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エリザベス女王杯(G1)

■ 牝馬芝重賞路線

開催月 レース 前回 1着 2着 3着 勝負結果
2月 京都牝馬S(G3) 2012年 レディアルバローザ オールザットジャズ エオリアンハープ
3月 中山牝馬S(G3) 2012年 ドナウブルー ショウリュウムーン アスカトップレディ ×
4月 阪神牝馬S(G2) 2012年 クィーンズバーン マルセリーナ フミノイマージン ×
4月 福島牝馬S(G3) 2012年 オールザットジャズ コスモネモシン アカンサス
5月 ヴィクトリアM(G1) 2011年 アパパネ ブエナビスタ レディアルバローザ
6月 マーメイドS(G3) 2011年 フミノイマージン ブロードストリート アースシンボル
10月 府中牝馬S(G2) 2011年 イタリアンレッド アニメイトバイオ フミノイマージン
11月 エ女王杯(G1) 2011年 スノーフェアリー メイショウベルーガ アパパネ
12月 愛知杯(G3) 2011年 フミノイマージン ブロードストリート コスモネモシン

このほか、8月クイーンS(OP)、9月ターコイズS(OP)、11月ユートピアS(準OP)などがある。


・リファール&ヌレイエフ系中心。
・サンデー系は買いだが、唯一ダンスインザダーク産駒は買うな!

■ 2011年回顧

エリザベス女王杯
2011年11月14日(月)18時00分
注目数:27人
 切れ味で上回ったとか、鋭く差し切ったとかではない。残り1ハロンでエンジンフル回転となったスノーフェアリー(父インティカブ)が見せたのは、牝馬にしてはちょっと乱暴すぎる、相手を屈服させるかのような爆発だった。

 最後の1ハロン、抜け出したホエールキャプチャも、並びかけたアパパネも、差し切ろうかの勢いで伸びたアヴェンチュラも決して脚いろは鈍っていない。だが、追いつくのかと思えた瞬間、もうスノーフェアリーは抜けていた。アヴェンチュラとのゴールの着差は「クビ」。しかし、映像の角度もあるだろうが、これなら追いつけるだろうと思わせてから、並ぶ間もなく抜き去るまで、それこそまさにアッという間だった。

 一旦は1馬身ぐらい前に出たようにも思えた。並んだ瞬間もう勝負は終了。最終着差はアヴェンチュラが伸びているからである。いろんな差し切り、追い込み、寸前での逆転を見てきた気がするが、スノーフェアリーの今回は、追い込んで届いたのでも、差し切ったのでもない。先頭でゴールするために、そうしたのだ、としか思えない能力の証明である。鮮やかに映った昨年より、はるかに今年のほうが強かった。

 少し芝状態の良くないようにも映るインなど、もっと走りにくい芝コンディションに慣れているスノーフェアリーにとっては、少しも気になる材料ではないのだろう。3コーナーあたりから意識的に馬群のインに入り、直線に向くとコースロスを避けるために当然のようにインを衝き、ゴールが近づくほどにストライドを伸ばした。これを凱旋門賞のゴール前などと重ね合わせると、レースレベルとか、記録された時計とかではなく、スノ―フェアリーはこの時期の京都の芝に対する適性抜群ともいえる。

 まだ、登録のあるジャパンCにはレース後のコメントはないが、激走後の中1週でもあり、昨年と同様、香港になるのではないかと思われる。

 スノーフェアリーの強さを引き出したのは、ホエールキャプチャであり、アパパネであり、アヴェンチュラだった。負けはしたが、決して引きたて役にとどまらず、上位を争った日本馬のレース内容にも素晴らしいものがあった。実際、アヴェンチュラの「2分11秒6」は2200mのエリザベス女王杯では史上2位タイの好時計であり、スノーフェアリーがレースの流れとはまったく関係ないところから強襲してきたことを考えると、少々の馬場差は別に、アヴェンチュラは同じ2分11秒台でこのレースを勝った「ダイワスカーレット、フサイチパンドラ、アドマイヤグルーヴ、トゥザヴィクトリー」などの歴代の勝ち馬と互角だろう。

 秋華賞よりまた一段とパワーアップしている。もうトールポピー、フサイチホウオーの妹ではなく、ブラックタイプの紹介では、アヴェンチュラ(父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー)の上に、全姉や全兄が存在するという表記になるのだろう。ある日を境に…の怪しい一族ではなくなったと考えたい

