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ミスタープロスペクター系

■ 特徴


■ 解説

 父のレイズアネイティヴと同じくミスタープロスペクターも、単に競走成績だけを見れば普通の馬だった。
 ダートの6ハロンで驚異的なレコードを樹立し、資質の高さを見せてはいたが、勲章がない哀しさで初年度の種付料は7500ドルのスタートだった。

 だが、そこからいきなり新種牡馬チャンピオンに輝き、またたく間に北米の頂点へのぼりつめ、さらには世界の血統潮流までも変える歴史的名種牡馬の道を歩んだ。
 初期のミスタープロスペクター系といえば、早熟のマイラー血統というイメージが強かったが、今日では多種多様化して力強いステイヤー血脈も誕生している。
 発展した支流もファピアノ系、ミスワキ系、ウッドマン系、コンキスタドールシエロ系、シーキングザゴールド系、ガルチ系、マキアヴェリアン系、ゴーンウエスト系、
 フォーティナイナー系、キングマンボ系、アワエンブレム系、クラフティプロスペクター系など多岐にわたる。

 ミスワキ系はステイヤー血脈として成功し、アーバンシー(凱旋門賞)、マーベラスクラウン(ジャパンC)を出した。

 ウッドマンも北米、欧州の両方で成功し、力強いスピードを伝えた。
 代表産駒のティンバーカントリー(プリークネスS)は日本に輸入され、アドマイヤドン(フェブラリーS)を出した。

 キングマンボ系も力強い万能血脈として繁栄しているが、日本の競馬にも適性を示し、
 エルコンドルパサー(ジャパンC)、キングカメハメハ(日本ダービー)、アルカセット(ジャパンC、輸入種牡馬)らの大物を出している。

 エルコンドルパサーは種牡馬としても成功。ソングオブウインド(菊花賞)、ヴァーミリアン(ジャパンCダート)を出している。

 フォーティナイナーはエンドスウィープを経由してアドマイヤムーン(年度代表馬)、スイープトウショウ(宝塚記念)らの大物を出した。

 またクラフティプロスペクターはアグネスデジタル(香港C、天皇賞・秋)を出している。
 マキャヴェリアン産駒のストリートクライ(ドバイワールドC)は、初年度産駒からストリートセンス(2007年のケンタッキーダービー馬)を出して売出し中だ。

 他のゴーンウエスト系、シーキングザゴールド系以下、それぞれが独自の繁栄を遂げており、紹介していくときりがない。
 また血統的な特徴も異なってきており、そろそろミスタープロスペクターも支流を別個に語る時代がきている。


 ノーザンダンサー等のネアルコ系と異系統のネイティヴダンサー系であるが、
 血統構成を見るとネアルコ・ムムタズマハル(母父ナシュアのナスルーラ経由)、ネイティヴダンサー(祖父)の血が入り、ノーザンダンサーと酷似している。

 現在、ミスプロ系はお膝元のアメリカはおろか、日本でも趨勢を占めつつある。

 父ミスプロ系ではエイシンチャンプ、ヤマカツリリーらがクラシック戦線で活躍し、母父ミスプロ系では昨年はノーリーズン、
 2003年はゼンノロブロイやザッツザプレンティらがクラシック上位に食い込んだ。

 ミスプロ系の隆盛は、得意のダート戦に脚光が当たったこと、また芝ではスピード馬場が維持されるようになったことが大きいと思われる。
 他の系統は、種牡馬ごと、「小系統」ごとに特徴が違うが、ミスプロ系は他の系統と比べるとそうした差異は少なく、共通した特徴を持っている。
 それは「スピードの持続力に富む」ということ。一本調子の競馬が得意で、瞬発力には乏しい。
 この特性に伴いダート、特に短距離のスペシャリストが多く、芝では時計の出易い馬場に向く、という傾向が出ている。
 殆どの後継種牡馬は自身と同じく、現役時代に短距離中心の実績があった馬が多く、種牡馬としても短距離からマイル位の距離に実績が集まる傾向にある。
 しかし、輩出した後継種牡馬が多いため、中にはミスワキやキングマンボのように芝の中、長距離にも高い産駒実績を残している後継種牡馬もいる。

 ただし、「ミスプロ系(レイズアネイティヴ系)がインブリードされた場合は、『瞬発力』が引き出される」ので注意!
 バックパサーをはじめとしたトムフール系と分かりやすいニックスが存在する。

