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東京大賞典(G1)

■ DGR年間日程

王道路線

開催月 レース 2012年
1月・2月 川崎記念(G1) ×
佐賀記念(G3)
3月 ダイオライト記念(G2) ×
名古屋大賞典(G3)
5月 かしわ記念(G1)
6月 帝王賞(G1)
7月 マーキュリーC(G3)
8月 ブリーダーズGC(G2)
9月 日本テレビ盃(G2)
10月 白山大賞典(G3)
南部杯(G1)
11月 JBCクラシック(G1)
浦和記念(G2)
12月 名古屋GP(G2)
東京大賞典(G1)

■ 過去の結果

重賞 日付 コース 勝ち馬 LV 走破
タイム
LAP メモ
第56回東京大賞典(G1) 2010/12/29 大井ダ2000m スマートファルコン A 2:00:4 12.2-11.1-11.5-12.2-11.9-12.1-12.1-12.3-11.9-13.1 レコード
第55回東京大賞典(G1) 2009/12/29 大井ダ2000m サクセスブロッケン B 2:05:9 12.4-11.6-13.0-14.1-13.2-12.1-12.5-12.7-11.8-12.5
第54回東京大賞典(G1) 2008/12/29 大井ダ2000m カネヒキリ B 2:04:5 12.4-12.1-13.0-13.9-13.0-12.5-12.2-12.3-11.4-11.7
第53回東京大賞典(G1) 2007/12/29 大井ダ2000m ヴァーミリアン A 2:03:2 12.3-11.0-12.3-13.2-12.8-12.5-12.5-12.8-11.4-12.4 不良・波乱
第52回東京大賞典(G1) 2006/12/29 大井ダ2000m ブルーコンコルド A 2:03:5 12.2-10.9-11.7-12.5-12.6-12.8-13.1-13.2-12.2-12.3
第51回東京大賞典(G1) 2005/12/29 大井ダ2000m アジュディミツオー A 2:03:1 12.1-11.3-12.5-12.9-12.1-12.2-12.5-12.8-12.1-12.6
第50回東京大賞典(G1) 2004/12/29 大井ダ2000m アジュディミツオー A 2:02:6 12.4-11.2-12.1-12.9-12.6-12.1-12.1-12.9-11.9-12.4 波乱
第49回東京大賞典(G1) 2003/12/29 大井ダ2000m スターキングマン A 2:03:7 12.2-10.8-11.6-12.7-12.3-12.4-12.7-13.6-12.4-13.0

■ 解の公式

大井2000巧者を狙え!

■ 傾向

東京大賞典 過去9年

1着 人気 2着 人気 3着 人気 3連複 3連単
2002年 ゴールドアリュール 1 ビワシンセイキ 3 リージェントブラフ 2 13.9 40.9 順当
2003年 スターキングマン 2 コアレスハンター 7 ビワシンセイキ 3 19.9 71.4 順当
2004年 アジュディミツオー 3 ユートピア 5 クーリンガー 7 133.2 550.6 波乱
2005年 アジュディミツオー 4 シーキングザダイヤ 2 タイムパラドックス 1 17.2 121.1 波乱
2006年 ブルーコンコルド 3 クーリンガー 9 シーキングザダイヤ 2 149.5 1994.7 波乱
2007年 ヴァーミリアン 1 フリオーソ 2 メイショウトウコン 4 10.1 22.9 順当
2008年 カネヒキリ 2 ヴァーミリアン 1 サクセスブロッケン 3 2.8 14.5 順当
2009年 サクセスブロッケン 2 ヴァーミリアン 1 ロールオブザダイス 7 41.2 113.1 波乱
2010年 スマートファルコン 1 フリオーソ 2 バーディバーディ 5 15.8 39.5 順当

超JRA級はJRAのレース不振でも注意

フリオーソ アジュディミツオー

外国人ジョッキーは人気薄でも注意

2009年 3着ロールオブザダイス デムーロ

3強の場合:3強でも3連単BOXよりも3連複1点のほうが良い

2008年

3連複>3連単:3連単が3連複の6倍以上になることがあまりない

荒れるときは極端に荒れる

2004年 2006年

JDD出走の3歳馬は活躍傾向

近年大井2000の好走血統は父か母父にミスプロ、ロベルト

■ 2011年回顧

(1)スマートファルコン    2分01秒8
(2)ワンダーアキュート     鼻
(3)テスタマッタ        2
(4)シビルウォー        3
(5)メダリアビート       頭
(6)ヤマニンキングリー
(7)カキツバタロイヤル
(8)スマートインパルス
(9)ツルオカオウジ

単100円 馬複260円 馬単290円 3連複1080円 3連単1780円

スマートファルコンが連覇を飾った。
直線あと百m、追いすがるワンダーアキュートと壮絶な叩き合い。
勢いは外アキュート、しかし首差まで並びかけ、そこから内ファルコンが粘りに粘る。
結局、馬体が100%重なったところがジャスト・ゴール板…そんな感じ。

「正直負けたと思いました。スタンドが凍りついたような雰囲気(単1.0倍)になっていたし、後はもう祈るだけ」(武豊騎手)。
記者自身もどう納得したらいいか言葉に迷う。文字通り薄氷を踏んだが、それでも勝った。
ファルコンの実績と貫禄、さらに軌跡というものに、最後は天も味方した――。
もっとも決勝写真を凝視すると、スリットの部分、確かにファルコンの首がタイミングよく下がっていた。これこそ天才・武豊J、そうも言える。

