■ 瞬発力・持続力
・名馬の基本パターン=父が瞬発力血統+母父が持続力血統…点火したスパートが長続きするため。
・成功する母父持続力血統御三家=母父ナスルーラ系、ネイティヴダンサー系、ニジンスキー系。
【瞬発力血統】=「瞬時に位置やペースを上げるギアを持つ」
【持続力血統】=「平均的なペースで加速していく」
トニービン | |
ブライアンズタイム | |
サンデーサイレンス | |
フジキセキ | |
リボー系 | アレッジド、ローソサエティ、アレミロードなど。主に母父 |
サドラーズウェルズ系 | オペラハウス、カーネギーなど |
ダンシングブレーヴ | |
ホワイトマズル | |
ラストタイクーン | |
メジロライアン | |
ヌレイエフ系 | |
ペティション系 | サティンゴ、トロイなど。主に母父 |
ノーザン系インブリード | |
ミスプロ系インブリード |
サクラバクシンオー | |
ナスルーラ系 | サクラユタカオー、トウショウボーイ、コジーン、ラジャババ、ロイヤルスキー |
ミスプロ系 | |
ニジンスキー系 | マルゼンスキー、ラムタラなど |
ダンチヒ系 | デインヒル、アジュディケーティングなど |
デピュティミニスター系 | フレンチデピュティ |
コマンダーインチーフ | |
ダンスインザダーク | |
シルヴァーホーク | |
リアルシャダイ | |
ニホンピロウイナー | |
ウォーニング |
■ スタミナ
【スタミナ血統】=「菊花賞・ステイヤーズS」
ダンスインザダーク | ザッツザプレンティ、デルタブルース |
スペシャルウィーク | |
マンハッタンカフェ | (これから種牡馬デビュー予定) |
母父レッドゴッド系 | マヤノトップガン、テイエムオペラオー、サクラローレル(ただし父父) |
母父ニジンスキー系 | ダンスインザダーク、スペシャルウィーク、ライスシャワー、ロイヤルタッチ |
サッカーボーイ | ヒシミラクル、ナリタトップロード |
母父ミルリーフ系 | ヒシミラクル、セイウンスカイ |
母父リボー系 | |
欧米ステイヤー牝系 | エアシャカール、マンハッタンカフェ、デルタブルース |
明治から続く小岩井牝系 | ヒシミラクル、マチカネフクキタル |
■ ステイヤーについて
ステイヤー血統.…非主流派の血統
ハイペリオン系、ネヴァーベンド系のミルリーフライン、リボー系、ラウンドテーブル系、ブランドフォード系
ノーザンダンサー系やターントゥ系の場合は、ステイヤーとなるかどうかは配合次第
ここでの「ステイヤー」は、「3000m以上で能力を発揮する馬」と定義します。
よく目にするのが、「最近の長距離戦はスローペースになるから、実質上がりだけの勝負になるので、血統は関係ない」という意見です。
まあこれは半分正しくて、半分は間違いだと思いますね。
まず「半分の正しさ」について。
それは「最近の長距離戦はスローペースになる事が多い」ということです。
今さら言うまでもありませんが、スローにならない長距離戦には滅多にお目にかかれなくなりました。
その理由としては、距離区分別の路線整備が完成したことが一番大きいと思います。
昭和50年代までは、明らかに距離適性の短い馬が長距離戦に出走してくることが多く、
そうした馬の多くはスピードに寄った馬なので、平均的に早めのラップでレースを引っ張っていったものです。
しかし、距離整備が進んだために、そうした馬が出走してくるケースが激減し、引っ張る馬がいなくなったのです。
もちろん、現在長距離戦に出走している馬たちに、スピードが全くないかというとそんなことはありません。
しかし、自分から動いて「レースを速くしていく勇気」が騎手や調教師にないために、他の馬の脚色を気にし合ったり、末脚温存ばかりを重視したりで、
お見合いのようなレースがはびこり、その結果スローペース症候群になっているんですね。
おそらく、もっと自分の馬の血統を知っていれば、引き締まった長距離戦はいくらでも見せられるはずです。
例えばマヤノトップガン、サクラローレル、マーベラスサンデーが激突した春の天皇賞などは、その白眉と言える素晴らしい長距離戦でした。
では半分の「正しくないこと」について。
それは「血統は関係ない」ということです。
先ほども書いたように、路線別の整備が進んだ競走体系であるため、
3000m以上のレースに出走してくる馬の多くは少なくとも2400m前後の能力は保証済みである馬です。
その時点ですでに血統面での粗いふるいにはかかっていると言えるでしょう。
しかし、3000m以上となると、2400とはまた別次元の競馬が待っています。
確かにスローなら前半の消耗は少なくなりますが、問題はペースが上がり始める時点がどこになるかということ。
正味3ハロンだけの競馬になれば、スタミナもへったくれもありませんが、早めにラップが上がれば、それだけスタミナが要求されます。
G1ともなると、その上がり始める地点は早くなることが多い。ゴール前1000から1200mから11秒台が続くようなタフな流れになる場合もあります。
結局、ステイヤー色の薄い系統では勝ちきれないことになります。
その証拠に、菊花賞も春の天皇賞も、血統的に見て「ナゼこの馬が?」というような馬が勝ったケースはただの1度もありません。
ステイヤー血統というのは、いわゆる現在では非主流派の血統と考えてよいでしょう。
ハイペリオン系、ネヴァーベンド系のミルリーフライン、リボー系、ラウンドテーブル系、ブランドフォード系(現在はほとんど目にしませんが)あたりが代表例。
ノーザンダンサー系やターントゥ系の場合は、ステイヤーとなるかどうかは配合次第ということになります。
種牡馬の競走馬時代の距離実績というのは、まず関係ありません。全くアテにならないことは肝に銘じておいた方がいいでしょう。
その良い例が、昨年の菊花賞のメガスターダムです。
ニホンピロウイナー産駒ということで、3000は長いという見方が大勢を占めましたが、手前味噌ながら私は3番手評価をしました。
それは昭和40年代に春の天皇賞で再三好走していたチャイナロックのインクロスが入っていたからです。
いわゆるオールドファッションの系統ですが、こういう血が父とか母父に直接入っているとスピード不足を露呈する危険があるものの、
このように隠し味的に入っていると絶妙の効果を発揮することがあります。
さすがに父がニホンピロウイナーとあって勝つには至りませんでしたが、スタミナを要求されるあの厳しいレースで、一番キツイ内容から3着に頑張りました。
それから、一流の中長距離馬の多くは、父が瞬発力型、母父が持続力型という配合になっています。この方が安定して走れます。
マヤノトップガン、テイエムオペラオー、ナリタトップロード、メイショウドトウ、ヒシミラクル、レディパステルなどがその例です。
最近は長距離戦が冷遇されているきらいもありますが、ステイヤーを粗末にする国は、全体の馬の能力が間違いなく下がっていき、競馬の衰退へつながります。
一流のマイラーも、母方に必ずと言ってよいほどスタミナ血脈が流れています。
薄っぺらなスピード血統だけが残っていくと、競馬が単調になり、味気なくなります。
あからさまに長距離戦を避ける陣営が多い現状は嘆かわしい限りです。