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ダイオライト記念(G2)

【ダイオライト記念・男の解の公式】 中央よりも交流重賞ステップの馬を狙え!
モデル馬

ここはフェブラリーSや、中央からの転戦組よりも、交流重賞ステップで順調に使ってきた馬のほうを重視する。
中央→消耗が激しい 地方交流重賞→消耗が少ない
スマートファルコンがここを無難に通過点として使っているのはもちろんだが、
カキツバタロイヤルやマイネルアワグラスのような隙間重賞狙いの馬がメイチの仕上げをしてきたタイミングを狙い打つのが馬券的に面白い。

■ DGR年間日程

王道路線

開催月 レース 2012年
1月・2月 川崎記念(G1) ×
佐賀記念(G3)
3月 ダイオライト記念(G2) ×
名古屋大賞典(G3)
5月 かしわ記念(G1)
6月 帝王賞(G1)
7月 マーキュリーC(G3)
8月 ブリーダーズGC(G2)
9月 日本テレビ盃(G2)
10月 白山大賞典(G3)
南部杯(G1)
11月 JBCクラシック(G1)
浦和記念(G2)
12月 名古屋GP(G2)
東京大賞典(G1)

■ 経緯

ダイオライト記念とは、船橋競馬場のダート2400mで施行する重賞(統一JpnII)競走です。

競走名は1935年にイギリスから輸入し、日本初の牡馬クラシック三冠馬セントライトなどを輩出した名種牡馬ダイオライトが、千葉県成田市三里塚の宮内庁下総御料牧場に繋養されたことに由来しています。

◆歴史ある長距離重賞

1956年に船橋競馬のダート1800mでスタートした。
1961年にダート2000m、そして1976年の第21回から現在の2400mで施行されている。

交流元年となった1996年にはホクトベガ、1998、1999年はアブクマポーロが連覇するなど、上半期の大一番・帝王賞への重要なステップになっている。
また、地方勢の躍進が目立つレースでもあり、近年は2002年にインテリパワー、2004年にはミツアキタービンが制覇。
2006年は今年のドバイワールドCに出走を予定しているヴァーミリアンが6馬身差の圧勝を飾っている。


1956年に3歳(現4歳)・4歳(現5歳)牡馬限定の南関東地区限定の重賞競走として創設され、第1回は船橋競馬場の芝1800mで施行された。
1957年には出走資格を4歳(現3歳)・5歳(現4歳)限定に変更、1961年からは出走資格を5歳(現4歳)以上に、施行距離をダート2000mに変更、さらに1965年には出走資格を4歳(現3歳)以上に変更した。

1976年からは施行距離を現在のダート2400mに変更、1995年からは南関東グレード施行により南関東G1に格付け、
翌1996年には中央・地方全国指定交流競走に指定され、中央競馬(JRA)および他地区所属馬の出走が可能になり、
1998年からは1997年4月から始まったダートグレード競走のGII(統一GII)に格付けされ、出走資格を現在の5歳(現4歳)以上に変更した。

春のダート長距離重賞競走として施行される。
GII格付けながら定量戦ということもあり、地方・中央の有力馬が多数出走することも多い。
交流競走後の勝ち馬にはホクトベガ・アブクマポーロ・リージェントブラフ・インテリパワー・カネツフルーヴ・パーソナルラッシュ・ヴァーミリアン・フリオーソ・スマートファルコンといったGI馬が名を連ねている。
最高位のメンバーはドバイミーティングの各競走に出走することもあり、南関東地区の最高位とJRAの高位クラスのメンバーが争う傾向がある。

出走条件はサラ系4歳(旧5歳)以上の競走馬でフルゲートは14頭と定められている。
出走枠は南関東所属馬7頭、南関東地区以外の所属馬3頭、JRA所属馬4頭で、またトライアル競走の金盃(南関東SII・大井競馬場ダート2000m)および報知グランプリカップ(南関東SIII・船橋競馬場ダート1800m)の優勝馬は優先出走権で出走できる。

2011年現在の負担重量は定量で4歳55kg、5歳以上56kg、牝馬は2kg減である。
1995年まではハンデキャップ競走であり、50kg以下の負担重量で優勝した馬もいた。

