トップ > 男の馬券戦略 > 重賞戦略 > ジャパンダートダービー(G1)

ジャパンダートダービー(G1)

・距離延長が多い!距離延長でパフォーマンスアップを見込める馬を狙う。

・直線が長いので逃げ・先行不利
・モデル馬=テスタマッタ・シルクメビウス
・危険タイプ=スーニ

■ DGR年間日程

3歳路線

開催月 レース 2012年
11月 北海道2歳優駿(G3)
兵庫ジュニアGP(G2)
12月 全日本2歳優駿(G1)
4月 伏竜S ×
端午S ×
兵庫CS(G2)
7月 JDD(G1)

■ 傾向

×
傾向度A 勝ち馬は中央勢が優勢。ただし必ず人気になる。特に、ユニコーンS組好走馬が強い。
傾向度B 地方勢では地方ダービー間の格の差だけでなく、
さらに地の利、好ローテも手伝って東京ダービー組が圧倒的に強い。
配当妙味も加味すると馬券的にはここを紐にするのが馬券の狙い。
特に、羽田盃好走→東京ダービー好走の黄金ローテを踏んだ馬。
傾向度C コース的には馬場不問で前残り傾向強い。

 ジャパンダートダービー(大井 サラ3歳 定量 JpnI 2000m)

「ジャパンダートダービー」は、99年から全国ダートG、“3歳春の総決算”として定着した。
ただし黎明期99〜00年は、「羽田盃=1600m」→「東京王冠賞=1800m」→「東京ダービー=2000m」の旧体系が残っていたから、実質的に“4冠ロード”。
状況、舞台が少し異なるかもしれない。

ともあれ99〜07年、計9年間としてデータをまとめる。
1番人気[4-1-1-3]、2番人気[2-1-1-5]、3番人気[2-3-1-3]。
頂上決戦にしては波乱含みの様相で、純然たる人気馬同士の決着は03年、ビッグウルフ→ユートピア→ナイキアディライトだけがそれに近いか。
馬単最高配当は01年、トーシンブリザード(4冠馬)→メイショウアーム(最低11番人気)の10010円。
思わぬところで穴が出た。
所属別は、JRA=6勝、2着4、船橋=2勝、2着2、大井=1勝、2着2、川崎=2着1。
結局JRA馬の評価(地方ダート適性)が難しく、例えば00年アグネスデジタル14着大敗、代わりにマイネルコンバット(5番人気)が大駆けを果たした。

「日本ダービー」出走馬の登場は近年2例。
ゴールドアリュール優勝(日本ダービー5着)、ナイアガラ14着(同17着)。
絶対能力があるかないか、ひとまずそれに尽きるだろう。
逆に東京ダービー馬=1、不、1、不、3、4、不、不、2着、同2着馬=不、不、4、5、5、3、2、9、1着。
昨年フリオーソは羽田3着、ダービー2着、そこから見事な逆転だから、データ的には南関勢も可能性を残している。
牝馬もトータル[0-1-0-7]ながら、04年アクイレジア2着(ロジータの仔)など、実績面の裏付けがあれば軽視できない。
逃げた馬=1、2、1、1、3、4、8、9、15着。昨年15着は向正面失速のエイシンイッキで、基本的に先行有利だ。


過去5年データ

【人気】
1番人気【1.1.1.2】
2番人気【2.1.0.2】
3番人気【2.0.1.2】
--- --- --- --- ---
4番人気【0.1.0.4】
6番人気【0.2.1.3】
7番人気【0.0.1.4】
9番人気【0.0.1.4】

 馬券対象馬(3着内)になっている人気は以上のとおり。
 過去5年、勝ち馬は、1番〜3番人気(上位人気馬)から出ている。
 また、上位人気馬のいずれかは、必ず連対している。
 2桁人気馬の3着内はない。

【脚質】
※過去5年成績表の通過順位参照。
 4角先頭(表では@)が、過去5中⇒3年で3着内となている。
 4角3番手までに広げると、過去5年中⇒全ての年となる。
 脚質は、“差し”でも構わないと思うが、4角では好位にいないと厳しいようだ。

