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京成杯(G3)

京成杯・男の解の公式
重賞経験馬、ホープフルS組の上積みを狙え!

■ 経緯

昭和36年に創設された3歳馬限定の重賞競走。
創設以来、芝1600mの別定戦で争われていたが、
3歳馬競走の距離体系整備の観点から平成11年より2000mに変更となり皐月賞と同距離・同コースとなったことから、
クラシックに向けての各馬の将来性や距離適性を占ううえでも重要な競走となっている。

年度 1着馬
2着馬
3着馬
タイム ラップ 3連単 メモ 勝負
結果
2012年 ベストディール 2 マイネルロブスト 5 アドマイヤブルー 1 2.00.6 12.4 10.8 11.9 12.3 13.0 12.7 12.3 11.8 11.7 11.7 10720 ×
2011年 フェイトフルウォー 2 デボネア 8 プレイ 7 2.00.9 12.6 11.0 12.4 12.0 12.3 11.9 12.1 12.1 12.1 12.4 156000
2010年 エイシンフラッシュ 1 アドマイヤテンクウ 3 レッドスパークル 2 2.03.6 12.5 11.1 13.6 12.7 13.3 12.6 12.6 12.4 11.4 11.4 3170
2009年 アーリーロブスト 2 ナカヤマフェスタ 1 モエレビクトリー 13 2.02.7 12.1 11.5 12.6 12.6 13.2 12.6 12.6 11.7 11.6 12.2 103580
2008年 マイネルチャールズ 1 ベンチャーナイン 12 アイティトップ 4 2.02.9 12.5 10.7 12.6 12.0 13.0 12.6 12.9 12.0 12.4 12.2 86870
2007年 サンツェッペリン 3 メイショウレガーロ 1 アルナスライン 9 2.01.6 12.6 11.6 13.4 12.2 12.5 12.1 12.2 11.4 11.4 12.2 41910 ×
2006年 ジャリスコライト 1 トウショウシロッコ 5 ネヴァブション 4 2.03.2 12.6 11.1 13.1 13.0 13.0 12.2 12.5 11.9 11.4 12.4 5410 稍重
2005年 アドマイヤジャパン 1 シックスセンス 4 コスモオースティン 6 2.07.4 12.9 11.8 13.8 12.7 13.0 12.8 12.8 12.5 12.2 12.9 8190 雨・不良
2004年 フォーカルポイント 2 マイネルマクロス 3 キングカメハメハ 1 1.59.2 12.5 10.8 12.0 11.6 11.1 11.6 12.5 12.1 12.5 12.5 -
2003年 スズカドリーム 4 テイエムリキサン 2 コスモインペリアル 8 2.01.7 12.4 11.9 13.2 11.0 10.9 11.3 12.3 12.8 13.4 12.5 -

■ 傾向

2000経験や中山経験よりも、「重賞経験馬、ホープフルS組の上積みを狙え」ってところか。
そして、1勝馬や経験の浅い馬は割引き。

重賞以外ではホープフルS組の活躍が目立つ。
同条件の荒れ馬場経験者なので、当然有力。

・ホープフルS組
ホープフル3着 フェイトフルウォー
ホープフル5着 プレイ
ホープフル1着 マイネルチャールズ
ホープフル2着 サンツェッペリン
ホープフル4着 コスモオースティン
ホープフル3着 マイネルマクロス
ホープフル1着 アドマイヤブルー

もちろん、ラジオN杯も荒れ馬場経験者なので、当然有力。

・ラジオN杯組
N杯5着 アドマイヤテンクウ
N杯3着 アドマイヤジャパン
N杯4着 シックスセンス
N杯8着 コスモインペリアル

また洋芝の重賞経験も重要か。2012年は札幌2歳S組が好走した。


ダート経験馬が「穴」

ダートの血が活きる中山の芝、馬場が悪く力が要る場合が多い。

過去の京成杯にて、人気薄で馬券になった馬には「ダート経験馬」が多い傾向が見られる。
ダート経験馬が走りやすいのは、この時期の中山芝の馬場状態が、
例年ダート指向の強いタイプが走りやすい事に加え、
レースの流れも東京や京都に比べてダート的な要素が強くなる。

