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皐月賞(G1)

【皐月賞・男の解の公式】 中盤4Fのラップ36.9(3F換算)に耐えられる馬!
モデル馬

■ 傾向

○2012/4/22(日)
×2007/4/15(日)
×2009/4/19(日)
×2006/4/16(日)
×2010/4/17(日)
メンバーが揃い中盤緩まないラップを刻むレース。
完成度の高さに加え、底力が要求される。パワータイプ重視。

枠順=内枠やや有利
・過去10年連対馬でみると、極端な偏りはないものの内枠有利のデータとなっている。

内枠 8頭 中枠 6頭 外枠 6頭
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「切れ味タイプの差し・追い込み」が嵌るラップ、上位馬は単なる「恵まれ」か?

 先週末は、牡馬クラシック1冠目・皐月賞が行われました。

 ヴィクトワールピサが1番人気に応えて見事に快勝、世代唯一の「3冠馬」に挑戦する権利を獲得しました。際どい2着争いを尻目に完全に抜け出した勝ちっぷりは、まさに「その先」を予感させるに十分でしたが…ラップ的にはどのようなものだったのか、見てみましょう。

◆皐月賞(GI・中山芝10F)

2010年:35.4-49.5-35.9=2'00"8 稍 (ヴィクトワールピサ)
2009年:34.8-48.3-35.6=1'58"7 (アンライバルド)
2008年:36.2-50.3-35.2=2'01"7 (キャプテントゥーレ)
2007年:35.5-48.5-35.9=1'59"9 (ヴィクトリー)
2006年:35.6-48.6-35.7=1'59"9 (メイショウサムソン)

※「テン3F-中盤4F-上がり3F」で表記、( )内は勝ち馬
過去の皐月賞レース結果一覧

 当日は朝から重馬場でしたが、午後になって稍重にまで回復しており、9R以降はかなり時計が出ていました。例年良馬場でもそれなりに荒れているので、恐らく皐月賞時点では10Fで例年比1秒前後の馬場差に収まっていたのではないでしょうか。

 これを単純に補正すると実質「35.1-49.1-35.6」で、ほぼ例年並のラップですが、微妙に「テンが速く、中盤が緩く」なっています。この機微は「切れ味タイプの差し・追い込み」有利な結果を生む性質のもので、序盤11番手以下の3頭が馬券圏内を独占したのもこれと無関係ではない筈です。

 1着ヴィクトワールピサは弥生賞、2着ヒルノダムールは若駒S、3着エイシンフラッシュは京成杯と、上位3頭は全て「かなりスローの10F戦を、メンバー中最速の上がりで制していた」馬だったのもこれと合致する事実。即ち「展開の利」と「切れ味の資質」を同時に味方に付けた結果と言っていいでしょう。

 こうして見ると、まるで上位馬は「恵まれ」のような書き方ですが、特に上位2頭に関してはそれを否定しておきます。というのも、ヴィクトワールピサはラジオNIKKEI杯・ヒルノダムールは若葉Sと、中盤厳しい流れでもしっかり好走しており、特に「切れ味に特化したタイプ」ではないからです。急流でもまず好戦したと見ていいでしょう。

 「恵まれ」どころか「緩んだ中盤で押し上げ、上がりまで止まらずに突き抜けた」勝ち馬は、ロスなく内ぴったりを回ってきた利があったとはいえ、持続力は一枚上だと判断できます。

 4着以下ではやはり「テンで脚を使い、やや苦手な切れ味勝負でも2着と同タイムと踏ん張った」ローズキングダムが巻き返しの筆頭。展開的に厳しかった上に、メンバー中最軽量の馬体を更に減らしてタフな馬場に挑むのは限りなく悪条件でした。即ちこの結果は「負けて強し」と言っていいでしょう。

 11着に沈んだエイシンアポロンは、絶好のデキだっただけに、外を回したロスがあったとはいえこの失速は「距離の壁」が大きかったと判断します。こちらは距離短縮での巻き返しに期待したいところです。

■ 2012年回顧

皐月賞に見る血統馬券
2012年04月18日(水)18時00分
注目数:7人
 先週、桜花賞に出走するディープインパクト産駒の考察をしたので、今週は皐月賞でのディープ産駒について見てみよう。ただ、このレースは他にも人気で出てきた血統がいるので、血統全般で考えてみたい。

 まず1番人気のグランデッツァ。アグネスタキオン産駒だ。アグネスタキオン産駒については、ここで何度も書いてきた。揉まれ弱く硬くなりやすいが、量の豊富な典型的なL系である。したがって、硬くなる前の休み明けを好み、揉まれない外枠も大好きだ。

 グランデッツァの前走スプリングSは大好きな大外枠の休み明け。さらにスローになったので揉まれず気分良く走れたため、能力自体は高いので1着した。

 問題は今回だ。さすがに小回り中山の多頭数GIで前走よりペースダウンすることは考えにくく、タフな競馬になるだろう。そして休み明けで気分良く走った後でもある。Mの血統辞典にもあるように、アグネスタキオン産駒は疲労耐久指数が低い。前走から中3週の間隔で道悪激走後では、反動が出る確率が高くなる。

 取り巻く環境は一気に厳しくなっているのに、1番人気だ。普通なら切り捨ての一手でいい場面だが、悩ましい問題があった。今回も大外枠で、しかも道悪でもある。揉まれるリスクは減るし、道悪で馬群がばらければさらにいい。能力自体は高いので、気分良く走れれば上位に顔を出す。以上から、プラス要素とマイナス要素では、ややマイナス要素が多いと判断して4番手評価にした。

 次は2番人気のワールドエース。ディープインパクト産駒だ。まだ4戦しかしておらず、その内オープンは3戦。若駒S、きさらぎ賞、若葉Sと裏路線である。これはM的には大きなポイントになる。裏路線の方が鮮度を保てるからだ。

 一番の気掛かりは、疲労だ。年明けからすでにオープンを3戦消化してすべて連対。そして前走の若葉Sは8キロ減っての出走だった。それから中3週しかないのに、今回は関東へ初遠征。疲れはある。

 以前も話したように、疲れがあるときの重い馬場はあまり得意ではないのがディープインパクト産駒の特徴だ。それで1番人気と僅差の2番人気。臨戦過程的にはグランデッツァより上だが、やはり人気ほどの期待値は感じない。そこで3番手評価とした。

 次は3番人気のディープブリランテ。同じディープインパクト産駒である。この馬は可もなく不可もない。生涯4戦で年明け2戦。生涯ストレスは少ない。ただそれ以上に特段プッシュする材料もない。

 馬柱を見たときはワールドエースとこの馬、どっちを上にするかでいいと考えていた。ところが、土曜の馬場を見て急に見解が変わった。雨が降って外差し馬場に変わっていたからだ。そして日曜は晴れの予報。

 今年の中山は、土曜に雨が降って外差しで日曜に晴れると内の乾きが早く、内枠の先行、好位馬が圧倒的に有利になるケースが多かったのだ。そこでこの馬を本命とした。

 最後は4番人気ゴールドシップ。馬柱を見た瞬間には本命と考えていたが、土曜の雨を見て、日曜は外枠の追い込みは決まらない馬場に急変する可能性が高いと判断した。そこで、「普通の馬場なら一番有利」だが、対抗の2番手評価とした。

 なぜ普通の馬場なら一番有利なのか?