【前走レース】
 東京ダービー   ⇒3着内:6頭
 (前走着順→@着1頭、A着3頭、B着1頭、C着以下1頭)
 ユニコーンS  ⇒3着内:5頭
 (前走着順→@着2頭、A着1頭、B着0頭、C着以下2頭)
 名古屋優駿    ⇒3着内:1頭
 (前走着順→@着1頭、A着0頭、B着0頭、C着以下0頭)
 サマーC(水沢)⇒3着内:1頭
 (前走着順→@着1頭、A着0頭、B着0頭、C着以下0頭)
 関東オークス  ⇒3着内:1頭
 (前走着順→@着0頭、A着1頭、B着0頭、C着以下0頭)
 兵庫C     ⇒3着内:1頭
 (前走着順→@着0頭、A着1頭、B着0頭、C着以下0頭)

 『東京ダービー』か『ユニコーンS』組。
 基本的には、前走3着以内の好走馬。
 C着以下ありならJRAのユニコーンSぐらい。といっても、今年はユニコーンS組の出走馬なし。
 注目のユキチャンの関東オークスからは、JDD2着あり。
 普通に考えれば、牝馬で厳しいと思われるが…。

 あと、前走レースではないが、端午S1着馬が過去5年中⇒3年で3着以内となっている。(該当:サクセスブロッケン)
 地方馬(南関東勢)なら、羽田盃→東京ダービーで好走している馬。(該当馬:コラボスフィーダ)

【所属別3着内成績】
中央競馬⇒8頭:@着4頭、A着3頭、B着1頭
地方競馬⇒7頭:@着1頭、A着2頭、B着4頭

 優勝馬だと、帝王賞とは違いJRA所属馬が優勢。
 しかし、3着以内なら互角であり、地方馬が3着以内に一頭も入らなかった年は無い。

地方馬の内訳⇒船橋3頭、大井2頭、川崎1頭、岩手1頭。

 地方馬なら、やはり南関勢が優勢。

【馬場適性】
 勝ち馬の最速タイムが2分2秒9、最遅が2分6秒1。

 良馬場なら、2分4秒台後半の勝負か?
 南関東を敢えて分けるならば、基本的には“軽いダート”=大井、船橋、“重いダート”=浦和、川崎だと思う。(思っているが、違うかも知れないので…。)

 東京ダートで好走している馬(ユニコーンS組)が、好走できるのだから、そんなに“重いダート”ではないようにも思う。
 というか、馬場適性うんぬんというよりも、能力差が大きいとも思ってしまうが。

 最後にレースラップからラップ適性(ラップギア)を把握します。

【レースラップ(ラップギア)】

2007年(不良)
 12.2-11.1-11.4-12.6-12.7-12.5-12.7-12.9-12.0-12.8 =2:02.9
    △2▼9△8 瞬発戦
2006年(良)
 12.3-11.5-11.9-13.2-12.6-12.2-12.5-13.3-12.8-13.8 =2:06.1
    △8▼5△10 瞬発戦
2005年(良)
 12.0-10.8-12.1-13.2-13.1-12.9-12.9-12.8-12.1-13.0 =2:04.9
    ▼1▼7△9 瞬発戦
2004年(良)
 12.2-11.4-12.1-12.7-12.7-12.5-13.1-13.6-12.0-12.2 =2:04.5
    △5▼16△2 瞬発戦
2003年(重)
 12.0-10.8-13.0-13.2-12.9-12.7-12.8-13.0-12.3-12.2 =2:04.9
    △2▼7▼1 瞬発戦

太字は、前のラップより0.5秒以上加速ラップ区間(▼5以上。以下同じ。)[ラスト4ハロン]