2011年の京成杯もレース時計は2分0秒9で決着したように、
全体的にスピードも要求されたが、レース上がりは36秒もかかっている。
上がり36秒オーバーは過去10年でも、2009年、2005年、2004年と複数見られる。
そして、上がりがかかる展開になりながらも、
中段より前に位置した馬がなだれ込んでしまうのはダート的な流れのレースといえる。
京成杯だけではなく、その他の芝レースでもダート適性の高い血統馬、
近走ダート経験馬が人気薄で複数激走していた。

・ダート経験馬
デボネア(8人気2着)
モエレビクトリー(13人気3着)
アルナスライン(9人気3着)
サンツェッペリン(3人気3着)

ただし、当然ながら、ダート経験馬を機械的に買えば当たるわけではないので注意。

・ダート経験馬のダメパターン
2011年 タナトス 13番人気 9着
2012年 プーラヴィーダ14番人気 13着
2012年 ジョウノバッカス 12番人気 16着

ペース落ち着きやすい

例年各馬折り合いの試金石的な使い方でペースが落ち着くことが多い。

■ ステップレース

朝日杯FS(G1) 京成杯(G3) クラシック
ラジオNIKKEI杯(G3)
ホープフルS(OP)
東スポ杯(G3)
寒竹賞
エリカ賞

■ 2012年回顧

馬名 母父
1 4 8 ベストディール ディープインパクト Marchand de Sable
2 8 15 マイネルロブスト ゼンノエルシド メジロライアン
3 4 7 アドマイヤブルー キングカメハメハ フジキセキ
4 8 16 アーデント
5 2 3 スノードン
6 5 10 フレージャパン
7 6 12 キープビリービング
8 3 5 レッドシャンクス
9 2 4 ロジメジャー
10 7 13 ブライトライン
11 1 1 カフェコンセール
12 6 11 コスモアンドロメダ
13 1 2 プーラヴィーダ
14 7 14 マナウス
15 5 9 キネオピューマ
16 3 6 ジョウノバッカス

■ 2011年回顧

馬名 母父
1 1 2 フェイトフルウォー ステイゴールド メジロマックイーン
2 5 10 デボネア アグネスタキオン シングスピール
3 3 5 プレイ ロックオブジブラルタル サンデーサイレンス
4 2 3 マイネルメダリスト
5 7 13 メイショウトチワカ
6 6 12 マイネルギブソン
7 3 6 インナージョイ
8 1 1 ユウセン
9 2 4 タナトス
10 4 8 ヌーベルバーグ
11 8 16 マリアビスティー
12 6 11 スマートロビン
13 8 15 スリーケインズ
14 5 9 ジャービス
15 4 7 コウヨウレジェンド
16 7 14 ノヴァグロリア

フェイトフルウォーVも陣営は慎重コメント/京成杯

好位を追走した2番人気のフェイトフルウォーが直線で内から抜け出し、
8番人気デボネアの追撃を鼻差振り切り、重賞初制覇を飾った。
勝ちタイムは2分00秒9。
2馬身半差の3着は先行した7番人気プレイが粘り、1番人気スマートロビンは見せ場なく12着。
賞金寄付で注目を集めた3番人気ジャービスは14着に敗れた。

「出した分、掛かり気味だったけど馬が我慢してくれた。
最後に抜けてからフワッとしたけどね」と鞍上の田中勝。
デビュー戦は返し馬で放馬するなど、常にやんちゃぶりがクローズアップされてきた。
それでも格上挑戦の東スポ杯2歳S、ホープフルSで3着と高い能力を披露。
「一戦一戦、成長している感じ。
でもきょうのラストみたいに、課題はあるよね」と、
まだ粗さを残す現状で重賞制覇を成し遂げたことが、逆に大物感を印象づける。

管理する伊藤伸師は開業14年目でうれしい初タイトル。
「巡り合わせもあるから。でも良かった」と素直に喜びを表した一方で、すぐさまクラシック戦線へ視線を向けた。
「頭のいい馬で使うたびにズルさを覚えている。
今回もハミを替えたけど…マイナスにはなっていないかなという感じ」。
次走は未定だが、今後も工夫を凝らしながら気性の改善を行っていく構えだ。