 レース全体の流れは、伏兵シンメイフジの思い切った逃げで「57秒5-(12秒4)-61秒7」=2分11秒6。1頭だけ、実際のレースの流れとはあまり関係なく離して逃げた馬の記録にとどまる部分もあるだろうが、同馬の先導によって先行型が少なく流れが不透明だったレースは締まった。同馬をみながら、2番手追走の形になったホエールキャプチャを事実上の主導権を握った馬とすると、少々の誤差はあるだろうが、レース全体のバランスは推定「59秒3-(12秒4)-59秒9」前後か。これは2200mのGIとするとほぼ理想にも近い「バランスラップ」である。したがって、このペースを作りだす主役の1頭となったシンメイ(北村友一騎手)の功績は大きい。猛ペースで飛ばして2分12秒7。それでいながら7着にがんばっている。

 ホエールキャプチャ(池添謙一騎手)は、時計の上では少々速い程度のマイペースに近いが、ずっと前方にシンメイフジがいて、事実上のペース判断をまかされた。マークを一手に受けたのだからこの形はきつい。それで寸前まで先頭で粘ったから、この内容はさすがである。G1「2、2、3、3、4」着。体調ピークは秋華賞で、疲れを取るのに苦心した経緯もあるから、なおさら素晴らしい内容である。早熟ではなかった。念願のGI制覇は、来季のヴィクトリアマイルあたりか。

 アパパネもさすがだった。もう目標の1戦に向けてひと叩きするとガラッと変わるとか、そういうこれまでとは違って、多くの名牝がそうだったように、体つき全体のかもしだす雰囲気がそろそろ母親になりたくなった状態に近いのは否定できない。おなじ4歳牝馬でも、鋼(はがね)の詰まったスノーフェアリーとはタイプが異なるように映った。それで、前回とは一変の素晴らしいレース内容である。「ベストの距離より長いのではないか…陣営」と思える2200mだけに、なおさら今回の健闘は光った。

 イタリアンレッド、アニメイトバイオは、正攻法で攻めのレースをしての結果だから、負けて悔いなしか。正直すぎた気もするが、GIだからこれが挑戦者の姿勢だろう。

 注目のレーヴディソールも、長期休み明けのこのキャリアで、注文をつけることなく途中まで正攻法のレースを展開した。さすがに未経験の距離で、これまでのマイル戦以上のペース追走はきつかったろう。直線に向き、もう勝ち負けは不可能になった地点で無理はしなかったからこのあとも大丈夫、復活すると思える。

 ダンシングレインは体調不安もあったが、最初にスタートが大きなカギを握る日本の中距離スピードレースと、行く気なら自分のペースにもできたこれまでのレースとの、スタートの決定的な違いがあった。ひとたび先手を取ってしまえばリズムにも乗れるだろうが、日本の控えて進む追い込み馬よりダッシュが鈍かった。 

■ 2010年回顧

 過去の外国馬と比較し実績上位だったこと、ユーロ安(円高)で今までに無く本気の参戦ということから外国馬も押さえましたが、ここまで強いとは・・・。正直驚きでしたし、日本競馬の弱さを改めて思い知らされた一戦でした。

 簡単にエリザベス女王杯を回顧(反省)します。

 スタートでサンテミリオンが再び出遅れましたが、前走よりはまだマシでほっと一安心、ただスタート直後からずっとアパパネが力んで走っていましたので、これはちょっとまずいかなと思いつつ、最後の直線へ。
 
 アパパネが外へ、そして一気に内に切れ込んだ馬がスノーフェアリー。
 外ではずっと掛かり気味だったアパパネがいつもの切れがなく、アパパネ目標のメイショウベルーガがアパパネをつかまえて抜け出し、普通ならメイショウベルーガが勝つレースでしたが、内に切れ込んだスノーフェアリーがムーア騎手の物凄い追い方で大きく突き放して圧勝したレースとなりました。

 まず勝ったスノーフェアリーですが、外国馬の実績馬が少し本気になって日本競馬に参戦すればこうなるのかと改めて認識させられました。
 ユーロ安かつボーナスで2倍となる日本円での賞金の魅力は相当なものなのでしょう。そんな陣営のミエミエの勝負気配が楽に通じてしまうのが、今の日本競馬のレベルなのでしょう。スプリンターズSでも人気薄の外国馬に勝たれてしまうわけですから、しばらくは外国馬の天国が続きかねませんね。
 これはサンデーサイレンスが死亡し、それに変わる海外に通用する種牡馬の不在が影響しているのではないでしょうか。しばらく解決できない問題です。
 またムーア騎手の追い方とその他の日本人騎手の追い方を比較しても、世界との差がはっきり分かったレースでもありました。レースVTRの最後の直線やや引きの映像で、内のムーア騎手とその他騎手との追い方の比較をすると、その差が衝撃的でもあります。
 三浦騎手がこの夏に海外遠征した際の密着ドキュメントがテレビでありましたが、それじゃあ馬が動かない的なことを現地で言われていたのを思い出しました。欧州の重い芝の馬場で馬を動かすには、やはり馬を動かす強靭な肉体が必要ということなのでしょう。
 
