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ホワイトマズル

■ 特徴

■ 解説

 イングランディーレが春天であっと言わせる逃げ切り。欧州型ステイヤーはこれがあるから楽しい。

 得意コース上位は牡馬と牝馬であまりにも違う。
 牡馬は馬力タイプの中距離馬、牝馬は斬れる短距離馬が中心。
 ただし、父であるダンシングブレーヴの系統は距離でまとめると間違える。
 たとえば、代表産駒はオークス馬スマイルトゥモローだったり、ビハインドザマスクだったり。

 短期集中型の血統で、昇り調子のときは格上げや距離変化も気にしないし、勢いがなくなるとスランプがしばらく続く。
 出世の遅れていた馬がローカルでトントン拍子に出世したり、ダート馬が古馬になって芝をこなしたり、馬が変わる時期を見極めたい。
 小倉、新潟、札幌などの連対率が高く、夏のローカルの2連勝がたくさん見つかる。

 ダートは交流重賞の勝ち馬が出て得意。
 鈍らな牡馬はダート替わりがプラスに働き、東京ダート2100や中山ダート2400の長距離もよし。

 トーセンダンディは京都外回りと新潟外回りが良い。フレアリングベストは叩き良化型。中1週か2週で叩いて3〜4戦目に走る。


ホワイトマズル編 Part1

 今週はホワイトマズルを見ていこう。ホワイトマズル産駒は、一種の狂気を持っている。その狂気は爆発的な力を呼ぶと同時に、不可解な惨敗を呼ぶこともある。

 タイプ的には体力のあるS系。しかし量も集中力もある。そのどれかが先鋭的に発露するとどんなに強い相手だろうが関係ない激走を呼ぶし、それが何かしらの要因で押さえ込まれると惨敗してしまうわけだ。

 こういうタイプは、その狂気の捌け口として極端な戦術を好む。その好例がスマイルトゥモローだろう。オークスでは4角15番手からの追い込み勝ち。しかし、その後馬券に絡んだのは一度だけ。それが府中牝馬Sで、追い込みから一転、逃げて3着好走という内容だった。相手は関係なく、逃げ、追い込み、マクりなど、極端な競馬で、自分にとって気分の良い走りをさせてやれば良いというタイプになる。

 その中でもやはり逃げが一番怖さがある。これは一番の武器が、豊富な体力になるからに他ならない。イングランディーレの天皇賞・春における、2着以下を大きく引き離しての10番人気1着という大激走も、やはり逃げてのものだった。

 逃げなら引き離した逃げ、マクりなら豪快な大外から一気の形が合う。

 こういう競馬が可能になりやすいのが、特殊な距離や特殊な馬場。シャドウゲイトが4角先頭で押し切った中山金杯は極端な重だったし、イングランディーレ、アサクサキングスは3000m超という、近代競馬において特殊な距離のGIを制した。もちろん、これらは決して偶然ではない。

 最近ではヤマニンエマイユという産駒がオープンで好走したので、その特殊性を具体例として見てみよう。


ホワイトマズル編 Part2

 ヤマニンエマイユの話をする前に、今週、ホワイトマズル産駒のアサクサキングスが天皇賞・秋に出ていたので、そのポイントに少しだけ触れておこう。

 結論から言うと、これは単勝を買ってはいけない。というのも、前回書いたように、ホワイトマズル産駒は逃げか、マクりが似合う。多頭数の最内枠ではマクりにくいし、メンバー的に逃げも難しい。そうなると単勝回収率はどうしても低くなる。またこのときの東京の馬場が特殊性をあまり持っていなかったのもマイナスだ。

 さて、ヤマニンエマイユだが、3勝目を挙げたあとに出走したのは9回。そのうち馬券に絡んだのが2回。ともに1着だった。

 1000万再昇級後に馬券に絡んだのが葉山特別。重馬場だった。前回書いたように、ホワイトマズル産駒は特殊馬場適性が高い。そのため、6番人気で1着と激走。同馬は芝、ダート含めて重、不良では3回出走したのだが、これで3戦3勝となった。その3戦がダート1200m、芝1200m、芝1600m。条件に関係なく、特殊馬場で気分に乗ったときの怖さを見せた形だ。ただ葉山特別は1分35秒5と、その前のレースより走破時計が速い。このように「重だけど時計が遅くない」など、特殊性が高まるとより走りに迫力が出る。