馬場 勝負
結果
人気 タイム 上り ラップ 通過順 3連単
2012 × ランフォルセ 3 2.34.7 41.4 12.5- 11.9- 12.6- 12.7- 12.8- 12.4- 13.0- 12.7- 12.7- 12.8- 13.7- 14.9 3角 13,12,8,10,2,6,3,9,5,4,1,7,11
4角 13,12,10,8,2,6,3,9,5,4,7,1,11
1角 13,10,12,6,8,2,3,9,5,4,7-1,11
2角 13,10,12-6,2,9,3,8,(5,4),7,11,1
3角 13,10,12-6,9,2,4,3,7,5,1,11-8
4角 13,10,12-6,(2,9),3,4-7,1,5,11=8
135,060円
ピイラニハイウェイ 5
トーセンルーチェ 6
2011 スマートファルコン 1 2.33.2 39.8 12.3- 11.8- 12.3- 13.6- 12.5- 12.9- 13.3- 12.8- 11.9- 12.0- 13.1- 14.7 3角 5,4,(8,12),(11,13),(1,7),6,3,2,14,9,10
4角 5,4,8,11,12,(1,13),7,6,3,2,14,9,10
1角 5,4,8,12,11,7,(1,13),6,3,2,14,9,10
2角 5,4,8,12,11,7,1,13,6,3,2,14-9,10
3角 5,12,4,(11,8),7,6,1,3,13,2,14,9,10
4角 5-12,4,11,8,7,6,1,3,2,13,14,9,10
47,940円
カキツバタロイヤル 8
インバルコ 2
2010 不良 フサイチセブン 2 2.31.3 37.9 12.5- 11.4- 12.4- 13.0- 13.7- 13.1- 12.6- 12.8- 11.9- 12.4- 12.3- 13.2 3角 4,2,9,10,13,14,5,11,(1,6),3,8,12,7
4角 4,2,9,10,(13,14),5,11,6,1,3,8,12,7
1角 4,2,(10,9),13,14,5,(1,6),11,8,3,7,12
2角 4,2,(10,9),13,14,5,1,(6,8),3,11,7,12
3角 4,2,9,10,13,5,14,1,8-6,3,12,7,11
4角 4,2,(9,13),5,10-8,(14,1)-12,6,3,7,11
31,170円
マイネルアワグラス 6
マコトスパルビエロ 3
2009 稍重 フリオーソ 1 2.32.1 37.1 12.8- 11.8- 13.0- 13.2- 12.7- 12.9- 13.9- 12.4- 12.3- 12.6- 12.0- 12.5 3角 13,(3,7),8,(2,4,9),5,10,12,14,6,11,1
4角 13,(3,7),8,(2,4),(5,9),10,12,14,11,6,1
1角 13,7,8,3,2,4,5,12,10,9,(11,14),6,1
2角 13,(7,8,12),3,(2,4),5,(10,14),11,9,6,1
3角 13,7,8,(3,2,12),4,5,10,11,14,9,6,1
4角 13,7,12,2,3,8,(5,10),4,11,9,14,6,1
890円
マイネルアワグラス 2
ロールオブザダイス 3
2008 フリオーソ 1 2.34.7 39.4 11.8- 10.9- 12.3- 13.7- 13.3- 13.6- 13.8- 13.4- 12.5- 12.8- 12.9- 13.7 3角 8,(1,11),14,(9,13),3,10,5,(2,12),4,6
4角 8,11,(1,14),13,9,5,10,3,2,12,4,6
1角 8,11,14,5,1,13,(3,10),2,12,(9,6),4
2角 8,11,14,(1,5),13,3,(2,10),12,6,9,4
3角 (8,11),14,5,1,13,3,(2,10),6,12,4,9
4角 14,11,8,5,1,3,13,2,10,6,12,4-9
4,750円
ボンネビルレコード 2
サカラート 3
2007 キクノアロー 2 2.33.5 39.2 12.5- 11.3- 12.5- 12.7- 12.5- 13.4- 14.1- 13.0- 12.3- 12.6- 13.0- 13.6 3角 5,10,(1,6),9,2,12,11,14,3,4,8,13,7
4角 5,(10,6),1,9,2,12,14,11,4,3,13,8,7
1角 5,6,10,9,1,12,2,14,4,8,3,(11,13),7
2角 5,6,(9,4),10,(1,14),2,8,3,12,13,11,7
3角 4,14,9,5,1,6,8,10,13,3,7,2,12,11
4角 4,14,9,1,5,6,10,8,13,3,7,12,2,11
14,420円
クーリンガー 4
ナイキアースワーク 6
2006 ヴァーミリアン 1 2.34.9 38.3 12.7- 11.8- 13.1- 13.8- 12.8- 12.8- 13.7- 13.6- 12.3- 12.4- 12.9- 13.0 3角 7,9,6,1,(3,8),2,5,4,10
4角 7,9,6,(3,1),8,2,5,4,10
1角 9,1,(7,6),3,8,(2,5),4,10
2角 9,1,7,6,(3,8),(2,5),4-10
3角 9,(1,6),7,3,8,4,5,2,10
4角 (9,6),1,7,3-4,8,10,5,2
3,730円
パーソナルラッシュ 3
アルファフォーレス 5

※データは過去10年分(2002?2011)を参照

◆勝ち馬の所属
JRA…6勝
船橋…3勝
笠松…1勝

◆優勝馬の年齢
4歳…6勝
5歳…1勝
6歳…2勝
7歳…1勝

◆優勝馬の性別
牡馬…10勝

◆優勝馬の父系
Hail to Reason系
┣ゴールドアリュール(スマートファルコン)
┗ブライアンズタイム(フリオーソ・2勝)

Mr. Prospector系
┣Fusaichi Pegasus(フサイチセブン)
┗エルコンドルパサー(ヴァーミリアン)

Northern Dancer系
┣キングヘイロー(キクノアロー)
┗ライブリマウント(ミツアキタービン)

その他
┣ルション(インテリパワー)
┣ワイルドラッシュ(パーソナルラッシュ)
┗パラダイスクリーク(カネツフルーヴ)

◆勝利騎手
戸崎圭太…2勝
安藤勝己…2勝
内田博幸…2勝
東川公則…1勝
松永幹夫…1勝
武豊…1勝
張田京…1勝

◆優勝馬の人気
1番人気…6勝
2番人気…2勝
3番人気…2勝

◆優勝馬の斤量
55kg…7勝
56kg…3勝

◆優勝馬の前走
フェブラリーステークス…4勝
川崎記念…2勝
東京大賞典…1勝
金盃…1勝
JRAオープン特別…1勝
JAR条件戦…1勝

◆人気馬の着順
1人気…6-1-0-3
2人気…2-3-2-3
3人気…2-1-4-3

◆配当
単勝平均272円
┣最低配当100円(11年スマートファルコン)
┗最高配当680円(02年インテリパワー)

馬連平均1,717円
※03年は8頭立てのため枠連を算出
┣最低配当160円(03年)
┗最高配当6,510円(11年)

3連単平均12,433円
※03年?11年の過去9年
┣最低配当460円(03年)
┗最高配当47,940円(11年)

◆ダイオライト記念まとめ
昨年は震災の影響で5月に実施。同開催のかしわ記念と有力馬が分散する形になったが、地元船橋のカキツバタロイヤルが2着と健闘。
地方勢はこれまでも4勝を挙げており、6勝のJRA勢と拮抗している。
地方勢の勝ち馬には交流JpnIでの入着実績があるという点が共通しているも、複勝圏内であればそこまでは要求されていない。

1番人気は6勝2着2回と信頼度は高い。
勝ち馬は全て3番人気以内で、人気3頭での上位独占は過去10年中4回もあるように、基本的には固い傾向。
一方で前年の前述カキツバタロイヤルの8人気激走や、一昨年フリオーソが断然の人気を集めながら5着敗退などもあって、高配当に繋がるケースが続いている点にも注意が必要だ。