 まず、今年1戦のみで、今回は中8週と疲労がない。これは人気2頭にはないアドバンテージだ。そして再三解説しているステイゴールド産駒ということ。今では偉大な種牡馬として認知されているが、Mではあまり活躍馬がいなかった初年度から、C系種牡馬の代表として高い評価を与えていた種牡馬だ。強い相手に怯まず、混戦に強い。

 単調な東京1800mのトライアルから、激戦になりやすい小回り中山のGIに変わる点が大きなプラスポイントなのは、他の有力馬にない要素だ。

 ただ、気になることもあった。外枠である。馬群に入って集中力を出すタイプが、外枠で外々回る形は心配だそこで解説には「外々回ると心配だが」と書いたのだった。


皐月賞
2012年04月16日(月)18時00分
注目数:59人
 発表は稍重に回復していたが、良に近い稍重ではなく重馬場にも近い芝コンディションだったろう。渋った馬場に対する適性の差と、コース取りが大きく明暗を分けたのは確かだが、勝ち時計は2分01秒3。そう遅くもない。勝ったゴールドシップ、2着のワールドエースともに後半3ハロンは34秒台を記録している。

 良馬場と異なる力関係が示されたとは限らない。まして天候不順はこのあとも続く心配であり、5月末の「日本ダービー」が今回と一転の高速の芝となる約束もない。今回の皐月賞、良馬場の2000m以上にスタミナ能力や、苦しい状況をはねのける精神力が問われた一面もある。皐月賞の内容を、日本ダービーに結びつけたい。

 ゴールドシップ(父ステイゴールド)は、札幌2歳S、ラジオNIKKEI杯2歳S、共同通信杯。出走メンバーの中でもっとも早い時期にデビューした馬の1頭とあって、強敵と対戦の経験は豊富だった。ただし、今回も2月12日以来だったように、無理せずに成長を促しつつ、かつ活力の温存を図っている。ダービーを展望するとき、このローテーションは大きな強みとなるだろう。今年まだ2戦だけ。ましてタフなステイゴールド産駒。今回がピークだった危険もほとんどない。

 スタートして1コーナーを回る地点では最後方。内田博幸騎手は勝利騎手インタビューでも触れたが、この馬が再三苦しい状況を切り抜けてきたことを知っていた。ましてすぐ前にいるのが人気のグランデッツァと、ワールドエース。慌てる必要はなかった。

 伏兵の引っ張った流れのレースバランスは「59秒1-62秒2」=2分01秒3。ハイペースと記録されることになるが、離して先行した2頭は事実上のペースメーカーではなく、実際は3〜4番手のアダムスピーク、ディープブリランテにレースの主導権があったろう。そのディープブリランテの前半1000m通過は推定61秒台前半。この馬場で予測された標準ペースである。

 最後方にいたゴールドシップ、ワールドエースが1-2着したので、全出走馬を見渡せば先行馬くずれの「前傾ラップ」が刻まれたように映るが、離れていた主力勢にとっては少しも厳しい流れではなく、勝ったゴールドシップの上がりは34秒6であり、2着ワールドエースの上がり3ハロンは34秒9。レース上がり3ハロンは,最後の直線、大失速したゼロスの刻んだ「13秒6」のラップも含まれるから38秒4であるが、信じがたい失速はゼロスとアダムスピークだけであり、メイショウカドマツは2分02秒1で8着に残っている。

 先行勢が止まったから、後方に位置したグループが届いた。そういう上がり3ハロンの数字の開きではない点に注意したい。推定の数字になるが、先行して粘ったディープブリランテの前後半は「61秒3-60秒5(上がり36秒7)」と思える。この馬場で予測された勝ち時計の2分01秒8で乗り切り、さして違わない位置にいたコスモオオゾラも2分01秒8。それだからこの2頭、3〜4着に好走しているのである。

 一方、勝ったゴールドシップの前後半1000mは推定「63秒0-58秒3(上がり34秒6)」となる。ワールドエースのそれも「62秒8-58秒9(上がり34秒9)」でそう大きな誤差はないと思われる。つまりこの2頭、メイショウカドマツやゼロスの作った前半のペースとはまったく関係がない。それどころか、アダムスピーク、ディープブリランテなどの刻んだ1000m通過61秒台前半の、この馬場だからほぼ納得の平均ペースの流れから、中間地点で約2秒も離れた最後方に位置している。好位から早めに動いたディープブリランテ、コスモオオゾラの2頭が抜け出して、この馬場だから上がり36秒4-7でまとめたところを、1-2着の2頭だけが傑出の後半「34秒台」で伸びたのである。

 この皐月賞に限れば、2頭の残した数字(記録の内容)は飛びぬけている。ゴールドシップは3コーナー過ぎから、馬群の内に入って一気に進出。このコース取りはあまりにも巧みで、渋馬場を気にしていないことを察知した内田博幸騎手のファインプレーだった。馬群の内(それでもラチからは3頭分くらいは離れている)に入ったのは、3コーナーすぎから4コーナーまでの1ハロンだけだったが、ワールドエース、グランデッツァの通った距離とは大きな差が生じている。

 コーナーを回る地点で内寄りを通ったゴールドシップと、進出を開始したからそれまでよりさらに馬群の外を回る形になった1-2番人気の2頭とのコース取り差は、おそらく7〜8馬身にも相当するのかもしれない。

 とすると、ほぼ同じような位置にいて、上がり3ハロン標識ではもう内から1馬身くらい前からスパートして勝ったゴールドシップの上がり「34秒6」に対し、約1馬身後方からゴールでは2馬身半遅れたワールドエースの上がりは着差から「34秒9」となった。しかし、通ったコース(距離)の差を考慮すると、実際にはワールドエースの上がり3ハロンは34秒0さえ切ったくらいにも相当するのではないか、という推理は成立する。約1馬身後方にいて1馬身負けたなら同じ「34秒6」となる仕組みである。上がりの数字に通ったコース(距離)の差は関係しない。どれだけ外を回ろうと。少なく見積もっても、5-6馬身に相当する距離損はあった気がする。恐るべし、ワールドエース。スタート直後に前のマイネルロブストにぶつかりそうになり、つまずいて落馬しそうになる不利があってのことでもある。

 人気のグランデッツァ(父アグネスタキオン)は、マイナス6kgの484だったが、これまでより一段と伸びやかな動きで、大きくみえた。スプリングSの内容から渋馬場もあまり気にしないと思えたが、スタート直後から行き脚もう一歩。リズムが悪い。M.デムーロ騎手のスタイル(流儀)からして、3コーナーにさしかかっても最後方近くでモタモタしていたあたり、「ずっと滑る芝を気にしていた」と振り返った通りなのだろう。この馬の前半1000m通過も63秒前後。自在の同馬が置かれて進むペースではない。スプリングSでは渋馬場OKのように思えたが、柔らかい大跳びのフットワークが身上、本当はこういう馬場向きではないのだろう。当然、日本ダービーが良馬場なら巻き返してくるはずだが、ゴールドシップ、さらには負けたとはいえ内容は勝ち馬以上ではないかと思えるワールドエースがあまりに光ってしまっただけに、「皐月賞の1番人気馬を評価下げしてはならない」。そういう鉄則は知りつつ、ランキングは少し後退するだろう。

■ 2007年回顧

35.5 36.4 35.9 中盤緩まない一貫ペース

 ハナを主張したサンツェッペリンが先頭に立ってレースが落ち着きかけたところ、向こう正面入り口で外から一気にヴィクトリーが先頭へ。暴走の危険を察知したほとんどの馬が後方待機するなか、ハナを奪ったヴィクトリーはすぐに折り合いマイペース逃げ。面喰った後続が慌てて差を詰めに掛かるも万事休す。

 1着 ヴィクトリー・・ほぼ馬任せ、のような騎乗にも見えなくはなかった。クビをまともに使うようになったら史上最強になるのでは、と思ってしまうほど強い馬、そして賢い馬。後続で脚を余した馬はたくさんいたようだけど、皐月賞で後ろにつけすぎた馬が脚を余さないように前目で早めにスイープしようと考えても、馬がついていけないと思う。決して緩ませてタメを作って逃げるわけではないヴィクトリーのマイペースはそう簡単には捕まえられない。体調万全ならば。ちょっと疲れてる感あり…。

 2着 サンツェッペリン・・そのヴィクトリーに真っ向から対抗できそう馬。スタミナ負けせず叩いて非常にしぶとい。まともにヴィクトリーを捕まえにいけるのはこの馬ぐらいで、あとの馬にはかなり無謀なチャレンジだと思う、現状は。

 気になるのは、今回ヴィクトリーを捕まえに行くかどうか。皐月賞での負けを「クビの上げ下げの差」ぐらいに捉えているなら、今回も一緒に隊列を作っていけばいいけど、「ハナを取れなかったorマイペースで行かせてしまった」と敗因を捉えているようなら、競りかけていく競馬が予想できる。展開を左右するだけに、事前に教えてくれないかな〜(-.-;)

 3着 フサイチホウオー・・明確に脚を余して負けた。もともと好位でも難なく競馬できるタイプではあるものの、1枠でごちゃつくのを嫌ってか後方から安全コースを乗られた(それでも他馬に迷惑は掛けたけど)。ラスト猛追するものの3着まで。