 葉山特別の次走は北九州短距離S。昇級戦に加えて1600mから1200mへの短縮だったので、15番人気という低評価。しかし5着に好走。勝ち馬とは0秒1差で、時計は1分07秒5という超速馬場だった。こういう特殊環境での怖さを思い知らされる結果だった。

 そして次走はオープンに格上挑戦。自分の気が向けば走るので相手関係はあまり関係ないタイプ。しかもこの日は高速新潟に雨が降って稍重という環境だった。道悪だけど高速馬場。こういう特殊条件が向いているし、200mの距離延長ショックが掛かるというのも、気分転換に良く、激走の匂いがする。

 そこで私は前日の携帯予想で本命にし、単勝8.3倍と3連単万馬券をきっちりと当てることができたのだった。


ホワイトマズル編 Part3

 以前、NSTオープンでヤマニンエマイユを本命にし馬券を当てた話を書いた。

 ただ、実はここまでは簡単なのだ。NSTオープンは変態的な状況がいろいろ出現していたから走ったのに他ならないからだ。

 そして、普通、次のレースは切り捨てだ。キレやすいホワイトマズル産駒に、特殊状況で激走した後にもう一度走れというのはリスクが高い。

 しかし、私はもう一度本命にした。それは9番人気と人気薄だったこともあるが、中山開幕週で超高速特殊馬場だったのと、距離延長ショックが掛かっていたので、気分が盛り上がって激走スイッチが入る条件が揃っていたからである。

 結果は逃げたゴスホークケンがブービーに敗れる追い込み独占の流れを先行して、早め先頭に立ったぶん4着に敗れた。後に騎手の田中勝が「仕掛けを間違えた」とコメントしていたが、実際、いつもの好位差しなら連対して、高配当をもたらしていたのは間違いない。ちなみに、その次走の府中牝馬Sは人気薄でも買う必要はない。これで距離延長も連続3回目。延長ショックに飽き始めているし、馬場も取り立てて特殊性がなかったからだ。

 ところでヤマニンエマイユが、逃げやマクりではなく、「好位差し」という「おとなしい戦法」を取れるのはどうしてだろう?

 1つには、ヤマニンエマイユが牝馬であることが挙げられる。牝馬の方がどんな血統でもそうだが、柔軟性があるので、ある程度真面目に走ることができるのだ。

 アサクサキングスにも先行、好位というイメージがあるが、実際はそうではない。同馬の場合は、力一杯走って他馬の脱落を待つ消耗戦の走り方だ。つまり、それは逃げやマクりと本質的な意味合いでは変わらない。つまり真面目に道中で「タメ」を効かせているわけではないのだ。

 もちろん牝馬とはいえ、ヤマニンエマイユも真面目にタメているわけではない。特殊馬場で目一杯走って他馬の脱落を待っているという基本形は同じだ。ただ強いて言うなら、「我慢できる度合いが牡馬とは違う」ということである。


ホワイトマズル検証編

 早速、ヤマニンエマイユがオーロCに出てきたので、その馬券ポイントをチェックしておこう。

 オーロCの日の天気予報は、朝方に雨で、昼ぐらいに上がるというものだった。

 これだ!なるほどこれである。

 今の馬場は高速馬場。以前書いた、「雨が降っているけど高速」という、ホワイトマズル産駒得意の、特殊環境が揃っているのだ。

 しかも、前走はここでも切り捨てと書いた、距離延長の府中牝馬S。3戦連続距離延長で嫌気が差していた。それに激戦を頑張り続きで疲れも多少あった。

 今回は府中牝馬Sを何の見せ場もなく凡走して、疲れがなくなり、しかも400m距離短縮の1400m戦。久しぶりの距離短縮ショックで馬も覚醒する。そして得意の特殊馬場。これは何度走っても、アクシデントさえなければ負けることはない。

 そこで私は、前日予想で1年に1度ぐらいしか出さない、究極の勝負レースとして特別な印で予想した。もちろん、個人的にも、普段のレースの50倍以上は賭けた。そして結果は当たり前の完勝劇である。

 単勝は私が重い勝負レースの印を打ったこともあり、みんなもかなり買ったので3.9倍まで落ちたが、アクシデントさえなければ負けない馬が3.9倍なら充分だろう。相当儲けさせて貰った。これがMの血統馬券の実戦ということになる。


■ 代表産駒