外枠ながら好スタート。
逃げ自体は自然流で無理がなく、しかしペースは驚くほど速かった。
千通過59秒5、昨年レコード樹立時(58秒9)と大差がない。
ただ思いのほか後続は離れなかった。
テスタマッタ、ワンダーアキュートがぴたりと追走。
だからこの2頭、とりわけアキュートは大好走としか言葉がない。
パドックなどいつも通りイレ込み加減で(10kg減)、けっしてよくも見えなかったが、終わってみれば内面が違う、そういう結果。
前走「JCダート」、トランセンドの2着。
成長を素直に認めるべきだろう。

ただ、ファルコン自身の評価は少し複雑になってくる。二千2分01秒8の時計はもちろん立派だが、上がり38秒2(昨年37秒3)を要したこと。
やはり絶好調、ピークではなかった気もする。
そう考えると、今後はローテーション、路線選択が難しい。
「ドバイ(遠征)は、ゆっくり慎重に検討します。行くからには心身とも万全で臨みたい」(小崎憲調教師)。
2012年、明日からは7歳を迎える同馬。
競走馬の能力、体調維持とは、改めて微妙かつ難しいものと実感する。

テスタマッタもこの日は完全燃焼した。
3歳春「JDダービー」快勝以来の大井登場。
相性のよさ、波長のよさもあるのだろう。
千六〜千八あたりなら、もっと接戦になった感もある。

期待したヤマニンキングリー6着。
道中4番手は絶好とみえたが、現実に3コーナー手前で脚を失くした。
実績から二千が長いとも考えにくい。
大井ダートへの適性(パワーひと息)、そちらに敗因を求める方が自然と思う。
南関東勢は、再び追走だけに終わってしまった。
6〜8着、3頭すべて二千2分04秒台だから、それなりの健闘とはいえるが、相手がどうにも速くて強い。
言い換えれば、アジュディミツオー、フリオーソの偉業を、改めて思い知る結果でもあった。


【予想】
◎スマートファルコン
○ワンダーアキュート
▲ヤマニンキングリー
△テスタマッタ
△シビルウォー
△カキツバタロイヤル

JBCではトランセンドを振り切って、ダート最強を誇示したスマートファルコン。
そのレース内容に多少不満は残るものの、単騎マイペースは確実だし、2分1秒台で駆けるとみれば、捕まらないとみました。
相手はJCダート2着のワンダーアキュート。
ただし、昨年の当レースを惨敗の経緯があり、これは直前の気配重視。ダート路線で新味発揮のヤマニンキングリー、折り合えばテスタマッタも圏内。

【レース】

出たなりでスマートファルコンがハナに行くのは大方の予想通り。
今回はスタートを決めたワンダーアキュートが積極策で、テスタマッタと2番手を併走。離れた4番手にヤマニンキングリーで、シビルウォーは今回は後方から。
ハイペースとはいえ、スマートファルコンとしては自然な流れ。
ただし、スピードの乗りが今イチで、ワンダーアキュート、テスタマッタに突っつかれる形。
直線に向いた処では1馬身程度のリード。
直線半ばでテスタマッタが脱落。
2頭のデッドヒートは首の上げ下げに持ち込まれましたが、スマートファルコンが辛くも3・5センチ残しました。

【上位馬の寸評】

1着 スマートファルコン

昨年の大賞典は、前半の千b58秒9の猛ラップを刻んで驚異的なレコード勝ち。
帝王賞は、千b59秒8で入り、上がり3ハロン36秒0で2着エスポワールシチーに1秒8差。
正に手のつけられない速さ、強さ。
ところが前走のJBCクラシックは、千b60秒7のスローペースながら、上がり3ハロン37秒1を要し、トランセンドの猛追にアップアップ。
ここは普通に考えれば2分1秒台で駆けて負けようがないメンバーですが、一抹の不安はありました。
この日はプラス3キロの513キロ。相変わらず馬っぷりは冴えているし、以前のようなうるさい面も見せず、毛ヅヤも上々。
やはりこの馬で仕方ないかなという感触。
レースは好スタートから出たなりでハナへ。前半の千bは59秒5で、帝王賞とほぼ同様のペース。
スマートファルコンとしては無理のないペース。
ただし、テスタマッタ、ワンダーアキュートが付かず離れず追走。
セイフティリードを保てぬまま最後の直線へ。
これまでだと残り400からの1ハロンで11秒台の二の脚を使って後続を突き放すところですが、
その脚が使えず、ワンダーアキュートにジリジリ接近されてしまい、ゴール前は首の上げ下げの大接戦。
辛くもの3・5センチ残しました。
ワンダーアキュートの走りも賞賛に価しますが、JBCに続いての苦戦に、年齢的な衰えが見え隠れ。
この後オーバーホールして、かつての無敵の快走ぶりが復活するかどうかですが、正直半信半疑です。

