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JBCクラシック(G1)

■ DGR年間日程

王道路線

開催月 レース 2012年
1月・2月 川崎記念(G1) ×
佐賀記念(G3)
3月 ダイオライト記念(G2) ×
名古屋大賞典(G3)
5月 かしわ記念(G1)
6月 帝王賞(G1)
7月 マーキュリーC(G3)
8月 ブリーダーズGC(G2)
9月 日本テレビ盃(G2)
10月 白山大賞典(G3)
南部杯(G1)
11月 JBCクラシック(G1)
浦和記念(G2)
12月 名古屋GP(G2)
東京大賞典(G1)

■ 経緯

重賞 日付 コース 勝ち馬 ペース レベル LAP めも
JBCクラシック 200611/03 タイムパラドックス

■ 2011年回顧

【予想】
◎スマートファルコン
○トランセンド
▲シビルウォー
△ボンネビルレコード
△テラザクラウド

スマートファルコンが最後に負けたのは、トランセンドに機先を制された昨年の日本テレビ盃。
以降は逃げ楽勝の連続。
勝負処からピッチを上げて後続を突き放す戦法に迷いなし。
再びトランセンドと対決の日を迎えましたが、走り慣れた地の利もあり死角なしの大本命。
もちろんトランセンドが相手ですが、これが深追いして甘くなるようだと、替わってシビルウォーが浮上。

【レース】
無難に出た武豊スマートファルコンがハナ。藤田トランセンドは恐らく予定の運びで2番手。
好スタートを決めた吉田豊が積極策で3番手。
バックストレッチに入るとピッチが上がり一列棒状タテ長の展開。
ただし、千b通過が60秒7で、スマートファルコンの逃げとしてはスロー。
食い下がるトランセンドを突き放して直線に向かうスマートファルコン。
その手応えからはまたもや楽勝かと思われましたが、残り100で脚が上がり、詰め寄るトランセンド。
それでもスマートファルコンは、前半の貯金で何とか1馬身残しました。
3着シビルウォーで本命サイドの決着。

【上位馬の寸評】

1着 スマートファルコン

フリオーソを振り切り破格のレコードタイムを叩き出した東京大賞典。
上がり3ハロン36秒0の脚を使ってエスポワールシチーを子供扱いにした帝王賞。
ライバルを打ち倒し今や無人の野を行くがごとき快進撃。
正直トランセンドでは相手にならないとみていました。
この日はプラス3キロの510キロ。
適度な気合乗りで毛ヅヤも上々。
ひと叩きされて前走の日本テレビ盃以上の好気配。
益々信頼度アップ。
レースはスタート自体はトランセンドの方が良かったものの、相手が無理をせず、ほぼ馬なりでハナへ。
快調に逃げ脚を伸ばし、一旦引き付け、残り400でラストスパートはいつもの勝ちパターン。
ただし、最後の100で脚いろが怪しくなり、いつになく武豊騎手も慌てた振る舞い。
それでも前半の貯金で1馬身残し貫禄を示しました。
あの大賞典は、千b58秒9の猛ラップを刻んで驚異的なレコード駆け。
帝王賞は千b59秒8で入り、上がり3ハロン36秒0でブッチギリ。
それを考えると、千b通過が60秒7で、上がり3ハロン37秒3を要し2分2秒1は不満。
前2レースがレコード決着だけに、余計物足りません。
これではトランセンドに迫られたのも納得。
思い返すと、前走の日本テレビ盃も、思ったほどは弾けていない。
年齢的な衰えなどと言うのは早計かもしれませんが、その勢いに一抹の疑念が…。