 さて、本番の位置取りはどうするだろう。広いコースに替わるので、下げる必要もなく揉まれる可能性も低いだろうし、ある程度のポジションに陣取ると予想していますが、ヴィクトリーの作るペースをまともに受けて動けるのかどうか。1番強くて内容の濃かった新馬戦が上がり掛かる展開でちぎってるんで、持久力は持ってるんだろうなぁとは思ってますが。あと、個人的には3戦3勝の左回りより、右回りの走りのほうが強く見える。まっ、不安要素を列記したところで外せるわけないんですけど…1着には絶対塗らないです。とか言ってBOX買ってたらすんません。。

 4着 アドマイヤオーラ・・後方待機から内々経済コースを通ってきれいなコース取り。それだけに、自分より前にいてややロスもあったフサイチホウオーと同じ上がりタイムというのは内容として完敗。弥生賞で速い流れの前目の競馬を経験しているのは強みながら、距離に不安があるとも聞く。世間の目に反して「皐月賞よりダービー向き」だと思ってみてるんだけど。やっぱ距離が長いのかね。

 6着 ローレルゲレイロ・・後ろから行ってレガーロを差す勢いで進出しながら最後止まる。スプリントでも走れると思えるぐらいなので、皐月賞より距離が伸びても止まるポイントが早くなるだけ…かな。

 7着 アサクサキングス・・やっぱりこの馬はホワイトマズル産駒で、気分よくいければ、という馬なんじゃないかな。8枠引けば一考も、欲張りローテもちょっと嫌。

 8着 ドリームジャーニー・・一瞬の切れ味をどこで使うか。

 11着 ナムラマース・・今年に入ってから差し脚に磨きを掛けすぎて魅力がどんどん薄れている。皐月賞本命時には脚質の幅の広がりをプラスに捉える振りをしていたものの、不器用一辺倒に早仕掛けしてくれてたほうが良かったなぁ、と正直思う。皐月賞にしても、後方で有力馬と一緒に構えてスピードに乗せるタイミングを完全に失ってしまった。着順度外視でダービーで狙える馬筆頭だと思うけど、また構えて直線勝負をするんじゃないかと思うと、かなり不安。脚を余す乗り方はしません!って発言をレース前にみたら、積極的に買いたい馬。

 12着 フライングアップル・・先行するとしたら、ヴィクトリーに潰されると思うし、後方待機しても切れ味が増すタイプにも思えない。


皐月賞(中山10F/35.5-48.5-35.9)
12.2-11.2-12.1-11.6-12.3-12.3-12.3-11.6-12.0-12.3=1'59"9
1着ヴィクトリー(1)、2着サンツェッペリン(2)、3着フサイチホウオー(9)
6着ローレルゲレイロ(7)、7着アサクサキングス(3)、10着マイネルシーガル(7)

メイショウサムソン&ドリームパスポートの昨年よりも更に前に厳しいラップで、今年の牡馬クラシック戦線が底力ベースで回ってきたことの集大成的レース。
5〜7F目で後ろが差を詰めなかった「距離の利」が最後までもった体だが、前も後ろも楽が出来ずに流れたタフなレースなのは間違いない。
勝負所で差を詰めて最後まで伸びた6着馬は力を見せたし、中山10Fで更に底力に寄り過ぎると流石に辛い7着馬もしっかり前を追って最低限の格好は付けた。


皐月賞(中山10F)
12.2-11.2-12.1-11.6-12.3-12.3-12.3-11.6-12.0-12.3 =1'59"9
1着◎(17)ヴィクトリー(7番人気)
2着○(9)サンツエッペリン(15番人気)

3着…(1)フサイチホウオー(2番人気)
4着…(15)アドマイヤオーラ(1番人気)
5着△(10)メイショウレガーロ(11番人気)

「35.5-48.5-35.9」は、同タイムだった昨年の「35.6-48.6-35.7」に酷似。その昨年の上位2頭(メイショウサムソン&ドリームパスポート)のその後を見れば、この流れで先行した1・2着馬=ヴィクトリーサンツェッペリンが、ノーマーク故のフロックだった訳がない。僅かな差だが去年より更に前に厳しい流れで、しかもそれをこの2頭で前後しながら演出したのだからその底力は言わずもがな。
道中最も遅いラップが「12.3」というのは、ダイワメジャーが押し切った年もディープインパクトがひと捲りした年も「12.6」があったのと比較すればその価値が分かろうというもの(昨年も「12.3」)。
勿論、例えばダービーで「折り合っての切れ」に特化した流れに付き合うようなことがあれば磐石とは言えなくなるだろうが、これほどのパフォーマンスを見せた上位馬に対して、「行った行った」だから皐月賞は詰まらない駄レースだった、と評するのは負け惜しみ以外の何物でもないだろう。
・・・すみません、ちょっと自慢入ってますw。

しかし人気の「2強」もやはり強かった。
フサイチホウオーは、右回り&坂コースで信頼していなかったのだが、間隔空いて最内引くというこれ以上ない逆流をものともせずの僅差3着。つーか、これだけ淀みない流れで上がり33秒台出せるってどうよ?
ただ逆に言えば、あれより前にいればあれほどのキレを繰り出せたとは到底思えないので、決して巷間言われる乗りヘグリとは思えない。切れ味タイプであればあるほど中盤までに使った脚が上がりに影響を与えるので、単純化すれば「いつもより中盤までに0.5秒分前にいれば、上がりは0.6秒落ちる」筈。これまでの戦績からはあれでほぼベストの確信がある。ホウオーから買った馬券のハズレをアンカツのせいにする人がいるとすれば、それはちょっと違うのでは。
一方、アドマイヤオーラにはもう少し戦法の選択肢はあったような気がする。しかし前走直線短い中山で一瞬のキレを最大限に生かすシミュレートをしてしまった以上、なるべく流れに乗って追走し、できればホウオーを内に閉じ込めておいて最後に差すというシナリオを描かざるを得なかったのは容易に想像できる。勿論この馬も上がり33秒台を出すにはあの位置取りしかなかった訳だろうが。
逆に言えば、長くいい脚を使う流れになる東京では、ホウオーにほぼ勝てないと踏んでの博打だったかも。ただその博打に負けた(ホウオーが想定よりも強かった)上に、前の馬の底力も見誤ったのではないか。土日13鞍で勝利なし、なんてことを持ち出すまでもなく、流れがなくレースも見えてなかった印象で・・・って、豊様にはケチをつけたくなる個人的事情wがあるのでこの辺で。<?
今の時点でダービーを1点買いしろ、と言われたら素直に皐月賞上位3頭の3連複かな。


>1点 フサイチホウオーについて
>ラップは仰るとおりだと思いますが、
>位置取りはやっぱり安勝のミスではないでしょうか?
>中山で4角大外ぶん回し、
>せめて真ん中あたり馬群をわって出てきて欲しかった
>調教師もコメント求められて
>ちょっぴりむっとしながら
>騎手に聞いてくれって言っていましたし
>中堅騎手なら叩かれていたのではないでしょうか?

「せめて真ん中あたり馬群をわって出てきて欲しかった」という点に関しては、全くその通りだと思います。このコース取り自体を独立して評価すれば、低い点数になることは間違いありません。
ただ、そもそも私のフサイチホウオーの見立てとして「『右回りのコーナリング〜直線での走り』に疑問アリ」というものがありました。(※ラジオNIKKEI杯でも審議対象になりましたよね)
つまり、4角をインベタで潜るのが身体に染み付いている地方出身騎手の中でも、最もコース取りに熟練しているアンカツをもってしてあのコース取りになったということは、「加速して右コーナーを回すには、横方向への制御を多少ルーズにしてでも推進力を解放した方がいい」ということだと判断しました。実際「上がり3F=33.9」の中には「大外ぶん回し」区間が含まれている訳ですからね。
そこまで勘案しての、あの結論です。言葉足らずで失礼しました。
となると、大回り+左回りの東京では、この制約がなくなると見立てれば、どう考えても中心ですよね・・・もし私がダービーで無理矢理消すようでしたら、止めてくださいw。