2着 ワンダーアキュート

昨年の大賞典では、長距離輸送で激しくイレ込み、発汗が酷くマイナス16キロと激減。
まるで力を発揮できず10着と惨敗。
ただし今年は一貫して安定した走りを見せ、前走のJCダートでは、スタートで落馬寸前のアクシデントがありながら、直線猛然と追い込み2着。
気配如何では、スマートファルコンに肉薄する可能性もありとみていました。
この日はマイナス10キロの508キロ。
ただしこれは前走が多少重目で、ちょうど絞れた分。
落ち着きもあり毛ヅヤ上々。
昨年とは雲泥の差。レースは前走とは打って変わって抜群のスタート。
和田騎手が気合をつけて一旦は逃げるほどの勢い。
すぐに引いて、テスタマッタと併走の内2番手。
道中もスマートファルコンの緩みないペースについて行き、プレッシャーをかける形。
最後の直線、残り400では1馬身差。
残り200で半馬身差。さすがに前半のペースが厳しく速い脚は使えませんでしたが、ジリジリ迫りほぼ馬体を接してのゴール。
惜しくも3・5センチ及びませんでした。
確かにスマートファルコンに絶対感が薄れたとはいえ、あのペースについて行って2分1秒8は大健闘。
これでダート最強クラスに肩を並べたのは間違いなし。
来年はビッグタイトルも夢ではない。

3着 テスタマッタ

最近はやや評価を下げ加減ですが、ここ南関ではJDダービーを1着に、川崎記念3着。
そして言うまでもなくフェブラリーS2着も特筆すべき走り。
今回はそれらのレースに騎乗している岩田騎手とのコンビ復活。
配当的には一番魅力を感じました。
この日はマイナス4キロの496キロ。
前走がいくらか太目だったので、これは絞れた分。
適度な気合乗りで非常にいい雰囲気。レースはスタートの出はひと息でしたが、自然な流れで2コーナーでは外2番手へ。
ワンダーアキュートと並んでスマートファルコンを追走。
この馬の好走パターンからすると? 脚をなし崩しに使ってしまいそうな危惧がありましたが、意外に渋太く食い下がり、直線の半ばまではデッドヒートの一角。
結局は2馬身差の3着ですが、これまでとはひと味違うレース運びでの好走に、今後へ向けてまた楽しみが出てきました。

4着 シビルウォー

JBCクラシックでは、1番枠から積極果敢に攻めて、スマートファルコンから0秒9差の3着。
時計は2分3秒0。もう少し長目の距離のサバイバル戦ならともかく、2分1秒台のスピード決着になると?
JCダート組が加わってきては、自分の時計だけ走って入着ラインかなとみていました。
この日は増減なしの474キロ。ここ一連と同様に非常に活気があり、馬体もキリッと引き締まって好仕上がり。
レースは今回はジックリ後方からの競馬。
勝ちを意識なら、本来の追い込み策というところでしょうか。
勝負処からマクって出て直線の入口では6番手。
そこからジリジリ詰めたものの、差のある4着。
時計は2分2秒8。
予想通りに自分の時計だけ走っての4着は、目イチの競馬。
一線級が揃うと勝ち負けまでは難しい。
そしてもっと長い距離がいい。

5着 メダリアビート

エスポワールシチーが回避して、繰り上がりでの出走。
3走前のしらかばSが初のオープン勝ち。
以降2戦が7、6着と重賞の壁。G1では役不足とみていました。
この日はプラス9キロの473キロ。
増えていても案外スッキリとした体つきで、馬体から受けるインパクトは今イチ。
レースはスタートひと息で後方7番手から。
シビルウォーとほぼ同時に動き、外から差を詰めて5着はマズマズの走り。
力は出し切ったとみるべきでしょう。

6着 ヤマニンキングリー

初ダートのシリウスSで、ダートの常連メンバーを相手に快勝。
前走のJCダートは7着ですが、差は僅かだし、大外を回るロスを考えればマズマズの内容。
ダート適性は別にして、基本的な能力がかなり高いとの印象。
初の大井コースを苦にしなければ、勝ち負けになるとみていました。
この日はマイナス5キロの501キロ。
懸念した太目残りはないし、キビキビ感があり好気配。
レースは好スタートから出たなりで離れた4番手。
ペースを考えれば理想的なポジション。
ただし道中は追っ付け気味で、追走にひと苦労。
そのせいか、最後の直線は全く余力がなく、メダリアビートから5馬身差の6着。
期待外れの結果に。
大井の砂が合わなかったということか…。

■ 2010年回顧

馬 名 馬 名 馬 名 馬 名 馬 名
スマートファルコン アドマイヤスバル ゴルトブリッツ 10 ワンダーアキュート 13 トウホクビジン
フリオーソ シルクメビウス サイレントスタメン 11 タートルベイ 14 バロズハート
バーディバーディ スーパーパワー ボンネビルレコード 12 ドリームトレジャー

衝撃のレコード&血統的快挙

“現役ダート最強馬”どころか、“日本競馬史上ダート最強馬”というお題でも名前が挙がりそうなスマートファルコン。

 船橋で行われたJBCクラシックに続くJpnI・2勝目となった2010年のこのレース。

 この日のスマートファルコンはゆっくりとゲートを出て、それほど後続を離さず2馬身ほどのリードを保ちながらの逃げ。
1000m通過は58秒9と見た目以上のハイペースだったが、直線に入って一旦後続を引き離し、
ゴール前でフリオーソに1.3/4馬身差まで詰め寄られたものの、
フリオーソを上回る37秒3の上がり(ラスト2F目は11秒9)でまとめ、完勝といえる内容であった。

 このレースで特筆すべきはなんと言っても勝ちタイム。
コースレコードの2分02秒1を1.7秒も上回り、阪神競馬場で記録された日本レコード2分01秒0を0.6秒更新。
日本馬として初の2分00秒台となる、2分00秒4の走破時計で駆け抜けたのだ。

