■ 特徴
内回りで使用されるレースは芝1400mと同じで、2歳、3歳限定の新馬、未勝利、500万クラスのレースで使用される。
レース数では芝1600m(外回り)の倍以上ある。
スタート地点は向正面2コーナーのポケット。スタートから3コーナーまでで約700m(Aコース)の長い直線を走る。
そして向正面半ばから徐々に坂を上り、4コーナーにかけて下るというレイアウト。
最後の直線は平坦コースで、Aコース時が328m、B、C、Dコース時が323m。
フルゲートは時期によって異なる。一般の1、2回開催(1、2月)は16頭。
それ以外の開催は18頭。
3歳未勝利クラスの平均ラップ(3F-2F-3F)と勝ち時計(良馬場)は、35.3-24.5-35.8=1.35.6。
数字上は前半の方が0.5秒ほど速いが、テンに忙しくなるわけではない。
前半の3ハロンは真っすぐな直線。 そして高低差もほとんど無いため、スピードがつきやすいのは当然だ。
それでもキャリアの浅い2歳戦(特に新馬戦)などは、折り合い癖をつけてゆったり走らせたいと思う気持ちがあるため、前半からゆったり流れることも珍しくない。
ただしキャリアの浅い馬の場合、ジョッキーが抑えられず、折り合いを欠くことも。芝1400m(内回り)同様、勝負どころは直線入り口。
芝1400m(内回り)ほど差しが決まらないわけではないが、なるべく4コーナーまでにポジションを上げておきたい。
枠順の有利・不利はほとんどない。
種牡馬成績はアグネスタキオンがダントツでトップ。
以下、ダンスインザダーク、スペシャルウィークと続くが、回収率はいまいち。
ヘイルトゥリーズン系以外ではジャングルポケット、クロフネ、フレンチデピュティらが狙い目だ。
■ チェックポイント
モデル種牡馬 | アグネスタキオン | ダンスインザダーク | スペシャルウィーク | クロフネ | フレンチデピュティ |
危険種牡馬 | |||||
枠有利不利 | 先行有利 | ||||
脚質有利不利 | |||||
直結コース | |||||
非直結コース | |||||
モデル騎手 | |||||
重賞 | 京都金杯(G3) | シンザン記念(G3) | 京都牝馬S(G2) | マイルCS(G1) |
■ 解説
内回りと外回りが使用され、一般的には高額条件が外回り、下級条件が内回りでおこなわれる。
内外共に2コーナーのポケット地点からのスタートで内周りは先行馬有利で外回りは差し馬の台頭があることも1400mと変わらない。
コーナーまで十分に距離があるので、それ程先行争いも厳しくはならないが、
3コーナー手前の上り坂までも十分に距離があるので、スピードがついたまま一気に登る事が出来るため、
1400mよりもスピードが落ちないのでペースがあがり、差し馬の台頭が多いことが分かる。
特に直線の長くなる外回りでは、差し馬狙いが面白い。
<内回り>
2コーナー奥のポケット地点からのスタート。この条件は若駒(2歳、明けて3歳馬)中心に組まれている。
やはり、内回りコースという事で前々に行ける馬(A〜Dコース関係無く)が有利という結果が出ている。
特に1着馬にその傾向が強い。2着になると差しタイプが活躍しており、3着になると再び先行勢が巻き返している。
馬場が渋るとやはり先に行った組が強く、逃げ、先行タイプが断然有利になる。
<外回り>
2コーナー奥のポケット地点(内回りより2コーナーより)からのスタート。
同距離の1600m(内回り)が先行タイプ有利なのに較べ、外回りになると圧倒的に差し、追い込みタイプが活躍。
1〜3着総じてこの傾向はハッキリ出ている。ただ、馬場が悪くなると一転して先行タイプが活躍するという傾向が強く出ているのが特徴と言える。
2角ポケットから向正面の長い直線を加速して、淀の坂を経て直線に向かうので、コース前半・後半のタイム差がないよどみないペースになり易く、
道中折り合いがついて前で我慢の競馬が出来る先行差し馬が有利の展開になる。
つまり、単なるスピード馬ではなくスタミナを兼ね備えていなければ勝つことは難しい。
前半と後半のタイム差が無いわけですから、息を入れることが困難で厳しい展開になる。
そして京都競馬場は広いので展開の紛れがないことから、展開・脚質・決手勝負ではなく、純粋に競走馬の持っている闘争本能の勝負になり、
芝1600mのスピードやスタミナではパンチ不足で芝1800m〜芝2000mをこなせる競走能力を兼ね備えた馬ではないと勝ち負けは難しい。
■ マイルCSと安田記念の性格の違い
同じく古馬のマイルG1には東京の安田記念がありますが、この2つのレースはかなり異なる性格を持っています。
93年-02年の良馬場で行われた両G1で、上がり3Fがテンの3Fよりも1秒5以上かかった年が、安田記念では1回しかないのに対し、マイルCSでは5回もあるのです。
テンの速さもマイルCSの方が上で、34秒5より速くなった年がマイルCSでは6回、安田記念では3回となっています。
これは、コースの形状に由来するところが大きいと思われます。
東京のマイルはスタートしてからやや下ったあと、100mで2m昇る坂がすぐに現れ、そのあとは延々下りと平坦が続き、
そして直線中ばに150mの間に2m昇る坂があり、あとは300m近く平坦となります。
対して京都外回りマイルは、スタートして400m平坦が続いたあとに、100mの間に2m昇り、
しかもその頂上からさらに新しい坂が始まって、300mの間に2m昇ったあと、一気に100mの間に4m下る急勾配の下りがあり、そのままゴールまで平坦になります。
これがどういうことを意味するかというと...
★ 京都マイルは、テンにスピードが出やすいが、その後の急激な昇り坂で逃げた馬は大抵失速する。
ただし、マイル戦なので後続もそうゆったりと構えているわけにはいかず、坂の頂上より手前からレースが動く。
その分、後半に下り坂があるにもかかわらず、その下りで仕掛け気味に動くので、直線に来るとどの馬も脚は上がる。
つまりマイルCSの方が、必然的に上がりがかかるようなコース設定になっている上、
勝負所で加速されるように出来ていることから、本来スピードに乏しい血統でも来るチャンスが増える。
★ マイルCSはスプリンター血統では無理。母方にスタミナの裏づけが必要。
★ マイルCSは安田記念以上に、下りでの加速を保たせられる持続力血統が強い。
瞬発力血統ならば、直線だけで追い込みきれるだけのかなり高い瞬発力が必要だが、一瞬しか良い脚が使えない系統では苦しい。
また特に内を突く場合には3、4角でかなりペースを落とす必要があるため、そこから仕掛けて突き抜けるには尚更ハンパじゃない瞬発力が必要となる。
その表れの1つが、スピードに乏しいものの、パワーとスタミナに富むニジンスキーの血を受けた馬がこのレースで好走していることです。
スピードの要素が求められる安田記念ではどうにもならないエイシンプレストン(父グリーンダンサー)が、ここでは2年連続連対しているのが何よりの証拠。
それだけに、安田記念とマイルCSを両方勝っている馬は、競走馬としての絶対値が桁外れということになります。
極論、そこまでのスケールがないと思ったら、東京のマイルG1馬は全て消しでも良いのかもしれません。
また瞬発力血統では、トニービンやリファール系のように、瞬間点火できる上に長く脚を使える系統が好成績を残しているのも、まさにこのコース形状を裏付けています。
このように、血統によるコース適性判断は、形状を抜きには語れないということを申し上げておきます。