★ 母方ブラッシンググルーム

 2007年ダイヤモンドS出走馬の血統表を見ていて面白かった点をひとつ。それは、Blushing Groomという種牡馬です。
 長いあいだ血統表を見ていると、ときどき「特別な種牡馬」というのがいるのに気がつくんですが、
 このBlushing Groomというのは、母系の中に入ったときには一級品です。とくに底力を補給するという点において、
 この馬が母系にいれば、黙ってプラス1ポイントぐらいに考えてもいい、というタイプの種牡馬です。
 今回出走した15頭で、母系にBlushing Groomを持つ馬が3頭いたんですが、その3頭がきれいに2着・3着・4着でした。
 まあ偶然なのかもしれませんし、例外もたくさんありますが、一般論としては母系にBlushing Groomがいればプラス1ポイント。

  2着のエリモエクスパイアは、母母の父がBlushing Groom。
  3着のアドバンテージは、母の父がBlushing Groom。
  4着のバイロイトは、母の父の父がBlushing Groom。

 それにしても、府中の3400の重賞が、1着馬も2着馬もMr.Prospector系の馬というあたりが、面白いもんですね〜・・・。
 ミスタープロスペクターは言うまでもなく、アメリカが生んだ20世紀の大種牡馬ですが、競争成績は完全にスプリンターだったらしいです。
 だから、イメージとしては、サクラバクシンオーの孫が春の天皇賞を勝つような感じ・・・ですかね?
 このあたりがまた、血統の不思議ですね。


ミスプロ系の扱い方

 皐月賞は1、2着馬はSS系のリーディング種牡馬。順当な決着といえるが、3着のエイシンフラッシュは父がキングスベスト。その父はキングマンボだ。

 キングマンボはキングカメハメハの父でもある。桜花賞は1、3、4着がキングカメハメハ産駒で、皐月賞も4着はキングカメハメハ産駒。
皐月賞 レース結果

 桜花賞、皐月賞で4着以内に入った馬の数は、サンデーサイレンスの孫よりもキングマンボの孫の方が多いことになる。

 キングマンボはミスタープロスペクター系の種牡馬。SS系とは得意とする適性は異なる傾向を見せるが、絶対的な能力値が高い馬をコンスタントに出す確率はSS系と互角だからこそ、桜花賞、皐月賞とSS系と互角以上に渡り合えているのだろう。

 そして、SS系よりもミスプロ系の方が高いパフォーマンスを発揮しやすい条件は、中央競馬でもいくらでも見られる。

 たとえば、ローカルのダートの1700mは、ミスプロ系は「良馬場」以外の馬場(稍重、重、不良)が圧倒的に得意だ。

 桜花賞が1、3、4着がミスプロ系だったように、ミスプロ系はスピードを持続させてそのままなだれ込める今年の桜花賞のようなレースパターンを得意とする馬が出やすい。

 良馬場以外のダート1700mは軽い馬場状態にもなりやすく、スピードを持続する能力に長けたタイプが有利になりやすいことでミスプロ系の期待値が上がるわけだ。

 昨年から先週までの、ダート1700mで「良馬場」以外の馬場に、3-10人気のミスプロ系が出走した場合、複勝率は29%、複勝回収率も128%と優秀な成績を収めている。

 先週の福島ダート1700mも重、稍重で行われたが、該当馬は13頭出走して4頭が馬券になった。複勝率が31%で複勝回収率が113%だから、期待値通りの成果を収めた。

 個人的にも日曜福島のメインレースをホームページで公開している勝負レースに選び、ミスプロ系のバロンビスティーを本命にして3連単108,150円を本線で的中することができた。
ラジオ福島賞 レース結果

 ちなみに、昨年から先週までのボクの本命馬は、ミスプロ系を本命にした場合、単勝回収率130%で複勝回収率は113%。SS系を本命にした場合は単勝回収率140%で複勝回収率が110%とほぼ互角の数字になっている(的中率もどちらも30%程度)。ミスプロ系の方が力を発揮しやすいレースも積極的に勝負レースに選んでいるからだろう。

 SS系とミスプロ系、どちらのカードを選択するかを読むのも、効果的な戦術といえそうだ。

 ただし、読みがハズれると、桜花賞のボクのように無印馬が上位を独占する悲惨なシーンにも遭遇してしまうのだが。


■ 代表産駒

日本での代表産駒にショウリノメガミ京都牝馬ステークス中山牝馬ステークス)、シェイクハンドニュージーランドトロフィー4歳ステークス)などがいる。


■ 代表種牡馬