■ 2010年回顧

馬名 母父
1 8 13 エイシンフラッシュ King'sBest Platini
2 4 4 アドマイヤテンクウ キングカメハメハ サンデーサイレンス
3 1 1 レッドスパークル ニューイングランド ヘクタープロテクター
4 7 11 フラガラッハ
5 5 6 アースステップ
6 4 5 ログ
7 2 2 ローグランド
8 5 7 ブルーグラス
9 6 9 タイムチェイサー
10 7 10 テンノウセイ
11 8 12 トーセンマリーン
12 3 3 フーガフューグ
13 6 8 ブルーソックス

エイシンフラッシュ(父キングズベスト)が皐月賞と同じ中山2000mの重賞を制し、これで距離2000m[3-0-0-0]となった。
人気を分けたアドマイヤテンクウがハナを切って前半1000m通過「63.2秒」という超スローペースの流れ。
これを最初から好位につけてアドマイヤテンクウをぴたっとマークする展開になり、
もう1頭の人気馬レッドスパークルはスタートで後手を踏み、終始馬群の中でもまれる位置。
エイシンフラッシュには願ってもない理想の形だった。

前半「13秒台」のラップが2回もあったため、最後「12.4‐11.4‐11.4秒」という上がりだけの競馬。
並ばれたアドマイヤテンクウのストライドも鈍るわけもなく、最後は同時にスパートを開始した2頭のマッチレース。
外から馬体を併せることになったエイシンフラッシュがハナだけ先着したが、この2頭、現時点の能力はほぼ互角。
というよりまったく同ランクと考えたい。
見た目には互いにもうひとつ鋭さを欠く印象があったが、最後「11.4秒」の地点での競り合いだけに、
また、キャリアのわりにいかにも未完成な印象を残す器用でもない大型馬同士。
一応は候補として合格だろう。

ただ、勝ったエイシンフラッシュはこれでローテーションが組みやすくなるのに対し、
2着賞金加算のアドマイヤテンクウは非常に微妙な賞金額になったから、
一度緩めて少し気楽な立場でステップレース出走に臨めるほどは楽な状況ではない。
この2頭、いかにスローとはいえ、2分03秒6の全体時計も、
上がり35.2-11.4秒も平凡といわざるをえないが、皐月賞まで3か月もある。
パワーアップ、鋭さ強化に期待したい。

勝ったエイシンフラッシュも、2着アドマイヤテンクウの父も「キングマンボ系」。
ローズキングダム、アパパネを送ったキングカメハメハを筆頭とするこの春の「キングマンボ旋風」はどうやら本物になってきた。

キングカメハメハは「京成杯」を5馬身もの差をつけられて3着に沈んでいるが、
この時期、ずっと古いメジロラモーヌやダイナカールの時代から、
のちになると「なぜあの馬があの時、あんな平凡な内容で負けた」のだろう。
春を迎える前の冬の一時期、いまここでピークの体調になり、
活力を消耗するようなレースをしない方が、「結果としてのちの活躍に結びつくことがある」。
そんな冬競馬の歴史を思い出した。
エイシンフラッシュも、アドマイヤテンクウも印象点とするとどうも物足りなかったが、
必ずしも能力を全開させたわけではない。そのことが後に正解となるかもしれない。

レッドスパークルはいつもスタートの良くない馬だが、これで東京スポーツ杯3着、京成杯3着を含みながら、
相変わらず賞金400万の「7戦1勝馬」にとどまることになってしまった。
馬群を割って3着に押し上げたあたり、上位2頭とさして差のない能力を秘めるはずだが、
ずっと順調に使われていながらまだ1勝。
このあとのローテーションを考えると、ことクラシック路線では非常に厳しい立場になった。

すでに展望の開けている候補と異なり、
キャリアの浅い1勝馬はトップグループの休んでいるここでそれなりの結果が欲しかった。
フラガラッハ、アースステップなど善戦には持ち込めたが、
先行のアドマイヤテンクウ、エイシンフラッシュを追い詰めるくらいでないと、新星にはなりえないのがこの時期。
一歩下がって、自己の500万条件からの出直しは仕方がない。