 2着のメイショウベルーガは、池添騎手がほぼ完璧に乗り、普通であれば勝っていたレースですが、今回は馬も騎手も相手が悪かったということでしょう。後ろから届くギリギリのところで追走し、脚をためてアパパネはしっかり差し切ってと、馬の力は出し切りました。

 3着のアパパネは、これだけ力んで走って、最後も普通であれば3着も無かったところで馬券圏内を確保しましたので、良く頑張ったと思います。テンションが高くなっているようですので、ここら辺りで少しゆっくりさせてあげたいところです。

 リトルアマポーラは前走で復調気配が感じられましたので押さえましたが、久々に良い競馬をしました。

 サンテミリオンは、前走ゲートでぶつけて云々という陣営からの言い訳がありましたが、今回も出遅れたとはいえ致命的でなく、それでいて最後伸びなかったのは、やはりまだまだ本調子まで仕上がっていないということでしょう。前走が5〜6分、そして今回が7〜8分の出来までしか戻せなかったための9着でしょう。陣営の意地に少し期待したのですが、私が甘かったです。反省です。
 まあGTを2回も叩き台に使いましたので(凄い陣営です)、次はそれなりの結果を出してくれるものと思いますので、厚めに狙ってみたいところですが、来春まで使うところが無いような・・・。

 アニメイトバイオは道中鼻出血を発症ということで、残念な結果となってしまいました。

 とにかくスノーフェアリーの強さ、ムーア騎手と日本人騎手との圧倒的差を感じさせたレースでした。

 こうなると週末のマイルCSでも、外国馬サプレザには注目せざるを得ないですね。昨年同様に直前にGTを制しての参戦で、昨年はペリエ騎手でマイルCS3着、そして今年はルメール騎手でと鞍上的には強化されて更に上位も狙えそうです。
 また、ムーア騎手が乗ってキンシャサノキセキがどのような走りをするかも興味があります。
 面白いレースとなりそうですが、予想は難しそうです(苦笑)。

■ 2007年回顧

今回で明確になったのは、3歳牝馬世代の強さ。

フサイチパンドラ

2人曳き。+6kg。前走時でも馬は良かったが、毛ヅヤが来た。出脚利かせて中段の外。3〜4角中間は、早目に動いたというよりは、前がバテて自然と好位取り付く形。内から来たカワカミプリンセスとは末脚差が有ったが、スイープトウショウの追撃は振り切った。前述した様に、状態面上向いて来たのが大きい。競馬を投げなくなったし、漸くにして本格化。牡馬相手ならともかく、限定戦なら晩生で息の長い活躍が期待出来そう。

2着(繰り上がり1着)のフサイチパンドラですが、今回早めにアサヒライジングを捕まえに行き、それが功を奏しました感じです。 潜在能力は同世代でも最上位のものがあると言われていた同馬ですので、精神面がしっかりしてくればこのように連続して好走できるわけですね。それにしても、ここにきてノーザンファームが巻き返してきました。この勢いは年末にかけて要注意ですね。

スイープトウショウ

+6kg。張りが無いのは今季最初からだが、覇気が無い。ゲートは五分に出たが、出脚の有る馬が行ったのと、1角迄に外へ出したら、丁度目の前がカワカミプリンセスで、これをマークする形。ずっと折り合い付いて、道中悪くなかったし、直線一番外へ出すのも、前日の雨の影響を考慮すれば当然だろうが、追ってからが案外。デキの無い牝馬がGTで3位入線出来るだから今更ながら底力は凄まじいが、とはいえ絶好調なら普通に突き抜けていても不思議は無い。過去の好走例が何れもスローで、その方が良いのは確かだろうが、3歳馬に引導渡された形。

カワカミプリンセスを直後でずっとマークをしていたのがスイープトウショウでしたが、昨年までと違ってカワカミプリンセスを差し切るような強烈な脚は使えませんでした。やはりもうピークは過ぎているということなのでしょう。