《過去5年のJDDのラスト4ハロンのラップパターン》

 ◆消耗戦(ラスト4ハロンで加速ラップなし)
   →0レース
 ◆平坦戦(ラスト4ハロンで0.1秒〜0.4秒の加速ラップあり)
   →0レース
 ◆瞬発戦(ラスト4ハロンで0.5秒以上の加速ラップあり)
   →5レース


 上記のように、すべて瞬発戦ラップとなっているジャパンダートダービー。

 過去5年の勝ち馬のラップギア適性値は以下のとおり。(地方馬は調べてみませんが、フリオーソは帝王賞の時に調べたので載せておきます。)

参考:現役馬は最新、中央引退馬は最終時点のもの。地方移籍馬は中央での成績。

 2007年フリオーソ     消2平2瞬7
 2006年フレンドシップ   消2平3瞬0
 2005年カネヒキリ     消0平4瞬3
 2004年カフェオリンポス  消3平4瞬3
 2003年ビッグウルフ    消1平2瞬2

 思っていたよりも、平坦戦瞬発戦兼用型という感じだ。

◆2008年JDD関連レースのラップ

2008年東京ダービー(大井ダ2000M)
 12.1-10.8-12.1-13.3-12.9-12.5-13.1-13.6-12.8-13.3
    △5▼8△5 瞬発戦
2008年関東オークス(川崎ダ2100M)
 6.8-10.8-12.2-13.2-12.4-13.4-14.8-11.9-13.0-13.6-12.6
    △11△6▼10 瞬発戦
2008年伏竜S(中山ダ1800M)
 12.5-11.5-12.3-13.1-12.9-13.0-12.5-12.3-12.9
    ▼5▼2△4 瞬発戦
2008年端午S(京都ダ1800M)
 12.5-11.5-12.5-12.3-12.3-12.2-12.4-12.2-13.3
    △2▼2△11 平坦戦
2008年羽田盃(大井ダ1800M)
 12.4-11.8-13.1-12.5-12.2-12.4-13.0-12.3-13.1
    △6▼7△8 瞬発戦
2007年全日本2歳優駿(川崎ダ1600M)
 12.5-11.5-13.2-14.0-12.3-12.6-13.5-12.2
    △3△9▼12 瞬発戦

※日本ダービーは平坦戦、皐月賞は瞬発戦


◆JDD出走中央所属馬のラップギア適性値
 スマートファルコン 消1平1瞬2
 サクセスブロッケン 消1平2瞬1
 ユキチャン     消0平1瞬1
 ナンヨーリバー   消2平1瞬1
 イイデケンシン   消0平1瞬1


地方馬ディラクエ不在は残念ですが、ダートで巻き返し必至サクセスブロッケンや内田博幸騎手とコンビを組むナンヨーリバー、
そして、関東オークスを圧勝した白毛のユキチャン、ドバイ遠征帰りのイイデケンシンなど見所満載のような感じです。
やっぱり、今年は中央優勢かな?文章にすると、かなり強力な感じも…。
2008年JDD(Jpn1)、購入できる環境がある方は楽しんでみてはいかがでしょうか? 少しでも予想の参考資料になれば幸いです。

■ 2011年回顧

【予想】
◎クラーベセクレタ
○グレープブランデー
▲タガノロックオン
△ボレアス
△キスミープリンス
△ヴェガス
△マニエリスム

東京ダービーでは苦しい競馬を強いられたクラーベセクレタ。
時計を含めて内容は平凡でも、凌いで勝った点に価値。
ユニコーン組にも抜けた存在はいないので、極端な馬体減がなければ勝てるとみました。
相手はJRA重視でグレープブランデー、タガノロックオン、ボレアスなどが本線。

【レース】

外枠から仕掛けてエーシンブランがハナに行ったので、前半の3ハロンは34秒6とやや速目。
ただし、バックストレッチに入ると急激にペースダウンしてハロン13秒台。ピュアオパール、ベストマイヒーローと続き、4番手にグレープブランデー。
それをマークするようにクラーベセクレタ。
タガノロックオン、ボレアスなど有力処がひしめき合い、レースは直線2ハロンの瞬発力勝負。
早目に先頭に立ったグレープブランデーが、ボレアスの追撃を頭差振り切って重賞レース初制覇を果たしました。
クラーベセクレタは、健闘及ばず3着入線。