2着 トランセンド

ドバイWC2着など、ダートでは指折りの実力馬ですが、昨年の日本テレビ盃は逃げてフリオーソの2着。
フェブラリーSは勝ったとはいえ、追い込みに回ったフリオーソの2着の方がインパクト大。
その後力をつけているといっても、大井の二千を走ってスマートファルコンの敵になるとは思えませんでした。
この日はプラス3キロの521キロ。
歩様が硬いし馬格の割に迫力を感じませんが、これはいつも通り。
毛ヅヤ上々で調子に関しては全く問題なし。
レースはポンと出てスマートファルコンにハナを譲る形。
2番手からは予定通りでしょう。
離れた番手から徐々に詰めて3コーナーでは直後に接近。
ただしこれは相手の作戦で、満を持したラストスパートにはついて行くのがやっと。
4コーナーでは3馬身差。
残り200では5馬身差がついて完全に勝負あったと思われましたが、
残り100から相手の脚いろが怪しくなり、ジリジリ詰めて1馬身差まで迫ったところがゴール。
前走の南部杯と同様のこの馬らしい渋い走りで意地を見せました。
次の対決に楽しみを残したレース内容と言っていい。

3着 シビルウォー

二千のブリーダーズゴールドC、二一の白山大賞典をロングスパートで連勝。
レコードが出るような決着では?でも、トランセンドがスマートファルコンを深追いして甘くなるようだと、
替わって浮上するのはこの馬とみていました。
この日はプラス7キロの472キロ。
全く太目感はなく、これは充実の証。
適度な気合乗りで絶好調と判断。
レースは好スタートを決めて3番手からと、強力先行2頭を意識した積極策。
離れた3番手を進み、3コーナー手前からはかなり仕掛けて離されまいと必死。
前半に多少無理したので最後はいつもの脚が使えませんでしたが、上がりがかかる競馬に乗じて1秒圏内の3着と好走。
今のデキの良さが窺える内容でした。
適距離のレースを選んで使っていけば、まだまだ勝てる。

4着 グランシュヴァリエ

1年前の南部杯でオーロマイスター、エスポワールシチーに続く3着したのが特筆すべき走り。
以降は地元高知で3勝したのみ。
南関でも時折掲示板には乗るものの、このメンバーでは難しいとみていました。
この日はマイナス5キロの496キロ。
もうひと気合といったところで、気配は目立たず。
レースはヤンワリ出て後方10番手から。
極力抑えて直線勝負に賭け、混戦の4着争いを制しました。
本橋騎手の好騎乗?

5着 テラザクラウド

マズルブラスト、ボランタスなど古豪を破り東京記念を優勝。
目下5連勝中の上がり馬。
ただし、中間放牧に出してひと息入り、稽古の動きが今イチとの報告。
そこにこの強力メンバーでは微妙なところでした。
この日はプラス3キロの514キロ。
そういう目で見るせいかもしれませんが、やや馬が大人しい感じも。
レースは前半はジックリ進め、バックストレッチの中間あたりで離れた4番手に進出。
ただし思うように進まず離された5着が一杯。
レース内容を見る限り、やはり本調子にはなかったようです。

7着 ボンネビルレコード

既に9歳。衰えは隠せませんが、今年の帝王賞では南関最先着の4着。
追い切りはソコソコ動いているし、まだ余力は残っているはず。
流れ如何では3着くらいはあるとみていましたが…。
この日はプラス9キロの492キロ。
増えたのは好感で、活気もあり決して悪くは見えませんでした。
レースは的場騎手が仕掛けて7番手からの競馬。
道中の行きっぷりからすると悪くとも掲示板には乗りそうでしたが、意外と脚をなくして7着。
普通なら3〜4着の間には入っていいはずなのに…。
さすがにこれでは見通しが険しい。

■ 2010年回顧

【予想】
◎シルクメビウス
○フリオーソ
▲オーロマイスター
△セレン
△スマートファルコン
△ラヴェリータ
△アドマイヤスバル

3歳時にジャパンダートダービーに参戦した当時に比べると、ひと回り逞しくなり決め手に磨きがかかったシルクメビウス。
今回の馬場ならそう極端な高速決着になるのは考えられないので、追い込みが間に合うとみました。
当然フリオーソが相手本線。