ディアデラノビア

テンション高いのは何時もの事。毛ヅヤは怪しくなって来たが、馬体は充実。出脚でウイングレットに叩かれたが、馬群の切れ目へ潜り込んで中段のイン。折り合いは付いた。渋化馬場嫌って外へ持ち出す馬が多い中、ずっとインに居て一瞬の脚を生かす策。上手く乗って一旦は先頭迄有ったが、最後に外から3頭。元々末脚の持続性に難の有る馬だが、渋化馬場と距離で、余計に脆さがクローズアップされた印象。

アサヒライジング

2人曳き。多少チャカつく素振りも有ったが、充分許容範囲。歩様面悪くなく、トモの張りも上々。増減こそ無いが、叩いて締まって来た。好発も、出たなりに乗って離れた好位。早目に外へ出して、4角先頭。直線も外へ持ち出したが、競馬が正攻法過ぎた。渋化残る馬場で、結局はこれがベストチョイスなのだが、カワカミプリンセスはともかく、勝ち馬とは接戦。この相手で真っ向勝負の馬では無いのは皆が解っている事で、もう一工夫が欲しかった。

非常に残念だったのはアサヒライジングです。柴田善騎手が内弁慶なのは良く知られていますが、まさしく今回は不慣れな競馬場で、内弁慶らしい無難な競馬をしてしまいました。最後の直線であの位置ではそりゃあ差されますよね。もっと前にいるくらいの流れでレースをしてはじめてこの馬の良さが最大限生かされるのですが、あれでは差し脚鋭い馬にかないません。 もったいないレースとなりました。

アドマイヤキッス

独特の伸びる歩様。前走同様に毛ヅヤが良く、デキは抜群。出脚は甘い馬だが、出して行ってアサヒライジングと前後する位置。ディアデラノビア同様に、インに拘ってイチかバチかの策。乗り易さ活かして上手く乗ってはいるが、一時の東京の様な外差しの利かない馬場ならともかく、今日の馬場と流れでは底力の差が出てしまう。乗り役も納得の敗戦だろう。期待した1頭のアドマイヤキッスですが、正直言って武豊騎手には珍しく中途半端なレース運びだったような気がします。

サンレイジャスパー

+6kg。更に馬体充実。歩様の硬さは有るが、目下絶好調。ゲートを上へ出てしまい出負け。最後方からとなったが、丁度スイープトウショウが目の前に居て、これをマークする様な格好に。そのスイープトウショウが2着に来ているのだから、位置取りとしてはこれでも良かった筈だが、追っての伸びで差が有った。今日は負け過ぎ。前走東京戦で55kgをこなしたのは収穫だと思ったが、そこからの1kgが応えたかも。

カワカミプリンセス

2人曳き。毛ヅヤ抜群。馬の造りも、メンバー中抜けてNo.1。出脚は有る筈だが、大外枠でも有り、むしろ行きたがるのを宥める様にして中段やや後方。ただ、前走同様、4角での反応が異様な迄に悪くて、その分フサイチパンドラの外を回す余裕が無く、しかも元々直線手前替えるのが下手。モタれてヤマニンシュクルをカットする形に。デキも馬も見た目には良いのだが、何かが弱いのだろう。ヒシマサルUを彷彿とさせる馬。ただ、この手の馬は切れる時が早い。それ迄に普通の競馬が出来る様にしておかないと、後で苦しくなるが...。

カワカミプリンセスは、道中とにかく安全な競馬をしていました。やや中団後方外目を追走し、包まれないよう、不利を受けないようにというレース運びで、鞍上の本田騎手も、他の馬とは力が違うという乗り方をしていました。無茶苦茶自信があったんでしょうね。そして最後の直線、本田騎手の左ムチに反応しすぎてヤマニンシュクルを妨害してしまったわけですが、普通に乗って楽勝だったはずでしたら、本田騎手としては悔やんでも悔やみきれないことでしょう。まあそれはそれとして、カワカミプリンセスがスイープなどと比べても引けをとらない切れる脚(最速はスイープで34.4、次がカワカミで34.5)を示したので、この馬の強さを再認識した人が多いことでしょう。

シェルズレイ

2人曳き。例に依って下見だけ口籠とパシュファイヤー。前走時と変わらず、落ち着いていたが、欲言えば馬を大きく見せて欲しい。もっとユッタリ行かせたかった筈だが、何故か同厩舎ライラプスが一瞬競り掛けて来て、馬がその気になって1000m通過が57.4秒。単騎は単騎だが、流石にこれでは厳しい。まあ、あの程度で行ってしまう馬も悪いのだが、防げた事象だけに。

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