【上位馬の寸評】

1着 グレープブランデー

ユニコーンSは後方待機から直線勝負で2着。
距離の延長はプラスに出そうで、置かれ過ぎなければ勝ち負けになるとみていました。
この日はプラス10キロの516キロ。
全く太目感はなく、気合乗り十分の好馬体。
毛ヅヤも上々で、これはやられたかなと思いました。
レースはスタート良く飛び出して内4番手から。道中の折り合いはスムーズ。
抜群の手応えで前を呑み込み、先頭に立ったのは残り2ハロンの地点。
クラーベセクレタのマークを振り切り、ボレアスの急追を頭差封じて、真っ先にゴールを駆け抜けました。
時計の2分4秒9は並みですが、もう少し引っ張る馬がいれば、楽に詰まったはず。
馬っぷりの良さからはかなりの成長力を秘めていそうで、ダートで世代最強は素直に認めるべき。

2着 ボレアス

着を外したのは芝の毎日杯のみ。
ユニコーン3着は仕掛けのタイミングの差。
武豊騎手とのコンビで、勝機十分とみていました。
この日はプラス5キロの467キロ。
予想していたよりも丸味を帯びた好馬体で、パドックを周回する姿は落ち着き払っていい雰囲気。
毛ヅヤも抜群。
これは容易ならざる相手と直感。
レースは出たなりで外8番手から。
勝負処から手応え良く進出して4コーナーでは4番手。
直線はグレープブランデーとクラーベセクレタの間を割り、上がり3ハロンはメンバー最速の37秒0の末脚を駆使しましたが、僅かに頭差及びませんでした。
これでグレープブランデーには3連敗ですが、着差通りに、それほどの差は感じません。
ディープインパクトの仔は案外ダートもこなすのか。

3着 タガノロックオン

常識に掛からない面があるようですが、前走の逃げ切り勝ちがなかなかの好内容。
気分良く行ければ大駆けの可能性十分とみていました。
この日はプラス4キロの504キロ。
多少テンションが上がり気味でしたが、馬っぷり上々で、一見して走りそうな雰囲気。
レースはスタートひと息。
川田騎手が流れに逆らわず出たなりで徐々にポジションを上げて6番手からの競馬。
勝負処で後方からマクって来た馬に抜かれてもマイペースを堅持したのは、序盤での多少の失点を意識したのか。
追い出しを遅らせた分、直線での末脚は冴えて惜しい結果。
荒削りでても、なかなか魅力がある馬です。ただし、距離はもう少し短目の方がいいかも。

4着 キスミープリンス

東京ダービーは、内々でポジションを下げ、直線猛然と追い込んだものの3着止まり。
JRA勢が加わり更にメンバーのレベルは上がりましたが、馬込みをスムーズに捌ければ上位食い込みも可能とみていました。
この日はプラス3キロの456キロ。
いつも通りややチャカつき気味ですが、数字以上に体を大きく見せて好気配。
レースは出たなりで内9番手から。
3コーナー過ぎからマクって出て5着はダービーと同じようなレース運びで、やはりこれが実力ということか。

失格(3着入線) クラーベセクレタ

東京ダービーは、包囲網を敷かれたような厳しい競馬をクリアして2冠達成。
今回はJRA勢との対決ですが、それほど図抜けた馬は見当たらないので、馬体を維持できていれば3冠制覇濃厚とみていました。
この日はプラス1キロの457キロ。
さすがに上積みはありませんが、決して細目感はなく、薄っすらと汗をかいて活気があり、好調キープと判断。
レースはスタートを決めて戸崎騎手が外のJRA勢の動向を窺い、慎重な滑り出し。
ただし、ダービーの時と同様に高脚を使うシーンも。
落ち着いたポジションはグレープブランデーの直後5番手。
相手のスパートに合わせ1馬身と離されず追走。
最後の直線、一旦はマッチレースに持ち込むかと思われましたが、容易に差が詰まらず、ボレアスにも交わされました。
レース内容としては力負けですが、羽田盃当時の勢いがあれば、結果は違ったかも。
残念な結果となりましたが、近年屈指の実力牝馬、女傑レベルの評価に変わりなし。
ジックリ英気を養い、再スタートを図って欲しい。