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■ 2012年回顧

馬名 所属 性齢 騎手 調教師 馬体重 上り
1 7 10 ランフォルセ JRA 牡 6 横山典(JRA) 萩原清 493 -5 41.1 3
2 2 2 ピイラニハイウェイ JRA 牡 7 川田将(JRA) 吉田直 461 -9 39.4 5
3 3 3 トーセンルーチェ 船橋 牡 6 張田京(船橋) 川島一 558 -7 39.1 6
4 8 12 ワンダーアキュート JRA 牡 6 和田竜(JRA) 佐藤正 510 -10 41.2 1
5 8 13 フリオーソ 船橋 牡 8 戸崎圭(大井) 川島正 504 -4 42.3 2
6 6 9 タートルベイ 船橋 牡 7 酒井忍(川崎) 矢野義 503 -4 40.7 10
7 5 6 スターシップ 船橋 牡 8 石崎駿(船橋) 出川克 473 -9 41.2 7
8 4 4 シビルウォー JRA 牡 7 吉田豊(JRA) 戸田博 473 -1 41.4 4
9 5 7 グランシュヴァリエ 高知 牡 7 本橋孝(船橋) 雑賀正 500 2 41.6 11
10 7 11 ミサキティンバー 愛知 牡 4 横井将(愛知) 櫻井今 528 -8 41.8 8
11 1 1 メイホウホップ 佐賀 牡 9 鮫島克(佐賀) 大島静 470 -16 42.1 9
12 4 5 トーセンゴライアス 浦和 牡 8 橋本直(浦和) 小久智 559 -13 44 13
13 6 8 アーバンストリート 船橋 牡 8 吉留孝(浦和) 矢野義 448 -5 52.2 12

厳しい流れで実績馬を一蹴
本領発揮し2つ目のタイトル

スマートファルコン、トランセンドという現役ダートのトップ2がドバイ遠征で不在となったが、
当初、次走にかしわ記念JpnTを予定していたフリオーソが、状態がいいことから一転して参戦を表明。

昨秋からダートGT・JpnT戦線で好走を続けているワンダーアキュートとの対決が注目となった。
しかし厳しい展開に持ち込み、人気2頭を一蹴したのは、3番人気のランフォルセだった。

大外枠のフリオーソが絶好のスタートでハナに立ち、ワンダーアキュートが2番手。
やや出負けしたランフォルセは、ペースが落ち着いた1周目のスタンド前でワンダーアキュートを交わし、フリオーソの直後につけた。
2コーナーから向正面に入ると人気3頭が前で固まり、4番手以降は大きく離される展開。
やはり前の3頭の力が抜けているかに思われたが、ランフォルセにつつかれたフリオーソにとっては道中で息を入れることができず、レースの流れは厳しいものとなった。

3〜4コーナーでも4番手以降はまだ離れていたが、直線を向いて形勢が一変。ワンダーアキュートとフリオーソの脚色が鈍り、ランフォルセが先頭へ。
そこに4番手集団からピイラニハイウェイとトーセンルーチェが一気に迫った。

しかし最後までランフォルセが粘り、半馬身、半馬身の差でピイラニハイウェイ、トーセンルーチェと続いてゴール。
ワンダーアキュートは4着、フリオーソは離れて5着に沈んだ。

ラップを見ると、まったく緩みのない厳しいペースは一目瞭然。
スタートから2000メートルまででもっとも遅いラップは7ハロン目の13秒0というもの。
最後の2ハロンは13秒7、14秒9と、終盤はバタバタだった。
各馬の上り3ハロンのタイムを見ると、勝ったランフォルセが41秒1で、
40秒を切ったのは追い込んできたピイラニハイウェイ(39秒4)とトーセンルーチェ(39秒1)のみ。

今回は、そうした厳しい流れを演出して粘ったランフォルセのスタミナが、実績上位の2頭を上回った結果といえよう。
「東京(競馬場)の1600メートルは難しい感じで、コーナーが4つ回れると楽な競馬ができる」と横山典弘騎手。

地方の小回りコースの長距離戦もこの馬には合っていたようだ。
重賞タイトルは昨年のエルムステークスGVに続いてこれが2勝目だが、
それ以前にも逃げの手に出た東海ステークスGUでワンダーアキュートのレコード勝ちに3/4馬身差での2着や、オープンのマリーンステークス(函館)でレコード勝ちという実績もあった。

「一番いいときを知っているので、もっといいパフォーマンスができるはず」と横山騎手。
ドバイ遠征組が帰国し、再びフリオーソやワンダーアキュートなどとともに帝王賞JpnTあたりで対戦となれば、さらに高いレベルでの争いとなりそうだ。

そして今回、もうひとつ注目されたのが、フリオーソとトーセンルーチェによる初の兄弟対決。
実績ではもちろん兄のフリオーソが断然だが、地方移籍後ダートグレード初挑戦にもかかわらず、弟のトーセンルーチェが兄に先着する結果となった。


ダイオライト記念(3月14日 船橋 サラ4歳以上 定量 JpnII 2400m良)

◎(1)ランフォルセ    2分34秒7
△(2)ピイラニハイウェイ   1/2
△(3)トーセンルーチェ    1/2
○(4)ワンダーアキュート   1/2
▲(5)フリオーソ       3
……………………
 (6)タートルベイ
△(7)スターシップ
△(8)シビルウォー

単390円 馬複6080円 馬単7630円 3連複25890円 3連単135060円

ランフォルセが競り勝った。
道中2番手、逃げたフリオーソを直線ねじ伏せ、追走ワンダーアキュートも完封する見事な勝利。
ただこの人気3頭、互いに意識しすぎた格好でペースが上がり、結果(馬券)的にはかなり大きな波乱となった。
離れた中団を進んだピイラニハイウェイ、トーセンルーチェが、併せ馬の形で追い込み2、3着。
競馬にはやはり、こうした展開のアヤ、勝負のアヤがつきまとい、それが結果を大きく支配する。

ともあれランフォルセに関しては、自身の素質と勢い、さらに長距離適性を強くアピールした一戦といえるだろう。
「ゲートに不安はあるけれど、今日は外めで(13頭・10番枠)流れに乗れた。
地元フリオーソをマークしたのは作戦通り。
よく踏ん張ってくれました。長い距離の方がレースがしやすい」(横山典騎手)。

実際同馬はJRA8勝、一貫ダート中距離を使い込み、
前走「川崎記念JpnI」2着で、交流チャンピオン路線、その適性と能力を証明している。
今回二千四百2分34秒は馬場を考慮してもほめられないが(昨年スマートファルコン=33秒2)、
反面、フリオーソ、ワンダーアキュート、超A級を正攻法で下した事実は数字以上の重みがある。
記者個人の印象でいえば、ランフォルセは何より馬体が素晴らしい。大型で筋肉質、それでいてスマートで気品がある。