 ダート10f(約2011.68m)では、1980年にスペクタキュラービッド Spectacular Bidが
米・サンタアニタ競馬場で出した1分57秒80という驚異的な世界レコードがあるが、
粘土質で土に近いアメリカと、日本の砂馬場の違いを考えると単純比較はできず、
大井のダート2000mで2分00秒4という時計は衝撃的ですらあった。

 この勝利により、翌2011年の活躍を予感し、
クロフネなどと比較して“日本競馬史上ダート最強馬”というカテゴリにこの馬の名前を加えた人も多いのではないだろうか。
事実、今年の東京大賞典を迎えるまで重賞8連勝中である。

 衝撃的な勝ちタイムで見過ごされがちだが、この勝利は血統的にも記録的な勝利だった。
父ゴールドアリュールは2002年の勝ち馬(スマートファルコンと同じく武豊騎手騎乗)であり、
半兄ワールドクリーク(父マジックミラー)は1999年の勝ち馬ということで、父仔制覇と兄弟制覇を同時に達成したのである。

 2頭の母ケイシュウハーブ(父ミシシッピアン)は川崎に所属して南関東で26戦2勝という平凡な競走馬で、
牝系もそれほど優秀なものではなかったが、繁殖牝馬としては歴史に残る快挙を残すことになった。

 これまで、ダートの活躍馬は種牡馬として大きな期待はかけられないことが多かったが、
ゴールドアリュールはエスポワールシチーやオーロマイスターもGI(JpnI)レースを制し大活躍。
“ダート種牡馬”の評価を高めたことは、今後のダートグレード競走の活性化にも繋がってくることであろう。

 今年はスマートファルコンが2連覇をかけて出走。
もっともこの馬には、“東京大賞典2連覇”は通過点であり、翌年にもっと大きな目標(=ドバイワールドC制覇)が待ちかまえている。
スマートファルコンには世界でも強さを証明してもらい、
気の早い話だが、種牡馬入り後も東京大賞典父仔3代制覇の快挙を達成するような産駒の輩出に期待したいところである。
芝路線ではメジロアサマ→メジロティターン→メジロマックイーンによる天皇賞父仔3代制覇というのがあるが、
ダート界で新たな記録樹立を期待したい。
ファンにとっても、継続的に、親子代々の血統を楽しむというのも、競馬の大きな楽しみのひとつである。


第56回東京大賞典が29日、大井競馬場で行われた。

1番人気は、13 スマートファルコンで2.5倍、2番人気は、9 フリオーソで2.8倍、3番人気は、5 シルクメビウスで3.8倍。
4番人気は、14 ワンダーアキュートで9.8倍。10倍以下の単勝人気は以上4頭。

スタートでフリオーソが躓きそうになったが、立て直して前団へ。
外からスマートファルコンがフリオーソを見ながら1角付近で先頭に立つ。
2番手にフリオーソと10 バーディバーディ、その後ろに3 アドマイヤスバル、ワンダアキュート、シルクメビウスと続いた。
3角を通過するあたりでフリオーソがいささか離されかけるが、4角では再度立て直して直線へ。

快調に逃げるスマートに対し、フリオーソもJBCクラシックのときとは違い、懸命に食らいつく。
さらに内ではバーディバーディが粘る展開となったが、
残りあと100あたりの地点を過ぎてからは、スマートを追う勢いがあるのはフリオーソだけ。
しかしながらスマートは、フリオーソに1馬身4分の3の差をつけ、2分00秒7のレコード勝ち。
2着フリオーソ、3着バーディバーディ、4着アドマイヤスバル、5着シルクメビウス。

<短評>

・スマートファルコン・・・
結果的には今回も快調な逃げを披露しレコード勝ち。
しかも他馬に付け入る隙を与えなかったが、直線でいささか脚色が鈍った。
それさえなければさらにいいタイムが出たかもしれないが、
フリオーソが一度は離されかけながらも食らいついてきたので、その分、鞍上が焦ったかもしれない。
しかしながら、地方場におけるこの馬の強さは止まるところを知らず。
同型が果敢に競り合いに持ち込みさえしなければ、今後もマイペースでの逃走劇を演じてくれそうだ。

・フリオーソ・・・
恐らく、スタートから思い切って出て、スマートファルコンを叩く策を考えていたのだろうが、
躓いてしまったことでそれができなくなってしまった。しかしながら、体調がよくなかったせいもあってか、
直線で離される一方だったJBCクラシックとは違い、スマートがレコードタイムをマークしながらも、
最後まで食らいついたという点は今後に繋がりそう。

・バーディバーディ・・・
終始前々の競馬を見せ、最後は2頭に引き離されたが、よく粘った。

・アドマイヤスバル、シルクメビウス・・・
ついていくのが精一杯。

・ワンダーアキュート(10着)・・・
スタートでは先頭を伺う勢いもあったが、控えてからはサッパリ。


中央、地方の雄が集って行われる恒例の東京大賞典、頭数もそろい、
全国から集ったダートの猛者14頭が、今年もなかなかおもしろいレースを展開してくれた。

それにしても勝ったスマートファルコンは強い。
レースを見ていて、先行争いはこちらの印象ほど厳しくならなかったかと錯覚してしまうほどスンナリとハナに立ったスマートファルコンであったが、
これはそうではなく、スピードが他とは違っていただけのこと。