>回顧に出てこなかったアサクサキングス、メイショウレガーロ、ローレルゲレイロについてのコメントをお願いできませんでしょうか。
>アサクサについては多少力負け、レガーロ、ゲレイロは距離長かったのかな。という感じなんですが、どんなでしょうか?。
>上記の3頭も弱い馬じゃないと思ってるので、東京・京都のマイルあたりのレースにでてくるのであれば、ねらってみたいと思ってます。 
>できれば印を付けてらした馬の詳細見解のほう宜しくお願いします。
まずは7着△アサクサキングス
仰る通り、「この距離では」多少力負けという気はしますね。百日草・きさらぎ共に完勝とはいえ、展開絶好で9Fをロスなく回ってのものだけに距離伸びての底力の裏付けまではそもそもやや弱かったのでは。長くいい末を使えるので、仰る通り東京・京都で映えるでしょう。マイルCは当然主力級かと。
続いて5着△メイショウレガーロ
そもそも京成杯では2着ながら完敗だけに伸びしろに期待した評価で、その後の弥生賞は「ココナッツパンチらよりは上」という実力評価。ココロンパンチより2馬身前の5着、という結果はむしろ想定内でしょうか。5着なりの「力負け」でしょうが、勿論成長次第でまだまだ狙えると思います。この馬もイメージは広いコースでのびのびですね。
そして6着…ローレルゲレイロ
このペースで前4頭が上位7着内に全て残ったのは、「4角までの距離の『利』が大きかったこと」はあるにせよ、回顧で書いたラップ分析からも決して「スローで行った行ったの駄レース」ではないです。つまり、全体としての底力のレベルが高かった訳で、中盤しっかり差を詰めて上がってきたこの馬も決して中距離でやれない馬ではないと思います。むしろ小回り9F重賞なんかでいきなり勝ち負けするのでは。

他の印付けた馬も触れておきましょう。
11着▲ナムラマース
この一貫した流れで底力を生かすには、やはり後方一気はツライでしょうね。がいーじさんもコメントしてくださったように、一番前に行ったレースをみたかった馬でした。これは机上の空論ではなく、最近のキレを生かすレースはあくまでも「中弛み」というレースのテーマに沿ったもので、以前は実際に前で底力を生かすレースで勝ち負けしてた訳ですから。結果的に「器用貧乏」としての負けレースでしたね。
12着注フライングアップル
これまで8〜9Fでは底力的にホウオーと遜色ない戦績を刻んできましたが、スプリングSの上がりは距離延長にやや不安を残すものでした。これを「内に包まれたせい」だとして目を瞑り、妙味に賭けてみたんですが、やはり彼こそ距離は短い方がいいんでしょうね。マイルCで差しに徹すれば面白かったと思うんですが・・・。

ヴィクトリー
2人曳き。前走阪神戦は緩んでいた様にも見えたが、叩かれてシャキッと。手先の柔らか味も出て、落ち着きも充分。行かせる気は無かった様だが、サンツェッペリンが主導権握ってペースを落とそうとしたところを、行きたがってそのままハナへ行かせる形。以前は口を割るシーンも見られたのだが、今日はそれを思えばかなりスムーズ。一旦はサンツェッペリンに出られたのだが、差し返したところが決勝線だった。前走替えられた手前が、今日は替わっていなかったが、ハナへ行けば折り合える様になっただけでも収穫は有った。17番枠からの先行策も楽では無かっただろう。次走は案外狙い目。

サンツェッペリン
-8kg。変わらずトモに張り。毛ヅヤも良化。叩いて順当に上向いた。出脚はサッパリに近かったが、押してハナへ立ったところを、喧嘩せずに2番手。ヴィクトリーの項で述べた様に、一旦はハナだけ出たのだが、最後差し返されて惜しい2着。今日はヴィクトリーの性能が一枚上回ったという事になるのだが、あれだけ出して行けるというのは、余程乗り易いのだろう。これが距離延長で武器に。

フサイチホウオー
-10kg。シープスキンノーズバンド。前走東京戦より気負っていたが、これは造り込んで来た分が大きい。皮膚も薄く見せ、抜群の馬振り。文句の付け様の無いデキ。ゲートを躓きながら出てしまった分も有るが、外にも出せずに中段のイン。既にこの段階で、最悪に近い展開といって良いだろう。4角も、捌いてはいるのだが膨れてしまい、その分が届かなかった。不器用なだけで、やはりここでは力が一枚抜けている。前述した様に、馬券上の狙い目はヴィクトリーになるが、常識的にはダービーに最も近い馬。

アドマイヤオーラ
2人曳き。気合を前面に出す馬が多い中、落ち着いていた。造りも、数字の分、馬振りで差が有るが、毛ヅヤが良くて緩んだところが無い。半馬身程出負け。道中は後方。ずっとインに入れて、フサイチホウオーが4角膨れたところを直線上手くスクッたが、それで居てフサイチホウオーとは差を付けられた。今日は仮にゲート出ていても、勝ちは無かった筈。それ程上位とは力量差が有りそう。

メイショウレガーロ
時々小走りが入るのは何時も通り。変わらず毛ヅヤが良い。好発。行きたがっていたとはいえ、出脚は一番良かった位だが、行かせつつ深追いせずで離れた3番手。道中こそ折り合い付いていたが、前を捕まえに行く脚が無く、雪崩込んだだけ。これでサンツェッペリンとは2戦2敗。まだ重賞ではキツい。

ローレルゲレイロ
2人曳き。気配が良い。トモの張りも有って、好調持続。中段のインで折り合いを付ける策。インをスムーズに立ち回っていて、直線向いてメイショウレガーロは掴まえそうな雰囲気有ったのだが、伸び切れない。距離が長い?

アサクサキングス
2人曳き。前走京都戦の方が造りにメリハリが利いていた気も。重厚感有る造りは流石だが。ゲートが少し悪かった分も有るのだが、ハナへ行ける出脚も無くて好位から。ただ、道中の行き振りそのものがイマイチで、直線も案外だった。前走の様に、ハナ切って主導権握らぬとダメなのだろうが、ハナ切る出脚も無いだけに。

ドリームジャーニー
-6kg。馬体減は良い傾向では無い筈だが、見た目には変わらず。踏み込みもしっかりしていた。出負けして後方から。3角手前で既に何時でも動ける位置に誘導して、追撃態勢造ったが、4角でもフサイチホウオーの後ろに居たのだから、届く筈が無い。まずはゲートを五分に出てからという事になろう。

ココナッツパンチ
-14kg。造って来た分も有るにせよ、限度を越えたイレ込み。ただ、馬体は数字の割に迫力が有る。道中は中段の外。4角で、フサイチホウオーに弾かれる不利も有って、直線伸びなかったが、ただ結構キツいところでも上がって行く脚は見せていて、着順程はダメな内容では無い。今日イレ込んだのは今後の課題になるが、性能そのものは高い。

ナムラマース
2人曳き。気負ってはいたが、集中して歩けていた。馬振りで闘うタイプでは無いにせよ、この馬なりに悪くない造り。出脚で差が有って中段やや後方。これは仕方が無いが、中山だとコーナーで動く脚が無いのが辛い。東京で改めて。


皐月賞はパワーのある先行馬が強いレースですね。
昨日は改めてそう思いました。
このように、パワーのある先行馬が皐月賞で上位になった年のダービーは、皐月賞上位組がマイラー色の強い馬なのか、それとも中距離の能力に秀でているのか、よく見極める必要があります。
特に今年のように、「戦前のイメージと結果がまるで違った」という場合、ダービーでそのイメージの修正が必要なのか、それともそうでもないのか、かなり難しい選択を迫られる感じですよね。

パワーのある先行馬が勝った皐月賞というと、思い出すのが2冠馬サニーブライアン。皐月賞は11番人気という低評価での勝利で、それがフロック視されたのか、ダービーでも6番人気の低評価でした。
レースぶりとラップの分析からはサニーブライアンが強かったのはけっこう一目瞭然だったのですが、弥生賞で3着、若葉S(当時は中山2000)で4着という、皐月賞前のステップがよほど印象悪かったのでしょう。

今年は、ラップをざっと見た感じでは、先行した2頭かなり強い可能性がある、と感じました。
両騎手とも積極的な騎乗で、素晴らしかったですよね!アイルランドの修行から帰ってきた松岡ジョッキーは、完全に一皮向けたかな、という印象があります。今後上級レースでもかなり要注意なジョッキーだと思います。

田中勝ジョッキー、いつのまにか精悍な(とういよりオッサンな)顔つきになりましたね(^^;
うれしかったでしょうね〜!!今年はものすごく乗れている印象ですが、ホント、素晴らしい騎乗でしたね。インタビューでは「ペースが急に落ちたので先頭に立った」と言ってますが、ラップを見るとペースは言うほど落ちてないんですよね。
ということはつまり、馬がよほど強いのかもしれません。