■ 2009年回顧

馬名 母父
1 アーリーロブスト バブルガムフェロー Mazel Trick
2 ナカヤマフェスタ ステイゴールド タイトスポット
3 モエレビクトリー ゴールドヘイロー オジジアン
4 モンテトウルヌソル
5 ハイローラー
6 セイクリッドバレー
7 トゥリオンファーレ
8 フサイチナガラガワ
9 サトノエクスプレス
10 サクラルーラー
11 ファインビスティー
12 ケニアブラック
サンライズキール

渋い粘り腰、二の脚を繰り出してアーリーロブスト(父バブルガムフェロー)がしのぎ切るように重賞初制覇を3連勝で飾った。

「エリカ賞」を勝ったあと、「ラジオNIKKEI杯2歳S」に出走のプランもあったが、
中1週のローテーションを避けると同時に、
「皐月賞と同じ中山2000mで、それほど強敵がそろうことはない」と、
陣営がここに狙いを定めたのが正解。
折り合い自在のレース巧者ぶりをフルに発揮した。

レースの流れは予測された通りのスローで、前後半は「62.0-60.7秒」。
現在の中山の芝状態から2分02秒7の勝ち時計は、
だいたい例年の「京成杯」と同様のレベルを示しているだろう。

馬体重よりコンパクトに見せる体つきでムダはなく、
2着したナカヤマフェスタとともに完成度で一歩リードしていたといえる。

今年の3歳牡馬は、まだどの馬が基準になるのか設定しにくいところがあり、
アーリーロブストもナカヤマフェスタも、視点はあくまで印象度だが、
昨年のこのレース時点のマイネルチャールズ、あるいは一昨年のサンツェッペリン、
さらには06年ジャリスコライトあたりとほぼ同様ではないかと思えた。
もちろん修正の必要はあるが、一応は、ロジユニヴァース、セイウンワンダーなどよりワンランク下と思える。

ナカヤマフェスタは間が空いていたためかちょっとカリカリしすぎ。
巧みに折り合ったアーリーロブストとの差は、向こう正面で前の馬に乗りかかりそうになった道中のロスだったろう。

それでも一度は脚さばきがあやしく映った坂下から伸びている。
体の成長は感じさせなかったが、ステイゴールド産駒、大きくはならないのが逆に長所でもある。

脚を余したかのように追い込んでくるとどうしても印象が良くなりがちだが、
それを差し引いても「やがては…」と思わせたのは、
1頭だけ上がり34秒台で外から突っ込んできたモンテトウルヌソル(父タニノギムレット)。

まだ成長の途上だろうが馬っぷりは光っている。
1勝馬とあって皐月賞を目ざすにはやや厳しいローテーションを歩まざるをえないが、
いわゆる将来性ではこの馬がNo.1だろう。

人気の1頭トゥリオンファーレはまだ全体に非力な印象があり、
変わり身を示して欲しかったサクラルーラーも、どうももうひとつ進歩していなかった。

注目していたサンライズキールは、これまで画面を通して見ていた体つきよりはるかに素晴らしい馬で、
この春のレースに期待をふくらませたが、残念。

どうしてもクラシックを展望する路線では調教のレベルが高まる。
と同時に、この時期だから必ずしも芝コンディションがいいとは限らない。
ときにアクシデントは起こる。あまりにもかわいそうな脚部の故障だった。

■ 2008年回顧

馬名 母父
1 マイネルチャールズ ブライアンズタイム Zabeel
2 ベンチャーナイン エイシンサンディ コマンダーインチーフ
3 アイティトップ マヤノトップガン コマンダーインチーフ
4 リトルアマポーラ
5 ダンツウィニング
6 ニシノシュテルン
7 マイネルファルケ
8 ステルスソニック
9 シングンリターンズ
10 ドットコム
11 ゴールドストレイン
12 ランチボックス
13 ショウナンアクロス
14 モエレヘイセイ
15 プラチナメーン
アポロマハル