【レース】
2番枠のマグニフィカが逃げて3番枠のフリオーソが2番手。
こういった川島ラインの先導を予想していましたが、
それを崩したのが大外枠の武豊スマートファルコンで内に切れ込むようにして自然にハナへ。
フリオーソは目標を切り替え追って2番手。
オーロマイスター、アドマイヤスバルと続いて、シルクメビウスは中団の外目。
セレンは例によって後方。超ハイラップで飛ばすスマートファルコンが3コーナーあたりからリードを広げ、
2番手のフリオーソは手応え今イチ。シルクメビウスが4番手まで進出。
十分な貯金があったスマートファルコンが、7馬身差の圧勝。
フリオーソが辛うじて2着を確保しました。

【上位馬の寸評】

1着 スマートファルコン

1400メートルから2100メートルまでの交流重賞を10勝の実績は認めても
昨年の浦和記念では2秒9差の7着と大敗。6月の帝王賞では6着。
前走の日本テレビ盃では、2キロ重いフリオーソに完敗。GTで同斤57キロの今回
逆転までのイメージは湧きませんでした。レースは外枠から内に切れ込むようにして無理なくハナへ。
前半3ハロンのペースは日本テレビ盃とほぼ同じですが、4ハロン目
5ハロン目のラップが落ちず、1000メートル58秒1(日本テレビ盃は60秒3)は、
今回の馬場を考えると異例のハイラップ。すっかりペースを乱されたフリオーソが手応え?に対し
こちらは快調に逃げ脚を伸ばし、3コーナーからは離し気味に。直線の入口あたりでは
ほぼセイフティリード。7馬身差の圧勝劇に終わりました。差しに構えて逆転は
難しいと判断した鞍上予定の作戦でしょう。絡まれずに気分良く走れた際は、かなりの
ハイラップでも我慢が利くことを証明。今後はこのパターンで押すことになりそうです。
この日はマイナス2キロの499キロ。懸念したイレ込みはなく好気配。
再び存在感が大きくなってきました。

2着 フリオーソ

前走の日本テレビ盃は、トランセンドとスマートファルコンの激しい2着争いを尻目に
危なげない勝ちっぷり。この中間に多少順調さを欠いたようですが、最終追いは
キッチリ行っているし、力は発揮できるとみました。この日はマイナス3キロの507キロ。
いつも通りの好馬体で好仕上がりと判断。レースは戸崎騎手が同厩マグニフィカの動向を
窺いつつ先行。ただし、外からスマートファルコンが一気に行ったので、目標を切り替えて
これの2番手へ。これは想定内でしょうが、スマートファルコンがペースを緩めず
ガンガン飛ばしたので、追っ付け追っ付け追走する破目に。相当負担が大きかったのか
3コーナーあたりでは苦しくなり離され気味。一応2着は確保したもののよもやの完敗でした。
単純な上がり3ハロンの比較では日本テレビ盃が36秒2に対し、今回は40秒2と、4秒も
余計に要す始末。自分のペースを守っていればもっと楽に2着できたでしょうが、立場上は
勝ちに行くしかないので仕方ありません。それとやはり調整面で誤算があったのか…。
今後スマートファルコンと顔が合う際に、作戦が難しくなってきました。

3着 アドマイヤスバル

昨年はJBCスプリント2着ですが、今年はクラシックの方を使ってきました。
今年もかしわ記念3着、帝王賞4着と相手なりに走る堅実さは買えるものの、GTを
勝ち切るまでの切れ味は? それと酷暑の影響でやや体調を崩していたとのことで
この日はマイナス12キロの506キロ。馬っぷりがいいので細目感はありませんが
少し気合が不足しているかなという印象も。レースは小牧騎手が気合をつけて内4番手から。
この馬としてはかなり積極的な運び。3コーナー過ぎにはフリオーソの直後のイン。
このあたりでは2着もありそうな雰囲気。最後は同じ脚になってしまいましたが
この厳しい流れを前々の競馬で頑張れたのは収穫。7歳馬で大幅な上積みは疑問ですが
メンバー次第では十分チャンスがありそうです。