サンツェッペリンに関しては、当サイトではちょっと注目してた時期も一瞬あっただけに、残念でした(^^;
スプリングSの敗戦があまりに印象悪くて買えなかったんですが、京成杯でこの馬に完敗してるメイショウレガーロを高く評価したのですから、予想的には大失敗でした(^^;;
僕は、予想的に「5走前だけ走れば」的な、ずいぶん昔の話を持ち出してくるのはあんまり好きじゃないんですが、でもここ2〜3走ぐらいのレースは対象にして考えないとダメですね。
特に3歳のこの時期に関しては、そういう傾向が強いかもしれません。


前半1000mが59.4秒と遅くはないものの無茶苦茶速いペースでも無い中、前2頭が後続を大きく離し、縦に長い隊列となりました。

前半の時計が画面に表示され、その長くなった隊列をみた瞬間、後方にいた人気2頭ともにもう届かないと思い、個人的にはかなり落ち込んでその後を見
ていたのですが、驚いたのはフサイチホウオーの追い込みの凄さでした。

アドマイヤオーラと同じメンバー中最速の上がり33.9秒をマークし、それこそ前2頭を差し切る脚を見せましたが、内から外に切れ込みつつこの時計をマー
クしたアドマイヤオーラよりも数段上の価値ある時計でした。

そういう意味では、この皐月賞メンバーの中で、フサイチホウオーが1頭レベル が違ったということですね。
非常にもったいない競馬となりましたが、今回のレースぶりから、ダービーではフサイチホウオーが楽勝し、今回のウップンを晴らす可能性はかなり高いとい
えるでしょう。

アドマイヤオーラは、とにかく位置取りが悪すぎました。
弥生賞での走り(試走)がまったく意味がないものとなり、クラシックの中では最大のチャンスだったと思うのですが、非常に残念な結果をなってしまいました。
それにしても、武豊騎手は桜花賞当日から19連敗となりましたね。皐月賞の敗戦よりもある意味驚きです。

ダービーに向けてホウオーの対抗はどれにしようかVTRを見て探しましたが、ずっと大外を通らされ、最終コーナーで更に外に弾かれつつもメンバー中4番
目の上がりの脚を使い、意地(勝負根性)を見せたココナッツパンチが目につきました。広い東京に替わって、この馬が最も狙えそうです。


 1角過ぎで先頭に立ったヴィクトリーの痛快な逃げ切りが決まり、2番手を追走したサンツェッペリンが一度はヴィクトリーを交わしたかと思える、あと一歩のきわどいハナ差の2着。普通こういう先行2頭のそのままの1〜2着は、流れ(展開)に恵まれてのケースが多いが、この2頭、厳しいペースを乗り切り、おそらく現時点での能力を限りなく100%近く、あるいは120%ぐらい出し切っている。予想も馬券も完敗だったが、すがすがしいというか、痛快でかえって楽しくさえ感じた皐月賞だった。

 レース全体の流れは、前半の1000mが59.4秒。後半の1000mが60.5秒。それで1分59秒9だから、中山の2000mとしては前半がきわめて厳しい流れ。飛ばした形の先行2頭にとって、2000mのレースのバランスとしてはかなりきつかったが、ともに途中から巧みに折り合って息を入れ、気分良くスピード能力フルに爆発。他の16頭を気迫で上回る積極的なレース運びが大正解に結びついた。

 ヴィクトリーは、いきなり2戦目のラジオNIKKEI杯2歳Sでフサイチホウオーの2着に粘り込んだ注目馬。しかし、まだキャリアが浅く、調教でも乗り手の制御が利かないほど(1週前は調教で落馬)若さの残る馬だったが、行く気になった同馬を気分良く自分のペースで先行させ、秘める才能を全面的に引き出すことに成功した田中勝春騎手のこのテン乗りの勝利は絶賛されていい。時に他に行きたい馬がいたりする場合、主導権を譲ったりしてしまうほど気前のいい(勝負師としては時に優しすぎる)勝春騎手だが、今回はきわめて積極的で、且つ強気だった。

 この馬、まだまだ荒削り。この皐月賞は溢れる才能だけで押し切ったともいえ、ダービーでも文句なしの有力馬だろう。寸前、サンツェッペリンを差し返したところが素晴らしい。このあと、さらに大きく成長することは間違いない。

 そのサンツェッペリンは惜しかった。一度は交わしたようにもみえた。うまくレースの流れに乗った松岡騎手の好騎乗も誉められていい。特には目立たない馬体ながら、素晴らしいスピード能力を示した。入線後、精魂尽き果てた感じで一番早く止まったあたり、今回が全能力を出し切っての快走といえなくもないので、2400mのダービーはどうかだが、この2着はレースの流れからして決してフロックではない。

 フサイチホウオーは、懸念されたように1番枠が前半の位置取りに大きな影響を及ぼした。流れは味方したが、衆目の一致する通り、明らかにまだ脚はあった形だった。ダービー候補ナンバーワンの評価は変わらない。無骨にも映った荒々しい馬体が、ここに来てシャープに、且つバランス良く見えるようになっている。

 アドマイヤオーラは、今回は素晴らしく落ち着き払い、整って上品にも映る馬体が光っていた。ただ、ゴール寸前まだ脚はあったようにもみえて、武豊騎手(今週はリズムが珍しく悪かった気がする)の、必ずしも能力に自信がないようにも感じられたレース運びが、このあとのダービーを展望するとき、ちょっと気になった。コース取りから振り返ってみるとき、フサイチホウオーにはスケールで一歩譲るかもしれない。

 期待したナムラマースはちょっとテンションが高かったものの、一段と馬体は良くなっていた。流れに乗れず、また3角からスパートの合図に反応できなかったあたり、スピード能力で見劣ったのは確かだが、ダービーでそう一気に評価を下げることもないかもしれない…とは思う。まだ可能性はある。注目のココナッツパンチは、今回はきつい競馬をしたあとの3戦目。本当は一息入れても不思議ない日程。しかし、さらにハードな乗り込みを求められる立場に立たされ、前回より明らかに体調が落ちていた。こういうローテーションになったキャリアの浅い馬の、残念ながらやむを得ない仕上げの難しさと、つらさだろう。ダービーはかなり苦しくなった。


フサイチホウオーは次につながる「伸び」。距離延びていいのがサンツェッペリン。

直線で、「どっちも頑張れ」が僕の本音だった。マサミも応援していたし、カツハルにも勝ってほしかったからね。

でも、この1、2着はあっぱれな競馬だったと思う。サンツェッペリンのマサミは思いきった競馬ができた。ポイントはペースを落としたところで、うまく息が入れられたところかな。それが直線での粘りに結びついたんだと思う。

カツハルも、テン乗りにもかかわらず、ヴィクトリーという難しい馬のことを理解していたね。ペースが落ちたところで少し馬がかかったんだけれど、そこで気を抜かせたというか、息を入れたんだよね。そうしたら単走で逃げるかたちになって、気分よく自分のリズムで走らせることができた。あそこで抑えていたら正反対の結果にもなりかねなかったんじゃないかな。

負けて、その強さをあらためて感じたのが3着フサイチホウオーだ。直線の伸び、加速してからのスピードには目を見張ったね。特に体の使い方が素晴らしかった。体全体を使って伸縮するようなイメージ。こんなホウオーははじめてだった。負けはしたものの、次につながる「伸び」だったように思う。

4着はアドマイヤオーラ。乗っているユタカにしてみれば、ホウオーがあんなに後ろなんて…という気持ちだったかもしれない。あの馬の勝負根性、競っての強さを知っているだけに、ホウオーの前にはつけたくなかっただろうし、できればさらに後方から出し抜けをくらわせたかったはず。こちらもいい脚で追い込んではきているんだけれど、いかんせん位置が後ろすぎた。これはホウオーも同じだけれどね。

皐月賞のレースを振り返り、ダービーを考えると、僕にはホウオーの末脚が強く印象に残る。距離も問題ないだろう。今回はスタートしてもたついたが、久々を叩いた次走はそれも解消されるんじゃはないかな。もう1頭、距離延びていいのがサンツェッペリン。自分の競馬ができればおもしろい存在になれるかもしれない。