マイネルチャールズ(父ブライアンズタイム)の勝負強さと闘争心が光ったレースだった。

レース前、騎乗する松岡騎手が「接戦の競り合いになったほうがいい」と展望していたが、
その通りの厳しいレースになった。
4角を回って外から進出してきたアイティトップと接触しかかり、
前のステルスソニックの内に切れ込むようになったが、そこからマイネルチャールズの勝負強さがフル回転。
力強く抜け出し、最後は「クビ、クビ…」の大接戦をきわどく後続を封じてみせた。
あとでパトロールフィルムをみると、ぶつかりかけたアイティトップに噛み付こうとしているようにも見えるから、
前回のホープフルSを差し返して勝ったあたりから、競って一段と勝負強くなったのだろう。

道中は最後方にいたベンチャーナインが大外から強襲してあと一歩の2着。
こちらは短期のオーバーホールに成功し、
また今回は先行馬崩れの流れ(前後半の1000mが60.8=62.1秒)に恵まれたこともあるが、
2戦目に遠征した9月の野路菊S(阪神)でそのあとデイリー杯2歳Sを制し、
朝日杯・3着のキャプテントゥーレに先着した当時の評価を取り戻す好内容だった。

今年の3歳牡馬の路線は、どのレースのレベルが高いのか?
クラシックに直結しそうなのはどのレースなのか? きわめて判断の難しい年とされる。
また、能力の基準になりそうな馬を設定するのも非常に難しいと考えられている。
初めてフルゲート16頭立てになった京成杯が終わっても、
やっぱり難しい勢力図はそのままなのだが、
ふつうはレベルが高いことの多いラジオNIKKEI杯を小差5着、6着のマイネルファルケ、ダンツウィニングが、ここでもやっぱり入着止まりにとどまった。
このことからすると、レースの終わった直後は2分02秒9のやや平凡な勝ち時計もあって、
この京成杯はそんなにレベルは高くはないと感じたが、意外や大きなポイントレースなのかもしれない。

3着アイティトップは2連勝のあと、ここは3着に終わったものの差は0.1秒だけ。
キャリアを考えると1〜2着馬と評価は互角でいいだろう。
牝馬リトルアマポーラは、初距離、初めて道中もまれる形になって、それも大事に乗っていたことを考えれば、
実は、まともなら勝ち負けしていたのは明らかともいえる。
今年もやはり昨年と同様、トップグループの「牝馬と牡馬」の差はほとんどないに等しいかもしれない。

勝負強いマイネルチャールズが、ブライアンズタイム産駒らしい豊かな成長力をみせて有力馬の一頭に加わった京成杯を経て、
ますます今年のクラシック路線は難しく、かつ楽しい展開になったと考えたい。
ひょっとすると弥生賞のころになっても同じで、ヴィクトリー、サンツェッペリンの皐月賞は昨年だけにとどまるのではなく、
今年もまた……がありそうな気がしてきた。

■ 2007年回顧

馬 名 母父
1 サンツェッペリン テンビー オジジアン
2 メイショウレガーロ マンハッタンカフェ Carson City
3 アルナスライン アドマイヤベガ El Gran Senor
4 マイネルヘンリー
5 ダイレクトキャッチ
6 アロマンシェス
7 マイネルーチェ
8 ショウリュウアクト
9 マイネルアナハイム
10 ローズプレステージ
11 キンショージェット
12 ピサノデイラニ

12月のホープフルSを2000m2分01秒3の好時計でニュービギニングの2着していたサンツェッペリンが、
今度は自分でレースを作る積極策で2分01秒6。
鮮やかな逃げ切りで快勝し、豊かなスピード能力をみせた。

そう切れるタイプではないから「ロングスパートをかけるなど、ほかの馬にも途中で脚を使わせたい。
流れが落ち着くようなら自分から動きたい」としていたが、好スタートから他の馬が行かないと見ると、
最初から自分でレースを作っての逃げ圧勝だから見事。

