■ 特徴
函館と同様勝負所が下り勾配になっている。また函館ほどではないが、直線が短いので、一瞬の脚を生かしやすく、逃げ込みやすい馬場。
芝はオーバーシード。右回り。ゴール付近から2角までの上り坂。そこからゴールまで緩やかに下るがほとんど平坦と考えてよい。
全体的に見てもローカル小回りの他のコース同様、先行馬有利なコースとも言えそう。
■ 開幕後半の小倉攻略法
これから予想しようとするレースコースが「跳べるコース」なのか「沈むコース」なのかを見極めることは馬券検討において大変重要なことだと思う。
「跳べるコース」とはスピード馬、スピード血統がゴールまで余力充分で駆け抜けることが可能なコースであり、「沈むコース」とはスピード馬、血統がゴール寸前で止まるコースである。
一般的に欧州の芝競馬はゴール前で「沈む」競馬が主流で、日本の競馬はゴール直前でも「跳べる」競馬が多い。昨年の凱旋門賞での、日本のエースと欧州のエースによるゴール前の走りの違いなどを見てもわかりやすいのではないか。
また、同じコースでも馬場状態によって「跳べるコース」から「沈むコース」に変化する。この変化も見逃せない。先週の小倉芝1200mは、日曜の午後から「沈むコース」へと変化した。
当コラムでも指摘したように、1〜4日目までの小倉芝1200mは、近走での「先行経験」、血統的にはサクラバクシンオーを代表とするスピード血統馬から狙えば面白いように当たる、スピード優先の「跳べる」コースだったが、日曜の午後から「沈む」コースへと変化した。もちろん、好走する馬の血統、タイプも開催前半とは異なる。
「沈む」コースは、競馬の質が欧州的、あるいは米国的(ダート的)になる。日曜午後の小倉芝1200mは、競馬の質がダート的、つまり米国寄りになっていた。ダート競馬は芝1200m同様、テンの位置取り争いが激しく、そして芝競馬よりもゴール前での失速度合いが激しくなる。このようなダート質のコースに変貌したからこそ、日曜午後の小倉芝1200mはダート血統や近走でダートを走っていた馬が、馬券になったわけだ。
小倉10レースの萌黄賞は、勝ち馬がクロフネ産駒のマルカラボンバで、3着がブライアンズタイム産駒のレンデフルール。2頭ともに父はダート血統、そして自身も1400m以上の競馬やダートを使われていた。それぞれ11人気、6人気の低評価を覆す激走が出来たのは、やはり日曜午後の小倉芝1200mがダート指向の「沈む」馬場に変化したことが大きい。
対照的に2人気に支持されながら15着に沈んだアンソロジーは父サクラバクシンオー、母父サンデーサイレンスという、「跳べる」日本の芝コースで抜群の適性を誇る血統馬。「跳べる」馬は「沈むコース」での失速度合いが激しい。たしかにあの走りではどんな馬場でも失速したかもしれないが、失速度合いには馬場の影響もあっただろう。
最近は、平日に馬場が整備(細工)されて前週よりも馬場が高速化されることも多いのだが、今週末も土曜日の午後、遅くとも日曜日の午後になれば、芝1200mはダート指向の馬場になることが予想される。近走でダートの競馬や1400mの競馬を走っていた馬(特に4〜9番手ぐらいの先段〜中段の位置取りの馬がいい)や、フジキセキ、ブライアンズタイム、ヴァイスリージェント系、ストームバード系などのダート対応血統馬を狙いたい。枠は外目が有利になる可能性が高い。
つまり小倉の芝1200mは、開催前半のコラムで書いたことと、反対のベクトルを向いているようなコースへと変わっていくわけだ。
このような、コース、馬場によって発生する走りのギャップは、過去のパフォーマンス分析でも大いに役立つ。たとえば、シルクロードSは、サイトで勝負レースに指定し、エムオーウイナーを自信の本命とした。これも今回のレースでは人気馬が今までより悪い状況になり、エムオーウイナーにとっては近走では最高の条件に変わることは、コースによって起こるパフォーマンスの変化を理解していれば、事前に読める。
小倉ダ1000m |
先行馬有利 2角寄りの向こう上面からのスタート。当然ながら、逃げ・先行馬が有利。テンの速い馬を探すのがもっとも馬券になる。配当は堅く、ローカル・小回り・短距離の基本的なコース。逃げ・先行で90%近い割合を占めているほどで、差し馬はとても手が出るコースではない。
|
|||||||||||||
小倉ダ1700m |
内枠先行馬有利 4角付近のスタートで1角まで十分に距離があるため枠順に比較的有利不利はない。ただし、先行馬の枠順次第では厳しくなることもあるので、当然ながら注意は必要。ロスの少ない先行馬を探すのがもっとも必要になる。 砂質が深いため前残りの傾向が強く、逃げ・先行で80%にもなる。力のある先行馬を狙う以外に馬券にはならないと考えて良さそう。展開が読めるようなら配当が低くても勝負できるコースで人気薄でも単騎逃げが見込めるなら思い切って勝負できる。 ただし、ローカルコースと言う意識が騎手にもあるので普段先行しない馬までもが位置取りを争って前に来る傾向があるので、内枠の先行馬で最初のコーナーを楽に回れる馬が最も軸になりやすい。外枠の人気先行馬は、期待値的にもやや軽視の構えでもよさそう。
|
|||||||||||||