59秒台の皐月賞は、菊花賞、天皇賞春でも通用するような、血統的なスタミナが要求される

 今年の皐月賞は「01年の再来」と囁かれていた。01年の皐月賞は1番人気のアグネスタキオンが1着で、2番人気のジャングルポケットが3着。そして今年もジャングルポケット産駒のフサイチホウオーは、父と同じく2番人気。父と同じく神の手により、1番ゲートに入れられて3着に敗れた。

 1番人気はアグネスタキオン産駒のアドマイヤオーラ。父同様の弥生賞、皐月賞連覇は実現できなかったが、ボクはこの馬も、フサイチホウオー同様、父と非常に似ていると感じた。父アグネスタキオンも、弥生賞に比べれば、皐月賞でパフォーマンスを落としていたからである。

 01年当時、皐月賞の印象を、当時、笠松所属だった安藤勝己騎手から「外部の視点」としてレースを解説してもらう機会に恵まれたのだが、皐月賞のアグネスタキオンについて、01年当時の安藤騎手は「弥生賞よりも走っていない」と解説して下さった。
※現在の安藤騎手は、最もメディア対応の多い騎手と言えるぐらいの存在であり、また、立場上、発言できないことも当然ある。競馬素人のボクが、当時すでに20年のキャリアを越える安藤勝己騎手から「外からの視点」でじっくりと競馬を教えていただいた99年〜02年の時間は、まさにプライスレスなひと時でした。

 「アグネスタキオンは弥生賞よりも皐月賞は連覇したが、皐月賞ではパフォーマンスを下げた」というイメージを頭に入れておけば、血統で予想をする者にとって、今年の皐月賞の1、2人気は非常に危ない存在だったと判断できるだろう。

 勝ったヴィクトリー、2着のサンツェッペリンは、父がそれぞれロベルト系、ニジンスキー系と欧州的なスタミナに溢れる系統。59秒台の皐月賞は、菊花賞、天皇賞春でも通用するような、血統的なスタミナが要求される。

 ただし、皐月賞が長距離レースと違う適性が問われるのは、道中でのエネルギー放出量だ。皐月賞で連対するような馬は、3コーナーでは2番手以内に位置し、35秒以上掛かるような上がりで粘りこむようなタイプがいい。つまり、たくさんのガソリンを積み、そのガソリンをドバッと放出しながら走れるタイプがいいのだ。

 米国血統馬は競り合って、闘争心をぶつけあいながらなだれ込む展開を得意としており、その点でも2頭で競り合いながら逃げる展開も向いただろう。

 そのような走りの馬は、距離適性の幅が必然的に短くはなるのだが、これが皐月賞には向くわけだ。ちなみに、米国血統や、テスコボーイ系の血を持っている馬は、道中で大容量のガソリンを放出するような持続的な競馬が得意である。

 つまり、ガソリンをたくさん積める欧州的なスタミナ+アメ車のような米国的なエンジンを積んだ馬が、皐月賞のようなレースでは、理想的な血統といえるのかもしれない。血統的には3000ぐらいのガソリンの容量を持っているが、3000だと燃費が悪くてちょっとガス欠するぐらいの馬がいい。
また、直線カッコ悪くなるかもしれないが、5着拾いではなく、勝つか負けるかの競馬ができる騎手に、ふさわしい舞台でもあるようだ。
S系、N系の連動に注目
ノーザンFの同族社台Fは、ダイワスカーレットで桜花賞に勝った。しかし、牡馬は最有力のトーセンキャプテンが故障で戦線離脱し、めぼしいのはアサクサキングス程度で、あとは、追分F生産で社台RHのナタラージャが青葉賞で権利を取れるかどうかくらいだ。
 そこで注目したいのは、アサクサキングスが急遽NHKマイルCへの参戦を表明したことである。
 では、なぜアサクサがNHKに向かうのか?思うに、「ダービーはN系が勝ちそうだから、S系は別のGTを狙う」ということなのだろう。となると、以前、NHKマイルに向かうと思われていたフサイチホウオーがダービー一本に絞ったことも、なにか「話」がつけられた結果のような気がしてならない。
 このように、今年のクラシックはS系、N系の連動に注目である。
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■ 2006年回顧

メイショウサムソン

腹袋のある体形。太く見えるほどで、目下凄い充実ぶり。力のいる芝で平均ペース。好位集団で流れに乗る。向正面では折り合いもつき、スッと外へ。揉まれない4、5番手で最高のポジション。4角から馬場のいい外目を選んでジワッと
2人曳き。例の重たい腹回りはそのままだが、今日は毛ヅヤが抜群。ただ、前走より煩いのは気になったが。出脚が良く、外の馬を牽制してから1角へ。下見で気負っていた影響も有って、多少行きたがっていたが、1角迄の睨みが利いて好位が取れた。石橋守騎手、4角で後ろを振り返り、相手はフサイチリシャールと判断。早目に動いて坂で捕らえて押し切った。今日は最初から最後迄石橋守騎手の好騎乗。鮮やか過ぎて次走東京でどうかという嫌いは有るのだが、折り合いさえ付けば有力。(次走ダービー1着)

ドリームパスポート

好気配。中団のイン、向流しでちょっと行きたがった以外は折り合いスムーズ。4角で勝ち馬が動いたところで一瞬包まれてしまったが、慌てずそのままインで我慢し、直線勝負。坂下でリシャールの外に持ち出すと、グイグイ詰め寄る。
増減無いにも関わらず、スカッと見せる様になって来たのは良い傾向。戦前に、フサイチリシャールが行くので、出脚が無くても前に付けられると述べたが、メイショウサムソンの睨みが利いていて、中段から。下が悪い割に反応良かったし、一瞬の脚は有るのだが、メイショウサムソンに並び掛かったところで脚色が一緒になってしまった。坂がダメなのかも知れないが、距離延びるのは良いとは言えないだろう。東京戦は何か策が要る。(次走ダービー3着)

フサイチジャンク

馬体を絞り込み、細いくらいの造り。後方でジックリ構える。3角でうまく外へ出し、気合をつけながらの進出。ちょっと前に取りつくのにモタついたが、アドマイヤには渋太く先着。実に長くいい脚を使っている。5戦目にして初重賞がG1。
2人曳き。-6kg。絞れても良く見せる好馬体の持ち主。多少チャカついていたのも、サンデーサイレンス産駒だけに、止むを得ないという事になるのだが、馬体の張りに甘い部分が有り、絶好調と迄はどうか。中段やや後方。前で決まっただけに、位置取りが後ろ過ぎた面は否定出来ないのだが、それ以前に4角の手応えが妙に悪かった。まあ、その割にはアドマイヤムーンに先着していて、地力は確かなのだろうが、まだ距離が短い嫌いが。戦前に述べた様に、次走東京戦はこの馬が最有力。ただ、もうちょっと良くなって欲しい部分は有る。

アドマイヤムーン

どっしりした造り。雰囲気は申し分なかった。例によって後方から。前のジャンクをピッタリとマークし、3角からこれに合わせての仕掛け。4角で外から被せにかかったが、直線はいつもの切れ味がなく、サクラの追撃を凌ぐのが精一杯。
2人曳き。馬体は元々良い馬で、今日も決して悪くないが、何時もより姿勢が高い。今日はゲート良かったが、控えて中段やや後方。フサイチジャンクが内から意識して乗られ、終始外を回される中山の典型的負けパターン。まあ、仕掛けのタイミングが遅いという話も有るのだが、前走でヨレているだけに、末脚の持続性に課題が有ったのは確かだろう。マイルなら話は違うが、距離延びて良いとも思えず、差し当たって次走東京戦は苦しい。(次走ダービー7着)

フサイチリシャール

2番手でガッチリ抑え込み、4角手前で逃げ馬を交わして先頭へ。ここ2戦と違い、今日は攻めの競馬に徹する。手応えは十分だったが、直線で1頭になって内にモタれ気味になり、失速してしまう。いかにも物足りない内容。
2人曳き。-4kg。馬体絞れて気配も悪くない。出脚は強力な馬だが、ナイアガラが何故か押してハナを叩いてそこから控えてと、半ばフサイチリシャールを潰さんばかりの挙動に幻惑されて前半少し馬が行きたがったのが痛い。4角結果的に仕掛けが早過ぎたが、過去の競馬から決め手勝負で辛く、勝ちに行っただけに仕方が無かろう。まあ、その程度で止まるのだから距離が長いのは確かだが、1角迄がスムーズなら勝てていた競馬。