4着 シルクメビウス

3歳時にジャパンダートダービーを2着。その際は体重の割に(476キロ)案外スリムな
印象。現在は490キロ台に乗り、前走のブリーダーズゴールドカップでは
カネヒキリを並ぶ間もなく交わす圧勝。今回の馬場状態ならそれほど極端に速い決着に
なるとも思えないので、この馬の追い込みが間に合うとみました。
この日は増減なしの492キロ。仕上がり切った体付きで、あと10キロくらい増えても
いい感じ。少しテンションが上がり気味なのも気になりました。レースはヤンワリ出て
中団8番手から。有力処が前にいるのを意識して早目の仕掛け。
直線の入口では4番手まで取り付きましたが、そこまでに脚を使ってしまいお釣りなし。
正味目イチの4着でした。
もう少しジックリ構えていれば2着はあったか…。ただし、東京大賞典を使ってきても
それほど高い評価は?

5着 ボンネビルレコード

6月の帝王賞では3着していますが、現在のこの馬の場合は、交流重賞では
あくまでも伏兵扱いの入着ライン。今回も大体力通りの結果に終わりました。
レースは後方11番手をジックリ進めて直線だけ外から詰めて5着。体調は安定しており
南関同士の競馬なら主役級。

6着 セレン

時計の速い決着では限界がありますが、多少時計がかかる今回の馬場ならソコソコ
やれそうな感触はありました。レースはスタート躓いて後方10番手から。
これは想定内としても、ハイラップにまるで対応できず、終始圏外のまま6着。
以前は1600〜1800メートルくらいの差し馬とみていましたが、今は2000メートル以上の
長目の距離。楽に追走できる流れの瞬発力勝負が合っていそう。
フックラと丸味を帯びた体付きで、調子は申し分ありません。

10着 オーロマイスター

前走の南部杯は、エスポワールシチーを破りレコード勝ち。グランシュヴァリエあたりが
見せ場十分の3着だっただけに、即飛びついていいか微妙な面もありましたが
勢いに注目して▲を打ちました。レースは吉田豊騎手が気合をつけて3番手から。
ところが勝負処からは、ほぼ併走のアドマイヤスバルがポジションを上げて行くのに対し
こちらは後退気味。結果は10着と惨敗。もう少し脚抜きのいい馬場が合っているのか。
それと1800メートルは微妙に長いか。条件さえ揃えば、この馬のスピードは脅威。

■ 2006年回顧

1着△タイムパラドックス
2着○シーキングザダイヤ
3着△ボンネビルレコード
4着◎ハードクリスタル
5着△マンオブパーサー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
9着△アスターバジル
12着▲レマーズガール

JBC2日目。午前中は大井の初版を製作しながら、テレビ観戦。
「結構入ってんなぁ」なんて思いながら、頭は大井初日のノベンバー賞だったり。
お祭りだろうがなんだろうが、専門紙はこれが延々と続くのであった。

レースは、これまた大方の予想通り、マズルブラストがハナを切る。
連れて、やや引っ掛かり気味にタイムパラドックス、そして内田博幸騎手騎乗のマンオブパーサー。
レマーズガール、レイナワルツと続いて、その後に1番人気シーキングザダイヤという流れ。前半は63秒9でスローペース。
気持ち遅い感じだった。

レースは淡々と流れ、2周目の3コーナー。
「辛抱たまらん!」という感じで、タイムパラドックスが先頭に。
躓くような感じでマズルブラストが後退、連れてレマーズガールとマンオブパーサー。
シーキングザダイヤも直後に迫り、直線を向いた。