時間がなくてハロンラップの詳細まではまだ見ていないのだが、それでも相当厳しいペースであったことは容易に判断がつく。
何しろ、その勝ち時計は2分00秒4(もちろんレコード)・・・エスポワールシチーでさえこの時計で2000mを走破できるかと訊かれたら、
少々懐疑的にならざるを得ない猛時計である。

しかも、いくら地方競馬では馬場が比較的速いとは言っても、中央競馬に比べれば深いダートであることは事実だし、
今日の大井競馬場は良馬場のコンディションだったから、これはあきれるほどの勝ち時計ということができるだろう。

フリオーソは敢えてスマートファルコンを追うことはせず、終始2番手の競馬。
形としてはフリオーソのほうが有利かとも思えたが、これもやはり違った。

3、4コーナー中間地点から逃げたスマートファルコンがロングスパートでフリオーソ以下を引き離し、
後続は追いすがろうと懸命だったが、その差は開く一方。
フリオーソも力を見せて2着とがんばりきったが、スマートファルコンの今の充実度にはまったく歯が立たなかったというべきワンサイドの決着となってしまった。
ただ、やはりどう考えてみても、フリオーソ自身、そして3着以下も自分の力は出し切っていたように思う。

私が注目していたアドマイヤスバルも、今日は早目、終始3〜4番手の内を追走してはいたが、
これは「我慢しての追走」ではなく、こちらも付いてゆくのが精いっぱいの競馬になってしまった。
武豊騎手のペース配分が絶妙であったこともあったが、アドマイヤスバルにとっては一番ありがたくない流れになってしまった。
ただ、人気のシルクメビウスに先着しての4着だから、この馬の力も再確認できたと個人的には思う。

3着バーディバーディは、上位2頭には大きく離されてしまったが、それでいてなお「この馬は力をつけた」と思わせる好内容の3着であった。
着差 (勝ち馬とは5馬身、フリオーソと3馬身半差) が示す通り、2頭とはまだまだ差が大きいが、
バーディバーディは来年充実の4歳を迎えるわけだから、今年1年いい締めくくりができたととらえるべきだろう。

一方、人気を裏切る形となったシルクメビウスは少し評価が難しい。
確かに着差を考えれば少し負けすぎという印象もなくはないが、この馬の場合、勝ち馬にあのペースで走られてしまっては、
とても追い込めるような流れではなかったから、これは仕方のない5着であったという気もする。
ただ、力を示せなかったというところが少し残念ではあった。
超大穴ということで、今野騎手とバロズハートを狙ったが、道中中団に控えるバロズハートの姿を見て、
こちらの思惑通りの位置取りだったから、内心少しだけ期待していた。

だが、これもやはり「控えた」のではなく、あまりに速いペースについていくことがままならなかったということになるだろう。
最後は戦意喪失といった感じの大差シンガリ負けに終わってしまった。


東京大賞典はスマートファルコンの強さが際立った1戦となった。

レースは逃げるかたちをとりたいスマートファルコンとフリオーソともにスタート良く飛び出したものの、
絶対スピードの違いといった感じで、スマートファルコンがすんなりと逃げる展開に。

2番手にはフリオーソ、3番手にはバーディバーディといった隊列のまま、レースは進んでいきそのまま直線。

結局スタートからゴールまで終始スマートファルコン→フリオーソ→バーディバーディの隊列は
全く変わることなく、行った行ったのままゴールイン。

有馬記念同様に前残りとなり、何とも味気ないレースだなと思ったが、勝ちタイムを知り驚く。

従来のレコードタイムだったアジュディミツオーが2006年の帝王賞で出した2.02.1秒を大きく上回る、
2.00.4という驚異的なタイムをたたき出したのである。

しかもスマートファルコンが前半の1000mで通過したタイムが58.9秒というタイムは、
大井の1000mのレコードタイムでもあるのだから驚きである。

今回の結果を見れば、この馬は既にエスポワールシチーをも上回っている気がするだけに、
そろそろ中央の表舞台に立ってもらいたいもの。

そしてその先には海外へと繋がる道筋が見えてくることだろう。

鞍上の武豊騎手も「来年は海外遠征の視野も見えてくるだろうし、楽しみです。」とコメントしており、
今年のドバイには是非とも挑戦してもらいたいものだ。


【予想】
◎フリオーソ
○スマートファルコン
▲アドマイヤスバル
△シルクメビウス
△ワンダーアキュート
△バーディバーディ

 JBCではスマートファルコンに完敗を喫したフリオーソ。
ただし必ずしも万全の仕上がりではなかったのと、相手の強攻策にリズムを崩した感じも。得意の大井二千なら反撃必至とみました。当然スマートファルコンとのガチンコ勝負。
必要以上に競り合いがヒートアップした際にアドマイヤスバル、シルクメビウスなどが浮上。

【レース】
 好スタートを決めた戸崎フリオーソが逃げる勢い。武豊スマートファルコンが馬の気を
損なわず無理なく単騎先頭に立ったのは2コーナーの地点。池添バーティバーディが
3番手で、その直後に小牧太アドマイヤスバル、内田博シルクメビウス
和田竜ワンダーアキュートなど人気馬がひしめき合う状況。流れは緩みないハイペース。
コーナーにかかってもペースが緩まず、2番手以下は離され気味、タテ長の展開に。
セイフティリードを取ったスマートファルコンが、フリオーソの追撃を難なく抑えて1着ゴール。破格のレコードタイムを叩き出しました。