前半は13秒台のラップも含め1000m通過62.3秒のスローに持ち込むと、
向正面の中ほどから、12.1−12.2−11.4秒と少しずつピッチを上げ、
他馬を引きつける逃げ作戦ではなく、上がりの速い競馬にしなかった。
デキの良さも光っていたが、自分でレースを作ってのこの時計は価値がある。
必ずしも評価の高くないテンビー(その父カーリアン)の産駒で、母方にも近いところには活躍馬がなく、
母の父はオジジアン。取引価格は100万円だったともいわれる。
イメージは、少しコスモバルクに似ていなくもない。

松岡騎手はもう重賞4勝目になるが、
自分でレースを作っての痛快なこの勝ち星は、春のクラシックに直結する大きな1勝だった。

2着メイショウレガーロはちょっとカリカリしていたため、
あえて馬群の中で我慢する形になったが、追ってからはしっかり伸びた。
今回が初の2000m、コースも初めて。合格だろう。
前走はデットーリ騎手の腕だけではなかった。
以下はコース取りと仕掛けのタイミングが着順を分けた気がするが、
期待したダイレクトキャッチは4角手前でちょっと待つ形になったのが痛かった。
器用なタイプではなく外を回ってロングスパートをかけたかった。
ピサノデイラニは1度の見せ場もなく、4角を回ってもう無理もできずにあきらめざるをえなかった。
決してダート専用馬とも思えないストライドだが、新馬戦に続き2度目の芝での大敗となっては、春は苦しくなった。


わずか100万円の馬が京成杯を制覇

期待したサンツェッペリンが見事な勝利。
しかし、レースは予期せぬ展開で進みました。
ゲートが開くと同時に、鞍上の松岡騎手が気合をつけて前に。
レース後のコメントでは、「誰も行く気配がなかったので思い切ってハナへ」とのことでしたが、おそらくレース前に作戦を立てていたのでしょう。
スタート後、周囲を伺ってという雰囲気ではなく、迷いなくハナを取りに行ったように見えました。

ハイペースになった前走のホープフルSとは一転し、積極的な競馬。
前半スローに持ち込んで、残り600mで仕掛けて速い上がりでまとめる理想的な内容。
自ら競馬を作りに行く全く違う展開での勝利は見事だったと思います。

今回は相手関係にも恵まれ、トライアル→クラシックと進めばさらに相手が強くなりますが、
皐月賞と同じ舞台の中山芝2000mを自分から動いて勝ったのは大きい。
こういう馬には頑張ってもらいたいと思います。

2着は差してきたメイショウレガーロ。
初の2000mということで、レースっぷりに注目していましたが、前走と同じように終いの脚をキッチリ残しつつの競馬。
ひと息入って、初物づくしでこの結果ですから、まずまずといったところではないでしょうか。  

■ 2006年回顧

馬名 母父
1 ジャリスコライト ファンタスティックライト チーフズクラウン
2 トウショウシロッコ アドマイヤベガ ニッポーテイオー
3 ネヴァブション マーベラスサンデー ミルリーフ
4 シベリアンヒート
5 ディープウイング
6 マイネルグロリアス
7 アンバージャック
8 ニシノアンサー
9 リネンヤクシン
10 モエレフェンリル
11 スマートバイパー

素質馬ジャリスコライト、力強い伸び脚で重賞初制覇を果たす

パドックから気合いを表に出していたディープウイングが一気に先頭を奪ったものの、
1000m通過のラップは62秒8と落ち着きます。
この流れを中団の内でしっかりと折り合ったジャリスコライトが、
直線で力強く伸び、単勝オッズ1.3倍の断然人気に応えるとともに重賞初制覇を果たしました。

新馬戦、いちょうSと続けて上がり33秒台の脚で差し切ったことから
朝日杯フューチュリティSでも1番人気に推されたジャリスコライトでしたが、
鞍上がムチを落とすなどアクシデントが重なって3着惜敗。
仕切り直しに選んだのが、このレースでした。
稍重の馬場ということもあって先行馬に並びかけるまではやや苦労しましたが、
残り100m、坂を駆け上がってからの伸び脚は実にパワフル。
鮮やかに抜け出すと、トウショウシロッコの追撃に1馬身4分の1差をつけてゴールへと達します。