サクラメガワンダー

攻め強化。中山2度目で、今日は下見所、返し馬と落ち着いていた。スタート五分も下げて後方。アドマイヤを前に見る形で、4角から仕掛けるが、反応は今ひとつ。直線大外から馬体を併せ、一瞬グッと伸びかかって同じ脚に。
2人曳き。前走を思えば、張りが出て確実に良化しているが、トモの張りで上位と差。最初から押さえて後方から。要は、アドマイヤムーンを相手と見て乗られたが、それが間違いだったという事。ただ、そうだというならアドマイヤムーンを交わさないと値打ちが無い。アドマイヤムーンに距離の不安が有って、対アドマイヤムーンならば逆転の目も有るが、勝ち切るとなるとどうか。

ジャリスコライト

2人曳き。毛ヅヤでそう見える分も有るのだが、使っていない分、張りが無い様に映る。横山典弘騎手、昨年のアドマイヤジャパン同様、外枠から積極的に乗られて好位へ。今日はペースがそれ程速くなかっただけに、この策で正解だった筈だが、追ってからが案外。とはいえ、掲示板に載った馬は年が明けて全て2走以上。それだけに、次走は今回叩いた分の上積みを期待したい。(次走ダービー14着)

キャプテンベガ

細身。バネのある走り。先団のポケット。道中ガッとハミを取ってムキになっていたし、いかにも馬が若い。これからの馬。

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■ 2005年回顧

ディープインパクト

例によって返し馬に移ると抜群。体を大きく見せていた。スタートでガックリ躓きヒヤッとさせたが、道中は後方でスムーズな折り合い。外目を回って中団に取りつき、4角からの仕掛け。直線スッと手前を替え、坂下ではもう抜け出して
2人曳き。前走指摘した左右のバランスの悪さが良化。横にズレる形で出て後方から。皐月賞の直線一気は数多の失敗例が有って、最初から外へ出し、ジワジワ外を押し上げて行って、3角で後方から5〜6番手、4角でほぼ中段。従って、ここ迄でも結構脚を使っているのだが、今日はそこからの脚が更に強烈で、急坂の影響で通常は時計掛かるラスト1Fも、11.3秒と出色の数字。前走気になった手前の問題も、今日はスムーズで、ダービーへ向けて唯一不安が有るとすればアワヤ落馬のゲートだけ。(次走ダービー1着)

シックスセンス

毛ヅヤ抜群。ゆったりと良く見せた。いつもよりスタートが良かったし、向流しで馬込みに入れたのも正解。ロスなく馬群を捌いてうまく外へ。勝ち馬はもう抜けていたが、ディープが強過ぎてキッチリと嵌まった。実に切れた。
2人曳き。馬体の良さはデビュー当時から定評の有ったところだが、今年に入って落ち着きが出て来た。中段やや後方。抑える競馬を試みて、失敗続きだったが、今日は上手く前を壁にして折り合えたし、マイネルレコルトを起点とする早仕掛けに乗っかって、4角では目の前にディープインパクトが居た展開もハマッた。今迄教えて来た事が漸く実を結んだ形だが、今日は展開面も大きい。(次走ダービー3着)

アドマイヤジャパン

好気配。ゲート入りを嫌がったが、馬なりで1角までにスッと先団のインへ。経済コースで楽ができ、直線もマイネルを見ての追い出し。その内から切れる脚を使ったが、外2頭の勢いが違い過ぎた。
2人曳き。前走を思うと、ちょっと緩い造り。デビュー以来初めてゲート入りゴネる。横山典弘騎手、最初からこの策を考えていたのだろう、1角でインへ潜り込んで好位。ただ、今日はマクり合戦の形で、この策が完全に当たっている筈なのに、3着止まり。ディープインパクトとの良化度の差を見せ付けられた印象で、ちょっと案外の内容。ゲートゴネたのもそうだが、下見も冴えなかっただけに、ここに来てデキが落ちているのかも。(次走ダービー10着)

マイネルレコルト

Dから普通のハミに。10Kg増えて申し分ない気配。先入れ。テンはズブいくらいで、中団で折り合い早目に外へ。3角からロングスパート、外々を回って並びかけたが、突き放せず。距離の壁もありそうだが、力負け。
2人曳き。馬は良いし、落ち着いていたが、相変わらず姿勢が高いのと、今日は歩様が硬目。外から次々に来られ、インに居ては位置取りが悪くなりそうだった為、一旦引いて中段の外へ。前走で折り合い面に課題が有っただけに、外へ出してどうかと思われたが、今日はスムーズどころか、むしろ道中気合を付けられながらの追走。切れる後続を意識して、3角から真っ向勝負に出たが、その後続が強過ぎた。結果は仕方が無いが、皆が納得の競馬が出来た。(次走ダービー5着)

アドマイヤフジ

スッキリと締まってきた。後方のポケットでジッとして、ディープの動くのを見て3角過ぎに外へ。4角でモタモタするのはいつも。大外からしっかりと脚は見せた。
多少硬さが有ったのは確かだが、前走から馬体が締まって来た。これもマイネルレコルト同様、外から次々来られて仕方無く後方から。それでも上手く捌いてディープインパクトに連れる形で動いては行けたが、元々勝負どころで遊ぶ癖の有る馬で、ちょっと置かれ掛けた分が届かなかった印象。従って東京なら違った結果も。(次走ダービー4着)

ペールギュント

8kg。馬体もギスギスした感じが有ったし、歩様が硬い。中段のイン。返し馬でも引っ掛かっていて、今日は折り合い面どうかと思われたが、1角で多少引っ掛かった以外は意外な程スムーズ。直線もそのままインを突いて一瞬は伸び掛かっているのだが、例に依って脚が一瞬しか続かない。戦前は、折り合えばという甘い考えも陣営には有っただろうが、折り合ってこれなら、2000mではどうやっても勝てない。

スキップジャック

歩様も許容範囲だし、スカッとした造り。これも折り合い課題の馬で、その意味で外枠は厳しい様に思われたが、上手く外に馬を置いてスムーズな追走。ただ、4角で目の前にディープインパクトが居て、展開絶好だった筈だが、それでいて伸び切れない。レース後エビが判明したそうだが、無事ならNHKマイルカップで本命にと迄思っていた筈の馬がこのやられ方は頂けない。

ダンスインザモア

気配抜群。大外枠も楽に中団。そこで折り合って、直線まで我慢しての仕掛け。一瞬伸びかかったが、坂上で力尽きた。
馬体・気合・毛ヅヤ・歩様、全てが文句無し。中段の外。道中はスムーズだったが、4角で後方のディープインパクトに急かされて動く形になってしまった。力量差有るだけにこうなると厳しい。

ローゼンクロイツ

勝ち馬と同じような位置。3角で被せられ、ワンタイミング遅れての仕掛け。勝ち馬をマークする形になったが、直線はジリジリだった。

タガノデンジャラス

しんがりに下げてマイペース。4角アドマイヤフジの更に外からマクッてジワジワと。

ビッグプラネット

2人曳き。昔のブライアンズタイム産駒を思い出させるコンパクトに纏まった造りも好感が持てたが、何より落ち着いていたのが良い。前走はゲートで煩く、たまたまの好発だったが、今日は最初から大人しく、五分のスタート。内枠でも有り、そのまま逃げの手で、前半1000m通過が59.6秒。これは完璧と言って良い程のペースだったが、前述したマイネルレコルトが早目に来て、苦しくなった。これをバネに今後頑張ってくれれば。

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■ 2004年回顧

ダイワメジャー

ホライゾネット。下見所でも落ち着きがあり、好気配。好発を切ってサッと2番手。完璧に折り合って鞍上との呼吸もピッタリ。坂下スパート、弾かれるように伸びて完勝。大一番で全能力を初めて出し切った。
2人曳き。シープスキンノーズバンド。例に依って歩様が硬いが、攻め強化した分馬の形が良くなった。ダッシュ良く2番手も、そこで折り合う形。4角で手応え充分に前を捕らえに掛かり、直線も力強く抜け出した。確かに時計は速いが、時計が速い時の中山は1200m戦を例外として後方待機組が今日の様に全滅になりがち。この歩様でも有り、今日はノーリーズン級の評価に留めておきたい。(次走ダービー6着)