【上位馬の寸評】
1着 スマートファルコン
 JBCクラシックでは意表を突く逃げの手。驚異的なラップを刻んで楽勝を演じた同馬。
前走の浦和記念は行きがけの駄賃。この日の気配も素晴らしいものでした。
以前のうるさい面がスッカリ解消して体付きも立派になり毛ヅヤも上々。気分良く
行かれたら仕方ないか…という雰囲気。レースは好スタートを決めたライバルを
横目に出たなりの競馬。無理なく自然にハナに立ったのが2コーナーあたり。快調なラップを刻み、後続の脚をなし崩しに使わせる得意の戦法。更に普通ならペースが緩む
コーナーにかかってからもストライドを伸ばし、苦しくなった2番手以下の各馬は
置かれ気味に。最後の直線は有り余る貯金を生かして楽にゴールを駆け抜けました。
脚抜きのいい馬場にしても2分0秒4は桁違いの速さ。これは間違いなくダートの最強馬。
これだけ速いラップを連続して刻めるのだから、展開がゴチャつく短目の距離よりは
千八〜二千のくらいの方が競馬はしやそうです。いよいよ海外遠征も視野に。

2着 フリオーソ
 前走のJBCクラックは、スマートファルコンによもやの完敗。ただし意表を突かれて
リズムを崩した感じもあるし、当時より順調な調整過程で得意の大井二千なら
雪辱できるとみました。この日はプラス1キロの508キロ。相変わらず抜群の馬っぷりで
適度な気合乗り。毛ヅヤの良さも目立ち、申し分ない仕上がり状態。レースは
好スタートを決めて戸崎騎手が気合一発。外のスマートファルコンの出鼻をくじこうとする
姿勢。相手が譲らず来ると、引いて外に切り替え2番手。恐らくこれは陣営としては
青写真通り。ジカ付けで進みましたが、3コーナー過ぎから振り切られる形で3馬身ほど
リードを許し直線へ。2番手を粘り込んだのはJBCと同じパターンですが、今回は死力を
振り絞って2馬身足らずまで接近と、中身は全然違います。相手があまりにも速く
強過ぎただけ。年明けて7歳ですが、2歳時から南関を牽引してきた実力は
依然健在というか、益々盛んと言っていい。何かこれに続く馬は出てこないものか。

3着 バーディバーディ
 休養明け3戦は古馬を相手に5、6、4着とひと息ですが、前走のジャパンカップダートは勝ちに行く競馬で1馬身圏内に踏ん張り地力強化をアピール。距離二千は微妙も、折り合えばソコソコやれそうな感触はありました。この日は増減なしの482キロ。ジャパンダートダービーで一度大井を使っていますが、その時と同様キビキビと前向きに周回する姿に好感。馬体もひと回り成長して仕上がり上々と判断しました。レースは池添騎手が多少気合をつけて外3番手から。このペースを苦もなく先行するのだから、さすがにスピードは非凡です。3コーナー過ぎに追走が苦しくなり置かれましたが、3番手を死守。最後は流れ込む形の3着ですが、最強馬2頭について行ってのものだけに価値が高い。復帰後の初勝利は時間の問題で、今後の交流路線の主力級に躍り出そう。距離は千六くらいが合っているのでは。

4着 アドマイヤスバル
 これまで重賞レースは白山大賞典の1勝のみですが、前走のジャパンカップダート3着も含めて、毎回掲示板には乗る(5着以内)超堅実駆け。人気2頭に破綻があれば
当然浮上してくるのはこれとみていました。この日は増減なしの520キロ。船橋のJBCの
時(506キロ)はモッサリした感じだったのに、それとは対照的に馬体の張り、気合乗りとも
に上々で、体調アップを確認。レースは小牧太騎手が出ムチ連発の積極策。
これは勝ち味の遅さを補うべく予定の作戦か。内4番手をゲットして追走。勝負処で
置かれましたが、直線もインに突っ込み極力ロスを避けた目イチの競馬。どう乗っても
このスピード決着ではこれが精一杯でしょう。年齢的な衰えは全く感じられないので
メンバー次第では重賞制覇のチャンスは十分ありそうです。

5着 シルクメビウス
 今年ブリーダーズゴールドカップでカネヒキリを並ぶ間もなく交わして圧勝。ただし
続くJBCは完全にスピード負けの4着。前走のジャパンカップダートは人気を下回る5着と
評価が揺らぐところ。この日はマイナス3キロの493キロですが、体重の割に
案外スマートな体型で、あまりダートのA級馬という印象は受けない。
正直人気ほどは…とみていました。レースは強力なライバルを意識したのか
内田博騎手がかなり気合をつけて5番手から。ペースが速いだけにかなり追っての
追走になり、徐々にスタミナを消耗。いつもの切れ味を発揮できる状況ではなく
流れ込んだ程度の5着に終わりました。やはりこの馬は差しに構えてこそ本領発揮。
地方のダートではあまり信頼できません。