敗れた2頭。ワンダーアキュートはほぼ絶好の位置取りで、しかし期待(実績)ほど伸びなかった。
前述通り展開のアヤが大きそうだが、GI力走を続けた反動も少なからずあった気がする。

フリオーソの場合、最後失速がどういうわけか言葉に迷う。
ただ同馬は一昨年「ダイオライト記念」、やはり思わぬ失速(勝者・フサイチセブン)という事実 があり、そう考えるとおそらく本格的な長距離は合っていない。

ピイラニハイウェイ、トーセンルーチェ好走。ともにこの日は“漁夫の利”を得た形だが、パワーと自在性を示した意味で収穫はもちろん大きい。
現実にトーセンルーチェは半兄フリオーソに先着した。
なおこの2頭、フリオーソは5月2日「かしわ記念」、 ルーチェは同月23日「大井記念」を目標に調整される。

■ 2011年回顧

馬名 所属 性齢 騎手 調教師 馬体重 上り
1 4 5 スマートファルコン JRA 牡 6 武 豊(JRA) 小崎憲 500 -2 39.8 1
2 7 11 カキツバタロイヤル 船橋 牡 5 森泰斗(船橋) 凾館一 429 -3 40.4 8
3 5 7 インバルコ JRA 牡 5 後藤浩(JRA) 池江寿 513 -7 40.9 2
4 1 1 スーパーパワー 大井 牡 6 真島大(大井) 鷹見浩 542 9 40.3 5
5 7 12 キングスエンブレム JRA 牡 6 福永祐(JRA) 石坂正 463 5 42.2 3
6 3 3 サイレントスタメン 川崎 牡 5 金子正(川崎) 足立勝 495 -6 40.8 9
7 5 8 フリートアドミラル 船橋 牡 7 戸崎圭(大井) 川島正 529 7 42.5 6
8 4 6 マズルブラスト 船橋 牡 9 今野忠(川崎) 川島正 534 -9 42.1 7
9 3 4 ブラボーデイジー JRA 牝 6 北村友(JRA) 音無秀 554 4 43.6 4
10 2 2 ゲンパチタキオン 大井 牡 7 石崎駿(船橋) 鷹見浩 526 -3 41.8 10
11 6 10 サムデイシュアー 高知 牡 7 高橋利(船橋) 別府真 471 -10 42 11
12 8 14 エーシンエヴァン 笠松 牡 7 花本正(笠松) 伊藤強 501 -7 44 12
13 6 9 アプローチアゲン 高知 牡 7 永森大(高知) 雑賀正 457 -8 44 14
14 8 13 クレイアートビュン 金沢 牡 7 吉田晃(金沢) 佐藤茂 455 0 46.4 13

【予想】
◎スマートファルコン
○インバルコ
▲ブラボーデイジー
△キングスエンブレム
△スーパーパワー
△フリートアドミラル


ダート界の頂点に登り詰めたスマートファルコン。
破格のレコードタイムを叩き出した東京大賞典以来でも入念に乗り込まれて仕上げに抜かりなし。
56キロの斤量有利、出たなりでハナに行って楽勝できるとみました。
相手もJRA重視で、その筆頭は左回りの長距離戦に実績を残すインバルコ。


【レース】

ブラボーデイジーがポンと出たものの、無理をせずスマートファルコンに行かせる形。
先行グループもポジション争いはなく、比較的スンナリした流れ。
道中は平均ペースで進み、残り800から俄然ペースアップしたスマートファルコンが2番手以下を引き離して独走状態。
ブラボーデイジーは追走が苦しくなり、4コーナーではキングスエンブレム、カキツバタロイヤルが2、3番手。
2着争いを尻目に、スマートファルコンは最後流す余裕を見せる大楽勝でした。
カキツバタロイヤルが2着と大健闘。

【上位馬の寸評】

1着 スマートファルコン

かしわ記念ではなく、メンバー有利なこちらを選択。
交流戦線に名乗りを挙げて以降、大きく着順を落としたのは二千の浦和記念と帝王賞。
唯一不安点は距離の二四ですが、東京大賞典で快レコードを叩き出すなど、
今や当代屈指の実力馬に成長した同馬には、全く死角にはならないと判断しました。
この日はマイナス2キロの500キロ。
ドッシリと落ち着いて風格が出てきたし、毛ヅヤも抜群。非の打ち所がない仕上がり。
レースは出たなりでハナに行って折り合いスムーズ。
残り800の地点から11秒9〜12秒0とペースアップして後続を振り切り、直線は独走状態。
最後は流す余裕の圧勝でした。それでも基本的には二千以下がベストの中距離タイプでは。
現在のダート最強馬は間違いなし。

2着 カキツバタロイヤル

昨年7月のサンタアニタトロフィー(千六)では、ボンネビルレコードを破って1着。
次走は東京記念(二四)を3着していますが、大体がスピードタイプの多いロイヤルタッチ産駒。
G2の二四では正直厳しいとみていました。
この日はマイナス3キロの429キロ。
いつも通り小柄ながらフックラと映す体つき。
そしてこの血統の割にカリカリした処がない。
ただし、全体的な気配は特に目立たず。
レースは森騎手が多少気合をつけて出て、すぐ進路を内ラチ沿いに。
ロスなく経済コースを進む作戦。
向流しでペースアップした際にやや追走が苦しくなりましたが、4コーナーでは頑張って3番手まで進出。
直線ではインバルコを交わして楽に2着を確保しました。
決して恵まれた感じはしません。
長く脚を使ったレースぶりから、距離はこなすようです。
今日のレースぶりで再び存在感アップ。

3着 インバルコ

デビューから一貫してダート路線。
近3戦は右回り千八ダートで1、2、3着ですが、ロングスパートが利く馬だし、過去左回りの長距離戦に実績豊富。
とすれば船橋二四はドンピシャで、スマートファルコンの相手はこれとみていました。
この日はマイナス7キロの513キロ。
これは絞れた分と判断。オットリしたタイプで、いかにも長い距離が向きそうです。
レースはスタートひと息。
後藤騎手が気合をつけて外8番手からの競馬。
1周ホームストレッチでややポジションを上げて6番手。
ただし勝負処からペースアップした際に置かれてしまい、4コーナーでもかなり距離がある6番手。
ジリジリと詰めたものの3着が精一杯でした。
交流G2ではこの程度でしょうか。

