまりみんな行かないものだから、好スタートゆえいつもの自分の得意の形ではなかったこと。
初の左回り、経験の乏しい直線の坂、多少なりとも急仕上げのきらいもあったこと。
当日、やや大人しすぎた気配など、小さな要因が重なった結果と思える。
勝者は同厩の先輩格カレンチャン。
乗り超えるべき相手は改めてはっきりした。
着差は約半馬身。
カレンチャンもまだ進化するかもしれないが、こちらはこれからも上昇あるのみ。
たちまち追いつくだろう。

一旦は先頭に並びかけたダッシャーゴーゴー、
初の強敵相手でありながら、バテなかったマジンプロスパー。
上位5着までに入ったのは、みんな上位6番人気までの高い支持を受けた馬ばかりだった。
1000万の特別とそう大きな違いのないレース内容は、
ランキングがまったく異なるGIのメンバーとしては、ちょっと物足りず、
GIらしくもっと厳しい白熱のレースが展開できた印象も残った。
しかし、だれでも走れそうな時計なのに、それでいて人気薄の台頭は許さなかったのだから、
こういうメンバーには、あまり軽い芝ではなく、少しタフな芝コンディションの1200mは必要なコースなのである。


サンカルロはパワー型の差し馬で、いかにも今の中京芝はピッタリの馬なのに、
短縮で前を捉えきれずに2着に終わった。
本質的な差し馬の短縮に関しては、勝ちきれないケースは常に念頭に置いて馬券を買った方がいい馬場と言える。
したがって、単勝ではなく買うのなら3連複のほうがいいだろう。

話は変わるが、以前サンカルロの話をしたとき、ゆいいつ芝1200mのGIで崩れたのが同距離の昨年のスプリンターズSだったと解説した。
あのとき陣営が「前走で1200mの流れに慣れさせたから、今までのGIより走りやすい」という旨の発言をしてズッコケたという話をしたわけだが、
私の原稿でも読んだのか(笑)、今回は阪急杯を使って短縮のステップをしっかり踏んできた。

馬にとって、これまでのレースで蓄積された記憶の連続が、いかに重要かということをサンカルロの成績は如実に物語っている。
ただ、ステップの取り方は理想だったのだが、
皮肉なことに中京の馬場自体が長めの距離の本質的な追い込み馬の短縮だと勝ちきれない仕様になっていたというわけである。
なんとも運がなかった。

■ 2010年回顧

スピード問われるラップ&馬場で、明暗を分けたハナ差決着

先週末は春のスプリントGI・高松宮記念が行われました。

一昨年のスプリントGIで春秋共に2着だったキンシャサノキセキが惜敗続きにピリオドを打ち、GI初制覇を達成。
一方2着のビービーガルダンは昨年のスプリンターズSに続くハナ差の惜敗で、僅かな差が明暗を分けました。

ちなみに私自身も「△→◎」で的中しましたが、本命が2着だったので、この「ハナ差」で意外と大きな実入りの差がありました(泣)。
悔しいので、たまにはハズレ馬券の方をUPしておきます。


◆高松宮記念(GI・中京6F)

2010年:33.5-35.1=1'08"6 (キンシャサノキセキ)
2009年:33.1-34.9=1'08"0 (ローレルゲレイロ)
2008年:33.4-33.7=1'07"1 (ファイングレイン)
2007年:33.8-35.1=1'08"9 重 (スズカフェニックス)
2006年:33.7-34.3=1'08"0 (オレハマッテルゼ)

※「テン3F-上がり3F」で表記、( )内は勝ち馬


火〜木曜にかなりの降水があった関係で、今年は例年よりやや掛かる馬場だったと言えそうです。
しかし例年内から荒れて行き、最終週の高松宮記念時点ではかなり「外差し馬場」へとシフトしていたのに対し、
今年は比較的内が硬かった模様で、土日通じて内を捌いた先行馬が残る馬場でした。

このため、今年は例年より上がりが掛かりながらも、追い込みまでは届かないという微妙な設定で、スピードがモノを言うレース。
その結果「マイルも走れる差し馬」が3・4着(エーシンフォワード・サンカルロ)までに留まり、
スプリント適性に秀でた2頭(キンシャサノキセキ・ビービーガルダン)がワンツーを決めました。

