■ 解説
欧米では1970年代に入るとノーザンダンサー旋風が吹き荒れたが、
この時代の日本はナスルーラ系のテスコボーイと、トウルビヨン系のパーソロンが覇を競い合っていた。
このため、しばらく導入には消極的だったが、ノーザンテーストの成功が火をつけ、未曾有の導入ラッシュとなった。
初年度産駒のアンバーシャダイが4歳になって1981年の有馬記念を制すると、ノーザンテーストはその翌年に早くもリーディングサイヤーに輝いた。
以後、ダイナガリバー(日本ダービー)、ギャロップダイナ(天皇賞・秋)、シャダイソフィア(桜花賞)、シャダイアイバー(オークス)、アドラーブル(オークス)らが活躍し、
1990年代の半ばまで長きにわたって頂点に君臨し続けた。
ノーザンテースト産駒は、2歳戦から活躍する仕上がりの早さがありながら、決して早熟ではなく、3歳になっても成長を上乗せして活躍。
古馬になってもしぶとく走り続けた。
また距離の長短を問わず、芝もダートも重もこなす万能性に優れ、無類の勝負根性を持ち、夏の暑さにも冬の寒さにも強かった。
ノーザンテースト産駒は全体に小柄だったが、能力は大型馬を上まわり、パワーを要するダートも平気でこなした。
まさに父ノーザンダンサーの特徴そのもので、従来の血統常識やサラブレッドの価値観が、根底からくつがえされていった。
日本にも血統革命が起きたのである。ここまで猛威を見せつけられれば、日本がノーザンダンサー系導入にやっきとなるのは当然。
続けてマルゼンスキー、モガミ、リイフォーらが成功したこともあってノーザンダンサー・ブームが起きた、史上空前の導入ラッシュとなった。
ノーザンテーストの優れた遺伝力は後継種牡馬にも及び、アンバーシャダイ、メジロライアン(宝塚記念)へと受け継がれていった。
メジロライアンはメジロブライト(天皇賞・春)を出し、3代にわたる内国産G1馬の父系をつくり上げている。
また母の父としても優れ、サンデーサイレンス、トニービンらの成功を陰で支えた。1991年から2006年まで16年連続でリーディング・ブルードメアサイヤーに君臨。
エアグルーヴ(オークス)、ダイワスカーレット(桜花賞)、サッカーボーイ(マイルCS)、サクラバクシンオー(スプリンターズS)ら数多くのG1ホースを送り出している。
社台の吉田照哉氏がアメリカのセリ市で購入。フランス、イギリスで走り、サンデーサイレンス以前の大種牡馬。2004年に死亡した。
産駒は丈夫な体と、ミラクルな成長力を持つ。距離は万能タイプ。
アンバーシャダイからメジロライアン-メジロブライトと牡馬産駒が活躍し、父系を伸ばしている。
なお、メジロブライトは2004年5月に死亡、メジロライアンは2006年9月にシンジケートが解散した後、2007年に種牡馬引退しており、
現時点では有力な後継種牡馬は生産界から退いている状況となっている。
ノーザンテーストはブルードメアサイアー(母の父)としても優秀であり数多くのGI馬を輩出している。
「父サンデーサイレンスとの組合せではGI馬は出ない」といわれた時期もあったが、現在は多数輩出している。
ヌレイエフと同様に、このアンバーシャダイ-メジロライアンラインも瞬発力を誇る。アンバーの方がより強力だが。
ただスピードには欠けるので、スロー気味のヨーイドンが向いている。
その点はヌレイエフとは逆。またこちらも芝の道悪は鬼とも言える血統。
他に挙げられる特徴には、自分の能力分だけ走るタイプで、急激に衰退しない代わりに、あまり成長もしないことがある。
逆にカチドキリュウ(クリスタルC)やトーホウドリーム(大阪杯)などのように一世一代の大駆けをしてしまうと、それで終わり。
似た事はエアガッツやメジロランバートにも言える。また、夏場が苦手ということではないが、冬場の方がより走る。
昔はアンバー産駒は5月の東京で大ブレイクしていた時期もあったが・・・。
いまやこの系統はローカルでの活躍の方が顕著となってきたし、オープンでもマル父限定戦が指定席になってきた感がある。
ライアンも、ブライトやドーベル級はもちろん、重賞の常連となるような産駒を送る活力すら怪しくなってきたのではないだろうか。
種牡馬の末期のサインとも言える「それまでダートがダメだった種牡馬が下級条件のダート馬を急に輩出する現象」も出ている。
結局日本でブレイクしたノーザンテーストの血脈も、ダイナガリバーも含めサイアーラインとしては衰退の一途を辿ることになりそうだ。
★ エピソード
■ 代表産駒
■ BMSとしての代表産駒
■ 代表種牡馬