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レッドゴッド系

■ 特徴


■ 解説

 初期においてはスピード色が強く、スタミナに限界のある父系だった。
 しかし他のナスルーラ系分枝のミルリーフ系、ゼダーン系と同じく、世代を重ねてスタミナが注入され、今日では欧州を代表する名ステイヤー血脈に様変わりしている。
 その祖となったレッドゴッドは、ナスルーラ産駒らしく純然たるスプリンターだった。
 競走成績も決して一流と呼べるものではなかったが、種牡馬となるやナスルーラの仕上がりの良さ、気の強さ、スピードを伝えて成功。
 同系のグレイソヴリン系とともに、まず欧州のスピード血脈として栄えた。
 初期の後継種牡馬としてはイエローゴッド(輸入種牡馬)が有名で、抜群の仕上がり、スピードを伝えて英2歳リーディングサイヤーとなり、
 1970〜80年代の2歳戦、短中距離戦で一世を風靡した。
 欧州の代表産駒にはネビオロ(英2000ギニー)、パンパポール(愛2000ギニー)らのクラシック馬がいるが、
 日本でも大成功してカツトップエース(日本ダービー、皐月賞)、ファンタスト(皐月賞)、ブロケード(桜花賞)らを出した。
 このレッドゴッド系をステイヤー血脈へと変身させたのは、晩年の傑作ブラッシンググルームだった。
 競走時代はスピードと決め手に優れた名マイラーだったが、種牡馬としては自身の母系のスタミナも伝え、新たなステイヤー血脈を確立していった。
 後継種牡馬もレインボークエスト、ナシュワンらが成功してサイヤーラインを発展させており、
 2400mの英ダービー、凱旋門賞どころか、2800mの英セントレジャーを勝つ馬までも誕生している。


 ナスルーラ系レッドゴッド。
 ネヴァーベンド同様、この系統も持続力の権化のようなところがあります。

 レッドゴッド系は、実は昭和50年代前半に一瞬日本でスパークしました。
 ファンタスト(皐月賞)、ブロケード(桜花賞)、そしてカツトップエース(皐月賞、ダービー)を出したイエローゴッドの活躍です。
 ただし、この系統は根付かずに終わりました。ファンタストの夭逝が痛かったですね。
 その後、イエローゴッドがヤエノムテキの母父としてその名をとどめて以降、久しくレッドゴッド系は日本では活躍馬を出せずにいました。

 再び日本でこの系統が活発化してきたのは、ヨーロッパでブラッシンググルームが大種牡馬として君臨し、その産駒が輸入されてからのことになります。
 まずブラッシンググルームを母の父に持つヤマニンゼファーが安田記念、天皇賞・秋を制し、
 Bグルーム直仔のクリスタルグリッターズからテイエムジャンボ(京都記念他)が活躍、
 そしてBグルーム→レインボウクエストの流れから持込馬サクラローレル(天皇賞・春、有馬記念)が最強馬の座に就くことになります。
 元々、レッドゴッド系は先述のように日本競馬で一度成功した下地があっただけに、この活躍は唐突な感はなく、むしろ当然。

 現在、日本に入っているレッドゴッド系は全てブラッシンググルームの一族と言っても良いでしょう。その一族を俯瞰すると・・・・

 先述のクリスタルグリッターズからは、テイエムジャンボ以降も、
 地方で一時代を築いたアブクマポーロ、そしてマチカネフクキタル(菊花賞)が出ています。
 マウントリヴァーモアからは、ハウスバスターを経てミッドナイトベットなど。
 レインボウクエストからはサクラローレルの他にもアーミジャーやサンシャック、そして英愛のリーディングサイアー上位に入ったスペクトラムなど。
 ラーイからはアメリカの古牝馬チャンピオンになったセレナーズソング、
 そして何と言ってもジャパンC3着、その翌年ワールドチャンピオンとなったファンタスティックライト。
 またグラスワールドもいます。トキオパーフェクトもラーイ産駒。
 重厚なナシュワン→スウェイン(トリリオンカット父)のラインは今やヨーロッパで引っ張りだこ。
 さらにBグルーム直仔にはアラジ、ブラッシングジョン、グルームダンサー(リトルオードリー、エアザイオン父)、
 アイシーグルーム(イナズマタカオー、ケイワンバイキング父)などがいます。


 レッドゴッド系は、父系としての特徴が一見かなりつかみづらく、適性や個性もバラバラのように見えますが、冒頭に書いたように
 切れや瞬発力に欠ける代わりに、スピードの持続力には優れています。

 堅い馬場よりは時計のかかる芝で強く、芝の道悪はかなり巧い。
 また、道悪(重不良)ダートにも強い。顕著なのがグルームダンサーとアーミジャー。
 適性を考えるとハウスバスターやアーミジャーは短距離、それ以外は中距離で、なお確実です。
 またクリスタルグリッターズとラーイは例外といっていいでしょう。

 日本でのこの系統は仕上がりが遅く、本格化までには時間が少々かかります。
 現在レッドゴッド系で一番出走数が多いのはおそらくハウスバスターですが、デビュー初戦勝ちした馬は日本では1頭もいないはずです。
 なおダートは巧い一族と言えそうです。

 こうやって見てくると、サクラローレルという例外的な大物は出ましたが、この系統から今後超一流馬が出ることは難しいのではないでしょうか。
 ちょっとスピードや切れに欠けすぎるのが難点で、基本的にはB級や一流半馬輩出血統だと思います。


■ 代表種牡馬