兄にアグネスデジタルを持つ血統の確かさ、そして素質の高さを感じさせるレースぶり。
期待の存在が本来の力を見せつけて、クラシックへと一歩近づいたレースでした。

■ 2005年回顧

馬名 母父
1 アドマイヤジャパン サンデーサイレンス カーリアン
2 シックスセンス サンデーサイレンス デインヒル
3 コスモオースティン オース コマンダーインチーフ
4 イブキレボルシオン
5 ジョウノビクトリア
6 カネサマンゲツ
7 モエレアドミラル
8 ウインクルセイド
9 ウォーターダッシュ
10 ニシノアレックス
ニューヨークカフェ

力感あふれる末脚を見せて、アドマイヤジャパンが重賞初制覇

降り続く雨の影響で中山競馬場の芝は傷み、1完歩ごとに水しぶきが上がるほどの不良馬場。
芝2000m戦・京成杯(GIII)の2分7秒4という勝ちタイムからも、
いかにパワーを要求されるコンディションであったかがわかります。

レースを制したのはアドマイヤジャパン。
豪快に差し切った新馬戦と、鋭く3着に追い込んだ前走・ラジオたんぱ杯2歳Sが評価されて1番人気に推されていました。
この馬場に武器である切れ味が封じられてしまうのでは、という不安は杞憂に終わります。
ふわっとしたゲートの出でスタート直後は最後方になってしまいますが、
道中は手応え良くジワジワと順位を上げ、4コーナーからスパートを開始。
残り200m地点でさらにストライドが大きくなり、直線の坂でまたひと伸び。
実にパワフルな末脚で重賞初制覇を遂げました。

馬場不問の力強さ、そしてサンデーサイレンス×1995年の2歳女王ビワハイジという血統からも、
アドマイヤジャパンはクラシック候補に名乗りをあげたといえそうです。


最近では珍しい極悪の不良馬場のため、スピードや切れ味を問われるレースではなく、
底力と勝負根性が問われる一戦だったろう。
どの馬も最後はドロだらけ。
スムーズなストライドを保てた馬はなく、のめったり滑ったりしていなかった馬はいない。
みんなに大きな不利があったと考えていい。

勝ったアドマイヤジャパンは、スタート次第では(母と同様に)先行するかとも思えたが、例によってあおり気味。
最初からドロをかぶる位置になってしまった。
前走見せた上がり33.5秒の切れが活かせる馬場ではなく、
4角手前では気合を入れるためのムチが飛んだが、最後までしっかり伸びた。
モタモタしながらも力でねじ伏せたあたり、期待以上の底力を秘めていたといえるだろう。
今回は取り消してしまったが、ファミリーはニューヨークカフェ(マンハッタンカフェの全弟)と同じ。
レースを使いながら、さらには距離が延びての成長力にも注目していい。

シックスセンスも最後は外から伸び、勝負根性で2着した形だった。決して重巧者ではないだろう。
この2頭が1〜2着したことにより、ラジオたんぱ杯2歳S組(この2頭は3〜4着)は強気になれる。
12月の時点では、たんぱ杯のレベルはあまり高くはない気もしていたが、決してそうではなかった。
注目のモエレアドミラルは直線の坂までは争覇圏。最後に失速してしまった。
初めての芝がこの不良では確かにかわいそうだが、のめったり滑ったりしたのは他馬も同じ。
最後の止まり方が急だった。
2戦目の再評価を弥生賞かスプリングSで問われることになるが、
コスモバルクと比べると、勝負強さの面で一枚も二枚も落ちる印象を受けた。

イブキレボルシオンは、重巧者だった母よりもっと大跳び。
最後方に置かれたのは痛く、こちらももう一度トップクラスと対戦してから再評価の必要がある。

■ 2004年回顧

馬名 母父
1 8 フォーカルポイント エンドスウィープ スプレンデイドモーメント
2 6 マイネルマクロス  フジキセキ サクラユタカオー
3 4 キングカメハメハ  キングマンボ ラストタイクーン
4 7 スズカマンボ   
5 7 コスモターゲット 
6 3 ニチリンコトブキ 
7 8 ボブビースト   
8 1 グランドブルー  
9 5 ビッグクラウン  
10 2 マイネルベルーフ 