1・2着の差は「より前で運びながら4角で外に膨れたビービーガルダンと、
その後ろでジッとしていて内を突いたキンシャサノキセキ」という挙動の差が決めた僅かなもので、
恐らくこのまま行けばスプリンターズSでも好勝負が演じられるでしょう。
ドバイゴールデンシャヒーンで4着と激走したローレルゲレイロを交えての三つ巴の決戦が、今から待ち遠しいです。
しかし3・4着馬にとっては「前半下り坂で、これよりテンのダッシュが問われる中山」はやや忙しく、秋はむしろマイルCSの方が適鞍かもしれません。

これ以下の組で巻き返しの要素を探すと、「先行しながら直線は外を回した」馬が展開的に最も不利だったと言えそう。
その意味では12着エーシンエフダンズや17着グランプリエンゼルは、共に着差も1秒以内ですし、近々巻き返しのチャンスがあって良さそうです。
着順が大きいので次走いきなり人気になるとは考えづらく、マークしておいて損はないでしょう。

■ 2007年回顧

今回の高松宮記念は、本当に考察してきた内容がはまった気がします。

まず勝ったスズカフェニックスですが、これは考察でも述べたように前走の阪急杯でのレースぶりから、
前走後すぐにここでの本命馬と決め付け正解でした。

阪神芝1400であの最後方の位置から、しかも大外を通ってタイム差無しのレースをした時点で、
プリサイスとの順位付けは本番では逆転していました。

そして中京の馬場傾向、そして雨の影響をどう読むかでしたが、
第1回中京開催の前半と後半では好走する血統、馬枠番、脚質が例年どおり大きく変化
(バクシンオーからヘイロー系、内から外枠、逃げから差しへ変化)してきたこと、
雨の影響は差し馬にとって有利というデータなどから、スズカフェニックスは、私にとって更に自信の本命となりました。

あとは相手探しだけだったのですが、これは予想のところにも書きましたが、
高松宮記念の馬券を考える上でのセオリーであり、
今日の馬場傾向でもぴったりの「差し馬」、そして「前走からの距離短縮馬」、
予想の欄には既に皆さんご存知なので書きませんでしたが血統的には「SS系」という要素から選びました。

「差し馬」「距離短縮馬」「SS系」そして「外枠」と全てにペールギュントは当てはまりましたので、
今回はたまたま上手く引っ掛けることができました。
(質問で5番は何故とありましたが、これはシルクロードSで紐に狙ってみて結構楽しませてくれましたので、今回も紐に加えました。
1度狙った馬は基本的に追った方が馬券的に良いという経験則からです。
今回は惨敗でしたが、どこかで穴をあけそうだなと思って狙い続ける予定です。)

予想内容から振り返りましたが、レース内容も簡単に振り返りますと、
スズカフェニックスは心配されたスタートも良く、
早めに中団外目の7番手くらいにつけ、この時点でほぼ勝ちが見えました。
考察で騎手のデータを掲載しましたが、やはり武豊騎手は、差し馬での中京芝1200の騎乗は完璧ですね。

そのほかでは、プリサイスマシーンは良く頑張りました。
考察でも書きましたが、最終追い切りも意欲的なもので、
ここに向けしっかり仕上がっていたからこその馬券圏内確保だったのでしょう。
勝ち馬とは切れ味の差がでてしまいましたね。

惜しかったのは、メンバー中最速の上がりをマークしつつ4着に突っ込んできたビーナスラインです。
ここ数戦不完全燃焼の競馬が続いていて、
最終追い切りがかなり意欲的だったことから穴馬で狙ってみたのですが、やはり平坦は走りますね。
次走も要注目です。

人気の一角のシーイズトウショウですが、一瞬力のあるところは見せましたが、
やはり内枠の不利、そして過去最高馬体重で出走となってしまったこと
(考察でも書きましたが調教(ラスト1ハロン)がイマイチだったのは、
やはり太目の影響だったのでしょう。)などから、最後の伸びを欠きましたね。
本来が叩き良化型なのでまだやれそう感じなのですが、本当に引退なのでしょうか。
ちょっともったいない気もします。

以上、久々に気持ちの良い回顧(反省)なので思わず長文になってしまいましたが(苦笑)、
整理しますと、結局今年も例年の傾向と同じ高松宮記念の結果
(上位馬は「差し馬」「前走からの距離短縮馬」「SS系」「中〜外枠」)となりました。
1年先のG1で忘れちゃいそうですが、しっかり覚えておきたい傾向ですね。
などと言いつつ、近頃飲み過ぎで物忘れがひどい私がすぐに忘れそうです・・(苦笑)。

来週から新しい月に変わりますが、3月のように連敗しないよう的中率も意識して頑張りたいと思いますので、
美味しい馬券につながる情報、自信の予想など、引き続きお寄せいただければありがたいです。
これからもよろしくお願いいたします。