7着 ゴルトブリッツ
 JRAでは芝未勝利ですが、道営2連勝を挟んで返り咲き緒戦もダート戦を1着。
都合ダートは3戦3勝の高相性ですが、所詮五百万レベルの話。どうみてもこの
メンバーで通用するとは思えませんでした。ただしこのレース、緩みない流れで一列棒状
ポジションを上げる馬がほとんどいなかった中にあって、この馬だけ外マクって出て
一瞬見せ場を作っており、内容的には悪くない。まだキャリアが浅く、馬っぷりのいい
3歳馬。今後面白い存在に成長してくるかも。

10着 ワンダーアキュート
 休み明け3戦目、調子を上げての挑戦だけにちょっぴり気になりましたが、この日は
マイナス16キロの494キロ。見た目にもやや腹目のあたりが寂しくなっていたし
テンションが上がり気味。中1週のローテーションが意外に応えたのか。レースは
先行グループに加わったものの、勝負処で手応えが怪しくなり10着と敗退。
このデキでこのペースを追走しては失速もやむなし。立て直してくれば当然挽回が利く。

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■ 2009年回顧

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■ 2008年回顧

馬 名 馬 名 馬 名 馬 名
カネヒキリ ブルーコンコルド ブルーホーク 10 コンテ
ヴァーミリアン フリオーソ クレイアートビュン
サクセスブロッケン ボンネビルレコード コンバットキック

ペースは遅かったけど、2番手サクセスブロッケン、3番手カネヒキリ、4番手ヴァーミリアン。
どこで誰が動き出すかと見ていたが、焦れた武豊がジワッと動き出したところから騎手の駆け引きが始まったようにみえた。
手応えではカネヒキリよりもヴァーミリアンの方がよく見えたが、ゴール前ではカネヒキリがもう一度伸びていた。

ルメールはマークされているのを分かっていてのレースだから上手い騎乗でしたね。
それに対してヴァーミリアンの武豊はあれで勝てないのだから流れ(レースではなく武豊自身の)が悪い。
ヴァーミリアンが弱いとは思えないが、ルメールが上手かったと言うことかも。

強い馬同士の一騎打ちは見ていて気持ちがいい。
サクセスブロッケンはいい競馬をしたけど、この2頭には敵わなかった。
まだ、3歳馬だしこれから強くなってくるでしょう。

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■ 2007年回顧

馬 名 馬 名 馬 名 馬 名 馬 名
ヴァーミリアン ルースリンド トップサバトン 10 シーサーハーン 13 ショーターザトッシ
フリオーソ ブルーコンコルド アンパサンド 11 ベルモントストーム 14 ロケットパンチ
メイショウトウコン シーキングザダイヤ ケイエスゴーウェイ 12 デルタブルース 15 コスモインペリアル

9レースでは水が浮いた馬場でしたが、メインレースではだいぶ水が引いたようですね。
この馬場だと後ろから行く馬は厳しいと見ていました。

レースは仕掛けていったシーキングザダイヤがハナに立ち、
フリオーソは3番手の外目、その内側トップサバトンにブルーコンコルド、フリオーソの後ろにヴァーミリアン、1頭置いてメイショウトウコンが追走といった感じ。

レースが動いたのは3コーナー過ぎで、フリオーソが先頭集団に並びかけると、ヴァーミリアンも同じように付いて来た。
レースの流れや脚色をみるとこの2頭に一騎打ちと思ったが、直線に入ってフリオーソの外にヴァーミリアンが持ち出し、仕掛けると並ぶまもなく抜き去って独走。
決め手のあるメイショウトウコンがもう少し伸びるかと思ったが、いつもよりも前で早めの競馬をしたので伸び方はジリジリでしたね。
フリオーソはここ2走では掛かっていましたが、今日はスンナリと折り合っていた。
こういう競馬が出来るようだと安定して走れるようになるし、自分からレースを作れる。

ヴァーミリアンはこれで秋のダートG1を3連勝ですか。
日本では敵なしなので来年もドバイワールドカップに行くでしょうね。
有馬記念の馬券は取れませんでしたが、東京大賞典は2点で取ることが出来ました。
配当はつきませんでしたが、当たったので気分は良いです

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■ 2006年回顧

馬 名 馬 名 馬 名 馬 名 馬 名
ブルーコンコルド カフェオリンポス ハードクリスタル 10 コアレスタイム 13 ナイキアディライト
クーリンガー アジュディミツオー クールアイバー 11 シルキーゲイル
シーキングザダイヤ ボンネビルレコード シーチャリオット 12 ウエノマルクン

2歳時に芝の重賞を勝利し、一躍クラシック候補として春先には皐月賞にも参戦したブルーコンコルド。
その後、芝の短距離戦に矛先を変えたがなかなか結果の出ない日々が続いていた。
3歳の秋にダートの霜月ステークスに参戦。それまでの不振がウソのような快走でレコード勝ち。
確かなダート適性を見せ、以後芝のレースに出走することはなかった。

しかしながら、その後またしても不振が続き、霜月ステークスで見せた走りは影を潜めたが、約1年後に大きな転機を迎えることとなる。
引退までパートナーを組むことになる、幸英明騎手との出会いである。
初コンビとなったギャラクシーステークスで勝利すると、休み明けの2着を挟んで、一気の4連勝。
秋には1400メートルのJBCスプリントを制し、GT馬の仲間入りを果たした。