4着 スーパーパワー

東京大賞典は、南関勢ではフリオーソに次ぐ6着。
金盃ではいつになく早目の競馬で重賞2勝目。
昨年の後半から頭角を表してきました。
しかも追わせるタイプだけに距離二四は大歓迎。
注目していましたが、この日はプラス9キロの542キロ。
やや太目の印象。少し間隔があいたのが影響しているのでしょうか。
レースは真島騎手が気合をつけて前半は内6番手からの競馬。
金盃と同様にこの馬としては積極的に進めましたが、勝負処で手応えが怪しくなり8番手まで後退。
直線は再度詰めてきましたが、4着に終わりました。
長距離に適性は高いものの、実力差を痛感。
ただし、南関限定で二千以上の距離なら主役級。

5着 キングスエンブレム

ヴァーミリアンの弟が、ようやく重い腰を上げて?交流に参戦。
負けても毎回人気とさすがに支持率は高いようですが…。
この日はプラス5キロの463キロ。
ヴァーミリアンとは比較になりませんが、コンパクトにまとまった馬体で、決して悪くない。
適度に気合も乗り、力を出せる仕上がりと判断。
レースは好スタートから馬なりで4番手。
向流しでは2番手まで進出しましたが、3コーナー手前からスマートファルコンに振り切られて追走に四苦八苦。
ここで無理をしたのが響いて、5着まで後退しました。
大事に乗っていればもう少しは頑張れたはずで、スマートファルコン以外とならそう差はないとみるべきか。
ただし、交流重賞で勝ち負けの器とは思えません。

9着 ブラボーデイジー

前走のマーチSではインバルコ、キングスエンブレムに先着の2着。
言うまでもなく南関でのレース経験も豊富。
ソコソコはやれるとみていましたが…。
この日はプラス4キロの554キロ。
パドックではキビキビと周回して、太目感もなく好調そのもの。
レースは好スタートを決めて2番手から。
スマートファルコンを深追いすることなく大事に乗っていましたが、ペースアップした際に対応できずにズルズル後退。
男馬が相手のタフな競馬では分が悪かったということか。

■ 2010年回顧

ダイオライト記念JpnIIを過去2戦、圧倒的な強さで制してきた地方競馬の総大将フリオーソ。
状態もすこぶる良好で、3連覇をかけて満を持して出走してきた。
単勝1倍台の1番人気に支持されたのは、ファンの期待の高さだろう。

そこに、2番人気フサイチセブンが大きく立ちはだかった。
「南関東で使うなら、ウチパクさん(内田博幸騎手)が乗ってくれればみんなが喜んでくれるだろうと思っていました。負ける馬を連れてきてウチパクさんに恥をかかせたくなかったので、自分なりにしっかり仕上げてきたつもりです」と松田國英調教師。

この日がデビューから8戦目。
新馬戦(7着)は芝で走ったが、それ以降はダートに転向して連対パーフェクトという完全な上がり馬として挑んできた。
重賞は初挑戦だったが、それを微塵も感じさせないフサイチセブンの強さだけが光ったと言っても過言ではない。

「いいスタートを切ったので下げるつもりはないと思ってあの位置から進めました」(内田騎手)。
逃げるフリオーソの2番手から淡々と進めていき、最後の直線ではフリオーソを交わし切るとあとは独走。
「あまり早く仕掛けたくはありませんでした。最後は馬の力に任せて追い出しましたが、反応も良かったので、後ろから抜かされることはないと思っていました」(内田騎手)。
2着のマイネルアワグラスに2馬身半差をつける完勝で、着差以上の強さだった。
前に行って押し切るこの馬の持ち味が存分に生きた結果と言えよう。

「海外で走らせてみたいと以前から思っていました。これからもっと賞金を加算しないと」(松田調教師)。
「この馬は強いですよ。ますます頭角を現してくるでしょうね。怖い存在になってくると思います」(内田騎手)。
次々にニューヒーローが誕生するのも、中央勢の強さだと実感したレースだった。
まだ4歳、さまざまな可能性が秘められている。

フリオーソは5着に敗れた。「いいペースでいけたと僕は思っているんですが、最後の4コーナーはいつもの感じじゃなかったですね。敗因はわからないです」と戸崎圭太騎手。
競馬の難しさを痛感したレースでもあった。

一方、NARグランプリ優秀女性騎手賞を4年連続で受賞している高知の別府真衣騎手がデュヴァルの手綱を取り、初めてダートグレードレースに参戦したことでも話題を集めた。
「すごく楽しかったです! 今日はダートグレードレースに乗せていただいて、これからもどんどん参戦したいです」(別府騎手)。今後も全国のビッグレースを彩って欲しい。

■ 2009年回顧

馬名 所属 性齢 騎手 調教師 馬体重 上り
1 8 13 フリオーソ 船橋 牡 5 戸崎圭(大井) 川島正 507 1 37.1 1
2 2 2 マイネルアワグラス JRA 牡 5 松岡正(JRA) 稲葉隆 528 0 37.6 2
3 5 7 ロールオブザダイス JRA 牡 4 デムー(JRA) 角居勝 450 1 38.2 3
4 4 5 サカラート JRA 牡 9 内田博(JRA) 石坂正 477 -3 38.5 5
5 7 12 ルースリンド 船橋 牡 8 菅原勲(川崎) 矢野義 499 -2 38.9 4
6 6 10 クレイアートビュン 浦和 牡 5 御神訓(大井) 小久智 460 -2 39.5 8
7 3 4 ドリームスカイ 川崎 牡 4 的場文(大井) 内田勝 468 -1 39.7 7
8 3 3 ナイキアースワーク 船橋 牡 6 川島正(船橋) 川島正 523 6 40.2 9
9 7 11 アタゴビッグマン 高知 牡 9 水野貴(浦和) 雑賀正 519 -13 39.9 12
10 5 8 コウエイノホシ JRA 牡 6 坂井英(大井) 山内研 491 0 41.3 6
11 6 9 トサローラン 高知 牡 7 中西達(高知) 松木啓 496 -12 40.4 11
12 8 14 マジックポー 愛知 牡 6 吉田稔(愛知) 角田輝 470 4 41.4 10
13 4 6 ジルハー 川崎 牡 7 佐藤博(川崎) 佐々仁 464 -4 41.9 14
14 1 1 ケイエスゴーウェイ 高知 牡 6 本橋孝(船橋) 雑賀正 501 -8 42.1 12