コスモバルク

若干テンションは高めも、バネがあり惚れぼれするような返し馬。テンに無理せずフワッと行かせ先団に控える。4角からジワッと動いて射程圏。大外から切れる脚を使ったが、勝ち馬が抜け出していた。
やはり気負う。ただ、前走より歩様はマシになった。普通にゲートは出たが、大外枠だけに無理には行かず中段から。ただ、五十嵐冬樹騎手、相当この馬に自信を持っているのだろう、今日は馬を信じて3角から早目の仕掛け。結果、勝ち馬こそ捕らえられなかったが、普通に乗っていては2着も無かった。馬の資質だけなら、2400mはかなりキツい筈だが、人馬のパッケージはダービーでも脅威。(次走ダービー8着)

メイショウボーラー

気合乗る。同型の出遅れで、労せずハナ。1000m59秒7は、馬場を考えれば理想的な逃げ。力は出し切る。
2人曳き。2000m仕様の造り。スカッとみせて好気配。最内枠のマイネルマクロスが出遅れ、行けるならと思い切ってハナへ。前半1000m通過が59.7秒、遅いことは遅いが、極端に遅い訳では無く、今日は力を出し切れた。まあ、2400mが長いのは明らかで、この後NHKマイルカップに向かう様だが、案外前の止まらない東京コース、面白い存在になりそう。(次走NHKマイルC3着)

コスモサンビーム

トライアルを叩いて、気配はガラリ一変。先団のイン、絶好の位置も道中はやや行きたがっていた。コーナーをスムーズに回っての追い出し。キッチリ伸びてはいるがここまで。2000mがギリギリかも。
叩いてシャキッとしてきた。歩様もこの馬にしてはスムーズ。この枠だけに、上手いこと前が壁を造れた。勝負どころから、同じ勝負服コスモバルクを待って仕掛けたが、行き脚の差は歴然。競馬の上手さは流石だが、多少成長力に欠ける嫌いも。(次走NHKマイルC2着)

ミスティックエイジ

凄い気合乗り。中団の内でジッと辛抱。3分3厘も我慢して、4角回り切って大外へ。ジワジワと伸びてきた。
2人曳き。馬の造りは流石。歩様もこの馬にしては良い方。多少行きたがる素振りも見せたが、内へ入れて折り合う形。4角から外へ出し、コスモバルクを追い掛ける様にスムーズに競馬出来ているのだが、追って伸び切れない。前が止まらない馬場状態にしても、もうちょっと伸びて欲しかった。この歩様だけに一瞬の脚を生かす競馬は向いていないのだろう。

マイネルブルック

一息入れた分迫力を欠くが、悪くは無い。中段やや後方。上手く折り合ってはいたが、この馬もミスティックエイジ同様一瞬の脚に欠けるタイプ。ただ、息の長い末脚という点ではこの世代随一で、ダービーで改めて期待。

フォーカルポイント

イレ気味。最後方のインでタメて行くが、道中はムキになっていた。直線内を突いてジワジワと。
2人曳き。馬は良いが、今日は歩様が硬い。横山典弘騎手らしく、注文を付けて後方待機。最内突いて伸びてはきたが、この流れではここまで。今日は仕方が無い。

ハーツクライ

落ち着き十分。後方で折り合いに専念し、4角で仕掛ける。手応えは十分も、伸びそうで伸びなかった。(次走ダービー2着)

ブラックタイド

イレ込みは気になったが、馬体の造りは申し分なし。ソロッと出して最後方から。このペースでコーナーは大外に。さすがに動けなかった。
+8kg。ちょっと緩め過ぎたかも。多少ゆとりの有る造り。出遅れて最後方。4角大外へ回したが、今日は全く競馬にならず。能力の半分も出し切っていない。

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■ 2003年回顧

ネオユニヴァース

落ち着き十分。ジックリと構えて後方のイン。直線坂下まで辛抱、ザッツの内が開くとすかさずそこを突く。グイグイ伸びてサクラの内に併せ、叩き合ってアタマ差競り勝つ。着差以上に強い。
2人曳き。まだ全体的に馬が若い印象なのだが、暮れの中京戦を思えば数段良くなった。ここへ来ての成長急。デムーロ騎手、もっと前で競馬したかった筈だが、先週のレイナワルツ同様、外からドッと来られて位置取りが悪くなってしまった。結果、道中揉まれ通しになるのだが、それでも終始インに張り付いて、直線一瞬開いたのを逃さず割って伸びてきた脚の鋭さと、サクラプレジデントを凌ぎ切った渋太さ。今日のレースを一言で表すならば、根性の勝利ということになるだろう。一番人気に応えての勝利だが、内容自体は良くも悪くも泥臭い。(次走ダービー1着)

サクラプレジデント

メンコ装着。どっしり構えていた。ゲートでガタつくが発馬は互角。1、2角まで行きたがるが向正では折り合う。馬込みで我慢して4角回り切って外へ。アッサリ抜けてきたが、相手が一枚上。
2人曳き。これも短期間で馬が変わってきた印象。一時の非力な馬体を思うと、重量感が出てきた。前走、武幸騎手が長手綱で行きたがってしまっただけに、田中勝騎手、短手綱で宥める形。余っていたのが田中勝騎手だけで、仕方が無しに田中勝騎手を乗せたというかなり失礼な話も聞いたが、やはり物事には経験がモノをいう印象、今日は一番折り合いがついた。道中は中段、真っ先に仕掛けたエイシンチャンプとは対照的に、スローでも4角我慢させての直線勝負。インへササるのを必死で矯正しながら追っているのだが、しかし勝ち馬の渋太さが一枚上。まあ、勝者がデムーロ騎手、敗者が田中勝騎手ということで、乗り役の所為にされがちだが、これで乗り役の所為にされてしまってはいくら何でも田中勝騎手が可哀相過ぎる。とにかく完璧に乗ったことだけは間違いない。(次走ダービー7着)

エイシンチャンプ

コズミ解消、返し馬もスムーズで、上積み十分の仕上がり。難なく好位置で折り合えるのが強み。終始外を回るが、手応えは十分。今日はスローペース、瞬発力の差が出た。
2人曳き。前走から-2kgしか減ってこなかっただけに、まだ多少重いかも。道中は」好位の外。枠順の差で終始外々回されたし、スローを嫌って一番先に仕掛けなければならない不利が有った。まあ、1,2着馬が切れるサンデーサイレンス産駒というのは偶然ではないだろう、最後は決め手の差に泣いた印象。決して力負けではない。(次走ダービー10着)

ラントゥザフリーズ

好位の内でうまく折り合う。理想的なレースができたし、力は出し切ったと見たい。
2人曳き。意外な程歩様に柔らか味が有った。前走歩いたとはいえ、デキは良い筈。道中は好位のイン。何処の競馬場、いや何処の競輪場でもそうだが、特に中山はあの位置で折り合いの付く馬が有利。上手く流れに乗って、直線も伸びているのだが、1,2着馬には並ぶ間も無くチギられた。これも決め手の差。

ホシコマンダー

馬体は細く感じなかった。最後方に下げて直線勝負。坂下で閉じかけたが、そこをこじ開けるように捌いて出てくる。
そう細くは見えないどころか、磨き方が上手いとナリタタイシンになれそうな印象さえ与える。コンパクトに纏まっていて、意外に好感が持てる馬体。道中は最後方。スローなのだが、4角まで団子状態で、仕掛けも全体的に遅い状態。四位騎手、流石にこうなると外へ回すのは無謀と判断したのだろう、インを突いたまでは良かったが、前が壁になってしまった。この辺をスムーズに捌いていたら3着は有った印象。この馬、地味だが強い。(中央抹消)

サイレントディール

細いぐらいの仕上がり。2着馬の外でスムーズな折り合い。勝負どころで外に持ち出せなかったが、追ってからの反応今イチ。広い東京での変わり身を期待。
先週のスティルインラブとは対照的に猛調教が裏目に出た印象。馬が萎んでしまった。道中は中段の外。前走時の述べた通り、もうレースでの課題は無く、この馬も完璧にレースを運んでいるのだが、決め手の差は如何ともし難い印象。展開が向かなかったとしか。(次走ダービー4着)

ザッツザプレンティ

好気配。気合をつけて好位も、前半行きたがる。坂下では余力がなかった。
上位馬を思うと成長が無いのも否定出来ないが、現状望みうる最高のデキ。引っ掛かった様に見えるが、これはこの馬の癖で、結果には影響していない筈。まあ贔屓目で見れば、どちらかというと平均ペースの馬、こういうメリハリの利き過ぎた流れは向かないのだろうが、しかし負け過ぎ。失望。(次走ダービー3着)

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