その翌年は更なる充実期を迎える。
上半期こそ黒船賞のみの勝利で終わったものの、秋には南部杯、川崎でのJBCマイルを連勝しダート短距離界のトップホースに躍り出た。
JBC後は翌年のフェブラリーステークスまで目標となるレースが無くなるダート短距離路線。
ここで陣営は当時東京競馬場2100mで開催されていたJCダートへ挑む選択をすることとなる。
南部杯を勝つまでは1400m以下の勝利しかなく、短距離思考の強かったブルーコンコルド。
当然のことながら距離に対する不安が囁かれたなかでの出走であった。
本番では2番人気に支持されるも、不利もあって勝ち馬から1.0秒差の9着。
期待していたファンからため息が漏れる結果となってしまった。

それでも陣営は次走に東京大賞典を選択。
アジュディミツオーとシーキングザダイヤの一騎打ちムードの一戦で、ブルーコンコルドはやや離れた3番人気。
その秋に交流GTを2勝している実績を加味すれば、その前評判は屈辱的なものであった。

レースは淀みのない流れを人気の2頭が早めに動いてマッチレースに持ち込もうとしたところを後方追走でじっくり構えた同馬が残り200mあたりでまとめて捕らえる展開。
先頭に立つと力強い走りで差は開く一方。
戦前の評価をあざ笑うかのような意地の圧勝劇を見せた。

その後のブルーコンコルドは交流GTでの勝利をさらに追加し、GT7勝の歴史的名馬となったが、勝利はすべてマイル戦。
やはり見えない壁があったのか、それ以上の距離では少々足りない競馬が続いた。
引退後は賛否両論のなか種牡馬入りはせず、乗馬として第二の人生を歩み始めた。
サンデー系のカネヒキリですら、種牡馬としての価値を疑問視されて長期にわたって現役にとどまった昨今の現状。
血統的に地味と言わざるを得ないブルーコンコルドでは無理もなかったかもしれない。
しかし、こんな個性派のDNAを受け継ぐ馬の姿を見たかったのは私だけではないだろう。


ブルーコンコルドが恐るべき瞬発力で圧勝した。
内からナイキアディライトがスッと先頭。
アジュディミツオーは、スタート、二の脚ともひと息鈍く、それを横目で見た横山典・シーキングザダイヤが仕掛け気味に2番手をキープする。
1000m通過59秒9(昨年60秒9)、向正面までペースは落ちず、緊迫感の漂う流れ。
しかしブルーコンコルドは中団の外め、元よりスピードがあるだけにむしろいい感じで折り合えた。
3〜4コーナー、馬群がにわかに凝縮され、自信満々に大外へ進路をとった。
あと1ハロン、ステッキが飛び、一、二の三の瞬発力。
あっという間に抜け出し、最後は手綱をセーブする余裕があった。
3F37秒3、これに次ぐ上がりは、カフェオリンポス、ボンネビルレコードの38秒2だから、ちぎれるのも無理はない。
2000m2分03秒5は過去9年中3。
気持ち時計のかかる馬場で、こちらも合格点がつけられる。

「前走(JCダート)は直線窮屈な位置に入った僕のミス。
距離は大丈夫と思っていました。力を証明できて嬉しいです」(幸騎手)。
同馬は2000m以上の経験がほとんどなく(芝2戦13、14着・JCダート9着)、不得手というより未知数だった。
フサイチコンコルド(日本ダービー)×ブライアンズタイムの血統背景。
それより何より6歳暮れ、馬自身最高潮に達したということだろう。

「少しコーナーのきつい地方のコースが合っている。それにしても強かった。
シーキングザダイヤとアジュディミツオーをこれだけ離しているんだから…」(服部調教師)。
同師は「何かタイトルをあげてほしいですね」と、JRA、NARを総括した“ダートG最優秀馬"選出を報道陣にアピールした。
アジュディミツオーGT3勝、ブルーコンコルド3勝、直接対決は1勝1敗。悩むところではある。
次走は「フェブラリーS直行」と明言された。

アジュディミツオーは、結果論ながら久々がすべてだろう。
ゲート内でいつになくイレ込み、終始闘志が空回りする格好だった。
直線インから伸びかかったがそこで終了。
本来逃げ馬の気性だけに、外からかぶされるような展開もやはり厳しい。
18kg増。
当然上積みがあるはずで、パンとすれば再び主役に返り咲ける。

人気薄クーリンガーの健闘。
一昨年3着と大井適性があること、鞍上が好枠(1番)を生かし切ったこと。
ムラでつかみづらいが、この日は地方向きのしぶとさを100%発揮した。

シーキングザダイヤはいわゆる勝ちに行く競馬で、結果3着でも悔いはあるまい。
詰めが甘いというより、今季は状態自体がひと息の感もある。

カフェオリンポス、ボンネビルレコードも地力と個性は示したが、勝ち馬には切れ味の点で及ばなかった。
シーチャリオットは復調いまだ遠しの印象。
ナイキアディライトも精神面で依然モロさを抱えている。

【レース】
ナイキアディライトが逃げてアジュディミツオー2番手が予想された展開。
その通りになりそうでしたが、そうはさせじと割って入ったのがシーキングザダイヤ。
これがナイキアディライトを追いかけたので、前半1000メートルのラップは、昨年を1秒も上回るハイペース。
中団より後ろに構えていたブルーコンコルドにはおあつらえ向きの展開。
向正面の中間地点から徐々に動いて大外ひとマクり。
直線も豪快に伸びて激しい2着争いを尻目に突き抜けました。
2着は伏兵クーリンガー。

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■ 2005年回顧

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■ 2004年回顧

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■ 2003年回顧

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