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ネヴァーベンド系

■ 特徴


■ 解説

 歴史的名馬にして名種牡馬のミルリーフが誕生した父系で、シャーリーハイツ、ダルシャーンらがその血を受け継いでいる。
 初期はスプリンター、マイラーが中心だっナスルーラ系も、後にステイヤー血脈に変身する支流父系が出現した。
 ネヴァーベンドの産駒ミルリーフがその第1号である。
 もっとも、ネヴァーベンド自身は中距離のスタミナも怪しく、アメリカの2歳牡馬チャンピオンに輝いたものの、
 ケンタッキーダービーは2着、プリークネスSは3着に敗れた馬だった。いずれもゴール前の踏ん張りを欠いたもので、
 オーナーのポール・メロンが、「私が生きているうちに、ネヴァーベンドの仔が英ダービーを勝つことはないだろう」と自嘲ぎみに嘆いたエピソードは有名である。
 だが、そのネヴァーベンドから出たミルリーフが、英ダービーどころか他の長距離大レースも次々と勝ちまくり、1970年代の欧州を代表する最強馬となった。
 種牡馬となっても英リーディングサイヤーに輝き、欧州における名ステイヤー血脈を築き上げた。
 日本でもミルジョージ、マグニテュードの成功でミルリーフ・ブームにわき、イブンベイ、ダイヤモンドショールといった大物が次々と輸入された時代があった。
 他のネヴァーベンド産駒ではリヴァーマンも成功し、マイラーからステイヤーまで幅広く活躍馬を出した。
 代表産駒にトリプティク(英チャンピオンS)、デトロワ(凱旋門賞)がいる。また日本ではブレイヴェストローマンが成功。
 リヴァーマン産駒の種牡馬もリヴリアが成功し、ルションは母の父としてウオッカ(日本ダービー)を出している。

 ナスルーラ系の中から、今週の東西トライアル戦に母父として有力馬を送り込んでいるネヴァーベンド系について述べることにします。

 80年代のヨーロッパを席巻したネヴァーベンドの流れは、日本の場合、父馬としては残念ながら廃れつつあります。
 パラダイスクリーク、カリスタグローリあたりしか見られなくなりました。ミルジョージも直系の種牡馬はとうとう根付かずに終わりそうです。
 ただし、母方に入っての影響力はかなり大きなものがあります。

 まずはネヴァーベンドからリヴァーマン-アイリッシュリヴァー-パラダイスクリークのライン。
 このラインには他にもリヴリア(ナリタタイシン父、テイエムオーシャン母父)、ルション(マイネルブリッジ父)などがいます。80年代のヨーロッパ最強牝馬とも言えるトリプティクもここですね。
 ネヴァーベンドからミルリーフのライン。
 ここにはシャーリーハイツ-シェイディハイツ(ヒシミラクル母父)、ダルシャーン-コタシャーン、
 ミルジョージ(イナリワン、ロッキータイガー、ロジータ、エイシンサニー父、セイウンスカイ母父)、ガルドロワイヤル(ローエングリン母父)、
 マグニテュード(エルプス、ミホノブルボン父)、そしてパドスール、クリエイター、イブンベイ、サウスアトランティック(スマイルトゥモロー母父)という渋い種牡馬もここです。
 それから日本の場合は、ネヴァーベンドからブレイヴェストローマンのラインも重要でしょう。
 ブレイヴェストローマンはキョウエイマーチの母父であり、ランドヒリュウ(トウカイパレス父)、
 今メイショウバトラーで話題のメイショウホムラ、そして武豊に初重賞をプレゼントしたトウカイローマン、
 あと牝馬3冠を寸前で逸したマックスビューティもここ。地方の名馬も多数輩出しています。そして異色のスプリンター・カリスタグローリも出しています。

 こうして系統に属する馬を具体的に書き出しているのは、系統のイメージをザックリつかむ上で大変効果的だからですが、
 このネヴァーベンド系は特に分かり易いと思います。
 まず、時計のかかる馬場にやたら強いこと。芝の道悪やダートは鬼の部類です。
 時計のかかる馬場が得意と言っても、スローペースではダメ。消耗戦となる速い流れで真価を発揮します。その意味では良い意味で?時代遅れの血統でもあります。

 それから、カリスタグローリのような例外はありますが、基本的にはステイヤー系。
 特に京都コースとの相性は抜群で、菊花賞に父か母父にネヴァーベンド系を持つ馬が出てきたら、とにかく買っておくことをお奨めします。
 平成に入って、菊花賞に1頭でも父か母父にネヴァーベンド系を持つ馬が出てきた年が8回ありましたが、
 その内5回で連対しています。なお例外としたカリスタグローリは、ご存知のように芝ダート問わず1200m以下で要チェックです。

 またネヴァーベンド系は、人気薄で好走することも多く、典型的な穴血統です。
 パドスール産駒のタケノベルベットやメジロカンムリ、中央でのイナリワン、菊花賞で穴を空けたトウカイパレス、最近ではアサカディフィートやヒシミラクルを見れば明らかですね。

 また、坂のあるコースが苦手というわけではありませんが、平坦コースだとさらに信頼度は増します。特にクリエイターやミルジョージにその傾向が強い。

 ただし、繰り返しになりますが、父にこの系統を持つと今やスピード負けをするので、母父に入っている馬を狙うべき。
 こういうタイプの系統は母父に入って底力を伝えるからです。母父ネヴァーベンド系は時計のかかる馬場、
 マイル以上でハイペースになりそうな展開では常に意識しておいた方がよいでしょう。
 スプリント戦でもキョウエイマーチやホクトフィーバス、フジノマッケンオーというあたりを出しているのがこの系統のシブトイ所ですが、
 これは速い流れに強い特性が短距離でものを言ったのだと思います。
 ただ根っからのスプリント血脈ではないだけに、G1では通用せず。やはり本来はマイル以上です。

 またネヴァーベンドの系統は、とにかく馬体が柔らかいのが特徴で、実に美しいフォームをした馬が多いです。
 ローエングリン、ミホノブルボンあたりはミルリーフと実によく似ています(ミルリーフは映像でしか見たことがないですが、惚れ惚れするほど美しい馬です)。

 またローエングリン(父ノーザン系シングスピール)やワールドスケール(父ノーザン系スピニングワールド)はネヴァーベンドの強いインブリードを持ちますが、
 今後この2頭がどこまで出世するか楽しみ。気性的には難が出るようですが、決して一介のマイラーでは終わらないはずです。
 このインクロスがどれだけの起爆力を持つのか、今後の名馬作りのモデルケースの1つになるかもしれません。


■ 代表種牡馬