皐月賞レコードが02年ノーリーズンの1分58秒5。
続いて94年ナリタブライアンの1分59秒0だから、今回のフォーカルポイントの1分59秒2はすごい。
レースの流れは[58.0-61.2秒]。
途中から先頭のマイネルマクロスがペースを落とさず引っぱったため、
この流れを利して差したフォーカルポイントの時計は速くなったのだが、
それにしてもこのペースを追走して上がり35.6秒。
最後の1ハロンもこの馬は12秒台前半で、横山典騎手が本気で追っている風でもなかった。

今年の3歳牡馬陣、中央4場の時計がみんな速いため勢力図の描き方が難しいが、最有力グループに入ったことは間違いない。
父エンドスウィープ産駒としてはきわめて異色の芝向きの中距離型。
社台グループの生産馬とすると、その牝系も信じがたく平凡(5代母の産駒までさかのぼっても中央の重賞勝ち馬もいない)だが、
このネイティヴダンサーにさかのぼる父系からは、オグリキャップを筆頭に、
ときどき父母両系の型を破るような大物が出るとされるが、フォーカルポイントもまさにそういうタイプなのだろう。
本番に向けてうまく調整して欲しいものだ。

2着マイネルマクロスは、自身の1分59秒4が[58.0-61.4秒]。
最後はさすがにバテたがこの中身は立派。今年のマイネル=コスモ勢は、そのレベルの高さでこれまでとはまるで異なっている。
ずっと使い詰めだが、こちらも4〜5月に向けうまく調整したい。

期待していたキングカメハメハは、初の速いペースを自身も速めに動いたため、キャリア不足と、現時点での力負け。
資質十分だが、こちらはローテーションが厳しくなった。休んでいては権利も取れない。

■ 2003年回顧

馬名 母父
1 スズカドリーム サンデーサイレンス ダンスオブライフ
2 テイエムリキサン タイキシャトル フラッシュオブスティール
3 コスモインペリアル タイトスポット Law Society
4 イルデパン
5 ブラックカフェ
6 ユウワンタイシ
7 シアトルユー
8 タマモリッチ
9 マイネルレジオ

勝ったスズカドリームの母は、快速サイレンススズカの1つ上の半姉ワキアオブスズカ(父ダンスオブライフ)。
スズカドリームはサイレンススズカの甥になるが、
父は同じサンデーサイレンスなので単なる甥ではなく、4分の3同血という形になる。

サイレンススズカは最初のうち、距離2000mではややスタミナに不安を感じさせたが、
この馬はこれで2000mを2、1、1着。
デビュー戦でのちにラジオたんぱ杯2歳Sを制し、目下牡馬陣のトップにいるザッツザプレンティの2着の星があるから、
これで文句なく3歳路線の主力に加わったことになる。

勝ち時計の2分1秒7は、99年のオースミブライト(のち皐月賞2着)の2分1秒5に次ぐ好時計であり、
また、朝日杯FSの小差3着馬テイエムリキサンを完封した点にも価値がありそうだ。

テイエムリキサンは順当に2着を確保してみせたが、とくにオーバーホールもなくこれで昨年の6月から7戦目。
馬体がやけにまとまった印象もあり、陣営は強気だが、さらに上積みがあるかどうか見解が分かれる。

注目のブルーイレヴンは、もまれての気難しさをカバーするため、スローなら自分で行くことは予想できた。
ただし、ハナに立ってからもムキになって走り、1000m通過59秒4。
そう猛ペースでもないのだが、息が入っていないから失速は仕方がない。
この気難しさはなんともしがたいが、サッカーボーイも若いころ同じようなムードがあり、むしろサッカーボーイ産駒らしいともいえる。
当分は苦しいが、いつかはA級馬となる可能性は捨てきれない。
少なくともあらゆる意味で、平凡な馬ではないということだろう。

ブラックカフェは外に出せず、のびのび走れなかった。
ここで精神面の成長がなかったのは苦しく、シアトルユーは馬体がしぼんで小じんまりしてしまった。
生き残りのクラシックロードはきびしい・・・。

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