直線に入っても、タイムパラドックスの脚色は衰えず、むしろ後続に差をつける。
恐らくぎりぎりまで我慢したのだろうが、遅れた格好で追い上げるシーキングザダイヤだったが、
1馬身半差、タイムパラドックスが昨年に続き、JBCクラシック連覇となった。

レース後、雑談中に気付いたのだが、松田博資調教師は、アドマイヤドン3連覇、タイムパラドックス連覇で、
JBCクラシックは5連覇となった。いや、こりゃ凄いと思った。

2着シーキングザベストは、これでGI8度目の2着を達成? これは、もはや必然なのではないだろうか。
これからは、「○(対抗)」固定で予想すべきか? いや、むしろ「▲(単穴)」かもしれない。

3着はボンネビルレコード。左回りは初めてだったが、最後の脚はやっぱり凄かった。深い砂での決め手は、JRA相手でも一級品だ。

4着ハードクリスタルは、川崎のコーナー、コーナーでブレーキ。きついカーブは上手くなさそうだ。

と、いうわけで、2日にわたり行われた、川崎のJBC開催。
2日で入場3万8690人、売得36億604万3100円。
目標額には届かなかったが、これはまあ、成功と言っていいだろう。
個人的には、1日にGI2レース論者なのだが、川崎には大井の様に4万も5万も同時には入らないし、2日で大井1日分、というのは致し方ないのかもしれない。
ただまあ、次回(あるなら)1日でこの数字にチャレンジしてもらいたい気はする。

レースカード自体は、パドックを見てもさっぱりわからない2歳牝馬あり、牝馬3冠馬登場あり、
フロンターレあり、(個人的に)馬券的にそそられた最終のオープン戦ありと、それなりに趣向を凝らしたものだった。
もう少し売れてもいいと思うのだが。。。

しかし疲れた。川崎のあの狭い場所に、沢山の取材陣、出走馬関係者、関連団体関係者がひしめいていて、挨拶と歓談に明け暮れた。
かなり疲れました。

そして、クラシックのレース後は、飲みにも行かず会社に戻り、再び仕事。心は大井2日目に向かうのであった。

おしまい、おしまい。


 JBCクラシック(11月3日 川崎 サラ3歳以上 定量 交流GI 2100m 良)

▲(1)タイムパラドックス 2分16秒1
◎(2)シーキングザダイヤ 1.1/2
△(3)ボンネビルレコード 3/4
○(4)ハードクリスタル クビ
 (5)マンオブパーサー 1.1/2
 …………………
△(7)ビービートルネード
△(9)アスターバジル
 (11)マズルブラスト
△(12)レマーズガール

単1,190円
馬複740円
馬単2,530円
3連複7,490円
3連単41,590円

タイムパラドックスが、昨年名古屋に続き連覇を飾った。強力な逃げ馬不在。
各馬、相手の出方を探り合うような序盤だったが、結局意を決したマズルブラストが一周スタンド前から先手をとり切りペースが落ち着く。
タイムパラドックスは、1コーナーを回って早くも2番手。
「作戦というより、カカって持っていかれた感じ。でも、馬自身が“行け”と思っている、そう納得して乗りました」(岩田康誠騎手)。

シーキングザダイヤ、ハードクリスタルら有力どころが先団にひしめき、ややゴチャついた3コーナーで、思い切りよく先頭を奪ってしまう。
直線で使った息の長い末脚は、この馬の真骨頂。ゴール前100m、懸命に追い上げる後続も脚いろが一緒になった。
2分16秒1、重い砂を考慮しても平凡すぎる時計(レコード=12秒8)だが、ひとまず地力と貫禄で勝負に勝った、そういう見方が正着だろう。