ダイオライト記念(3月11日 船橋 サラ4歳以上 定量 JpnII 2400m稍重)

◎(1)フリオーソ 2分32秒1
(2)マイネルアワグラス 4
○(3)ロールオブザダイス 2
△(4)サカラート 4
▲(5)ルースリンド 1
……………………………
△(6)クレイアートビュン
(7)ドリームスカイ
△(8)ナイキアースワーク
△(10)コウエイノホシ

単110円
馬複300円
馬単370円
3連複390円
3連単890円

フリオーソが圧倒的な強さで連覇を飾った。
好スタート、ごく自然流に先手をとり、後続を従えるようなマイペース。
向正面、外からルースリンドが動き、その一瞬だけ緊張感が走ったが、そこを譲らず乗り切ると、あとはまったく危なげなかった。
1000m通過63.5秒、1600m1分42秒7だから、上がり勝負は言うまでもない。
結局、鞍上は1度もステッキを使わず終わった。
直線軽くGOサインを出して4馬身差。
「馬と喧嘩をしないよう、邪魔をしないよう、それだけ思って乗りました。リラックスして走れましたね。今日は勝って当然だけど、さらにいい競馬ができる馬です」(戸崎騎手)。

フリオーソはここが重賞5勝目。GI・3勝、GII・2勝を合わせ、収得賞金4億円に到達した。
ゴールの瞬間、場内実況・及川サトル氏が「これが東の正横綱だ!」、そうアナウンスしたが、まさしくしかり。
いわゆる“総合能力”では、現地方サークル、同馬が1頭抜けている。
あとはアウェーでの戦い、適条件をどう絞るかかが勝負と思う。明確になったこと。
フリオーソはパワー、持久力に優れたタイプで、距離は長ければ長いほど、その特徴を発揮する。
例えば対サクセスブロッケン。
マイル条件では厳しいが、2000mを超えれば互角以上の勝負が可能だ。
「帝王賞」、「東京大賞典」、どちらかが2800mにでもなれば、おそらくもっと自信が持てる。

2着マイネルアワグラス。記者無印は、3歳時「ジャパンダートダービー」・4着。以後も伸びそうで伸びないレースぶりに“妙味なし”と感じたためだが、結果見当外れの予想になった。
道中スローをじっくり我慢、直線外から迫った内容は胸が張れる。
父ブライアンズタイムらしい成長力と納得だろう。

逆にロールオブザダイスはフリオーソを終始マーク。
運びとすると完璧だけに、まだGII通用の地力は疑問か。

ルースリンドは、道中仕掛けたものの動き切れず、結果中途半端なレースで終わった。菅原勲J・初騎乗。
コメントは聞いていないが、馬自身に少し癖があるかもしれない。

古豪サカラートは、手堅く走っても鋭さの点でかげりがのぞく。

クレイアートビュンはGIIレベルになるとパンチ不足。

■ 2008年回顧

馬名 所属 性齢 騎手 調教師 馬体重 上り
1 8 14 フリオーソ 船橋 牡 4 戸崎圭(大井) 川島正 504 9 39.2 1
2 2 2 ボンネビルレコード JRA 牡 6 的場文(大井) 堀井雅 496 10 39.1 2
3 3 3 サカラート JRA 牡 8 後藤浩(JRA) 石坂正 480 2 39.5 3
4 1 1 マコトスパルビエロ JRA 牡 4 安藤勝(JRA) 鮫島一 508 -13 39.9 4
5 4 5 トップサバトン 大井 牡 4 真島大(大井) 堀千亜 465 -2 41.2 7
6 7 11 アジュディミツオー 船橋 牡 7 佐藤太(船橋) 川島正 537 -7 41.9 5
7 8 13 ミツアキタービン 笠松 牡 8 東川公(笠松) 田口輝 518 14 41.9 8
8 6 10 ケイエスゴーウェイ 高知 牡 5 本橋孝(船橋) 雑賀正 503 -8 41.8 10
9 5 8 シャドウゲイト JRA 牡 6 藤田伸(JRA) 加藤征 500 4 43.5 6
10 4 6 マルカカイゼル 浦和 牡 9 金子正(川崎) 冨田藤 462 7 42.2 9
11 7 12 サンエムウルフ 高知 牡 8 西川敏(高知) 別府真 509 -7 42.2 12
12 3 4 コスモダーク 笠松 牡 8 佐藤友(笠松) 伊藤強 474 0 43.3 13
13 6 9 ケイアイフウジン 愛知 牡 6 大畑雅(愛知) 錦見勇 458 -3 48.8 11
5 7 マズルブラスト 船橋 牡 6 今野忠(川崎) 川島正 計不

NARグランプリ2007の年度代表馬に選出されたフリオーソが、2歳時の平和賞(2着)以来久々の地元船橋での出走となった。

前走、ヴァーミリアンが出走取消となった川崎記念JpnIではフィールドルージュに2馬身半差をつけられる完敗の2着だっただけに、ここはどうしても負けられない一戦。
そして今回、川島正行調教師は、戸崎圭太騎手を初めてフリオーソの鞍上に据えて臨んだ。

川崎記念では鞍上のルメール騎手が「もう少し前に行ければ」と言っていたシャドウゲイトが、今回は藤田伸二騎手の鞍上でハナを切った。
昨年のかしわ記念GI(2着)以来久々の実戦となるアジュディミツオーが、今回は佐藤裕太騎手ががっちり抑えて2番手。
フリオーソはその直後を追走した。
3コーナー過ぎでシャドウゲイトが後退すると、アジュディミツオーが楽な手ごたえで先頭へ。
しかしその外から抑え切れないような手ごたえで交わしていったのがフリオーソだった。

直線を向いて単独先頭に立ったフリオーソの戸崎騎手は、ちらりと振り返ってうしろを確認。
軽く追い出されただけであっという間に後続を突き放すと、昨年の帝王賞JpnIを制したボンネビルレコードに5馬身差をつける圧勝となった。
「インコースに前に行く馬が何頭かいたので、3番手あたりにつけていければ」と戸崎騎手に伝えていたという川島調教師。
レース展開、そして結果も、思いどおりのものだったようだ。