あっさり抜け出したスズカフェニックスの快勝というよりも、
武豊騎手の手によるスズカフェニックスがいとも簡単に初の芝1200mのGIを勝ってみせた、という印象の方が強かった。

1600mや1800mのレースではなだめるように我慢させて進み、上がり3Fを「33秒台」の前半で一気に伸びるスズカフェニックスは、
ズブいわけでも他馬のバテに乗じて追い込んでいるわけでもなく、考えてみれば1600m級のレースだから注文をつける必要があっただけのことで、
本来はスピード能力にあふれている。
だから、解き放たれると3Fを楽々と33秒台前半でスパートできる。

それが今回は、芝では初めての1200mに挑戦。
なだめてスタミナ温存を図る必要はない。
それどころか逆について行かなくてはいけない。
3コーナーの手前ではもうプリサイスマシーンの直後の6〜7番手に取り付き、それも理想の外に位置していた。
先行すると思えたマイネルスケルツィなどより前だった。

強力な先行型がなく、前半の3F33.8秒の平凡なラップにとどまったのも楽に追走できる要因だったが、
直線一気に強襲のイメージもあったスズカフェニックス(武豊騎手)の、1200mだからこその好位抜け出しだった。

エムオーウイナーの2番手追走は、「33.8-35.1秒」という1200mにしては先行型にとってまったく無理のないレースバランスを考えると、
理想的な先行の形だったが、並ばれてから案外。
このニホンピロウイナー産駒、もしかすると父に似てみせるように大きく力強くなった馬体をここ一番とあって絞ったが(10kg減)、かえって良くなかったかもしれない。
小さく映った。

プリサイスマシーンはいつもより行きっぷり一歩。4コーナー手前の反応が悪かった。
1200mにより死角の大きかったのは、スズカフェニックスではなく、むしろこちらの方だったのだろう。

引退の一戦だった牝馬シーイズトウショウは、最内を引いて重馬場。
運がなかったうえにデビュー以来最高の馬体重486kg。
7歳のいま成長の証であるはずもなく、多くの名牝がそうだったように、次の役目がきていることを告げていた。
無事に繁殖入りできることを喜びたい。
2着に突っ込んだペールギュントは、のど鳴りの手術をした馬。
1200mにしては時計がかかったのも、外枠も味方したのも確かだが、ディープインパクト世代がいろんな距離で巻き返しているのは事実だ。


有力馬も「泣く子と雨には勝てぬ」の高松宮記念

桜花賞断トツ人気予想のウオッカも道悪は“?”

競馬の世界には「泣く子と雨には勝てぬ」という言葉がある。
むろん、「泣く子と地頭には勝てぬ」をもじったものだが、雨が降って苦手の道悪になり、どうしようもないときによくそう言うのである。

3月25日に行われた今年の高松宮記念がまさに、その道悪に泣いた馬の多いレースだった。

朝方まで雨が降り、芝コースは重。
そのため勝ち時計は遅くなり、スズカフェニックスは後続を2馬身半もちぎり捨てて勝ったのに、
勝ち時計はコースレコードより2秒2も遅い1分08秒9だった。
この力の要る馬場に脚をとられ、3番人気で7着に沈んでしまったのがエムオーウイナー。
前走のシルクロードSを1分07秒8で圧勝した馬が、今回の高松宮記念では同じ距離を走るのに1分09秒6を要し、4コーナーを2番手で回ったものの直線でズルズルと後退していた。
体重を10キロ絞り、究極といっていい仕上げで臨んだのに、その意欲が道悪のために実らなかった。
さぞかし陣営は残念無念だろう。

逆に、道悪になったことによって利を得たのが、勝ったスズカフェニックスである。
前走、芝良の阪急杯で3着に敗れ、しかも今回はGI初挑戦。ふつうは通用しないところである。
事実、「前走で負けているうえにGI初挑戦」という馬は、高松宮記念がGIの1200メートル戦として定着した平成8年以降[00034]と、上位に入線したことがまったくなかった。

それが、重馬場になったことによって、スピードよりもスタミナを要求されるレースになり、2000メートル戦を2回も勝っているスタミナがものをいったのである。
こういうのが、すなわち勝負の運。

デビュー2戦目からじつに15戦もつづけて5着以内という成績で高松宮記念に駒を進めてきた、いつもまじめに走るスズカフェニックスを、勝負の神は称揚したということなのだろう。

いずれにしても、雨が降って道悪になると、泣く馬、喜ぶ馬が出ることだけは確かである。

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