タイムパラドックスは、これがダートGI・5勝目。
すべて2000m以上の勝利となった。
「年が年だし(8歳)、今年は出られるだけで満足という気持ちもあった。嬉しいと同時に驚いた。頑張りのきくたいした馬…」(松田博調教師)。
同調教師は02〜04年、アドマイヤドンでJBCクラシック3連覇、今年で何と5連覇という快挙だった。
2頭とも高齢を迎え、衰えどころかますます勝負強さ、持久力を増してくる。
パラドックスの場合は、父ブライアンズタイム、その成長力、懐の広さも大きいだろう。
いつも浮かんでくる言葉だが、「もう(衰えたか)は、まだ(健在)…」の典型例。
ダート中〜長距離、その名馬は、総じて驚異的な生命力、打たれ強さを持っている。

シーキングザダイヤは8度目のGI・2着。
ただし今回はゴール際勝ち馬に再び突き放され、内容的に不満の残る“銀”だった。
内枠で道中終始包まれたこと、休養(ノド手術)明け3戦目、体調が100%まで戻らなかったこと。
いずれにせよ、ベスト左回り2100、ビッグ2不在…絶好のチャンスを逃した感は否めない。
ボンネビルレコードは中団から半端に動かず、直線に賭ける自分のフォーム。
最後はシーキングに迫るシーンがあり、切れと個性は十分示した。
川崎初コース。左回りをこなした点でも収穫が大きいだろう。
ハードクリスタルは勝負どころの3〜4コーナーで動ききれず、少々不器用な面があるかもしれない。
マンオブパーサー、ビービートルネード、アスターバジルの3歳馬は見せ場を作って入着ライン。
経験が必要なダートGI、それぞれ今後の成長に注目したい。

【レース】

気合をつけてハナに行ったのは今野マズルブラスト。
好スタートを決めた武豊シーキングザダイヤは内で引く形になり、2番手に行ったのは内田博マンオブパーサー。
ただし極端にスローダウンした1周審前でタイムパラドックスが一気に進出して2番手へ。
以降は同馬がレースを作る格好。3コーナーでやや内に切れ込むようにして先頭を奪ったタイムパラドックスは、4コーナーでは半ばセイフティリード。
後続の追撃を許さず当レース連覇を果たしました。
3、4コーナーでややゴチャついて踏み出しが遅れた分、シーキングザダイヤはまたも2着。外伸びたボンネビルレコードが3着。

【上位馬の寸評】

1着 タイムパラドックス

アジュディミツオーがレコードで駆けるようなペースには対応できなくなっている同馬も、時計のかかる長距離戦ならまだまだ千両役者の貫禄。
そして色々な意味で各馬、各ジョッキーが岩田騎手に翻弄されました。
これは誰しも異論のないところでしょう。
極度にスローダウンした1周審前で、馬の行く気に逆らわず2番手に進出。
ここで決まったと言っても過言ではありません。
後続が慎重に構えたのとは対照的に、3コーナーではやや強引にマズルブラストを交わして先頭。
この時点で2番手グループがゴチャついて逡巡する馬も。
それを尻目にリードを広げ、勝利を確固たるものに。危なげなく1着ゴール、当レース連覇を果たしました。
勝利後はさすがに岩田騎手も固い表情でしたが、前半を巧く運んだのが勝利の大きな要因。
そして時計のかかる馬場もl味方。
元来がそう見映えするタイプではありませんが、この馬にしては気合が乗って良く見えました。

2着 シーキングザダイヤ

前走の南部杯では内の窮屈な処に入って苦しい競馬を強いられた同馬。
1番枠を引いた今回、これといった強力先行がいないので、逃げの手も十分にあるとみていましたが…。
レースは、好スタートを決めたものの、今野マズルブラストがハナを主張したためにこれに譲る形。
マンオブパーサーが2番手に行って、自身はイン3番手。
この馬のスピード能力と、道中のペースを考えると、外目でノビノビと走らせたかった、タイムパラドックスのように。
ただしそのチャンスがなかったようですね。
3コーナーでゴチャついたこともあり、踏み出しがワンテンポ遅れる形。
最後は1馬身半差まで詰めましたが、相手もバテる馬ではないので、これが精一杯。
相変わらずとはいえ勝ち運がない。
パドックではキビキビとした動きで周回。
休養を経た後も、いささかも翳りはみられません。
もし東京大賞典でタイムパラドックスと再度顔が合えば、雪辱の可能性が大とみます、この2頭に関しては。