それにしても戸崎騎手はこれがダートグレード初制覇だっとはちょっと意外だった。
戸崎騎手は、昨年南関東で211勝を挙げ、内田博幸騎手に続く南関東リーディング2位。
ベテラン勢を押しのけ急激に台頭してきた。
そして今年、NARグランプリ表彰式での共同会見で川島調教師は、内田騎手に代わる厩舎の主戦として「戸崎くんあたりになるのでは…」と明言している。
2月20日現在、戸崎騎手は南関東で76勝を挙げ、すでに中央に移籍した内田騎手(55勝)を21勝上まわり、南関東リーディングのトップを独走(3位は47勝の的場文男騎手)。
内田騎手の移籍によって浮くことになる300以上の勝ち星、そして多くのタイトルのうちかなりの部分を戸崎騎手が持っていくことになるのかもしれない。

■ 2007年回顧

馬名 所属 性齢 騎手 調教師 馬体重 上り
1 8 14 キクノアロー JRA 牡 4 安藤勝(JRA) 目野哲 525 -7 39.1 2
2 6 9 クーリンガー JRA 牡 8 和田竜(JRA) 岩元市 538 -3 39.8 4
3 4 6 ナイキアースワーク 船橋 牡 4 横山典(JRA) 川島正 519 26 39.9 6
4 3 4 サイレントディール JRA 牡 7 武 豊(JRA) 池江泰 513 0 40.7 1
5 3 3 マルカカイゼル 浦和 牡 8 金子正(川崎) 冨田藤 461 -5 40.3 10
6 1 1 マルブツリード JRA 牡 4 蛯名正(JRA) 大根田 488 0 41.1 5
7 7 12 パーソナルラッシュ 大井 牡 6 御神訓(大井) 高橋三 492 -2 40.1 3
8 4 5 マズルブラスト 船橋 牡 5 今野忠(川崎) 川島正 535 3 41.9 7
9 6 10 キングスゾーン 愛知 牡 5 岡部誠(愛知) 原口次 499 -2 41.6 8
10 8 13 クールアイバー 大井 牡 9 石崎駿(船橋) 高柳恒 466 1 41.7 9
11 5 8 ウエノマルクン 大井 牡 8 柏木健(大井) 松浦裕 456 -9 41.7 12
12 5 7 タイキサファリ 愛知 牡 9 尾島徹(笠松) 松本克 475 -6 42.4 14
13 7 11 セイウンヒノアラシ 笠松 牡 9 大原浩(笠松) 小森勝 412 -3 43.2 13
14 2 2 サンエムウルフ 高知 牡 7 倉兼育(高知) 別府真 500 3 43.6 11

【レース】

サイレントディールはスタートひと息。
ハナに行ったのはマズルブラストで、2番手にナイキアースワークと川島正行勢がペースを作り、長距離戦お決まりのスローペース。
2周目の向流しに入ると一気にレースが動き、サイレントディールが先頭。そしてそれをマークするようにキクノアローが2番手へ。
最後は上がりのかかるサバイバル戦。
キクノアローが500キロパワーで一気に突き抜け4馬身差の圧勝。
2着はバテずに粘ったクーリンガー。
サイレントディールは甘くなり4着に敗れました。

【上位馬の寸評】

1着 キクノアロー

準OPを勝ち上がった直後。
しかも初めての長距離戦。
未知数の部分が多くどうかとみていましたが、終わってみればモノが違いました。
レースは安藤勝騎手がヤンワリ出て前半は折り合いに専念。
このあたりは距離を意識してのことでしょう。
向流しでサイレントディールがスパートしたとみるや、すかさず2番手に進出して、4コーナーでは馬なりでこれに並びかける形。
直線は正に独壇場で、後続に付け入る隙を与えませんでした。
馬場の軽い京都のダートで速い脚を使っているし、この日は力の要る船橋の馬場にも難なく対応。
またスローペースにもスムーズに折り合える素直な気性、ペースの緩急に機敏に反応するあたり、相当なレース巧者。
気合乗り十分の好馬体でダートの大物の相。交流路線に楽しみな馬が加わってきました。

2着 クーリンガー

東京大賞典、佐賀記念を2着と、いぶし銀のような渋い走りをみせている同馬。
今回も他の人気馬が崩れる中、またもや2着と好走しました。
レースはスタートを決めて外3番手、大体予想されたポジション。
元来がジリ脚タイプでペースの緩急への反応が鈍い馬。
今回は向流しで一気にペースアップするという苦手なパターンでしたが、そこで番手を下げずに頑張れたのが良かった。
最後は伸びるというよりもバテずに粘って2着。
勝ち馬は別格で、持てる能力はフルに発揮したと思います。
馬は例によってコロッとした馬体で太く映りますが、これは体型的なモノ。
気合は出ており、8歳とはいえ年齢的な衰えは皆無。
多少ズブくなっている分、2000メートルを超える距離にも対応。
まだまだ名脇役としての存在感を保持しています。
好位でサイレント、キクノに呑み込まれながらおいどおしで盛り返してきた。切れないがバテない。

3着 ナイキアースワーク

昨年9月のダービーGP以来、約半年ぶりの実戦で、川島正行厩舎への移籍緒戦。
馬体重はプラス26キロの519キロ。昨年7月にジャパンDDを使いに来た際が491キロ。
その時の印象としては、いかにもブライアンズタイムのダート馬。
少し太く映るくらいでも、なかなかの馬っぷりで気合乗りも十分。
馬を大きく造る厩舎だけに馬体増は想定内ですが、さすがに少々太くみえました。
レースは横山典騎手が多少気合をつけて5番手から。
そして1周スタンド前では2番手に進出。
向流しでペースアップした際に6番手までポジションを下げましたが、最後は盛り返して3着。
休み明けでイキナリ長丁場、太目残り、そして出入りの激しいシビアな流れを考えると大健闘でしょう。
川島正行厩舎にまたまた強力馬が一枚加わりました。
2000メートル以上の長目の距離が合いそうです。