■ 2010年回顧

【予想】
◎バーディバーディ
○トーセンアレス
▲バトードール
△ミラクルレジェンド
△コスモファントム
△マグニフィカ
△プレファシオ

東京ダービーの上位2頭がいないとあれば、やはりJRA優位は歴然。
当然◎は実績上位のバーディバーディで、いかにもブライアンズタイム産駒らしいパワー先行型で、ダートでの安定感は抜群です。
ダート替わりでトーセンアレス、展開の利がありそうなのはバトードール。
コスモファントムはダート適性がカギ。
南関期待のマグニフィカは単騎マイペースが条件。

【レース】

注目のハナ争い。
一旦は内目の枠からバドードールが逃げる態勢でしたが、安藤勝騎手がさほど拘らなかったので、外目から自然と戸崎マグニフィカがハナに。
松岡バーディバーディ、内田博コスモファントムにバトードール、更には横山典トーセンアレス、藤岡プレファシオなどJRA勢が好位グループでひしめきあい、ペースはスローに近い平均。
3、4コーナーあたりで手応えが怪しくなったバーディバーディを交わしてコスモファントムが2番手へ。
ただし、マグニフィカの逃げは益々快調。
最後の直線、必死で粘るマグニフィカを目がけて内外からJRA勢が殺到しましたが、測ったように残してマグニフィカが会心の勝利。

【上位馬の寸評】

1着 マグニフィカ

前走の東京ダービーは逃げて3着ですが、時計の2分7秒2はいかにも平凡。
父がゼンノロブロイに替わったとはいえ、この兄弟は総じてマイラータイプ。
JRAの強豪に混じって2000メートルのパワープレイではどうかな、というのが正直なところでした。
ただし、馬っぷりは相変わらず冴えており、見映えするという点ではメンバー屈指。
レースは好スタートを決めて戸崎騎手が内に寄せて行き、行く馬がいればどうぞという構え。
安藤勝バトードールが控えたので、自然にハナに行く形。
スタートひと息で仕掛けてハナに行った東京ダービーとはえらい違いで、折り合いがついたスムーズな逃げ。
3コーナー過ぎからコスモファントムが2番手に上がってきましたが、特につつかれるシーンもなく、マイペースを守って直線へ。
ゴール100メートル手前あたりからJRA勢が束になって殺到してきましたが、最後の死力を振り絞ってギリギリ残しました。
馬場状態からすると2分5秒2の時計は並み。
展開に恵まれた面も否めませんが、JRAの一線級をまとめて退けた点に価値。
先輩フリオーソ級かどうかはともかく、今後は南関オープン馬の牽引役になりうる器。
マイルくらいでより力を発揮するタイプかもしれません。

2着 コスモファントム

ここ一連は芝路線で、クラシック級を相手に連続好走。
これが芝のレースなら文句なく◎が並ぶ馬ですが、果たしてダートでもトップレベルの力量があるのかどうか。
非常に評価が難しいところでした。
この日はプラス22キロの506キロと、よもやの大幅馬体増。
数字ほどではないにせよ、多少立派に映る体付き。
調整に誤算があったのでしょうか。レースはスタートでやや躓きましたが、内田博騎手が気合をつけて外3番手へ。
3コーナー付近では手応えが怪しくなったバーディバーディを交わして2番手。
射程圏内に入れながら、内田博騎手の豪腕を持ってしてもマグニフィカを捕らえ切れず。
それでも2着に残すあたりはさすがに底力があります。
切れるというよりも粘着先行タイプで、距離は長い方が合っていそう。
ダートは決して苦にするタイプとは思えません。
かなりの強者とみました。

