■ 特徴
■ 解説
日本で独自に発展を遂げたナスルーラ系分枝で、軽快なスピードと優れた瞬発力が長所となっている。
元々は欧州で発展した父系だが、パワーを必要とする馬場ではその長所が十分に生かしきれなかった。
しかし、日本の高速馬場では抜群の適性を見せ、水を得た魚のように大変身。距離の適性も大幅に広げ、クラシック血統として大成功した。
プリンスリーギフト産駒で日本に最初に入ったのがテスコボーイで、リーディングサイヤーに輝くこと5回。
1970年代から1980年代にかけて黄金時代を築き、ライバルのパーソロンと覇を競った。
このテスコボーイの成功に刺激され、バーバー、ファバージ、トライバルチーフ、フロリバンダらが次々と輸入されたが、
それらの多くが成功して未曾有の導入ラッシュとなった。
直仔の後継種牡馬だけで20頭近くも輸入され、最終的にはファバージが欧州に残したラインゴールド(凱旋門賞)、
ゲイルーザック(伊ダービー)といった大物までも日本に入った。
ただ、これら大物ステイヤーは、日本の馬場ではスピードも決め手も欠き、期待ほどの結果を残せないで終わった。
また、テスコボーイ系以外は後継種牡馬に恵まれず、ノーザンダンサー系が台頭してくるなかで繁栄の終わりを告げた。
しかし、テスコボーイ系だけは日本にしっかりと根をおろし、トウショウボーイがノーザンダンサー系の猛威に屈することなく成功。
次いでサクラユタカオーが独自の内国産父系を発展させ、今日も活力を維持している。
プリンスリーギフトのラインは、昭和40年代後半から50年代初頭のクラシック血統でした。
テスコボーイがそれまでのヒンドスタン専制君主時代を打ち破る活躍でリーディングサイアーにつき、
ランドプリンス(皐月賞)、キタノカチドキ(皐月賞、菊花賞)、トウショウボーイ(皐月賞・東京で施行、有馬記念、宝塚記念他)、
インターグシケン(菊花賞)、サクラユタカオー(天皇賞・秋)、ホクトボーイ(天皇賞・秋、当時は3200m)、ハギノカムイオー(宝塚記念他)、
テスコガビ(牝馬2冠)、オヤマテスコ(桜花賞)などを出しました。
バーバーからはカネミノブ(有馬記念)など。
ファバージはフランス、イタリアで成功を収めたのち輸入されハードバージ(皐月賞)、ビクトリアクラウン他重賞勝ち馬を多数出しました。
またプリンスリーギフト-キングストループ-ボイジーボーイとつながる細々とした血脈からはカツラギエース(ジャパンC、宝塚記念他)が出ました。
上記の内、トウショウボーイは4冠馬ミスターシービーを送り出しましたが、サイアーとしてのトウショウボーイラインは風前の灯火です。
産駒のサクラホクトオーが現在JRAに2頭だけ子供を登録しており、その内の1頭であるサンライズシャーク。
この系統は東京の千八、二千はやたら強い。母父もクリスタルパレスですし。でも時代が違うと言ってしまえばそれまでですが。
話を戻しますが、当時は、この「プリンスリーギフト系」が日本に君臨して、枝葉を広げていくのだろうと本気で思っていたものでした。
それがあっと言う間に終息してしまうとは・・・。
もちろん、トウショウボーイは母の父や祖母の父としては今なお影響力を持ち、種牡馬として大成功したわけですが、
今やプリンスリーギフトのサイアーラインとしてはテスコボーイ-サクラユタカオー-サクラバクシンオーのラインしか残っていないと言っても過言ではありません。
ということで、この系統について書くとしても、バクシンオーの特徴以外は馬券への即効性が薄いでしょうが、そこは知識と言う事で、包括的に書かせて頂きます。
基本的にはスピード能力に秀でており、スピードの持続力はかなり桁はずれです。
反対に馬力的なパワーには欠けるため、力の要るダートは基本的にあまり巧くなく、
また芝の道悪もトウショウボーイ-ミスターシービーのライン以外は下手と決め付けてよいでしょう。
このパワーのなさが、この系統が衰退していった最大の理由だと個人的には思っています。
仕上がりは早いですが、使い減りする傾向がある上に、体質や足元が弱い子が多いです。
この足元の弱さはスピード能力と諸刃の剣で、屈腱炎や骨折に泣く馬が多いです。
これらプリンスリーギフトラインの主な特徴は、そのままサクラバクシンオーに当てはまるものです。
バクシンオーはとにかく一本調子なペースで走れる競馬には強く、ローカルの1000や1200m、旧東京の1400mにはとにかく向いています。
仕上がりの早さは今年(2003年)の2歳戦での勝利ラッシュで証明済みですね。仕上がり早に加え形状が向いているわけですからまさに鬼に金棒なわけです。
あと、芝のマイルは実は意外と好成績です。
今年(2003年)も桜花賞(シーイズトウショウ)とNHKマイルC(エイシンキンプサン)が2着に入っていました。
特に改装後の東京芝マイル戦は旧東京千四と似た流れになることが多いように思いますので、
今後もマイル戦でのバクシンオー産駒の好走が目立ってくるかもしれません。
なお、母方としては同じく持続力を配した母父との相性が良いようです。
(ショウナンカンプ、ナムラマイカ=ニジンスキー系、シーイズトウショウ=トゥルビヨン系、エイシンキンプサン=ミスプロ系、
ハッピーマキシマム=ハイペリオン系。例外はサッカーボーイを母父に持つメジロマイヤー。)
最後にサクラユタカオー直子について。
もう数は少なくなりましたが、クリールポイント、ミデオンクルーズ、ドゥーマイベストなど2400〜2600mでの活躍馬が出ています。
本来、これくらいの距離は持っておかしくない血統ですが、それよりも、晩年になってスピード能力が落ち、
その分平均的ラップとゆったりした加速で走れるこの距離で頑張っている、ということだと思います。
ボールドルーラー系は、このプリンスリーギフト系と酷似した特徴を持ちながらも、パワーも兼備しているためにその命脈をつないでいます。
■ 代表種牡馬