4着 サイレントディール

スタートがひと息というより、馬をカーッとさせないように、そっと出たというところでしょうか。
1周スタンド前のポジションは9番手。
向流しに入るとスーッと動いて先頭。これはレコード勝ちした前走の佐賀記念と同じパターン。
ただし馬場も距離も違うし、何よりキクノアローにぴったりマークされたのが厳しかった。
4コーナーでは並びかけられ、脚いろの差は歴然。
最後の直線は全く余力がなく正味目イチの競馬。
気性的に致し方ないにしろ、いかにもムラ駆け。
ダートでももう少し脚抜きのいい馬場の方がいいのでは。
そして距離は2000メートル以下が合いそう。
サバイバル戦はあまり似合わない。
パドックでの気配は、時折チャカつくところはあったものの、決して悪くはみえませんでした。

5着 マルカカイゼル

これで重賞3戦を含めて10戦連続掲示板(5着以内)。
無類のタフネスを誇る8歳馬、依然健在です。
レースは後方10番手から。自分のペースに徹して一つでも上の着順をという競馬。
幸い上がりのかかるレースになり、バテた馬を交わして5着。
予定通りといったところでしょうか。
ハッキリしているのは、長距離が合っているということ。
もし来年もこのレースを使ってきたら、また入着はあるかもしれません。
デキ自体も、このところ非常に覇気があり好調です。

6着 マルブツリード

1600万条件を勝ってこのレースに参戦は、キクノアローと同様。
なかなかシッカリした好馬体で毛ヅヤも上々。
物見もせず落ち着いており、力を出せるデキとみました。
レースはスタートひと息。それでもペースが遅い分、楽に挽回できて5番手から。
そのポジションをキープして最後の直線に向いたものの、脚いろは一杯一杯で上がり3ハロンは41秒1も要す始末。
この距離は長いのかもしれません。

7着 パーソナルラッシュ

JRA在籍時にダービーGPを破格のレコード勝ち。
そして海外遠征。
当レースは1、2着。実績は申し分ありませんが、今回も人気を裏切る結果に。
どうもレースぶりにメリハリがないというか、いい時の爆発力がない。
スタートはまともに出て流れには乗っているのに。
パドックでの気配は特に目立たず。実績を深追いは危険かもしれません。

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■ 2006年回顧

馬名 所属 性齢 騎手 調教師 馬体重 上り
1 6 6 ヴァーミリアン JRA 牡 4 内田博(大井) 石坂正 511 -13 38.1 1
2 8 9 パーソナルラッシュ JRA 牡 5 藤田伸(JRA) 山内研 490 4 39.6 3
3 7 7 アルファフォーレス JRA 牡 6 岩田康(JRA) 森秀行 506 -10 39.4 5
4 1 1 タイムパラドックス JRA 牡 8 武 豊(JRA) 松田博 462 2 39.7 2
5 3 3 ルースリンド 船橋 牡 5 佐藤隆(船橋) 矢野義 496 -2 41.2 4
6 8 10 テンリットル 高知 牡 8 倉兼育(高知) 別府真 474 -4 39.9 6
7 4 4 フジエスミリオーネ 高知 牡 5 中西達(高知) 別府真 459 -2 41.7 8
8 7 8 ゼンノサンタアニタ 笠松 牡 6 濱口楠(笠松) 伊藤強 480 -8 42.5 7
9 5 5 エルマタドール 笠松 牡 8 島崎和(笠松) 小森勝 426 -4 44.1 10
10 2 2 ベルフォルテ 兵庫 牡 8 谷川真(兵庫) 岡田利 412 -8 46.7 9

3月15日、船橋「ダイオライト記念」。ヴァーミリアンが圧倒的な強さで勝った。
1000m通過64秒2の超スロー。
カカったタイムパラドックスが1周目スタンド前で先頭をうかがうなど一種不穏な流れだったが、ヴァーミリアンはただ1頭終始スムーズ。
パーソナルラッシュ、アルファフォーレス、めまぐるしく位置取りが変わる中、その3番手を堂々悠々と進んでいく。
パーソナルに並んだのは直線入口。
手応えも勢いもまるで違った。
1、2、3…、鞍上は深呼吸しながら追い出した感じにみえる。
あっという間の6馬身差。
「道中我慢がきくし、GOサインからの反応も期待通り。素晴らしい馬に乗せてもらった。まだまだ強くなりますよ」(内田博幸騎手)。
アジュディミツオー(かしわ記念を予定)と差し合っては難しいが、できればこのコンビも続行させたい。
「前走が(ハイペースの)フェブラリーSだから折り合いを心配したが、とにかく馬にセンスがある。カネヒキリとは暮れに勝負ということでしょう」(石坂正調教師)。
ライバルはすでにドバイWC遠征が決定。
だから石坂師のいう“暮れ”とは、はっきりJCダート→東京大賞典を指している。
中〜長距離なら互角以上の潜在能力。
何よりGII完勝、アドバンテージ(帝王賞などの出走権)を得た点で、今回大きな前進といえるだろう。


ダイオライト記念(サラ4歳上 定量 交流GII 2400m 良)

(1)ヴァーミリアン   (55・内田博) 2分34秒9
(2)パーソナルラッシュ (56・藤田)  6
(3)アルファフォーレス (56・岩田)  3/4
(4)タイムパラドックス (56・武豊)  1
(5)ルースリンド    (56・佐藤隆) 8

単170円 馬複520円 馬単770円
3連複1,520円 3連単3,730円

パーソナルラッシュは久々ながら仕上がっていた。
混みあう展開を避け、2コーナーから敢然と行ったのも藤田Jの好判断。
結果的に相手のレベルが違ったというしかない。
それでも昨年ダイオライトしかり、3歳時盛岡ダービーグランプリしかり、左回り中〜長距離は最もフィーリングが合うようだ。
タイムパラドックスはピークを過ぎた…云々よりも、船橋コースの走りがよくない。
昨年はエンジンが容易にかからず、逆に今年は強烈にカカってしまった。
GI・4勝だからもちろん底力はある。
ただここまで昇った馬としては意外なほどポカが多い。
一見素直な力走派、しかし実は精神面で難しい部分も抱えているか。

アルファフォーレスは、パーソナルが仕掛けた時点でいったん下げ、直線インから差し返した。
岩田Jの好騎乗、馬自身収穫にもなっただろうが、現時点では一線級と能力の壁がある。
JRA・4頭に、8馬身離されたルースリンド。
抵抗したのは3コーナー手前まで。
残念ながら今の実力は、あくまで南関レベルと納得した。
経験を積みどう変わるか。
いずれにせよ今日は着差が何とも大きい。

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