3着 バトードール

伏竜Sこそ崩れたものの、出世レースの端午Sを1着、ユニコーンSを2着と堂々たる成績。
500キロを超すクロフネ産駒ですが、意外に体付きはスリム。パドックでは少しイレ込み気味。
この気性だと、レースではハナに行ってしまうかなとみていましたが…。
ゲートが開くと安藤勝騎手が出ムチ2、3発。案の定と思ったところ、外からマグニフィカが来ると抑えて内の4番手へ。
どうやら当初からこういう作戦だったようです。
比較的スムーズに流れに乗り、最後の直線もインに進路を。
内から伸びかかりましたが、スパッと切れる脚がなく、3着に終わりました。
跳びが大きいので、内に閉じ込められるくらいなら、思い切ってハナに行った方が良かったのでは。
速い流れの方が持ち味が生きそうな馬。
今回に関してはやや不完全燃焼。

4着 ミラクルレジェンド

未勝利、五百万、一千万とダート千八を3連勝の上がり馬ですが、前走がマイナス12キロの420キロ。
果たして力の要る地方のダートではどうかなという危惧がありました。
この日はプラス6キロの426キロ。増えたのはいいにしても、いかにも牝馬という線の細さは否めません。
ただし、うるさい面は見せず。
レースはやや躓き気味のスタート。
出たなりで内7番手から進み、最後の直線でも内を突いたところ、抜け出す処がなく、途中から進路を外目に。
上がり3ハロンはメンバー最速の37秒2。
ゴール前の脚勢は1番で、ちょっと悔いの残る面も。
基本的には芝向きのような気がします。
もう少し馬体を増やしてくれば、牝馬としてはかなりの大物に成長するかも。

5着 トーセンアレス

芝のクラシック路線では通用しなかったものの、ダートでは伏竜S1着を含めて4戦3勝の好成績。
稽古の動きも抜群ということで、当然注目の一頭でした。この日はプラス4キロの468キロ。
体をフックラ映して適度な気合乗り。
好仕上がりと判断。レースは横山典騎手が多少気合をつけて5番手からの競馬。
人気馬同士、動向を窺いつつ牽制し合う形。
特に動きのないまま直線へ。
外から多少は詰めてきたものの、今ひとつメリハリのないレース運びで5着は、ちょっと不満が残る内容。
流れを考えれば、どこかで思い切って動いた方が良かったのでは。
動けなかったのかもしれませんが…。
次走で改めて真価を問いたい。

6着 バーディバーディ

兵庫CS、ユニコーンSの王道を歩み同期を一蹴。
レースぶりに安定感があり、距離の2000メートルも経験済み。
あとは当日の気配ですが、この日はプラス1キロの473キロ。
パドックの外目外目を周回する姿は躍動感があり、毛ヅヤも上々。
これならほぼ大丈夫とみていましたが…。
レースはスタートはひと息でも無理なく外2番手へ。
いい感じで流れに乗っていましたが、3コーナーを過ぎるあたりで早くも脚いろが怪しくなり松岡騎手が追い通しに。
決して大きくバテたわけではありませんが、その時点で既に圏外というのは拍子抜けの結末でした。
この反応の悪さは、目に見えない疲れがあったとしか考えられません。

■ 2006年回顧

ダービーウィーク出走馬の中から、スターオブジャパン、ウインドファンタジ、ホウライミサイル、オウシュウクラウンと4頭が出走し、
片や中央からはいずれも500万、オープンを勝っている5頭が出走。
地元南関東も、東京ダービー1・2馬は出走しなかったが、羽田盃馬サンキューウィンが出走と、近年になく「選べるメンバー」となった。
が、しかし、予想の結果は散々であった。

jdd1.jpg

1着○フレンドシップ
2着…バンブーエール
3着…オウシュウクラウン
4着◎ナイキアースワーク
5着…トネノキング
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
6着△ヤマタケゴールデン
9着△サンキューウィン
11着△ウインドファンタジ
14着▲ナイアガラ