小倉ダ2400m |
|
|||||||||||||
小倉芝1000m |
|
|||||||||||||
小倉芝1200m |
外枠先行馬有利・但し差し馬の台頭もあり 2角奥のポケットからのスタートで3角までは十分な距離があるが枠別では揉まれない外枠が好成績を収めているのはどの競馬場でも同じ。 外枠でもすんなり先手を取れるので前に行きたい馬ならスタート次第でどの枠からでも大差ないがスタートがやや遅れるようだと内では苦しくなるため、外枠が軸になる方が安心できる。 また、スタート後3角まで200mほどの下り勾配が続くのが特徴。ハイペースになりやすいため差しの台頭もあるが大半は先行勢の決着。ハイペース必至のレースで力量的に抜けている差し馬ならば十分に届く可能性はある。 狙いは、開催後半で内の芝が荒れてきた頃の差し馬天国の馬場になる頃。
|
|||||||||||||
小倉芝1700m |
|
|||||||||||||
小倉芝1800m |
■ 特徴 ・内枠先行馬有利 スタンド前からのスタート。1700mよりも100mスタートしてから1コーナーまでの距離が延びるが、コーナーを回るまでの先行争いの熾烈さはかわらない。 1700m同様に先行勢が多く揃ったレースはどの馬がロスが少なくレースを運べるかが重要ポイント。 基本的には、内枠で不利のない馬を選出しておきたいのは1700mと変わらない。 正面スタンドのやや4コーナー寄りの地点からスタート。1700mとたった100mしか違わないのに様相はかなり変わる。 特に差し馬(まくり)の活躍がグンと増える傾向にある。馬場が悪化した場合(特に不良に近付くにつれ)はなおさらその傾向は大。 次いで先行馬が善戦するが、逃げ・追い込み馬の比率はかなり落ちる。特にAコースよりBコースになるにつれてその感が強い。 枠でみると着順に関係無く、ほとんど均等に出ているのがこの距離の特徴と言っていいかもしれない。 強いて言えば2着に中(4〜6枠)、3着が外(7・8枠)が少しいいかもといった程度。 この距離は差し馬を中心に先行タイプを狙い、枠に関しては特に気にする必要は無しと言えるだろう。 先週の小倉芝1200メートル(500万以上)で、9人気以下の人気薄で馬券になったのは、ナンゴクライデン、ゼンノシールド、エアジュラシックの3頭。この中でナンゴクライデンは前走で逃げる競馬、ゼンノシールドは前々走で2番手の競馬を経験していた。先週のコラムで指摘した「先行経験」のあった馬だ。 超人気薄の馬は先行すらできていない馬も多いので、この絞り込みは有効である。また、この3頭はすべて1〜3番ゲート。人気薄の内枠に特に警戒したい。血統的には、ニジンスキー系、SSの系統もダンチヒ系、プリンスリーギフト系ともども注目だ。 さて、今週は小倉芝1800メートルのポイントを考察したい。昨年の1月21日から先週までの小倉芝1800メートルで、最も勝ち星の多かった父小系統(※)はミスタープロスペクター系の7勝。母父ではグレイソヴリン系が6勝を上げている。これらの系統が最も勝ち星を挙げているのは、持続的な末脚が要求されることと関連性が深い。近走、特に前走でマクリ気味に追い上げた馬が特に向いている。 たとえば、日曜日のメインレース大宰府特別(小倉芝1800メートル)は、カネトシツヨシオーが6人気の単勝1350円で快勝した。私はサイト上で、このレースを自信の勝負レースとして指定し、カネトシツヨシオーを本命にしたのだが、理由は母父がグレイソヴリン系のトニービンであったこと、前走は8→7→2と位置取りを上げる「マクリ」の競馬を試みて7着に失速したレース振りを見て、本コースに最適の馬と判断したからだ。 同馬の場合、前走は芝2000メートルと今回より長い距離を使っていたが、このように長い距離でマクリ気味の競馬をした馬は、本コースで持続性のある末脚を使える可能性が高い。2着馬のマイネルポライトもトニービンの血を持つアドマイヤベガ産駒で、前走は芝2400メートルと長い距離を使い7→6→4とマクリながら直線では失速して9着と、カネトシツヨシオーと同じパターンの馬であった。 小倉芝1800メートルのポイントをまとめると以下のようになる ・グレイソヴリン、ミスタープロスペクター、リファールの血を持つ馬に注目 ・10→8→4と着順を上げるようなマクりを試みた馬、特に直線では失速した馬に注目
|
|||||||||||||
小倉芝2000m |
ロス少ない先行馬有利・但し差し馬の台頭もあり 4角付近のポケットからのスタートで1角までは十分に距離があるため枠順に有利不利はないものと考えていい。ただし、1角までに距離がある分、先行勢が揃えば想像以上に競り合い、ペースが速くなり差しも通用する。 それでも先行馬を軸にするのが妥当でペース読みはかなり重要になる。競り合うような展開が予想されるならば、すぐに内ラチに着けることが出来そうな、距離ロスの少ない馬を中心に狙っていきたい。開催後半で内馬場が荒れてきたときには、積極的に捲り気味に上がって行けそうな差し馬を視野に入れたい。 脚質別のデータで見ても分かるが、捲り気味に上がっていった馬の連対が目立っている。
|
|||||||||||||
小倉芝2600m |
|