3着 ボンネビルレコード

早くからステイヤーとして大成する可能性ありと見込んでいた馬。
今季再び好調モードに入り1600メートルのサンタアニタトロフィーを豪快な差し切り。
当然前走2400メートルの東京記念は絶対的な信頼を寄せていましたが、マズルブラストに0秒9も千切られる2着。
この敗因究明に頭を痛めましたが、先行有利な展開に殺されたためと決めつけて度外視。
ほぼノーマークの今回は、的場文騎手の荒技に期待して▲を打ちました。
レースは人気薄の気楽さもあり後方を淡々とマイペース。
3コーナー手前から動いて、ややゴチャつく場面に遭遇も。
そこで少し置かれながら、気力が萎えることなく外伸びて3着。
ゴール前の脚勢は一番でした。馬場見せの効果もあり、懸念したイレ込みはなく馬体もキープ、デキ絶好。
東京大賞典では、アジュディミツオーを別にすれば、この馬が南関の筆頭格です。

4着 ハードクリスタル

ブリーダーズGCから2ヶ月半ぶりでマイナス14キロ。
昨年の11月に浦和記念(2着)を使ってきましたが、パドックの雰囲気はその当時と同様。
落ち着きはらっており、決して細いという感じはしない。
調教も本数をこなしており、十分に力を発揮できる仕上がりとみました。レースは前半は外5番手。
特に不利もなく3、4コーナーからマクって出て4着は、2番人気を考えると不満もありますが、これが大体この馬の能力ではないでしょうか。
スピード、決め手、パワー、いずれもGTを勝つにはパンチ不足のような気がします。

5着 マンオブパーサー

南関の3歳代表がビービートルネードなら、JRAの代表はこの馬。
ただしどうもユニコーン、ジャパンDD、ダービーGP組は信用できない。
ダービーGPは地元の牝馬サイレントエクセルあたりが差のない3着だし。
それは別にして、馬は決して悪くありませんでした。
ダービーGPの際にマイナス12キロと減った馬体が今回はプラス3キロ程度の481キロですが、大体これくらいが理想の感じ。
レースはこの馬の持ち味である先行力を発揮して常に2、3番手の好ポジションをキープ。
特に不利はなく、直線は内を突いて内田博騎手が目イチに追って5着。
これは完全に力負けでしょう。
この馬は1600メートルくらいの距離が合っていそう。キャリアから考えて、まだまだ変わってくる馬だと思います。

7着 ビービートルネード

かなりのインパクトを与えた戸塚記念から1ヶ月。稽古は抜群に動いて、プラス7キロの馬体増。
もちろん太目感などまるでなく更に充実。
今年の3歳馬のレベルには疑問を抱いていますが、レースぶりには注目しました。
町田騎手が気合をつけて前半は中団に付けて行ったものの、少しずつポジションを下げて後方へ。
決してバテているというわけではありませんが、伸びる気配はなく流れ込んだという競馬。
まずは南関同士の古馬を相手に揉まれて、地力を強化することが肝要です。

12着 レマーズガール
南関4場でも一番相性がいい川崎コース。
距離は問題ないし、前走の白山大賞典を楽勝しているようにデキも良好。
外目の枠も歓迎。
このメンバーでもソコソコやれそうな気がしましたが、スムーズに外目でレースを運んだ割に予想外の大敗。
やはり男馬が相手のGTは、レースの『当たり』が違うのでしょうか。
480キロ前後の馬体を維持していれば、牝馬同士なら依然として主役級。

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