レースはバラついたスタート。
ホウライミサイルとヤマタケゴールデンが躓き、トネノキングとアオイハルが出遅れた。
注文通りサンキューウィンがハナを切り、バンブーエールとフレンドシップが追走。
そしてナイアガラ、ヤマタケゴールデンも続く。

jdd2.jpg

前半千メートルの通過は61秒5。
羽田盃が63秒3、東京ダービーが62秒8だから、さすがにサンキューウィンは厳しかったか。
しかも外枠の10番。
それでも4コーナー過ぎて、直線まで粘れたようによく頑張った。
3冠完走のサワライチバン、キングトルネードと共に、きっとかよこさんが誉めてくれるに違いない。

jdd3.jpg

直線、良いタイミングで抜け出しを図るバンブーエールを、さらにタイミング良く捕まえたフレンドシップが載冠。
角居調教師からは、内に入れて欲しいとの指示があったそうだが、
その通り、12番枠から内に入れ、2コーナー過ぎでヤマタケゴールデンやナイアガラがどんどこどんどこ前に詰めていっても、
内でジッ身を潜め、直線で先に抜け出したバンブーエールを渋く交わしていく。
内田博幸騎手の完勝と言ってもいい。
なにしろこれで、東京大賞典から、地方で行われるGIは、全て勝利の5連勝。
帝王賞で敗れた角居調教師も「カネヒキリで負けた分は、これで0(チャラ)にしましょう」と。

jdd5.jpg

2着のバンブーエールは、正直印が回り切らなかった。
2番手の良い位置でレースできたが、直後が内田博幸騎手である事を考えれば、
もっと先に抜け出してしまうか、待つしかなかったかもしれない。
ただ、それはレース後のタラレバの話であって、これもレースの展開だから仕方ない。
やや軽めだったとはいえ、大井の馬場でこれだけ走れれば、今後中央、地方と使うレースのバリエーションは増えた。

jdd6.jpg

3着のオウシュウクラウンは、とにかく良いポジションに付けたことが好走に結びついた。
小林俊彦騎手のファインプレーだろう。
先頭グループにつかず離れずのポジション取り。
最後の直線入り口で大外を回ってヤマタケゴールデンを落としているのだから、評価できる。
どうも、ブルーバードCの勝ちイメージで、しらさぎ賞、クラウンCの負けイメージがあったため、
岩手でのレースも見てはいるが、「どうせ前行くなら羽田盃馬の方に。。。」となってしまった。

jdd7.jpg

4着のナイキアースワークは、安藤勝己騎手は「大井のダートが合わないかも」と言っていたと聞いた。
どちらかと言うと、今開催は軽い馬場の部類で、ナイキアースワークのレース上がりもまずまずだった。
今回は先行馬有利の流れで、前走ユニコーンSのレース振りに騙されしまった気がする。
まだ馬も未完成のような感じがしたので、パンとしてくればもう1度見直してみたいと思う。

とりあえず、総評すれば入場、売得ともに不振であった。
ダービーウィーク後のフォローも少なかったように感じたが、案外こんなもんかもしれない。

各地の入場は、大井競馬場20,766名、浦和4,943名、船橋4,155名、川崎7,614名、道営(開催中)7,066名、
市営81名、岩手6,633名、金沢1,918名、岐阜1,039名、愛知(開催中)3,696名、兵庫(開催中)19,372名、
福山1,206名、高知1,334名、佐賀1,702名、荒尾655名、
オフト後楽園9.750名、オフト汐留4,104名、オフトひたちなか2,073名、オフト大郷1,462名、
新潟地区2,834名、益田246名、パルス藍住497名、山形地区1,475名、BAOO高崎995名、BAOO宇部・三刀屋990名、となっている。

普段と比べると入っている方っちゃぁ入ってる。
追い金が生ずるかもしれないが、どうせなら賑やかしついでと、
もったいないからボブ佐久間氏謹製のファンファーレも使えば良かったのに、とも思う。

jdd4.jpg

毎回、うまたせ君を掲載しているが、今回は七夕バージョンだった。
短冊もついていて、「馬券があたりますように」などと書いてあった。
が、上がりの写真を見ていると「金」と書いてある短冊発見。
「きん」なのか「かね」なのか定かではないが、あまりにストレートすぎて、逆に素晴らしいと思った。

jdd8.jpg


ジャパンダートダービー(7月12日 大井 サラ3歳 定量56kg 交流GI 2000m 良)

(1)フレンドシップ
 (56・内田博) 2分06秒1
(2)バンブーエール
 (56・池添) 1.1/2
(3)オウシュウクラウン
 (56・小林俊)  3/4
(4)ナイキアースワーク
 (56・安藤勝) 1.1/2
(5)トネノキング
 (56・戸崎圭太) ハナ
………………………
(6)ヤマタケゴールデン
 (56・池田)
(9)サンキューウィン
 (56・左海)
(14)ナイアガラ
 (56・武豊)

単320円
馬複2,500円
馬単3,730円
3連複38,120円
3連単176,100円

フレンドシップは、パワー、自在性、完成度…、総合力の勝利といえる。
好スタートから反応よく内へキレ込み、大井コースの必勝ポジション=イン3番手を、終始スムーズに進んでいく。
3〜4コーナー、ヤマタケゴールデンに並ばれ一瞬だけ行きたがる素振りをみせたが、すぐ冷静さを取り戻し鞍上のサインを待つ。
直線中ほど、バンブーエールがサンキューウィンを交わすと、眼前にヴィクトリーロードがきれいに開けた。
ビュッと切れるというより、一歩一歩、力強く確実な伸び。

「気性が素直で乗りやすい。直線外に出せたところで勝てると思った。まだまだ成長する馬でしょう」(内田博J)。

パドックからどっしりした落ち着きがあり、それでいて前へ前へ踏み込んでいく躍動感と気合が目立った。
本番へ向け、文字通りピークに仕上がっていたこと。しかも鞍上が心憎いほどソツなく乗った。

角居勝彦調教師は、昨年のカネヒキリに続く見事な連覇。

「中間放牧に出し(山元トレセン)、馬が心身ともしっかりした。調教でも遊ぶところがなかったからね。
秋はカネヒキリと同様、ダービーグランプリ(盛岡2000m=9月18日)を目標に調整します」。

ただ、この夜の2000m・2分06秒1は、前4年、すべて2分04秒台(02年ゴールドアリュール2分04秒1など)と比較して、明らかに物足りなかった。
前走「兵庫チャンピオンシップ」、牝馬グレイスティアラに負けた事実からも、絶対的な強さがあるとは思えない。
今後、古馬アジュディミツオー(帝王賞2分02秒1)、カネヒキリとの能力差を、成長力と経験でどう埋めるか。
現時点では世代レベルに疑問も残った。

バンブーエールは、昨年のプライドキム(同じ父アフリート)とイメージがダブる快速型で、本来マイル路線が向くだろう。

オウシュウクラウンは流れに乗って大健闘。
現岩手所属だが父ジェイドロバリー、ダーレーの一角だから、今後Gロードへ胸を張って臨めるはずだ。

期待したナイキアースワークは、追い込み脚質を別にしてもテンから反応が悪すぎた。
4コーナー先団とすでに10馬身では絶望的。「深い砂が合わないか、もったりもったり走っている。
まだ馬に本当の力がついていない」(安藤勝J)。トモ、あるいは腰、そのあたりに弱点を抱えているか。

サンキューウィンは1000m通過61.5秒、まずまずのペースとみえたが、直線あっけなく失速した。
押せ押せで使われてきたシンデレラボーイ。
さすがに馬に余力がない。入着を果たしたトネノキングは、今後スピード面の上積みが課題になる。

≫ページ先頭へ